第55話
夢小説設定
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ロイに差し出された紙袋に中尉は受け取って瞬きする。
「テイクアウトして来た。
うまかったよ。
エルリック兄弟はおかわりをしていたくらいに。
ふふっ、若さだな」
「貴方もまだ若いじゃないですか」
「見た目?」
「そうじゃありませんよ。
ありがとうございます」
「どういたしまして」
ロイは中尉が運転する軍車に乗って司令部に戻る。
「…ロイ」
「無茶な提案なのは充分に理解しています」
「元・鋼の錬金術師か」
「こんなことを持って来るのはほかに居ませんよ」
「それを持って帰って来る君も大概だがな」
「大総統なら動かせるでしょう?」
「まったく、君は。
自分が就任する時に楽になるように動いてないか?」
「違うとは言いませんよ」
大総統は深いため息をつき、ロイが澄まし顔で笑う。
結局は折れるんだなと補佐官達は苦笑いする。
「コレでは使えない。
君が仕上げなさい」
「もう出来上がってます。
改善点も含めて」
「…完璧だ。
もう何も言うことはない」
「あとはお任せします。
仕事が出来る父様は素敵ですよ」
「詐欺に遇った気分だよ」
「失礼ですねぇ〜」
楽しそうにロイはクスクスと笑い、大総統が呆れたように見つめる。
大総統の印を書類に押すまで見ているロイに苦笑いする。
「エドワード・エルリックが君に会いに来るとろくなことが起きないな」
「その点は私も同感です」
補佐官に種類の提出を頼むとロイは大総統に紅茶を淹れる。
「…楽しかったかね」
「お陰様で。
アイスクリーム屋さんを見つけたアルが兄を連れ去ってましたが」
「ぶはっ!
そういうとこは子供だな」
「えぇ、子供ですから」
ふわりと微笑んでロイは大総統に差し出した。
「帰りに買って来ました。
好きでしょう?」
「うまいな」
「我儘を聞いてくれたお詫びに」
「…我儘の度が越えているが」
「どちらにしても行わないといけなかった問題ですよ」
「やれやれ」
ロイから差し出されたスィーツを食べながら大総統は苦笑いする。
「君の分は?」
「甘すぎるので結構です。
自分で甘さ控えめに作った方が良いですから」
「相変わらずだな。
糖分は少し摂りなさい。
君の運動量では低血糖になる」
「分かってますよ」
セルシアに手渡されていたクッキーを食べる。
ロイは痩せていて自ら甘いものは食べないので朝に毎日手渡されていて、その日によって焼き菓子が異なる。
「マスタング大将の運動量って」
「事件解決もだけど。
銃撃の訓練も受けてるし、隊の部下に体術の訓練もしてるからね」
((…パワフル))
その運動量では痩せていても当然だなと補佐官達は思う。
不定期で連絡もせずに現れるロイに呆れながらもいつもの席に案内する。
「やあ、マダム。
元気だったかい?」
「お陰様でな。
いい加減に連絡して来い」
「いつ事件に駆り出されるか分からないだろう?」
呆れたようにマダムは深いため息をつき、ロイにグラスを手渡す。
「いつものでいいんだろう?
いい酒が入ったんだよ」
「高すぎる度数のお酒を飲ませ過ぎないでくださいよ」
「これ、度数いくら?」
「…それを平然と飲めるのはあんたくらいだね」
「マスタングさん。
クラッともならないし、赤くもなりませんね」
「少しは熱くはなるね」
「時間差で来ることもあるからね。
ゆっくり飲むんだよ」
「飲ませたのはマダムだろ」
「度数が強すぎて試せる人が居なかったんだよ」
「実験台にしないでくれよ」
「ロイ、俺にも用事というものがあるんだが」
「グレイシアさんの許可は貰った」
「俺の許可は!?」
行くぞと言われてヒューズは連れて来られたらしい。
「それでな、ロイ。
エリシアちゃんがさぁ…。
聞いてる?」
「聞いてる、聞いてる」
肩を抱かれながら無数の写真がカウンターテーブルに散らばり、ロイは気にせずにお酒を飲んでいた。
マダムが出してくれるおつまみを食べながらヒューズの惚気を聞き流す。
「ロイ、俺は幸せ者なんだよ」
「はいはい。
そりゃ、よか…っ」
ヒューズの顔が目の前にあり、またかと思いながらロイは唇にキスされた。
「…煙草臭いな」
「そういう問題かい、ロイ坊」
「今更だろう。
この時間だと流石にグレイシアさんには迷惑だし」
結果的に司令部に連絡してアームストロング少佐に引き取ってもらった。
(…中尉にバレたら叱られそうだな)
それでもたまにこうして1人で夜空の下を散歩している。
「…ただいま」
『お帰りなさい。
今日は思っていたよりも早いですね』
「びっくりした。
起きていたのか」
『目が覚めただけです。
お酒臭いですね』
「…悪い」
『ロイさんなら大丈夫です。
寒くなかったですか?
ふふっ、冷えてますね』
頬を触られてロイは苦笑いし、額にキスをする。
「先に眠ってなさい。
風呂入って来る」
『大丈夫ですか?
お酒飲んでるのに』
「そんなに飲んでないから」
(ロイさんの場合は顔に出ないから怪しいんだよね)
大丈夫かと不安だったので寝ないで待っていた。
「寝ていても良かったのに」
『分かってたくせに』
タオルを受け取るとセルシアはロイの髪を乾かす。
閉店後に自宅に帰ると薄暗い部屋の机に置いてある写真立てには幼いロイとまだ若き日のマダムのツーショット写真だった。
「…そろそろ、かね」
傷つけてしまうかもしれないと思いながらもマダムは決意する。
ぎこちなく、マダムの膝に抱えられている幼いロイは無表情で不安そうな瞳でそれでもきゅっとマダムの腕を掴んでくれていた。
「テイクアウトして来た。
うまかったよ。
エルリック兄弟はおかわりをしていたくらいに。
ふふっ、若さだな」
「貴方もまだ若いじゃないですか」
「見た目?」
「そうじゃありませんよ。
ありがとうございます」
「どういたしまして」
ロイは中尉が運転する軍車に乗って司令部に戻る。
「…ロイ」
「無茶な提案なのは充分に理解しています」
「元・鋼の錬金術師か」
「こんなことを持って来るのはほかに居ませんよ」
「それを持って帰って来る君も大概だがな」
「大総統なら動かせるでしょう?」
「まったく、君は。
自分が就任する時に楽になるように動いてないか?」
「違うとは言いませんよ」
大総統は深いため息をつき、ロイが澄まし顔で笑う。
結局は折れるんだなと補佐官達は苦笑いする。
「コレでは使えない。
君が仕上げなさい」
「もう出来上がってます。
改善点も含めて」
「…完璧だ。
もう何も言うことはない」
「あとはお任せします。
仕事が出来る父様は素敵ですよ」
「詐欺に遇った気分だよ」
「失礼ですねぇ〜」
楽しそうにロイはクスクスと笑い、大総統が呆れたように見つめる。
大総統の印を書類に押すまで見ているロイに苦笑いする。
「エドワード・エルリックが君に会いに来るとろくなことが起きないな」
「その点は私も同感です」
補佐官に種類の提出を頼むとロイは大総統に紅茶を淹れる。
「…楽しかったかね」
「お陰様で。
アイスクリーム屋さんを見つけたアルが兄を連れ去ってましたが」
「ぶはっ!
そういうとこは子供だな」
「えぇ、子供ですから」
ふわりと微笑んでロイは大総統に差し出した。
「帰りに買って来ました。
好きでしょう?」
「うまいな」
「我儘を聞いてくれたお詫びに」
「…我儘の度が越えているが」
「どちらにしても行わないといけなかった問題ですよ」
「やれやれ」
ロイから差し出されたスィーツを食べながら大総統は苦笑いする。
「君の分は?」
「甘すぎるので結構です。
自分で甘さ控えめに作った方が良いですから」
「相変わらずだな。
糖分は少し摂りなさい。
君の運動量では低血糖になる」
「分かってますよ」
セルシアに手渡されていたクッキーを食べる。
ロイは痩せていて自ら甘いものは食べないので朝に毎日手渡されていて、その日によって焼き菓子が異なる。
「マスタング大将の運動量って」
「事件解決もだけど。
銃撃の訓練も受けてるし、隊の部下に体術の訓練もしてるからね」
((…パワフル))
その運動量では痩せていても当然だなと補佐官達は思う。
不定期で連絡もせずに現れるロイに呆れながらもいつもの席に案内する。
「やあ、マダム。
元気だったかい?」
「お陰様でな。
いい加減に連絡して来い」
「いつ事件に駆り出されるか分からないだろう?」
呆れたようにマダムは深いため息をつき、ロイにグラスを手渡す。
「いつものでいいんだろう?
いい酒が入ったんだよ」
「高すぎる度数のお酒を飲ませ過ぎないでくださいよ」
「これ、度数いくら?」
「…それを平然と飲めるのはあんたくらいだね」
「マスタングさん。
クラッともならないし、赤くもなりませんね」
「少しは熱くはなるね」
「時間差で来ることもあるからね。
ゆっくり飲むんだよ」
「飲ませたのはマダムだろ」
「度数が強すぎて試せる人が居なかったんだよ」
「実験台にしないでくれよ」
「ロイ、俺にも用事というものがあるんだが」
「グレイシアさんの許可は貰った」
「俺の許可は!?」
行くぞと言われてヒューズは連れて来られたらしい。
「それでな、ロイ。
エリシアちゃんがさぁ…。
聞いてる?」
「聞いてる、聞いてる」
肩を抱かれながら無数の写真がカウンターテーブルに散らばり、ロイは気にせずにお酒を飲んでいた。
マダムが出してくれるおつまみを食べながらヒューズの惚気を聞き流す。
「ロイ、俺は幸せ者なんだよ」
「はいはい。
そりゃ、よか…っ」
ヒューズの顔が目の前にあり、またかと思いながらロイは唇にキスされた。
「…煙草臭いな」
「そういう問題かい、ロイ坊」
「今更だろう。
この時間だと流石にグレイシアさんには迷惑だし」
結果的に司令部に連絡してアームストロング少佐に引き取ってもらった。
(…中尉にバレたら叱られそうだな)
それでもたまにこうして1人で夜空の下を散歩している。
「…ただいま」
『お帰りなさい。
今日は思っていたよりも早いですね』
「びっくりした。
起きていたのか」
『目が覚めただけです。
お酒臭いですね』
「…悪い」
『ロイさんなら大丈夫です。
寒くなかったですか?
ふふっ、冷えてますね』
頬を触られてロイは苦笑いし、額にキスをする。
「先に眠ってなさい。
風呂入って来る」
『大丈夫ですか?
お酒飲んでるのに』
「そんなに飲んでないから」
(ロイさんの場合は顔に出ないから怪しいんだよね)
大丈夫かと不安だったので寝ないで待っていた。
「寝ていても良かったのに」
『分かってたくせに』
タオルを受け取るとセルシアはロイの髪を乾かす。
閉店後に自宅に帰ると薄暗い部屋の机に置いてある写真立てには幼いロイとまだ若き日のマダムのツーショット写真だった。
「…そろそろ、かね」
傷つけてしまうかもしれないと思いながらもマダムは決意する。
ぎこちなく、マダムの膝に抱えられている幼いロイは無表情で不安そうな瞳でそれでもきゅっとマダムの腕を掴んでくれていた。