第58話
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屋台の店主に代金を支払ってロイはふわりと微笑んだ。
「毎年ひとつ買ってあげよう。
今すぐに背伸びすることはない」
『宝物、また増えます』
「ふはっ!」
『大人になりきれなくても』
「童顔同士でいいじゃないか」
「マスタング大将も未だに未成年に間違いられそうですもんね」
「おまえは一言どころか、二言以上も多いんだよ」
ハボックがロイに足蹴りされてブレダはため息をつく。
『香水やコスメまで売っているんですね』
「あぁ、花を使ったものだけだが。
ほかにも入浴剤もあったはず」
「全部把握してるんですか?」
「大総統にリストを見せてもらった」
「食べ物も花なんですか?」
「…そんな訳あるか。
花の形をしたデザートとかはあるが、普通にキチンとか売ってるぞ」
「そちらに行きましょう!」
「ハボック少尉、仕事中ですよ」
「ダメなんっスか!
給料日前なんですよ」
「おまえが給料出たらすぐに使いすぎるんだろ」
「マスタング大将」
「ひっつくなよ。
分かったから引っ張るな」
ハボックに引っ張られて行くロイにセルシアも腕に抱きついてひっついていた。
中尉とブレダは苦笑いしながらもついて行く。
『お花の形をしてるアップルパイだぁ!』
「キチン!
うまそうっスよ!」
「…君達は祭りに来た子供か」
はしゃいでいる2人にロイは呆れたようにため息をつき、中尉に叱られたのは言うまでもない。
「はい、どうぞ。
ホットドリンクです。
甘さ控えめにして貰いました」
「ん…、ありがとう。
元気だな」
ロイが中尉に財布を預けて何点か屋台で買い物して財布を返した。
その間にブレダがロイの傍に待機していたが。
「君も買ったかい?」
「はい、頂いています」
「…そうか」
中尉の持っているデザートにロイは微かに笑い、その視線に気づいた中尉が頬を赤らめた。
「お祭りになると。
それ、食べていたな。
今も好みなのか」
「お祭りにここ数年は来れてなかったのですが、懐かしくて」
「そうか。
思い出になったか?」
「…お陰様で」
自分が行けば、セルシアは勿論ながら中尉達がついて来ると思って来たのだろう。
自分を支えてくれる者達に休息をと思い、それは大総統も部下達も気づきながらも言葉にしなかった。
ロイも気づいていると理解しながらも言葉にはしない。
「それにしても。
あいつらは元気だな」
「そうですね」
「元気というか、子供なだけですよ」
「ははっ!
そうかもな」
ハボックとセルシアは言い合いながらロイに奢ってもらった食べ物を口にしていた。
ブレダの視線にロイは腰掛けながら首を傾げる。
「なんだ?」
「妬かないのかなと」
「仮に妬いてたとしたら、強引にでもセルシアを大総統府に異動させてるさ」
「ははっ!
そりゃ、そうですよね」
「楽しそうでいいじゃないか。
まるで大型犬と子犬がじゃれ合っているようだな」
「ぶはっ!」
ロイの言葉にブレダは勿論だが、中尉まで吹き出していた。
「急に変なことを仰有らないでくださいよ」
「素直にそう思ったんだがな」
それを聞いていた国民も吹き出し、咳き込む者達が多数いた。
「もっと天気がよかったら良かったのにな」
「曇りや雨じゃないだけいいですよ。
風もそこまで酷くないですから」
「せっかく植えたのに散ったら残念だからな。
おまえも行ったんだっけ?」
「少尉以下は行かされましたよ。
こういうイベントではありがちな雑用ですよ」
「そうなのか?」
「…これだからエリートは」
始まりが中佐なので当然ながらロイはこういう雑用はしたことがない。
嫌がらせで以前にこういう雑用を任せられそうになったが、ロイの人脈と容姿で主に女性達から軍に対して苦情が入ったのだ。
それを理解した上でロイは“上官に頼まれた”と話したのだが。
数時間でロイは嫌味を言われながらも司令部に戻され、以降はそういう雑用の嫌がらせはなくなった。
「マスタング大将は青空だと居眠りしちゃいますからね」
「私は動物か?」
「黒猫でしょうか」
「ふはっ!
君は私を“軍の狗”とは言わないね」
「貴方に対しては言わないですし、思ったことはありませんよ。
たとえ、イシュヴァール戦の経験者だろうと」
「…そうか」
ロイは微かに笑みを浮かべると中尉の肩に顔を埋めた。
「眠らないでくださいね」
「…わかってる」
完全とは言えずとも平和になったんだなと実感しながらも中尉の優しさにロイは甘えた。
「いくらでも頼って甘えてください。
いつだって貴方は独りじゃないんですから」
「ありがとう。
それ以上はやめてくれ」
「何故です?」
「…泣きそうになる」
「ふふっ、そうですか。
意外とそういうの弱いですよね」
「うるさい」
微かに笑みを浮かべながら中尉は空を眺め、ロイを見ないようにしていた。
ブレダは背を向けて立っていて、こちらも見ないようにしている。
「よし、戻るか。
2人はどこまで行ってるんだ」
「…回収して来ます」
ブレダが探しに行き、ロイと中尉はベンチに腰掛けて座っていた。
「ロイお兄ちゃん!」
「エリシアちゃんも来てたのか」
「こんにちは。
マスタングさん」
「グレイシアさん、こんにちは」
「パパに取ってもらったの!」
「テディベアか。
ヒューズ、射的は出来たのか」
「おまえさん。
俺を何だと思ってんだよ」
「パパ、いっぱい外してたの」
「ぶはっ!」
「エリシアちゃん。
それは言わない約束だろう?」
「しーっ!だね」
((もう言ったけどな))
エリシアに抱っこをおねだりされてロイは抱えていた。
「毎年ひとつ買ってあげよう。
今すぐに背伸びすることはない」
『宝物、また増えます』
「ふはっ!」
『大人になりきれなくても』
「童顔同士でいいじゃないか」
「マスタング大将も未だに未成年に間違いられそうですもんね」
「おまえは一言どころか、二言以上も多いんだよ」
ハボックがロイに足蹴りされてブレダはため息をつく。
『香水やコスメまで売っているんですね』
「あぁ、花を使ったものだけだが。
ほかにも入浴剤もあったはず」
「全部把握してるんですか?」
「大総統にリストを見せてもらった」
「食べ物も花なんですか?」
「…そんな訳あるか。
花の形をしたデザートとかはあるが、普通にキチンとか売ってるぞ」
「そちらに行きましょう!」
「ハボック少尉、仕事中ですよ」
「ダメなんっスか!
給料日前なんですよ」
「おまえが給料出たらすぐに使いすぎるんだろ」
「マスタング大将」
「ひっつくなよ。
分かったから引っ張るな」
ハボックに引っ張られて行くロイにセルシアも腕に抱きついてひっついていた。
中尉とブレダは苦笑いしながらもついて行く。
『お花の形をしてるアップルパイだぁ!』
「キチン!
うまそうっスよ!」
「…君達は祭りに来た子供か」
はしゃいでいる2人にロイは呆れたようにため息をつき、中尉に叱られたのは言うまでもない。
「はい、どうぞ。
ホットドリンクです。
甘さ控えめにして貰いました」
「ん…、ありがとう。
元気だな」
ロイが中尉に財布を預けて何点か屋台で買い物して財布を返した。
その間にブレダがロイの傍に待機していたが。
「君も買ったかい?」
「はい、頂いています」
「…そうか」
中尉の持っているデザートにロイは微かに笑い、その視線に気づいた中尉が頬を赤らめた。
「お祭りになると。
それ、食べていたな。
今も好みなのか」
「お祭りにここ数年は来れてなかったのですが、懐かしくて」
「そうか。
思い出になったか?」
「…お陰様で」
自分が行けば、セルシアは勿論ながら中尉達がついて来ると思って来たのだろう。
自分を支えてくれる者達に休息をと思い、それは大総統も部下達も気づきながらも言葉にしなかった。
ロイも気づいていると理解しながらも言葉にはしない。
「それにしても。
あいつらは元気だな」
「そうですね」
「元気というか、子供なだけですよ」
「ははっ!
そうかもな」
ハボックとセルシアは言い合いながらロイに奢ってもらった食べ物を口にしていた。
ブレダの視線にロイは腰掛けながら首を傾げる。
「なんだ?」
「妬かないのかなと」
「仮に妬いてたとしたら、強引にでもセルシアを大総統府に異動させてるさ」
「ははっ!
そりゃ、そうですよね」
「楽しそうでいいじゃないか。
まるで大型犬と子犬がじゃれ合っているようだな」
「ぶはっ!」
ロイの言葉にブレダは勿論だが、中尉まで吹き出していた。
「急に変なことを仰有らないでくださいよ」
「素直にそう思ったんだがな」
それを聞いていた国民も吹き出し、咳き込む者達が多数いた。
「もっと天気がよかったら良かったのにな」
「曇りや雨じゃないだけいいですよ。
風もそこまで酷くないですから」
「せっかく植えたのに散ったら残念だからな。
おまえも行ったんだっけ?」
「少尉以下は行かされましたよ。
こういうイベントではありがちな雑用ですよ」
「そうなのか?」
「…これだからエリートは」
始まりが中佐なので当然ながらロイはこういう雑用はしたことがない。
嫌がらせで以前にこういう雑用を任せられそうになったが、ロイの人脈と容姿で主に女性達から軍に対して苦情が入ったのだ。
それを理解した上でロイは“上官に頼まれた”と話したのだが。
数時間でロイは嫌味を言われながらも司令部に戻され、以降はそういう雑用の嫌がらせはなくなった。
「マスタング大将は青空だと居眠りしちゃいますからね」
「私は動物か?」
「黒猫でしょうか」
「ふはっ!
君は私を“軍の狗”とは言わないね」
「貴方に対しては言わないですし、思ったことはありませんよ。
たとえ、イシュヴァール戦の経験者だろうと」
「…そうか」
ロイは微かに笑みを浮かべると中尉の肩に顔を埋めた。
「眠らないでくださいね」
「…わかってる」
完全とは言えずとも平和になったんだなと実感しながらも中尉の優しさにロイは甘えた。
「いくらでも頼って甘えてください。
いつだって貴方は独りじゃないんですから」
「ありがとう。
それ以上はやめてくれ」
「何故です?」
「…泣きそうになる」
「ふふっ、そうですか。
意外とそういうの弱いですよね」
「うるさい」
微かに笑みを浮かべながら中尉は空を眺め、ロイを見ないようにしていた。
ブレダは背を向けて立っていて、こちらも見ないようにしている。
「よし、戻るか。
2人はどこまで行ってるんだ」
「…回収して来ます」
ブレダが探しに行き、ロイと中尉はベンチに腰掛けて座っていた。
「ロイお兄ちゃん!」
「エリシアちゃんも来てたのか」
「こんにちは。
マスタングさん」
「グレイシアさん、こんにちは」
「パパに取ってもらったの!」
「テディベアか。
ヒューズ、射的は出来たのか」
「おまえさん。
俺を何だと思ってんだよ」
「パパ、いっぱい外してたの」
「ぶはっ!」
「エリシアちゃん。
それは言わない約束だろう?」
「しーっ!だね」
((もう言ったけどな))
エリシアに抱っこをおねだりされてロイは抱えていた。