第58話
夢小説設定
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ヒューズもそれはロイに言わないつもりなんだろうなと理解した上で大総統は話している。
「…ヒューズ中佐のは想定内だったかい?」
「想定内、までは」
((結局は仕分けるのか))
することがなくて時間を持て余していたロイは大総統の書類を仕分けてる。
「ロイ、この書類は期限が先ではなかったか?」
「大総統はまた溜めますから。
今からして頂こうかと。
私にここまでさせたのですから、きちんとしてくださいね」
((…さぼれなくなったな))
無言で万年筆を手にした大総統に補佐官達は苦笑いする。
結局は自分達が色々と言うよりもロイが言った方が効果的なのだ。
「失礼します。
マース・ヒューズです。
次の軍議の資料を」
「こちらに。
今は大総統は手が離せないから」
(…まだ監視されてたのか)
苦笑いしながらもヒューズはロイに書類を手にする。
「ロイ。
そこまで見てなくても。
ちゃんとするから」
「そう言ってさぼった上に逃走したのはどこの誰ですか。
1人で商店街まで行ったのは」
「君が追い掛けて来てくれるからね」
「お陰様で暇を持て余しているので、昼休憩までは時間があります。
どうぞ、続けてください」
「目の前に座るのか」
「逃走回避です。
無断で逃走したら街中に“行方不明者”として張り紙しますよ」
「…それは勘弁してくれ」
「手止まってます」
ロイは自分の椅子を大総統の机の目の前に移動させて座る。
「マジで大総統、何したの?」
「5回逃走しました。
最終的にブチギレたマスタング大将が大総統の襟を掴んで連れて来ました」
「あっちゃ〜。
そりゃ、キレるわな」
「ちなみに5回目の逃走は軍議前でした」
(将軍達も引いていただろうな)
ロイの反応に楽しんで遊んでいる面もあるんだろうなとヒューズは思う。
「…次の軍議のお題も時間が掛かりそうですね」
「まぁ、時期的に重なるものもあるからな。
復帰したばかりなのにすまないな」
「ん…?」
「リーゼル准将程ではなくても。
君も復帰したばかりだろう」
「私は入院していた訳では…」
「本来は入院レベルだからな。
毎日点滴しに来てもらって」
「…そうでしょうね。
私は別にいいんですよ。
コレくらい、多忙に入らない」
大総統は呆れたようにため息をつき、ロイの頬を撫でた。
「今回のことで痛感したよ。
君の“大丈夫です”は信頼してはならんとね。
頼るのも甘えるのも苦手なのは分かるが、過去と比較せずに自分を大切にしなさい」
「それは…っ」
「責めてる訳じゃない。
君に頼りすぎて甘えていた。
やれば出来てしまうから。
君だけに負担がいってしまうのは理不尽だろう」
「出来る者がすればいいだけでは?」
「…長年の嫌がらせの後遺症だな」
ため息をつく大総統にロイは不思議そうに首を傾げた。
大総統に手招きされて不思議に思いながらも近づく。
「そういうことを続けていたら、いずれは身体を壊す。
今すぐに頼って甘えろとは言わない。
それでも僅かな人で良い。
疲れたと言える人を作りなさい」
「疲れた…?」
「そうだ。
その僅かな人に選ばれたいが。
君は私よりも頼れる人がいるはずだ。
大総統がそうやって倒れたら大変だからな」
「……っ…」
気まずそうに目を反らすロイに大総統は苦笑いする。
「今すぐに理解が出来なくて良い。
君は嫌がらせも含めて中佐時代から多忙だったのだろう。
そして、賢い君は出来てしまう。
もう少しのんびりと仕事を出来るようにしてごらん?
期限もまだ先だし。
焦る必要はないんだ。
私を除けば、君が一番上だ。
そんな上の者が早々に仕上げてしまうと慌てさせてしまう。
君の昇格は早かったし、感覚を掴む暇もなかったのだろう」
「…私の昇格が早いのは貴方のせいですが」
「ははっ!
それはそうだな。
まだ時間はあるんだ。
ゆっくり考えて、ゆっくりとした足並みも覚えなさい。
早急に仕上げるのが悪いとは言わないよ」
今まで急かされて仕事をさせられていたんだろうなと大総統は苦笑いし、優しく頭を撫でる。
「ロイ。
ここには君を急かす者は居ない。
ゆっくりしていいんだよ。
仕事中でも、肩の力を抜いて。
そうじゃないと疲れるだろう?
君の邪魔をする者は私が排除しよう」
((本当に排除しそうで怖いな))
見つめるロイに微笑んで大総統は優しく頬を撫でた。
「今すぐに答えを見つけ出す必要はないさ。
ゆっくりと考えれば、いずれは見えて来るはずだ。
考えすぎなくていい」
「…分かりません」
「分からないのなら、それでもいい」
「えっ?」
「君は“分からない”という答えさえもグラマン将軍以外には奪われてた。
違うかね?」
「……っ…」
「分からないとグラマン将軍には?」
「何度か。
数えるだけ、ですけど」
「嫌な顔はしたかい?」
「…君にもわからないことがあったかと嬉しそうに笑ってました」
「教えてはくれたか?」
「次会うまで自分で考えるようにと。
その答え合わせ、してくれて」
「分かるまで教えてくれた?」
「…はい」
「それでいいんだよ。
君は勉学でも苦労してなかっただろうからな」
くしゃっと大総統に頭を撫でられ、ロイは不思議そうに見つめる。
「私も君に教えるのは楽しいよ。
すぐに覚えてしまうけれど。
君にはまだ覚えてもらわないことがあるからね」
「…はい」
「焦る必要はない。
大丈夫だよ、ロイ」
嬉しそうに微笑んで大総統はロイの頬を撫でた。
「…嬉しそうなのは何故ですか」
「いろんな君が見れるのは嬉しいものだ。
さあ、仕事しようか。
君に嫌われないうちに」
「そうしてくださると助かります」
ロイは監視しながらも大総統の言葉を考えているようだった。
グラマン中将にも“焦るな”と言われていて、コレだったのかと思った。
「…ヒューズ中佐のは想定内だったかい?」
「想定内、までは」
((結局は仕分けるのか))
することがなくて時間を持て余していたロイは大総統の書類を仕分けてる。
「ロイ、この書類は期限が先ではなかったか?」
「大総統はまた溜めますから。
今からして頂こうかと。
私にここまでさせたのですから、きちんとしてくださいね」
((…さぼれなくなったな))
無言で万年筆を手にした大総統に補佐官達は苦笑いする。
結局は自分達が色々と言うよりもロイが言った方が効果的なのだ。
「失礼します。
マース・ヒューズです。
次の軍議の資料を」
「こちらに。
今は大総統は手が離せないから」
(…まだ監視されてたのか)
苦笑いしながらもヒューズはロイに書類を手にする。
「ロイ。
そこまで見てなくても。
ちゃんとするから」
「そう言ってさぼった上に逃走したのはどこの誰ですか。
1人で商店街まで行ったのは」
「君が追い掛けて来てくれるからね」
「お陰様で暇を持て余しているので、昼休憩までは時間があります。
どうぞ、続けてください」
「目の前に座るのか」
「逃走回避です。
無断で逃走したら街中に“行方不明者”として張り紙しますよ」
「…それは勘弁してくれ」
「手止まってます」
ロイは自分の椅子を大総統の机の目の前に移動させて座る。
「マジで大総統、何したの?」
「5回逃走しました。
最終的にブチギレたマスタング大将が大総統の襟を掴んで連れて来ました」
「あっちゃ〜。
そりゃ、キレるわな」
「ちなみに5回目の逃走は軍議前でした」
(将軍達も引いていただろうな)
ロイの反応に楽しんで遊んでいる面もあるんだろうなとヒューズは思う。
「…次の軍議のお題も時間が掛かりそうですね」
「まぁ、時期的に重なるものもあるからな。
復帰したばかりなのにすまないな」
「ん…?」
「リーゼル准将程ではなくても。
君も復帰したばかりだろう」
「私は入院していた訳では…」
「本来は入院レベルだからな。
毎日点滴しに来てもらって」
「…そうでしょうね。
私は別にいいんですよ。
コレくらい、多忙に入らない」
大総統は呆れたようにため息をつき、ロイの頬を撫でた。
「今回のことで痛感したよ。
君の“大丈夫です”は信頼してはならんとね。
頼るのも甘えるのも苦手なのは分かるが、過去と比較せずに自分を大切にしなさい」
「それは…っ」
「責めてる訳じゃない。
君に頼りすぎて甘えていた。
やれば出来てしまうから。
君だけに負担がいってしまうのは理不尽だろう」
「出来る者がすればいいだけでは?」
「…長年の嫌がらせの後遺症だな」
ため息をつく大総統にロイは不思議そうに首を傾げた。
大総統に手招きされて不思議に思いながらも近づく。
「そういうことを続けていたら、いずれは身体を壊す。
今すぐに頼って甘えろとは言わない。
それでも僅かな人で良い。
疲れたと言える人を作りなさい」
「疲れた…?」
「そうだ。
その僅かな人に選ばれたいが。
君は私よりも頼れる人がいるはずだ。
大総統がそうやって倒れたら大変だからな」
「……っ…」
気まずそうに目を反らすロイに大総統は苦笑いする。
「今すぐに理解が出来なくて良い。
君は嫌がらせも含めて中佐時代から多忙だったのだろう。
そして、賢い君は出来てしまう。
もう少しのんびりと仕事を出来るようにしてごらん?
期限もまだ先だし。
焦る必要はないんだ。
私を除けば、君が一番上だ。
そんな上の者が早々に仕上げてしまうと慌てさせてしまう。
君の昇格は早かったし、感覚を掴む暇もなかったのだろう」
「…私の昇格が早いのは貴方のせいですが」
「ははっ!
それはそうだな。
まだ時間はあるんだ。
ゆっくり考えて、ゆっくりとした足並みも覚えなさい。
早急に仕上げるのが悪いとは言わないよ」
今まで急かされて仕事をさせられていたんだろうなと大総統は苦笑いし、優しく頭を撫でる。
「ロイ。
ここには君を急かす者は居ない。
ゆっくりしていいんだよ。
仕事中でも、肩の力を抜いて。
そうじゃないと疲れるだろう?
君の邪魔をする者は私が排除しよう」
((本当に排除しそうで怖いな))
見つめるロイに微笑んで大総統は優しく頬を撫でた。
「今すぐに答えを見つけ出す必要はないさ。
ゆっくりと考えれば、いずれは見えて来るはずだ。
考えすぎなくていい」
「…分かりません」
「分からないのなら、それでもいい」
「えっ?」
「君は“分からない”という答えさえもグラマン将軍以外には奪われてた。
違うかね?」
「……っ…」
「分からないとグラマン将軍には?」
「何度か。
数えるだけ、ですけど」
「嫌な顔はしたかい?」
「…君にもわからないことがあったかと嬉しそうに笑ってました」
「教えてはくれたか?」
「次会うまで自分で考えるようにと。
その答え合わせ、してくれて」
「分かるまで教えてくれた?」
「…はい」
「それでいいんだよ。
君は勉学でも苦労してなかっただろうからな」
くしゃっと大総統に頭を撫でられ、ロイは不思議そうに見つめる。
「私も君に教えるのは楽しいよ。
すぐに覚えてしまうけれど。
君にはまだ覚えてもらわないことがあるからね」
「…はい」
「焦る必要はない。
大丈夫だよ、ロイ」
嬉しそうに微笑んで大総統はロイの頬を撫でた。
「…嬉しそうなのは何故ですか」
「いろんな君が見れるのは嬉しいものだ。
さあ、仕事しようか。
君に嫌われないうちに」
「そうしてくださると助かります」
ロイは監視しながらも大総統の言葉を考えているようだった。
グラマン中将にも“焦るな”と言われていて、コレだったのかと思った。