第59話
夢小説設定
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イシュヴァールの民の冷たい視線と共に地味に口の端が傷む。
「マスタング大将。
大丈夫ですか?」
「一旦、戻るか?」
「…大丈夫だ」
砂漠の熱風を感じながらもロイは大総統が消えたとこをただ見つめていた。
「分かりました。
せめて、手当てを」
「大袈裟だ」
「悪化すると大変ですから」
「…ん」
中尉に血を拭われ、消毒されて砂漠の砂が入らないようにカットバンを貼られた。
(もうすぐ予定の時間だが。
長引くこともあるだろう)
ロイは懐中時計で時間を確認し、凝視している。
チラッとセルシアに視線を送ると大丈夫だと頷いた。
(血の匂いがないのならば。
無事なのだろう。
砂漠でどこまで辿れるか分からんが。
まだ待っていよう)
ロイが突入を命じれば、この場にいる大勢の軍人は突入するだろう。
「大総統!」
「すまない、遅れてしまって」
「ご無事で何よりです」
「君こそ、傷つけてすまんな」
「たいしたことはありません。
きちんと話せましたか?」
「…進展はない。
また次の機会に」
「後退がなければ、十分です。
あと5分遅かったら突入を命じて私も行くところでした」
「間に合ってよかったよ」
「帰りましょうか」
「そうだな。
あまり刺激しても良くない」
軍刀をロイに返してもらい、軍車に乗り込んだ。
大総統の隣でロイはいつも以上に口数が少なく、景色を眺めている。
「傷は痛むか?」
「…たいしたことないです」
「わざと、避けなかったのだろう」
「コレも必要なことです。
あの長は私に対して苛立ってる。
理由は分かりませんし、理解したいとも思いません。
あの長の家族を私が手に掛けたのかもしれませんし、単純に加害者の私が甘やかされて若くして苦労もせずに地位ある者になって苛立っているだけなのかもしれませんし」
「君、話しているうちに苛立ってないか?」
「私が殴られ損じゃないですか。
少しは収穫ないんですか!」
((…そっちなのか))
大総統は微かに笑みを浮かべ、不満顔のロイの頭を撫でる。
「収穫がない訳ではない。
君に対して強く当たる理由は分からんが。
やっと割り切れたか?」
「覚悟は決めていましたよ。
予想外のことばかり、起きました。
囚われる覚悟もしてました」
「そんなこと、させるか」
「ふふっ…知ってます」
「試したのか」
「さあ?
私が囚われたら暴れてしまう者達がいますからね。
そうならない為にも、微力でも力になりますよ」
「君の存在が活力になるさ。
まだ教えてないことがある」
「はい、大総統」
大総統の肩をポンポンと優しく叩かれ、ロイの肩が微かに力が抜けた。
「生まれも環境も違うんだ。
守りたいものも。
互いに違うのだから。
そう簡単に進まないさ。
加害者だからと言って、すべてを受け入れる訳にはいかない。
こちらにも守るべき者達がいる」
「…はい」
「そんな顔をするな。
割り切ったのだろう?」
「割り切れるばかりではないです」
苦笑いして大総統はロイの頭を優しく撫でた。
大総統府からいつの間にか消えている大総統にロイは深いため息をつく。
「…やられた」
「探しに行かないんですか?」
「大総統は軍刀を所持してるし、大総統の書類は片付いてるから。
たまには自由時間も必要だろう」
ロイは大総統の書類を確認し、問題がないので補佐官に手渡す。
(どうせ、行く店など大総統も決まっているからな)
紅茶を飲みながらロイは自分の書類を手にする。
准将に昇格したセルシアが中尉が運んで来る前に書類を抜いてしまうので少なくなっていた。
中尉もロイも気づきながらも苦笑いして指摘はせず。
(大将の地位がある者しか出来ない書類なんて限られてるし。
放置してると持って行かれそうなんだよな)
流石にロイが何もやらない訳にはいかないので少し進めている。
「少し出て来るよ」
「承知しました」
執務室にいる中尉に声を掛けてロイは捜索に行く。
「大総統。
楽しそうで何よりです」
「…ロイ。
今日は遅かったな」
「大総統の書類は片付いてましたし、あとは急ぎではありませんから。
自由時間を与えようかと」
「「ぶはっ!」」
「それとも、すぐに探しに来なくて寂しかったですか?」
「…そんなことはない」
「大総統、ソワソワしてましたよ」
国民に暴露されてしまった大総統にロイは微かに笑う。
「ふはっ!
カフェにでも寄りますか?」
「君から言うなんて珍しいな」
「どうせ、言ったところで司令部にすぐには戻ってくれないでしょう」
「今日は天気も良いし。
テラス席にするか?」
「馬鹿なんですか。
いくら貴方が強くても、流石にそれは頑固反対しますよ」
「それは残念だな」
((…大総統に馬鹿と言えるのはマスタング大将くらいだよな))
大総統はロイを宥めながら喫茶店に入って行く。
「ロイも食べるかね」
「…結構です」
顔を引きつらせるロイに大総統はクスクスと笑う。
目の前で大総統が季節限定のフルーツパフェを食べ、微かに顔を歪めながらロイはストレートのアイスティーを飲んでいた。
「ほら、果物だけなら食べれるだろ」
「…ん」
「以前なら拒否してたのにな」
「断ってもどうせ、食べさせるでしょう?」
セルシアで慣れたのもあるが、ロイは大総統にまで食べさせられていた。
年齢不詳の見た目のロイだから違和感もないのだろう。
「君、意外と果物は好きだろう?」
「以前はそこまで食べませんでした。
頂くことが増えましたから」
「袋に詰められて貰ってたもんな」
「未だに一部しか払わせてもらえないんですよ」
不満そうにしながらもロイが楽しそうなのは大総統は理解している。
「マスタング大将。
大丈夫ですか?」
「一旦、戻るか?」
「…大丈夫だ」
砂漠の熱風を感じながらもロイは大総統が消えたとこをただ見つめていた。
「分かりました。
せめて、手当てを」
「大袈裟だ」
「悪化すると大変ですから」
「…ん」
中尉に血を拭われ、消毒されて砂漠の砂が入らないようにカットバンを貼られた。
(もうすぐ予定の時間だが。
長引くこともあるだろう)
ロイは懐中時計で時間を確認し、凝視している。
チラッとセルシアに視線を送ると大丈夫だと頷いた。
(血の匂いがないのならば。
無事なのだろう。
砂漠でどこまで辿れるか分からんが。
まだ待っていよう)
ロイが突入を命じれば、この場にいる大勢の軍人は突入するだろう。
「大総統!」
「すまない、遅れてしまって」
「ご無事で何よりです」
「君こそ、傷つけてすまんな」
「たいしたことはありません。
きちんと話せましたか?」
「…進展はない。
また次の機会に」
「後退がなければ、十分です。
あと5分遅かったら突入を命じて私も行くところでした」
「間に合ってよかったよ」
「帰りましょうか」
「そうだな。
あまり刺激しても良くない」
軍刀をロイに返してもらい、軍車に乗り込んだ。
大総統の隣でロイはいつも以上に口数が少なく、景色を眺めている。
「傷は痛むか?」
「…たいしたことないです」
「わざと、避けなかったのだろう」
「コレも必要なことです。
あの長は私に対して苛立ってる。
理由は分かりませんし、理解したいとも思いません。
あの長の家族を私が手に掛けたのかもしれませんし、単純に加害者の私が甘やかされて若くして苦労もせずに地位ある者になって苛立っているだけなのかもしれませんし」
「君、話しているうちに苛立ってないか?」
「私が殴られ損じゃないですか。
少しは収穫ないんですか!」
((…そっちなのか))
大総統は微かに笑みを浮かべ、不満顔のロイの頭を撫でる。
「収穫がない訳ではない。
君に対して強く当たる理由は分からんが。
やっと割り切れたか?」
「覚悟は決めていましたよ。
予想外のことばかり、起きました。
囚われる覚悟もしてました」
「そんなこと、させるか」
「ふふっ…知ってます」
「試したのか」
「さあ?
私が囚われたら暴れてしまう者達がいますからね。
そうならない為にも、微力でも力になりますよ」
「君の存在が活力になるさ。
まだ教えてないことがある」
「はい、大総統」
大総統の肩をポンポンと優しく叩かれ、ロイの肩が微かに力が抜けた。
「生まれも環境も違うんだ。
守りたいものも。
互いに違うのだから。
そう簡単に進まないさ。
加害者だからと言って、すべてを受け入れる訳にはいかない。
こちらにも守るべき者達がいる」
「…はい」
「そんな顔をするな。
割り切ったのだろう?」
「割り切れるばかりではないです」
苦笑いして大総統はロイの頭を優しく撫でた。
大総統府からいつの間にか消えている大総統にロイは深いため息をつく。
「…やられた」
「探しに行かないんですか?」
「大総統は軍刀を所持してるし、大総統の書類は片付いてるから。
たまには自由時間も必要だろう」
ロイは大総統の書類を確認し、問題がないので補佐官に手渡す。
(どうせ、行く店など大総統も決まっているからな)
紅茶を飲みながらロイは自分の書類を手にする。
准将に昇格したセルシアが中尉が運んで来る前に書類を抜いてしまうので少なくなっていた。
中尉もロイも気づきながらも苦笑いして指摘はせず。
(大将の地位がある者しか出来ない書類なんて限られてるし。
放置してると持って行かれそうなんだよな)
流石にロイが何もやらない訳にはいかないので少し進めている。
「少し出て来るよ」
「承知しました」
執務室にいる中尉に声を掛けてロイは捜索に行く。
「大総統。
楽しそうで何よりです」
「…ロイ。
今日は遅かったな」
「大総統の書類は片付いてましたし、あとは急ぎではありませんから。
自由時間を与えようかと」
「「ぶはっ!」」
「それとも、すぐに探しに来なくて寂しかったですか?」
「…そんなことはない」
「大総統、ソワソワしてましたよ」
国民に暴露されてしまった大総統にロイは微かに笑う。
「ふはっ!
カフェにでも寄りますか?」
「君から言うなんて珍しいな」
「どうせ、言ったところで司令部にすぐには戻ってくれないでしょう」
「今日は天気も良いし。
テラス席にするか?」
「馬鹿なんですか。
いくら貴方が強くても、流石にそれは頑固反対しますよ」
「それは残念だな」
((…大総統に馬鹿と言えるのはマスタング大将くらいだよな))
大総統はロイを宥めながら喫茶店に入って行く。
「ロイも食べるかね」
「…結構です」
顔を引きつらせるロイに大総統はクスクスと笑う。
目の前で大総統が季節限定のフルーツパフェを食べ、微かに顔を歪めながらロイはストレートのアイスティーを飲んでいた。
「ほら、果物だけなら食べれるだろ」
「…ん」
「以前なら拒否してたのにな」
「断ってもどうせ、食べさせるでしょう?」
セルシアで慣れたのもあるが、ロイは大総統にまで食べさせられていた。
年齢不詳の見た目のロイだから違和感もないのだろう。
「君、意外と果物は好きだろう?」
「以前はそこまで食べませんでした。
頂くことが増えましたから」
「袋に詰められて貰ってたもんな」
「未だに一部しか払わせてもらえないんですよ」
不満そうにしながらもロイが楽しそうなのは大総統は理解している。