第59話
夢小説設定
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軍服の上着を着て、大総統と共にロッカールームから出てロイは鍵を掛ける。
「そういえば。
酒は何を出されたんだ?」
「度数の高い酒でしたね。
中尉には飲ませていませんよ」
「…ロイ」
咎められて誤魔化せないなとロイは苦笑いする。
「リキュールです」
「度数が高い方だな」
「そうかと思われます。
怪しまれていましたし、それを分かった上で泳がす為に必要だったので。
1杯の半分程は飲みましたが。
匂いますか?」
「そこまで強くは匂わんが。
そういう問題じゃない」
「まぁ、私を酔い潰そうとしたのでしょうね。
中尉を狙ったのか分かりませんが。
いでっ!」
呆れたように大総統がため息をつき、軽く頭を叩かれた。
「そんな度数に幅があるリキュールを興味本位で飲む馬鹿がいるか!」
「安全確認はしましたよ」
「そういう問題じゃない。
まったく。
仕入れてやるから、そういうとこでは飲むな」
「カクテルでは飲んだことありましたが、美味しかったですよ」
「誰が感想を言えと」
((…強い))
大総統にそう言われても笑顔で話しているロイに周りの軍人達は苦笑い。
「香草・薬草系よりもリキュールに関しては果実系が私は好きですね。
甘みのある果実系よりも柑橘系のフレッシュさを感じる酸味があるものがいいです」
「…次までに仕入れておくから。
君、度数か低いと炭酸とかじゃなくて高いお酒で割るからな」
「美味しく頂くだけですよ」
((…恐ろしいことをするな))
度数の高いリキュールにしろとおねだりしているのだろう。
「度数の高いリキュールを飲んで通常通りなんですか」
「マスタング大将。
どんだけ酒強いんですか」
「一回り以上年上の上層部を佐官クラスの時に酔い潰した伝説があるくらいだからな」
「ヒューズ!」
「ほかにもコイツの伝説あるぞ」
「…伝説言うなよ」
その後に嫌がらせや嫌味が増えたのは言うまではない。
(昇進よりも小隊だよな。
面倒見が特別良いとは言えないが、ハボックやブレダとかを見ていると。
面倒見は良いんだよな。
かと言って無理強いはさせれない)
何度も説得しているが、それで言い争いにもなった。
結局は中尉にも甘いロイが折れてしまうのだが。
「…ロイ。
日時が決まった」
「日時?」
「これを…」
大総統から手渡された書類に一瞬だけ目を見開く。
「イシュヴァールの長と話し合いが行われる。
今回も同じだと思うが。
君はどうしたい?」
「え…?」
聞かれるとは思っていなかったロイは瞬きして見つめる。
大総統に気遣うように頭を撫でられ、ロイは黙って見つめた。
「同席するのも、私の帰りを待つのも君の自由だ」
「それは…っ」
「私個人としては君の負担を考えると待っていて欲しいとは思う。
だが、それは私の個人的な意見だ。
同席しないのは逃げることではない。
君はそう思わないのだろうけれど」
「……っ…」
「それが弱さとは思わないし。
反感されるのも理解してる。
あの若さであのような場に投入され、君が一番酷なことが起きたのだろう。
上官の命令から逃れられず」
「それは…っ、それでも。
私が奪った命は…!」
「ロイ。
私も君を守りたいんだよ」
「私だけ安全な場で守られていると言うんですか!」
「現役の大総統と次期大総統を危険に晒す訳にはいかない。
私に万が一があれば、分かるだろう」
「大総統…っ」
「無茶はせんよ。
安全とは言えんが」
「そんなの、ずるい…です」
「わかっている。
ずるい言い方なのは」
(それでも命じることはない。
大総統の命令はしない)
ロイは涙目で大総統の軍服を掴み、頭を預けた。
「…絶対に生きて戻って来てくださいますか?」
「約束しよう」
「今回は貴方の意見に従います。
時間が掛かるようなら、我々は突入します」
「分かっている。
ありがとう」
渋々ながらもロイは以前に自分の精神面も体調も崩したので足枷になるだけだと判断した。
「今回は大総統お1人ですか」
「彼は私の留守を託す。
お気持ちは理解しますが、必要以上に彼を傷つけないで頂きたい。
我々は戦いに来たのではない」
ロイは目を反らさずにイシュヴァールの長を見つめ、ロイを庇うように中尉が一歩踏み出す。
大丈夫だとロイが手で制すると渋々ながら中尉が元の場所に戻る。
「…部下が失礼致しました」
「以前よりは良い目だ。
君の顔が苦痛に歪めば、大総統を含めてどれくらいの者が動くのだろうな」
大総統も顔が歪んだが、ロイは大総統に大丈夫だと目で合図する。
「「長っ!」」
流石にやり過ぎだと咎められ、渋々ながらも謝罪された。
「顔を殴られても動じないのだな」
「想定内です。
それで楽になるのならば、いくらでもどうぞ。
私を殴っても何も変わらない」
ロイの口の端から血が滲み、駆けつけて来た中尉にハンカチを渡される。
「イシュヴァールの長。
今の貴方は個人で動いているのでしょうか。
その行動は“長”として必要なことですか?」
「……っ…」
「さあ、行きましょう。
貴方の相手は私の“息子”ではない」
大総統にも諭され、イシュヴァールの長は去ってゆく。
「そういえば。
酒は何を出されたんだ?」
「度数の高い酒でしたね。
中尉には飲ませていませんよ」
「…ロイ」
咎められて誤魔化せないなとロイは苦笑いする。
「リキュールです」
「度数が高い方だな」
「そうかと思われます。
怪しまれていましたし、それを分かった上で泳がす為に必要だったので。
1杯の半分程は飲みましたが。
匂いますか?」
「そこまで強くは匂わんが。
そういう問題じゃない」
「まぁ、私を酔い潰そうとしたのでしょうね。
中尉を狙ったのか分かりませんが。
いでっ!」
呆れたように大総統がため息をつき、軽く頭を叩かれた。
「そんな度数に幅があるリキュールを興味本位で飲む馬鹿がいるか!」
「安全確認はしましたよ」
「そういう問題じゃない。
まったく。
仕入れてやるから、そういうとこでは飲むな」
「カクテルでは飲んだことありましたが、美味しかったですよ」
「誰が感想を言えと」
((…強い))
大総統にそう言われても笑顔で話しているロイに周りの軍人達は苦笑い。
「香草・薬草系よりもリキュールに関しては果実系が私は好きですね。
甘みのある果実系よりも柑橘系のフレッシュさを感じる酸味があるものがいいです」
「…次までに仕入れておくから。
君、度数か低いと炭酸とかじゃなくて高いお酒で割るからな」
「美味しく頂くだけですよ」
((…恐ろしいことをするな))
度数の高いリキュールにしろとおねだりしているのだろう。
「度数の高いリキュールを飲んで通常通りなんですか」
「マスタング大将。
どんだけ酒強いんですか」
「一回り以上年上の上層部を佐官クラスの時に酔い潰した伝説があるくらいだからな」
「ヒューズ!」
「ほかにもコイツの伝説あるぞ」
「…伝説言うなよ」
その後に嫌がらせや嫌味が増えたのは言うまではない。
(昇進よりも小隊だよな。
面倒見が特別良いとは言えないが、ハボックやブレダとかを見ていると。
面倒見は良いんだよな。
かと言って無理強いはさせれない)
何度も説得しているが、それで言い争いにもなった。
結局は中尉にも甘いロイが折れてしまうのだが。
「…ロイ。
日時が決まった」
「日時?」
「これを…」
大総統から手渡された書類に一瞬だけ目を見開く。
「イシュヴァールの長と話し合いが行われる。
今回も同じだと思うが。
君はどうしたい?」
「え…?」
聞かれるとは思っていなかったロイは瞬きして見つめる。
大総統に気遣うように頭を撫でられ、ロイは黙って見つめた。
「同席するのも、私の帰りを待つのも君の自由だ」
「それは…っ」
「私個人としては君の負担を考えると待っていて欲しいとは思う。
だが、それは私の個人的な意見だ。
同席しないのは逃げることではない。
君はそう思わないのだろうけれど」
「……っ…」
「それが弱さとは思わないし。
反感されるのも理解してる。
あの若さであのような場に投入され、君が一番酷なことが起きたのだろう。
上官の命令から逃れられず」
「それは…っ、それでも。
私が奪った命は…!」
「ロイ。
私も君を守りたいんだよ」
「私だけ安全な場で守られていると言うんですか!」
「現役の大総統と次期大総統を危険に晒す訳にはいかない。
私に万が一があれば、分かるだろう」
「大総統…っ」
「無茶はせんよ。
安全とは言えんが」
「そんなの、ずるい…です」
「わかっている。
ずるい言い方なのは」
(それでも命じることはない。
大総統の命令はしない)
ロイは涙目で大総統の軍服を掴み、頭を預けた。
「…絶対に生きて戻って来てくださいますか?」
「約束しよう」
「今回は貴方の意見に従います。
時間が掛かるようなら、我々は突入します」
「分かっている。
ありがとう」
渋々ながらもロイは以前に自分の精神面も体調も崩したので足枷になるだけだと判断した。
「今回は大総統お1人ですか」
「彼は私の留守を託す。
お気持ちは理解しますが、必要以上に彼を傷つけないで頂きたい。
我々は戦いに来たのではない」
ロイは目を反らさずにイシュヴァールの長を見つめ、ロイを庇うように中尉が一歩踏み出す。
大丈夫だとロイが手で制すると渋々ながら中尉が元の場所に戻る。
「…部下が失礼致しました」
「以前よりは良い目だ。
君の顔が苦痛に歪めば、大総統を含めてどれくらいの者が動くのだろうな」
大総統も顔が歪んだが、ロイは大総統に大丈夫だと目で合図する。
「「長っ!」」
流石にやり過ぎだと咎められ、渋々ながらも謝罪された。
「顔を殴られても動じないのだな」
「想定内です。
それで楽になるのならば、いくらでもどうぞ。
私を殴っても何も変わらない」
ロイの口の端から血が滲み、駆けつけて来た中尉にハンカチを渡される。
「イシュヴァールの長。
今の貴方は個人で動いているのでしょうか。
その行動は“長”として必要なことですか?」
「……っ…」
「さあ、行きましょう。
貴方の相手は私の“息子”ではない」
大総統にも諭され、イシュヴァールの長は去ってゆく。