第58話
夢小説設定
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流石に疲れたなと大総統は万年筆を置き、監視の視線がなくなっていることに気づいた。
「…ロイ」
「休憩しますか?」
「監視はもういいのかい?」
「珍しく真面目にしてくれてますし。
逃走する気配はないですから」
((…珍しく。
いや、事実だけど))
当然ながら自分達に言えない発言だなと
補佐官達は苦笑いする。
大総統は気にしてないようで楽しそうに笑っていた。
「こちらも宜しければ」
「美味しそうだね。
アップルタルトかい?」
「はい、林檎を頂いたので。
カスタードではなくて、アーモンドクリームを使用してみました」
「香ばしくて美味しいな」
「それは良かったです」
まるで喫茶店のようだと思いながらも補佐官達は言葉には出さない。
たまに余裕があると、家から作って冷蔵庫で保管していたりする。
「ロイ。
君は食べないのかい?」
「セルシアが作ってくれたデザートがありますから」
「別々に作っているのか?」
「作る時間も違いますし、基本的には別々ですよ。
休みの日に一緒に作ることもありますけど」
ロイは紅茶を飲みながら図書館から借りた本を読んでいた。
「もうすぐ休憩時間だろう。
ロイ、先に昼休憩しておいで」
「ですが…」
「逃亡はしないよ。
君が戻って来るまでには少しは終わらせておくよ」
「分かりました。
ありがとうございます」
半信半疑でロイは補佐官に目で合図し、執務室から出た。
「コレに関しては信じないな」
「…自業自得かと」
補佐官はため息をつき、書類を手にして確認する。
「…セルシア」
『マスタング大将!
どうしたんですか?』
「早めの休憩を頂いただけ。
たまには迎えに来ようかと」
嬉しそうに駆け寄って抱きつかれ、ロイは苦笑いしながら抱き止める。
「マスタング大将。
特に大きな事件もありませんし。
連れて行って構いませんよ」
「中尉、言い方…」
「失礼しました。
飼い主に抱きつくペットのようだったもので」
『酷くない?』
「さっさと行ってらっしゃい」
中尉にまでからかわれていて、ロイは苦笑いしながらセルシアを連れて行くことにした。
『今日は天気が良いですね。
この前の雨が嘘みたい』
「気持ち良いな」
『久々でお外で食べれますね』
「そうだな」
『春になったら、休みの日にピクニックに行くのも良いですね』
「自然公園に行くのも良いな」
『楽しみです!』
セルシアは贅沢をするよりも日常的なデートを好んでいる。
ロイがプランしてくれるオシャレなデートも嬉しいが、緊張が高まってしまうようだ。
それもあってロイもどちらのデートもプランを考えてくれていたりする。
お弁当はそこまで凝ったものは作ってないが、事件で呼び出されることも考えて野菜を多めにしながらも卵料理やカリカリのベーコン、サンドイッチなど手軽に食べれるものにしている。
「うま…っ」
『意外とこういうのも好きですよね』
「そうかもな。
好き嫌いはないが」
『はい、あ〜ん?』
「んっ…別にいいんだが。
自分の嫌いなもの、食べさせてないか?」
『バレました?』
「入れなければいいのに」
『色合いが…っ』
「ふはっ!」
嫌いな野菜をロイに食べさせて消費しているセルシアに苦笑いする。
『以前よりは食べれるようになったんですよ。
茹でただけなのは』
「私は子育てしている訳ではないんだが」
野菜が苦手だったセルシアの為にロイが工夫して食べさせていた時期もあった。
それを知ったハボック達には“子育て”とからかわれていた。
「無理に食べる必要はないが。
女性は貧血もあるし。
食べれることに越したことはない」
『どうせ、子供だもん』
「誰もそんなこと言ってないだろう」
『むぅ…』
「拗ねるなって」
苦笑いしてロイに肩を抱き寄せ、セルシアは胸に顔を埋めた。
『どんなに頑張っても追いつけないんだもん。
年齢とか経験値もだけど。
自分でも子供っぽいと思ってる。
泣き虫だし、すぐに吹き飛ばしちゃうし!
すぐに頼っちゃうから』
「それも魅力だよ。
まぁ、吹き飛ばすのは被害拡大にならない程度にして欲しいが。
涙脆いとこも喜怒哀楽も好きだよ。
頼られるのも嬉しい。
私は人を頼るのは、信頼とかじゃなくて苦手だから」
『…呆れない?』
「呆れて笑うこともある」
『ひどい』
「それも含めて君の魅力だよ」
顔を上げると唇にキスし、ロイは苦笑いしてしまう。
『なに?』
「カリカリのベーコン味。
ふは…っ!」
『確かに。
味が、そうですね』
「比較しないようにするのは難しい。
自分のないものは羨ましくなる」
『ロイさんも?』
「あるよ。
見た目も中身も。
素直な性格も、受け入れることの出来る器も。
でも、今更変えることなんて出来ないからな」
セルシアの頭を優しく撫でて額にキスをする。
「年齢的にも考えることも沢山あるし、経験は無駄にはならないよ。
君が辛い時や悲しい時、いつだって一番に頼って欲しいと思ってる。
それは偽りない俺の気持ちだよ」
ロイに手を握られてセルシアは見つめて小さく頷いた。
「…ロイ」
「休憩しますか?」
「監視はもういいのかい?」
「珍しく真面目にしてくれてますし。
逃走する気配はないですから」
((…珍しく。
いや、事実だけど))
当然ながら自分達に言えない発言だなと
補佐官達は苦笑いする。
大総統は気にしてないようで楽しそうに笑っていた。
「こちらも宜しければ」
「美味しそうだね。
アップルタルトかい?」
「はい、林檎を頂いたので。
カスタードではなくて、アーモンドクリームを使用してみました」
「香ばしくて美味しいな」
「それは良かったです」
まるで喫茶店のようだと思いながらも補佐官達は言葉には出さない。
たまに余裕があると、家から作って冷蔵庫で保管していたりする。
「ロイ。
君は食べないのかい?」
「セルシアが作ってくれたデザートがありますから」
「別々に作っているのか?」
「作る時間も違いますし、基本的には別々ですよ。
休みの日に一緒に作ることもありますけど」
ロイは紅茶を飲みながら図書館から借りた本を読んでいた。
「もうすぐ休憩時間だろう。
ロイ、先に昼休憩しておいで」
「ですが…」
「逃亡はしないよ。
君が戻って来るまでには少しは終わらせておくよ」
「分かりました。
ありがとうございます」
半信半疑でロイは補佐官に目で合図し、執務室から出た。
「コレに関しては信じないな」
「…自業自得かと」
補佐官はため息をつき、書類を手にして確認する。
「…セルシア」
『マスタング大将!
どうしたんですか?』
「早めの休憩を頂いただけ。
たまには迎えに来ようかと」
嬉しそうに駆け寄って抱きつかれ、ロイは苦笑いしながら抱き止める。
「マスタング大将。
特に大きな事件もありませんし。
連れて行って構いませんよ」
「中尉、言い方…」
「失礼しました。
飼い主に抱きつくペットのようだったもので」
『酷くない?』
「さっさと行ってらっしゃい」
中尉にまでからかわれていて、ロイは苦笑いしながらセルシアを連れて行くことにした。
『今日は天気が良いですね。
この前の雨が嘘みたい』
「気持ち良いな」
『久々でお外で食べれますね』
「そうだな」
『春になったら、休みの日にピクニックに行くのも良いですね』
「自然公園に行くのも良いな」
『楽しみです!』
セルシアは贅沢をするよりも日常的なデートを好んでいる。
ロイがプランしてくれるオシャレなデートも嬉しいが、緊張が高まってしまうようだ。
それもあってロイもどちらのデートもプランを考えてくれていたりする。
お弁当はそこまで凝ったものは作ってないが、事件で呼び出されることも考えて野菜を多めにしながらも卵料理やカリカリのベーコン、サンドイッチなど手軽に食べれるものにしている。
「うま…っ」
『意外とこういうのも好きですよね』
「そうかもな。
好き嫌いはないが」
『はい、あ〜ん?』
「んっ…別にいいんだが。
自分の嫌いなもの、食べさせてないか?」
『バレました?』
「入れなければいいのに」
『色合いが…っ』
「ふはっ!」
嫌いな野菜をロイに食べさせて消費しているセルシアに苦笑いする。
『以前よりは食べれるようになったんですよ。
茹でただけなのは』
「私は子育てしている訳ではないんだが」
野菜が苦手だったセルシアの為にロイが工夫して食べさせていた時期もあった。
それを知ったハボック達には“子育て”とからかわれていた。
「無理に食べる必要はないが。
女性は貧血もあるし。
食べれることに越したことはない」
『どうせ、子供だもん』
「誰もそんなこと言ってないだろう」
『むぅ…』
「拗ねるなって」
苦笑いしてロイに肩を抱き寄せ、セルシアは胸に顔を埋めた。
『どんなに頑張っても追いつけないんだもん。
年齢とか経験値もだけど。
自分でも子供っぽいと思ってる。
泣き虫だし、すぐに吹き飛ばしちゃうし!
すぐに頼っちゃうから』
「それも魅力だよ。
まぁ、吹き飛ばすのは被害拡大にならない程度にして欲しいが。
涙脆いとこも喜怒哀楽も好きだよ。
頼られるのも嬉しい。
私は人を頼るのは、信頼とかじゃなくて苦手だから」
『…呆れない?』
「呆れて笑うこともある」
『ひどい』
「それも含めて君の魅力だよ」
顔を上げると唇にキスし、ロイは苦笑いしてしまう。
『なに?』
「カリカリのベーコン味。
ふは…っ!」
『確かに。
味が、そうですね』
「比較しないようにするのは難しい。
自分のないものは羨ましくなる」
『ロイさんも?』
「あるよ。
見た目も中身も。
素直な性格も、受け入れることの出来る器も。
でも、今更変えることなんて出来ないからな」
セルシアの頭を優しく撫でて額にキスをする。
「年齢的にも考えることも沢山あるし、経験は無駄にはならないよ。
君が辛い時や悲しい時、いつだって一番に頼って欲しいと思ってる。
それは偽りない俺の気持ちだよ」
ロイに手を握られてセルシアは見つめて小さく頷いた。