第58話
夢小説設定
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自分達が中尉に花や身に着けるものを贈ったら恋愛感情でなくても、過保護なロイが怒るのが安易に想像がついた。
(中尉に恋人が出来ないのは多忙以前の問題だよな)
(マスタング大将以上に容姿も実力も稼ぎがある人なんて居ないだろうし)
勝ち目がない勝負に誰が挑むのだろうかと苦笑いする。
実際にはそう見えているだけかもしれないが。
「中尉、マスタング大将から花は貰わなかったんですか?」
「貰ったわよ」
「今年も薔薇ですか。
中尉にも贈るなんてマメですよね」
「こういうのをスマートに出来る人がモテるのよ、ハボック少尉」
「…耳が痛いです」
撃沈したハボックに中尉はからかいながらもクスクスと笑う。
「赤の薔薇じゃないんですね」
「薔薇は色や本数にも意味がありますからね」
「そうらしいわね。
前にマスタング大将が教えてくれたわ」
レベッカ曰く“それを女性で知らないリザの方が変わっている”と呆れられたのだが。
「赤は一般的に愛情で有名ですが。
オレンジ色とは粋ですね」
「ファルマン、意味は?」
「無邪気、魅惑、絆、信頼。
マスタング大将のことですから“信頼”でしょうね」
改めてそう言われると中尉も気恥ずかしくなってしまう。
「それに、優しさを案じますね」
「アームストロング少佐。
いつの間に!」
「中尉や彼等が事件以外で遅くまで残っているようなら声を掛けるようにとマスタング大将に頼まれまして」
「優しさって?」
「薔薇の棘、ないのでは?
貴女が怪我しないように依頼したのだと思いますよ。
これは私から皆さんにバレンタインデーの細やかなプレゼントです」
((これのどこが細やかなんだ!))
某有名な貴族御用達とも言われている有名ブランドのチョコレートだった。
「中尉にはお酒不使用なのでご安心ください」
「ありがとうございます。
私、何もご用意してなくて」
「お気にならさず。
貴方方も気にしなくて結構です。
マスタング大将には何度感謝しても、足らない程の感謝がございます。
私は陰口を言われても仕方のない立場でそれを甘んじて受け入れております。
父も母も辞めても構わないと仰有ってくれるくらいに。
ですが、彼は陰口を言わないだけではなくて叱責してくれました。
態度を変えないでくれた。
ヒューズ中佐の元に推薦してくれたのも当時、中佐だったマスタング大将でした。
妬みも反対意見もあっただろうに、それを跳ね除けてほとんど面識もない私を助けてくれました」
「…マスタング大将らしいですね」
「長々と話してしまいました。
早めに切り上げて今日くらいはお帰りください」
アームストロング少佐の言葉に頷いて片付け、執務室から出た。
ハボック達のロッカーにもそれぞれ、ロイからワインの贈り物があった。
それぞれに向けた感謝のメッセージカードもあり、これからも頑張ろうと思えた。
「いつ入れたんだ。
そんな暇、あったか?」
「マジであの人だけは敵に回さないようにしよう」
「「…同感」」
絶対に敵うはずがないとハボック達は頷きながらも思う。
プレゼントを両手に抱えて帰って来たヒューズにグレイシアは苦笑いし、凄い凄いとエリシアがはしゃぐ。
「この箱は…?」
「あぁ、ロイから。
エリシアも食べれるようにとチョコレートを作ってくれたみたいだ」
「クマさんだぁ!」
「…お菓子職人みたいね」
「まぁ、ロイだからな」
(それで納得しちゃうくらいなのね)
チョコレートはエリシア用に可愛らしいテディベアの形をしていた。
「ただいま」
「お帰りなさい。
今日は早いのね」
「バレンタインデーくらいは。
1日遅れるけれど、ロイは明日来ると言ってた」
「わざわざ来てくれるのね」
「今日は休んで婚約者に色々と準備していたようだから」
「素敵なサプライズを用意してくれて幸せね」
実際にはロイは数日前から仕込んでいたのだけれど。
「おはようございます。
父様、息子に赤の薔薇の花束を贈る人がいますか!」
「いいではないか。
君はよく似合うよ」
「マスタング大将。
諦めも肝心では?」
司令部に出勤した途端にロイは大総統から“Happy Valentine’s”と真っ赤な花束を渡された。
意味も分からずにロイは受け取ってしまい、数秒後に理解して追いかけて来たようだ。
「それによって。
11本で“最愛”たなんて」
((わざわざ数えたのか))
「最愛は何も恋愛だけじゃないよ」
「それは…っ、そうかもしれませんが。
司令部の入口で手渡されて。
居た堪れなかったんですよ!?」
それは好奇な視線に晒されるなと補佐官達は同情する。
「ここで渡してくれたらよかったじゃないですか」
「そうしたら、君は拒絶するかと」
「人の好意のプレゼントを拒絶なんてしません。
まったく、やることが父様は極端なんですよ」
「すまないね。
素敵なバレンタインデーを過ごせたかい?」
「お陰様で。
私が用意した本数より多いじゃないですか」
「何本贈ったんだ?」
「…9本」
「いい言葉だ。
意味は“いつもあなたを想っています”と“いつも一緒にいてください”だったかな」
「分かって言わないでください」
ロイは花瓶に大総統から貰った薔薇の花束を飾る。
「執務室に飾るんですか」
「枯れると勿体ない」
「我が子はそういうとこは素直じゃなくて、それが愛しいんだよ」
「父様っ!」
からかわれて耳が赤くなっているロイに大総統は楽しそうに笑う。
(中尉に恋人が出来ないのは多忙以前の問題だよな)
(マスタング大将以上に容姿も実力も稼ぎがある人なんて居ないだろうし)
勝ち目がない勝負に誰が挑むのだろうかと苦笑いする。
実際にはそう見えているだけかもしれないが。
「中尉、マスタング大将から花は貰わなかったんですか?」
「貰ったわよ」
「今年も薔薇ですか。
中尉にも贈るなんてマメですよね」
「こういうのをスマートに出来る人がモテるのよ、ハボック少尉」
「…耳が痛いです」
撃沈したハボックに中尉はからかいながらもクスクスと笑う。
「赤の薔薇じゃないんですね」
「薔薇は色や本数にも意味がありますからね」
「そうらしいわね。
前にマスタング大将が教えてくれたわ」
レベッカ曰く“それを女性で知らないリザの方が変わっている”と呆れられたのだが。
「赤は一般的に愛情で有名ですが。
オレンジ色とは粋ですね」
「ファルマン、意味は?」
「無邪気、魅惑、絆、信頼。
マスタング大将のことですから“信頼”でしょうね」
改めてそう言われると中尉も気恥ずかしくなってしまう。
「それに、優しさを案じますね」
「アームストロング少佐。
いつの間に!」
「中尉や彼等が事件以外で遅くまで残っているようなら声を掛けるようにとマスタング大将に頼まれまして」
「優しさって?」
「薔薇の棘、ないのでは?
貴女が怪我しないように依頼したのだと思いますよ。
これは私から皆さんにバレンタインデーの細やかなプレゼントです」
((これのどこが細やかなんだ!))
某有名な貴族御用達とも言われている有名ブランドのチョコレートだった。
「中尉にはお酒不使用なのでご安心ください」
「ありがとうございます。
私、何もご用意してなくて」
「お気にならさず。
貴方方も気にしなくて結構です。
マスタング大将には何度感謝しても、足らない程の感謝がございます。
私は陰口を言われても仕方のない立場でそれを甘んじて受け入れております。
父も母も辞めても構わないと仰有ってくれるくらいに。
ですが、彼は陰口を言わないだけではなくて叱責してくれました。
態度を変えないでくれた。
ヒューズ中佐の元に推薦してくれたのも当時、中佐だったマスタング大将でした。
妬みも反対意見もあっただろうに、それを跳ね除けてほとんど面識もない私を助けてくれました」
「…マスタング大将らしいですね」
「長々と話してしまいました。
早めに切り上げて今日くらいはお帰りください」
アームストロング少佐の言葉に頷いて片付け、執務室から出た。
ハボック達のロッカーにもそれぞれ、ロイからワインの贈り物があった。
それぞれに向けた感謝のメッセージカードもあり、これからも頑張ろうと思えた。
「いつ入れたんだ。
そんな暇、あったか?」
「マジであの人だけは敵に回さないようにしよう」
「「…同感」」
絶対に敵うはずがないとハボック達は頷きながらも思う。
プレゼントを両手に抱えて帰って来たヒューズにグレイシアは苦笑いし、凄い凄いとエリシアがはしゃぐ。
「この箱は…?」
「あぁ、ロイから。
エリシアも食べれるようにとチョコレートを作ってくれたみたいだ」
「クマさんだぁ!」
「…お菓子職人みたいね」
「まぁ、ロイだからな」
(それで納得しちゃうくらいなのね)
チョコレートはエリシア用に可愛らしいテディベアの形をしていた。
「ただいま」
「お帰りなさい。
今日は早いのね」
「バレンタインデーくらいは。
1日遅れるけれど、ロイは明日来ると言ってた」
「わざわざ来てくれるのね」
「今日は休んで婚約者に色々と準備していたようだから」
「素敵なサプライズを用意してくれて幸せね」
実際にはロイは数日前から仕込んでいたのだけれど。
「おはようございます。
父様、息子に赤の薔薇の花束を贈る人がいますか!」
「いいではないか。
君はよく似合うよ」
「マスタング大将。
諦めも肝心では?」
司令部に出勤した途端にロイは大総統から“Happy Valentine’s”と真っ赤な花束を渡された。
意味も分からずにロイは受け取ってしまい、数秒後に理解して追いかけて来たようだ。
「それによって。
11本で“最愛”たなんて」
((わざわざ数えたのか))
「最愛は何も恋愛だけじゃないよ」
「それは…っ、そうかもしれませんが。
司令部の入口で手渡されて。
居た堪れなかったんですよ!?」
それは好奇な視線に晒されるなと補佐官達は同情する。
「ここで渡してくれたらよかったじゃないですか」
「そうしたら、君は拒絶するかと」
「人の好意のプレゼントを拒絶なんてしません。
まったく、やることが父様は極端なんですよ」
「すまないね。
素敵なバレンタインデーを過ごせたかい?」
「お陰様で。
私が用意した本数より多いじゃないですか」
「何本贈ったんだ?」
「…9本」
「いい言葉だ。
意味は“いつもあなたを想っています”と“いつも一緒にいてください”だったかな」
「分かって言わないでください」
ロイは花瓶に大総統から貰った薔薇の花束を飾る。
「執務室に飾るんですか」
「枯れると勿体ない」
「我が子はそういうとこは素直じゃなくて、それが愛しいんだよ」
「父様っ!」
からかわれて耳が赤くなっているロイに大総統は楽しそうに笑う。