第55話

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敵わないよりも人間の奥深さのようなものを感じた。


「隠し事はないよ。
俺の真っ黒な部分も、すべて分かっているよ」
「だったら…」
「まぁ、結婚しろと言われると拒絶したくもなるよな」
「何の意地なんだ」
「本当のことを言えば、俺の心の問題と互いの両親の研究も原因」
「研究って錬金術?」
「それも含めて。
規模が大きすぎる。
かと言って軍に任せるのも不安だし。
何よりも安全に研究したい」
「あんたら、研究バカなのに研究員にならなかったのか」
「よく言われるよ。
両親の研究を表に出したい訳ではないんだ。
危険性もあるからね。
いや、研究自体には危険はない。
ゼロではないけれど。
それを言い訳にするつもりはないが。
やはり、互いに引っ掛かっているんだろうな。
どうしてあのような最期だったのか。
あの技術があれば、抜け出せたはずだった。
まるで自ら…消えるように」
「自ら消えた?」
「これは自分達が思っているだけだ。
骨さえも見つからないのか。
それとも…、深く考え過ぎているだけなのは分かっているんだ。
どこか引っ掛かってしまう」


ポスンと大総統の胸に寄り掛かり、ロイは目を閉じる。


「…眠ったんですか」
「眠っているな。
眠くなるとよく喋るからな。
では、今夜はお開きだな」


大総統はロイを抱えて愛しそうに見つめ、自室に連れて行く。


大総統の愛しそうな視線も安心しきってロイの寝顔もセリムには疑問もあるのだろう。


「ん…っ」


ふと目を覚ますと大総統の屋敷だと気がついて安堵する。


(余計なことを喋った気もするが。
眠って父様に運ばれるって。
セリム・ブラッドレイに揶揄られそうだな)


何度目なんだと思いながらも安心感を自分が感じているのも事実だ。


目が冴えてしまって眠れず、カーディガンを羽織って自室から出る。


(こんな風に夜を過ごすのは今までなかった気がするな。
忙しかったのもあるけれど。
空を眺めるなんて不思議だ)


ぼんやり見える月明かりに窓の外を眺めていた。


「眠れなくなったのか?」
「…父様」
「おいで、風邪を引くよ。
そんな薄着では身体が冷える」


まるで小さな子のようだと思いながらも否定せずに手を引かれてゆく。


「意外と君はぬくもりがないと目覚めてしまうのだろうな」
「…そうかもしれませんね。
数年前までは、そうじゃなかったけれど」
「安心するか?」
「ん…、父様の体温は高い」
「君の体温が低いんだよ」


ベットに寝かされて隣に寝転がる大総統が近いなと思いながらも気にせずに頭を撫でられて目を閉じる。


「警戒しないのか」
「ん…、大丈夫だから」


目が冴えたはずなのにウトウトしているロイに大総統は苦笑いする。 


ハッとして目が覚めると何故か胸板で自分は眠っていて飛び起きる。


「目が覚めたかい?」
「…父様。
な、何をして…っ」
「特に何もしておらんよ。
君が気持ちよさそうに眠り、寒かったようで私にひっついて来た以外は」
「だ、だからって。
そのまま寝なくても」
「我が子が甘えて来るからね」
「おかしいでしょう。
この年齢で一緒に寝るなんて。
普通の親子だってしませんよ」
「普通ではないな。
でも、私は君が恋しいと思うならば、傍に居てあげたいし。
抱き締めて眠ってあげたいと思うよ。
それが一般的でなくてもな」


大総統に優しく頬を撫でられてロイは微かに頬を赤らめたまま、黙っていた。


「そういうとこは君は愛しいな」
「…やめてください」


自分は何歳なんだと頭を抱え、深いため息をつく。


「よく眠れたかい?」
「えっ?
まぁ、それは…眠れましたね」
「それなら良かった」
「何ですか?」
「眠りが浅いのもだが。
眠りの質が良くないと疲れるからね」
「…それで一緒に眠ってくれたんですか?」
「寝付きは良かったが、苦しそうだったからな」
(うなされていたのか。
全然覚えてないが)


ロイは過ぎたことは仕方ないと起き上がった。


「もう大丈夫そうか」
「ありがとうございました。
一応はお礼を。
うなされていたのも覚えていませんけど」
「まぁ、少しだったからな。
もう口調を戻すのか」
「父様はどちらがお好みですか?」


ベットに腰掛けてクスクスと笑い、セットされていない大総統の前髪に触れて弄る。


大総統とロイが眠っても狭く感じない程の大きなベットを自室に与えられていた。


「基本的には1人で眠るのに。
こんなに大きなベットを用意してくれたのは何故です?」
「疲れも取れるだろうし。
君の看病も兼ねて」
「ふふっ、そうですか」
「一緒に眠るとは思わなかったが」
「それは私もですよ」


ロイは膝枕されながら大総統の前髪に触れていた。


「君、警戒ゼロだな」
「父様こそ。
軍刀さえ持ってない。
貴方こそ、変わりました」
「…そうだな」
「今の貴方は丸腰です。
私は国家錬金術師ですよ。
宜しいのですか?」
「君にやられるのならば、悪くはないな」


大総統が近づいて来ることに気づいてロイは目を閉じる。


「…今日は受け入れるのかね」
「朝の挨拶でしょう?
あとは、口止め料にあげます」
「口寂しいのではなく?」
「ふふっ…そうかもしれませんね。
浮気になるんですかね」
「親子のキスだろう?」
「えぇ、そうですね」


大総統に膝枕されながらロイは大総統と唇にキスを交わす。


どうやっても親子がキスをする格好ではないと思うのだが、指摘する人は誰も居ない。


「貴方達は何をしているんですか!
裏切りですよ!」
「おはようございます、セリム・ブラッドレイ」
「やはり、覗いてたか」
「貴方達…わざと…ッ」


罠だったのか怒りに震えるセリム・ブラッドレイにロイは“やり過ぎでは?”と大総統をチラッと見つめる。
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