大切な子
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いつの間にか消えるシリウスに最初は探していたジェームズも諦めていた。
最初の頃は執拗に聞いてもはぐらされ、地図にも消えるシリウスにシークレットなのだろうと半ば諦めさせられたのだが。
(…絶対に怒らせたら怖いのはシリウスだよな。
怒鳴るよりも恐ろしい怒りがあるとは。
シリウスだけは本気で怒らせるのはやめよう)
目が合うと冷たい視線と笑顔にジェームズはゾクッとして目を反らすしかなかった。
(何が怖いって、リーマスとか他の奴らに気づかれないことだよ。
僕、友達選びを失敗したかもしれない。
言葉にはしないけど。
君はやっぱり、ブラック家の血筋だよ)
まるで蛇に囚われた小動物のようだと感じた。
「シリウスもついに来たんだ」
「…連れて来られたんだよ」
「君、グリフィンドールの試合でも来ないじゃないか。
クィディッチは嫌いじゃないだろう?」
「………。」
「弟くんの試合だし。
いいだろう?」
シリウスは深いため息をつき、渋々ながら客席に座る。
「危な…っ、君の弟くんって大人しそうな顔して過激だよね」
「見た目だけだ」
「そうなの?」
「滅多にキレないけど。
昔にブチギレて部屋を崩壊させたぞ」
「「うげっ!」」
「まぁ、大人しそうに見えたって直系のブラック家だからな。
ちなみに怒らせた原因のイトコは未だに本家の立入禁止」
「何をしたんだ」
「弟が大切にしてたものを投げたんだよ」
「大切なものって?」
「…俺が誕生日にあげたネックレス」
「君達、仲良かったの?」
「外に出してもらえなかったし、遊び相手なんて互いにしか居なかったからな」
自分がスリザリンに入寮していれば、今も変わらない関係だったかもしれない。
悲鳴が上がり、何事かと顔を上げると箒からレギュラスが吹き飛ばされていた。
「レジー!」
ずっと呼んでなかった愛称が思わず、シリウスは口にしてた。
「シリウスっ!
待っ…!」
ジェームズが止める間もなく、すり抜けた。
躊躇なく、シリウスが飛び降りて再び悲鳴が上がる。
魔法を唱えていないにも関わらず、シリウスの身体が浮かんでいた。
「シルフィード。
よくやった」
落下途中のレギュラスを抱え、シリウスは安堵の息をついた。
「空中で突き飛ばすとは、随分と弟が世話になったな」
「な、何のこと…っ」
シリウスが無表情でレギュラスを突き飛ばしたらしい犯人に杖を向けていた。
(…終わったな)
ジェームズは呆れたようにため息をついた。
「そ、そんなことして…」
「ただですまないと?
誰に向かって口を利いている。
私はまだ“ブラック家”にいるのだが?」
いつもとは異なる口調と冷たい眼に静まり返る。
「き、君は…ブラック家の“異端児”だろ。
そういう時だけ…利用するのか」
シリウスの圧に声は震えながらも反論する。
「…異端児、ねぇ。
おまえ如きがブラック家を語るのか。
私は確かにブラック家の道とは外れているだろう。
それが、どうした?」
「えっ?」
「私がいつ、家族を捨てると言った?
嫡男の私が次期当主でないと言ったか?」
「……っ…」
「つまりは、そういうことだ。
レギュラスが怪我してないのなら君だけの“責任”にしてやろう」
「君だって、ここではただの学生だろう!
そんな資格が…っ」
「私が手を出すとは言っていないが?」
「愛する息子の願いならば、全力で叶えなくてはならないね」
「…父上」
シリウスの肩を抱いている現当主のオリオン・ブラックにザワついた。
当事者である生徒は座り込んでそれ以上は言えないようだった。
最初の頃は執拗に聞いてもはぐらされ、地図にも消えるシリウスにシークレットなのだろうと半ば諦めさせられたのだが。
(…絶対に怒らせたら怖いのはシリウスだよな。
怒鳴るよりも恐ろしい怒りがあるとは。
シリウスだけは本気で怒らせるのはやめよう)
目が合うと冷たい視線と笑顔にジェームズはゾクッとして目を反らすしかなかった。
(何が怖いって、リーマスとか他の奴らに気づかれないことだよ。
僕、友達選びを失敗したかもしれない。
言葉にはしないけど。
君はやっぱり、ブラック家の血筋だよ)
まるで蛇に囚われた小動物のようだと感じた。
「シリウスもついに来たんだ」
「…連れて来られたんだよ」
「君、グリフィンドールの試合でも来ないじゃないか。
クィディッチは嫌いじゃないだろう?」
「………。」
「弟くんの試合だし。
いいだろう?」
シリウスは深いため息をつき、渋々ながら客席に座る。
「危な…っ、君の弟くんって大人しそうな顔して過激だよね」
「見た目だけだ」
「そうなの?」
「滅多にキレないけど。
昔にブチギレて部屋を崩壊させたぞ」
「「うげっ!」」
「まぁ、大人しそうに見えたって直系のブラック家だからな。
ちなみに怒らせた原因のイトコは未だに本家の立入禁止」
「何をしたんだ」
「弟が大切にしてたものを投げたんだよ」
「大切なものって?」
「…俺が誕生日にあげたネックレス」
「君達、仲良かったの?」
「外に出してもらえなかったし、遊び相手なんて互いにしか居なかったからな」
自分がスリザリンに入寮していれば、今も変わらない関係だったかもしれない。
悲鳴が上がり、何事かと顔を上げると箒からレギュラスが吹き飛ばされていた。
「レジー!」
ずっと呼んでなかった愛称が思わず、シリウスは口にしてた。
「シリウスっ!
待っ…!」
ジェームズが止める間もなく、すり抜けた。
躊躇なく、シリウスが飛び降りて再び悲鳴が上がる。
魔法を唱えていないにも関わらず、シリウスの身体が浮かんでいた。
「シルフィード。
よくやった」
落下途中のレギュラスを抱え、シリウスは安堵の息をついた。
「空中で突き飛ばすとは、随分と弟が世話になったな」
「な、何のこと…っ」
シリウスが無表情でレギュラスを突き飛ばしたらしい犯人に杖を向けていた。
(…終わったな)
ジェームズは呆れたようにため息をついた。
「そ、そんなことして…」
「ただですまないと?
誰に向かって口を利いている。
私はまだ“ブラック家”にいるのだが?」
いつもとは異なる口調と冷たい眼に静まり返る。
「き、君は…ブラック家の“異端児”だろ。
そういう時だけ…利用するのか」
シリウスの圧に声は震えながらも反論する。
「…異端児、ねぇ。
おまえ如きがブラック家を語るのか。
私は確かにブラック家の道とは外れているだろう。
それが、どうした?」
「えっ?」
「私がいつ、家族を捨てると言った?
嫡男の私が次期当主でないと言ったか?」
「……っ…」
「つまりは、そういうことだ。
レギュラスが怪我してないのなら君だけの“責任”にしてやろう」
「君だって、ここではただの学生だろう!
そんな資格が…っ」
「私が手を出すとは言っていないが?」
「愛する息子の願いならば、全力で叶えなくてはならないね」
「…父上」
シリウスの肩を抱いている現当主のオリオン・ブラックにザワついた。
当事者である生徒は座り込んでそれ以上は言えないようだった。