第55話
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大総統がセリム・ブラッドレイに怒鳴られている横目に苦笑いしていた。
「暴れるなら私の部屋から出てくださいね」
「貴方も加害者だ!」
「奥様が知ったら大変ですよ」
「…今回は勘弁してやる」
不満を露にしながらもセリム・ブラッドレイは部屋から出る。
「貴方もセリムもロイさんの部屋で朝から何をしているんですか?」
「おはようございます、奥様。
親子で私に挨拶に来てくださったんですよ」
「あら、そうなの。
仲良しね」
「お陰様で」
「口調はやめたの?」
「今は“軍人”ですから」
「ふふっ、分かったわ。
朝食は食べて行ってくれるでしょう?
主人の息子なら、貴方は私の息子でもあるのよ」
大総統夫人の言葉にロイは瞬きし、微かに笑って頷いた。
「軍服も着てないくせに」
「軍靴だからね」
「貴方も気安く前髪を触らせて」
「ロイだからな。
そういえば、どうして触ってた?」
「私程ではありませんが。
セットしてないと。
前髪を下ろしていると雰囲気が変わるなと」
「そうかもしれんな。
君もセットするか?」
「嫌ですよ。
パーティーでもないんだし」
「おや、お揃いはダメか」
「「…どんな親子だ」」
2人の息子がハモって大総統は楽しそうに笑う。
ロイはシャワーを浴びて整えて軍服に着替えた。
「…おはようございます」
「ほら、早く座って」
「迎えが来る前に食べないと」
「頂きます」
半ば強引に夫人に座らされて自分も家族になったような気がした。
「言ったでしょう。
血の繋がりなんて無関係よ。
セリムも貴方も、私達の息子なの」
「…はい」
「主人が居なくても来てもいいのよ。
いつでも大歓迎だからね。
怪我しないで行ってらっしゃい」
大歓迎夫人に後ろから抱き締められてロイは戸惑いながらも黙っていた。
「私は軍人なので怪我しないとは約束は出来ませんが、気をつけます」
「気をつけて行ってらっしゃい。
たまにはココに帰って来てね」
「…はい」
「お母様と呼んでいいのよ」
「それは…、勘弁してください」
「義母と重なる?」
「お母様とは呼んでませんよ。
そんな上品でもないし」
「あら、叱られない?」
「自他共にですから。
品格よりも大切なものがある。
私に“強さ”を最初に教えてくれた」
「貴方の体術は義母が?」
「まぁ、そうですね」
「どうして?」
「…あんたは綺麗な顔をしてるから狙われそうだと。
全員で納得しないでくださいよ!」
「いや、思わず」
「確かにと思ってしまって」
「ふふっ…ごめんなさいね」
不満そうなロイに夫人は優しく頭を撫でて宥めると自分も座った。
家族分の食事を用意してから夫人は座って食事をする。
セリムからの視線にロイは不思議そうに見つめた。
「何ですか?」
「軍人のわりに早食いでもないですし、綺麗な食べ方するなと」
「多忙な勤務の時は早食いにはなりますが、時間があれば。
義母がテーブルマナーを始め、作法には厳しかったですね」
「甘やかされていたかと」
「成人してからの方が甘やかされているかもしれませんね。
口では否定していますが」
「随分と楽しそうに笑いますね」
「そうかもしれませんね」
「セリム。
貴方は早く食べないと間に合いませんよ」
「はぁ〜い」
面倒だと思いながらも“セリム・ブラッドレイ”として生きると決めたのならば、仕方ないだろう。
「ご馳走様でした。
ありがとうございました」
「どういたしまして。
ロイさんも行ってらっしゃい」
「…行ってきます」
一瞬戸惑いながらもロイは微笑んで大総統を追い掛ける。
護衛も補佐官も今更ながら屋敷からロイが一緒でも驚かず、大総統の軍車に乗せてくれる。
「大総統、おはようございます。
今日はマスタング大将も御一緒でしたか。
おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「…おはようございます」
「そんな顔をなさらないでください。
胸に手を当てても仕方ないことばかりしていましたが」
軍車から降りて出迎えに来た将軍にロイは顔が引きつる。
「誰が、そんな発言をしろと」
「信頼してもらえるように精進しますよ」
「貴方は私よりも一回り以上も年上ですよ。
敬語は辞めて頂きたい」
「年下だろうとも、2階級も上の方ですから」
今まで敬語でなかったのもあるが、妬まれて嫌味を言われていた者達にこういう態度を取られてはそうなるだろう。
「謝罪は致しません。
謝罪をしても消えませんから。
私共の今度の態度で判断をして頂こうかと」
「マスタング大将が私共をすぐには受け入れられない気持ちも十分に理解しております。
受け入れて欲しいなどそんな傲慢な気持ちもありません」
「私共もプライドよりも大切なものがありますから。
本心ではないと疑われても当然です」
大総統が言わないのでロイの判断に任せるのだろう。
「ロイ。
蹴ろうとするな」
「化けの皮が剥がしてやろうかと」
「どんな理由だよ。
落ち着けって」
「私は落ち着いている!」
「どう見たって混乱してるだろ。
気持ちは分かるが」
蹴ろうとしたロイに気づいてヒューズが後ろから抑えた。
「君達も極端過ぎる。
気持ちは分からなくはないが、ロイには慣れてもらわないと」
「大総統。
面白がってません?」
「ふははっ!
そんなことはないぞ」
((…絶対に面白がってるな))
次期大総統なのだから将軍達の敬語には慣れてもらわないといけないのは事実だ。
「暴れるなら私の部屋から出てくださいね」
「貴方も加害者だ!」
「奥様が知ったら大変ですよ」
「…今回は勘弁してやる」
不満を露にしながらもセリム・ブラッドレイは部屋から出る。
「貴方もセリムもロイさんの部屋で朝から何をしているんですか?」
「おはようございます、奥様。
親子で私に挨拶に来てくださったんですよ」
「あら、そうなの。
仲良しね」
「お陰様で」
「口調はやめたの?」
「今は“軍人”ですから」
「ふふっ、分かったわ。
朝食は食べて行ってくれるでしょう?
主人の息子なら、貴方は私の息子でもあるのよ」
大総統夫人の言葉にロイは瞬きし、微かに笑って頷いた。
「軍服も着てないくせに」
「軍靴だからね」
「貴方も気安く前髪を触らせて」
「ロイだからな。
そういえば、どうして触ってた?」
「私程ではありませんが。
セットしてないと。
前髪を下ろしていると雰囲気が変わるなと」
「そうかもしれんな。
君もセットするか?」
「嫌ですよ。
パーティーでもないんだし」
「おや、お揃いはダメか」
「「…どんな親子だ」」
2人の息子がハモって大総統は楽しそうに笑う。
ロイはシャワーを浴びて整えて軍服に着替えた。
「…おはようございます」
「ほら、早く座って」
「迎えが来る前に食べないと」
「頂きます」
半ば強引に夫人に座らされて自分も家族になったような気がした。
「言ったでしょう。
血の繋がりなんて無関係よ。
セリムも貴方も、私達の息子なの」
「…はい」
「主人が居なくても来てもいいのよ。
いつでも大歓迎だからね。
怪我しないで行ってらっしゃい」
大歓迎夫人に後ろから抱き締められてロイは戸惑いながらも黙っていた。
「私は軍人なので怪我しないとは約束は出来ませんが、気をつけます」
「気をつけて行ってらっしゃい。
たまにはココに帰って来てね」
「…はい」
「お母様と呼んでいいのよ」
「それは…、勘弁してください」
「義母と重なる?」
「お母様とは呼んでませんよ。
そんな上品でもないし」
「あら、叱られない?」
「自他共にですから。
品格よりも大切なものがある。
私に“強さ”を最初に教えてくれた」
「貴方の体術は義母が?」
「まぁ、そうですね」
「どうして?」
「…あんたは綺麗な顔をしてるから狙われそうだと。
全員で納得しないでくださいよ!」
「いや、思わず」
「確かにと思ってしまって」
「ふふっ…ごめんなさいね」
不満そうなロイに夫人は優しく頭を撫でて宥めると自分も座った。
家族分の食事を用意してから夫人は座って食事をする。
セリムからの視線にロイは不思議そうに見つめた。
「何ですか?」
「軍人のわりに早食いでもないですし、綺麗な食べ方するなと」
「多忙な勤務の時は早食いにはなりますが、時間があれば。
義母がテーブルマナーを始め、作法には厳しかったですね」
「甘やかされていたかと」
「成人してからの方が甘やかされているかもしれませんね。
口では否定していますが」
「随分と楽しそうに笑いますね」
「そうかもしれませんね」
「セリム。
貴方は早く食べないと間に合いませんよ」
「はぁ〜い」
面倒だと思いながらも“セリム・ブラッドレイ”として生きると決めたのならば、仕方ないだろう。
「ご馳走様でした。
ありがとうございました」
「どういたしまして。
ロイさんも行ってらっしゃい」
「…行ってきます」
一瞬戸惑いながらもロイは微笑んで大総統を追い掛ける。
護衛も補佐官も今更ながら屋敷からロイが一緒でも驚かず、大総統の軍車に乗せてくれる。
「大総統、おはようございます。
今日はマスタング大将も御一緒でしたか。
おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「…おはようございます」
「そんな顔をなさらないでください。
胸に手を当てても仕方ないことばかりしていましたが」
軍車から降りて出迎えに来た将軍にロイは顔が引きつる。
「誰が、そんな発言をしろと」
「信頼してもらえるように精進しますよ」
「貴方は私よりも一回り以上も年上ですよ。
敬語は辞めて頂きたい」
「年下だろうとも、2階級も上の方ですから」
今まで敬語でなかったのもあるが、妬まれて嫌味を言われていた者達にこういう態度を取られてはそうなるだろう。
「謝罪は致しません。
謝罪をしても消えませんから。
私共の今度の態度で判断をして頂こうかと」
「マスタング大将が私共をすぐには受け入れられない気持ちも十分に理解しております。
受け入れて欲しいなどそんな傲慢な気持ちもありません」
「私共もプライドよりも大切なものがありますから。
本心ではないと疑われても当然です」
大総統が言わないのでロイの判断に任せるのだろう。
「ロイ。
蹴ろうとするな」
「化けの皮が剥がしてやろうかと」
「どんな理由だよ。
落ち着けって」
「私は落ち着いている!」
「どう見たって混乱してるだろ。
気持ちは分かるが」
蹴ろうとしたロイに気づいてヒューズが後ろから抑えた。
「君達も極端過ぎる。
気持ちは分からなくはないが、ロイには慣れてもらわないと」
「大総統。
面白がってません?」
「ふははっ!
そんなことはないぞ」
((…絶対に面白がってるな))
次期大総統なのだから将軍達の敬語には慣れてもらわないといけないのは事実だ。