第58話
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ロイはハンガーから外して中尉に衣服とアクセサリー類を手渡した。
「ここにヒールが入ってる。
ロッカールームで着替えて来い。
着替えたらロングコートを着て羽織って来るように」
「何故でしょうか」
「女に餓えて男には刺激的だからな。
セルシア、一緒に行け。
絡んで来そうなら吹き飛ばせ」
『承知しました!』
「マスタング大将は着替えないんですか?」
「…一緒に着替えられる訳ないからな」
「し、失礼しました!
すぐに着替えて来ます!」
相変わらずだなとロイは微かに笑って見送る。
補佐官達に選ばれなかった衣服は片付けてもらった。
「お待たせしました」
「ん…、絡まれなかったか?」
「そうなる前に吹き飛ばしてました」
「私が戻って来るまで脱ぐなよ」
「承知しました」
セルシアの隣に座りながら中尉は気まずく感じながらも表情には出していない。
「悪い、待たせたな」
『イイっ!
最高過ぎます』
「そりゃ、どうも」
『ペアルックなんて聞いてない!』
「革ジャンだけだ。
デザインは違うだろう」
『真ん中の分け目もいい!』
「君は褒めるか、不満なのか。
どっちなんだよ」
『中尉!
独占欲のある彼女ね!
ほかの女を近づかせてたまるか!』
「は、はい?」
「…潜入捜査の意味」
『近づかなくても証拠掴めるでしょう?』
「へいへい」
セルシアの暴走は慣れているので将軍達も黙っている。
ロイは前髪を真ん中分けにし、薄青のサングラスを掛けて中はタートルネックの白と黒の革ジャンを着て前開けで下は細身のデニムに白のスニーカーを履いていた。
中尉は胸元に十字架のネックレスと赤のピアスを着けて白のキャミソールで上は革ジャンを着ていて、下は革のミニスカートで赤の高いヒールを履いている。
「髪は下ろすだけにするか。
目元をもっとメイクして。
口紅は濃い色にするか。
この赤よりも落ち着いた色に」
「…お任せします」
侵入捜査の時は中尉はヘアメイクはロイに任せているので慣れてる。
「マスタング大将。
ヘアメイクも出来るんですか?」
「大体は。
中尉、目閉じてて」
「…はい」
「上官でも任せられるのか」
「これが初めてではありませんから。
私はご存知の通り、必要最低限なのでそういうお店などに侵入捜査ならマスタング大将にお任せしております。
マスタング大将なら、決して変なことはしませんから」
((上官部下は勿論ながら、兄妹も通り越しているよな))
どうして恋人関係にならなかったのか疑問だが、互いにそれは言葉に出来ないものがある。
満足そうにロイは笑い、中尉のバレッタを外して髪を整える。
「よし、完璧だな」
「ありがとうございます」
「…化けたな。
中尉以上にマスタング大将が」
『マスタング大将。
メイクしてます?』
「ん…、少しだけな。
眉を細くて目元に少しだけ。
よく分かったな」
『貴方のことはよく見てますから』
「流石だ。
預かっててくれ」
セルシアに発火布を始めとした錬金術に関するものを外して渡す。
『全部外すんですか?』
「隠してもバレたら意味ないからな。
銃やクナイは隠し持ってる。
私が使うことはないとは思うけどね」
『錬成陣以外のネックレスも?』
「若者が宝石のネックレスをしていたら怪しまれるし、大総統からの贈り物というのも有名だからな」
『指輪も?』
「いや、ネックレスにしていく。
それならいいだろう?」
『はいっ!』
満面の笑みになったセルシアにロイは苦笑いする。
「気を付けて行っておいで。
薬物使用の証言もある」
「承知しました」
「ホークアイ中尉。
我が子を頼んだよ」
「はい、お任せください。
無傷で帰還させますので」
「よろしく頼んだよ」
「…行くぞ」
ロイは無言で大総統を睨み、呆れたようにため息をつく。
(若っ!
言ったら叱られるけど)
司令部の裏口から軍車に乗り込み、報告はされていたが、運転席に乗っていたハボックが驚いた。
「なんだ?」
「い、いえ…、何でもないっス」
服装や髪型だけで印象が随分と変わるものだなと実感した。
「わりとすんなり、でしたね」
「怪しまれると思ったが。
それだけ“客”がいるってことだろ。
君は飲んだフリにしろよ」
「言われなくても。
安全面は?」
「さっき確認した。
微量の薬物反応があった」
「ちょ…っ」
「安心しろ、交換した」
小声では話しながら薄暗い店内のソファに座りながら密着していた。
テーブルの下に隠し持っていた盗聴器を仕掛ける。
「あの奥が…、そうだな」
「あそこに行けるように仕向けますか?」
「利用する奴の襟にでも仕掛ければいいだろう。
証拠も確保したいからな。
首に手を回せ」
「えっ?」
「…怪しまれてる」
小声で指摘され、中尉はロイの首に手を回した。
膝に中尉を抱えて上着を脱ぐと中尉の膝に掛けた。
「…真っ黒だな」
「名簿も手に入りましたし、オーナーもいるようですから」
「では、暴れておいで」
「承知しました」
ロイは腕時計型の隠しカメラで名簿や店を撮影しながら足を組みながら見つめていた。
中尉が隠し持っていた銃で主犯格を確保しつつ、未成年の者達も動かないように圧を掛ける。
「あんたの彼女は何者なんだよ!」
「まだ“一般人”と思ってるのか。
変装などしてないんだが」
「あの女!
マスタングの副官だ!」
「正解よ。
逃がすとでも?」
「男の方がガラ空きだ!」
「副官が1人で来るとでも?
ロイ・マスタングだ」
走って来た男を足蹴りして倒し、ロイはサングラスを外して微笑んだ。
-END-
2024.3.10
「ここにヒールが入ってる。
ロッカールームで着替えて来い。
着替えたらロングコートを着て羽織って来るように」
「何故でしょうか」
「女に餓えて男には刺激的だからな。
セルシア、一緒に行け。
絡んで来そうなら吹き飛ばせ」
『承知しました!』
「マスタング大将は着替えないんですか?」
「…一緒に着替えられる訳ないからな」
「し、失礼しました!
すぐに着替えて来ます!」
相変わらずだなとロイは微かに笑って見送る。
補佐官達に選ばれなかった衣服は片付けてもらった。
「お待たせしました」
「ん…、絡まれなかったか?」
「そうなる前に吹き飛ばしてました」
「私が戻って来るまで脱ぐなよ」
「承知しました」
セルシアの隣に座りながら中尉は気まずく感じながらも表情には出していない。
「悪い、待たせたな」
『イイっ!
最高過ぎます』
「そりゃ、どうも」
『ペアルックなんて聞いてない!』
「革ジャンだけだ。
デザインは違うだろう」
『真ん中の分け目もいい!』
「君は褒めるか、不満なのか。
どっちなんだよ」
『中尉!
独占欲のある彼女ね!
ほかの女を近づかせてたまるか!』
「は、はい?」
「…潜入捜査の意味」
『近づかなくても証拠掴めるでしょう?』
「へいへい」
セルシアの暴走は慣れているので将軍達も黙っている。
ロイは前髪を真ん中分けにし、薄青のサングラスを掛けて中はタートルネックの白と黒の革ジャンを着て前開けで下は細身のデニムに白のスニーカーを履いていた。
中尉は胸元に十字架のネックレスと赤のピアスを着けて白のキャミソールで上は革ジャンを着ていて、下は革のミニスカートで赤の高いヒールを履いている。
「髪は下ろすだけにするか。
目元をもっとメイクして。
口紅は濃い色にするか。
この赤よりも落ち着いた色に」
「…お任せします」
侵入捜査の時は中尉はヘアメイクはロイに任せているので慣れてる。
「マスタング大将。
ヘアメイクも出来るんですか?」
「大体は。
中尉、目閉じてて」
「…はい」
「上官でも任せられるのか」
「これが初めてではありませんから。
私はご存知の通り、必要最低限なのでそういうお店などに侵入捜査ならマスタング大将にお任せしております。
マスタング大将なら、決して変なことはしませんから」
((上官部下は勿論ながら、兄妹も通り越しているよな))
どうして恋人関係にならなかったのか疑問だが、互いにそれは言葉に出来ないものがある。
満足そうにロイは笑い、中尉のバレッタを外して髪を整える。
「よし、完璧だな」
「ありがとうございます」
「…化けたな。
中尉以上にマスタング大将が」
『マスタング大将。
メイクしてます?』
「ん…、少しだけな。
眉を細くて目元に少しだけ。
よく分かったな」
『貴方のことはよく見てますから』
「流石だ。
預かっててくれ」
セルシアに発火布を始めとした錬金術に関するものを外して渡す。
『全部外すんですか?』
「隠してもバレたら意味ないからな。
銃やクナイは隠し持ってる。
私が使うことはないとは思うけどね」
『錬成陣以外のネックレスも?』
「若者が宝石のネックレスをしていたら怪しまれるし、大総統からの贈り物というのも有名だからな」
『指輪も?』
「いや、ネックレスにしていく。
それならいいだろう?」
『はいっ!』
満面の笑みになったセルシアにロイは苦笑いする。
「気を付けて行っておいで。
薬物使用の証言もある」
「承知しました」
「ホークアイ中尉。
我が子を頼んだよ」
「はい、お任せください。
無傷で帰還させますので」
「よろしく頼んだよ」
「…行くぞ」
ロイは無言で大総統を睨み、呆れたようにため息をつく。
(若っ!
言ったら叱られるけど)
司令部の裏口から軍車に乗り込み、報告はされていたが、運転席に乗っていたハボックが驚いた。
「なんだ?」
「い、いえ…、何でもないっス」
服装や髪型だけで印象が随分と変わるものだなと実感した。
「わりとすんなり、でしたね」
「怪しまれると思ったが。
それだけ“客”がいるってことだろ。
君は飲んだフリにしろよ」
「言われなくても。
安全面は?」
「さっき確認した。
微量の薬物反応があった」
「ちょ…っ」
「安心しろ、交換した」
小声では話しながら薄暗い店内のソファに座りながら密着していた。
テーブルの下に隠し持っていた盗聴器を仕掛ける。
「あの奥が…、そうだな」
「あそこに行けるように仕向けますか?」
「利用する奴の襟にでも仕掛ければいいだろう。
証拠も確保したいからな。
首に手を回せ」
「えっ?」
「…怪しまれてる」
小声で指摘され、中尉はロイの首に手を回した。
膝に中尉を抱えて上着を脱ぐと中尉の膝に掛けた。
「…真っ黒だな」
「名簿も手に入りましたし、オーナーもいるようですから」
「では、暴れておいで」
「承知しました」
ロイは腕時計型の隠しカメラで名簿や店を撮影しながら足を組みながら見つめていた。
中尉が隠し持っていた銃で主犯格を確保しつつ、未成年の者達も動かないように圧を掛ける。
「あんたの彼女は何者なんだよ!」
「まだ“一般人”と思ってるのか。
変装などしてないんだが」
「あの女!
マスタングの副官だ!」
「正解よ。
逃がすとでも?」
「男の方がガラ空きだ!」
「副官が1人で来るとでも?
ロイ・マスタングだ」
走って来た男を足蹴りして倒し、ロイはサングラスを外して微笑んだ。
-END-
2024.3.10