第55話
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ここにヒューズがいたら、喜んで崩れ落ちそうだと大総統は思う。
「父様、言ったらダメですからね」
「破ったら?」
「一生泊まってやんない」
「…了解した」
「ふふっ、ロイさんしか使えない策ですね」
「夫人もお願いしますね」
「えぇ、分かりました。
セリムは貴方には話してくれますね」
「気難しい性格同士、合うのかもしれませんね」
正体がバレてるから話すだけとは当然ながら言えない。
「何かあったら相談させて頂いても宜しいかしら」
「…勿論です」
またセリムのことを夫人から頼まれそうだなとロイと大総統は思いながらも苦笑いする。
「紅茶にミルクはいるかしら」
「えぇ、今日は頂きます」
「気分に寄って?」
「それもだし。
茶葉によって」
「香りだけで分かるのか?」
「有名な茶葉ならば」
「本当に好きなんですね」
「最初は義母の影響でしたね」
向かい席に大総統と夫人が座るとロイは瞬きする。
「たまにはいいでしょう?」
「今日は酒は飲めんからな。
君、鼻血を出したし」
「…分かってます」
「寝不足とストレスが原因だろうけど、念の為にな」
ロイの寂しさや切なさを何となく感じてくれたのだろう。
「貴方に義母がいるのは分かっているわ。
主人だけじゃなくて、頼りないかもしれないけれど。
私にも話して頂戴ね。
話すだけでも楽になるでしょう?」
「ありがとうございます」
「心の片隅にも置いといて。
義母や主人にだからこそ、話せないこともあるし。
私達にだから話せることも言えることもあるかもしれないわ」
「…はい」
「ここは大総統府ではないわ。
さっきみたいな口調の方がいいわよ。
ヒューズ中佐の前ではそうなんでしょう?」
「粗探しされないように。
本当の“俺”は丁寧でもない」
「いいんじゃないの、それで」
「えっ?」
「素顔がないと大変だわ。
素顔を見せてくれた方が嬉しいものなのよ」
「流石はキング・ブラッドレイが選んだ夫人ってことですか」
「えぇ、ビンタをした相手を選んだくらいだもの」
「ぶはっ!」
夫人の返しに大総統は吹き出し、ロイは爆笑する。
「…3人だけで楽しそうにしないでください。
除け者は嫌です」
「セリム、寝たのでは?」
「賑やかな声に起きました」
「今日は週末だし。
たまには夜更しもいいだろう」
「セリムは眠れなくなるからホットミルクにしましょうね」
「むぅ…」
自分だけ仲間外れのようで不満だが、仕方ないと諦めて座る。
「眠りやすい面なら、ココアかハーブティーがいいかと」
「セリム、どっちにする?」
「ハーブティー!」
「甘くないけれど。
飲める?」
「だ、大丈夫です」
意外とセリムは好みが甘党なのかもしれない。
「ブレンドすれば、甘くなる」
「そうなの?」
「…キッチンに入っても?」
「大丈夫よ」
夫人の許可でロイはキッチンに入るとハーブティーをブレンドして淹れる。
複数のカップにセリムはキョトンとロイを見つめる。
「君の好みが分からないから。
香りで選んでみて」
「どれも微妙に違う。
この真ん中がいい。
美味しい」
「それは良かった」
「では、残りは我々も頂こうか」
「最初からそのつもり」
「口調変えたんですかは?」
「本来はこっち。
粗探しされない為に変えてた。
君も戻せば?
お母様が気づかないはすないだろ」
「えっ!?」
「まぁ、男の子だもの」
「あんた…性格悪いな」
「お互い様だ。
“俺”は性格良くないのさ」
「知ってるのは?」
「義母もヒューズも知ってるさ。
あとは中尉とセルシア。
結果的にハボック達とエルリック兄弟は知る羽目になったな」
「意外と知られてるんだな」
「別にプライベートではそこまで隠してないからな。
盗聴とかの心配がない限りは」
「この屋敷に掛けられていたら?」
「調べたから問題ないし。
それくらいで評価が落ちる行動や発言はしてないんでね」
「いつの間に調べたんですか」
「初めて来た時に。
自室も作られた時に調べたし。
定期的に調べてる」
「…気づかなかった」
「素人に気づかれたら軍人としておしまいなんでね」
「貴方、素顔はわりとムカつく」
「光栄だね」
「どこまでが素顔なんですか。
どこまでが計算なんですか?」
「さあ…?
どうでしょうね」
ロイに翻弄されているセリムを見て大総統は微かに笑う。
「意外と成績はよくないんですね」
「何で話しているんですか!
今回はちょっと…」
「平均以下が5回も?」
「…勉強は好きじゃない。
貴方はどうだったんですか!」
「ロイは優秀だぞ」
「ずっとオール5でしたが?
テストは全教科満点で加点もありましたし、士官学校では特別クラスです」
「あんたの欠点は何なんだ!」
「探してみます?」
「それなら、ロイさんに教えてもらえばいいじゃない。
セリムも素顔を見せれるようだし」
「「うげっ!」」
(…君じゃないと出来ない提案だな)
当然ながら逃げ切れずに顔を引きつらせながら頷くしかなかった。
「彼女と結婚しないんですか?」
「…っぶ!
ゲホッ…ゲホッ…
な、何を…っ」
動揺して咳き込んだロイに大総統は隣に移動すると背を擦る。
「大丈夫、です。
ありがとうございます。
随分と急ですね」
「ほかの人は婚約してすぐに結婚してるイメージだったので。
結婚から逃げてるのかと」
「踏み込みますね。
逃げては…、ない…とも。
言えませんね。
セルシアは納得した上だけど」
「イシュヴァールの件は貴方のせいじゃないのに?
いつまで引きずってるんですか」
「君ねぇ…」
「それが嫌なら結婚すれば?」
「セリム、言い過ぎよ」
「踏み込むねぇ…」
ロイは困ったように笑っているが、実際には困ってはないのだろう。
「父様、言ったらダメですからね」
「破ったら?」
「一生泊まってやんない」
「…了解した」
「ふふっ、ロイさんしか使えない策ですね」
「夫人もお願いしますね」
「えぇ、分かりました。
セリムは貴方には話してくれますね」
「気難しい性格同士、合うのかもしれませんね」
正体がバレてるから話すだけとは当然ながら言えない。
「何かあったら相談させて頂いても宜しいかしら」
「…勿論です」
またセリムのことを夫人から頼まれそうだなとロイと大総統は思いながらも苦笑いする。
「紅茶にミルクはいるかしら」
「えぇ、今日は頂きます」
「気分に寄って?」
「それもだし。
茶葉によって」
「香りだけで分かるのか?」
「有名な茶葉ならば」
「本当に好きなんですね」
「最初は義母の影響でしたね」
向かい席に大総統と夫人が座るとロイは瞬きする。
「たまにはいいでしょう?」
「今日は酒は飲めんからな。
君、鼻血を出したし」
「…分かってます」
「寝不足とストレスが原因だろうけど、念の為にな」
ロイの寂しさや切なさを何となく感じてくれたのだろう。
「貴方に義母がいるのは分かっているわ。
主人だけじゃなくて、頼りないかもしれないけれど。
私にも話して頂戴ね。
話すだけでも楽になるでしょう?」
「ありがとうございます」
「心の片隅にも置いといて。
義母や主人にだからこそ、話せないこともあるし。
私達にだから話せることも言えることもあるかもしれないわ」
「…はい」
「ここは大総統府ではないわ。
さっきみたいな口調の方がいいわよ。
ヒューズ中佐の前ではそうなんでしょう?」
「粗探しされないように。
本当の“俺”は丁寧でもない」
「いいんじゃないの、それで」
「えっ?」
「素顔がないと大変だわ。
素顔を見せてくれた方が嬉しいものなのよ」
「流石はキング・ブラッドレイが選んだ夫人ってことですか」
「えぇ、ビンタをした相手を選んだくらいだもの」
「ぶはっ!」
夫人の返しに大総統は吹き出し、ロイは爆笑する。
「…3人だけで楽しそうにしないでください。
除け者は嫌です」
「セリム、寝たのでは?」
「賑やかな声に起きました」
「今日は週末だし。
たまには夜更しもいいだろう」
「セリムは眠れなくなるからホットミルクにしましょうね」
「むぅ…」
自分だけ仲間外れのようで不満だが、仕方ないと諦めて座る。
「眠りやすい面なら、ココアかハーブティーがいいかと」
「セリム、どっちにする?」
「ハーブティー!」
「甘くないけれど。
飲める?」
「だ、大丈夫です」
意外とセリムは好みが甘党なのかもしれない。
「ブレンドすれば、甘くなる」
「そうなの?」
「…キッチンに入っても?」
「大丈夫よ」
夫人の許可でロイはキッチンに入るとハーブティーをブレンドして淹れる。
複数のカップにセリムはキョトンとロイを見つめる。
「君の好みが分からないから。
香りで選んでみて」
「どれも微妙に違う。
この真ん中がいい。
美味しい」
「それは良かった」
「では、残りは我々も頂こうか」
「最初からそのつもり」
「口調変えたんですかは?」
「本来はこっち。
粗探しされない為に変えてた。
君も戻せば?
お母様が気づかないはすないだろ」
「えっ!?」
「まぁ、男の子だもの」
「あんた…性格悪いな」
「お互い様だ。
“俺”は性格良くないのさ」
「知ってるのは?」
「義母もヒューズも知ってるさ。
あとは中尉とセルシア。
結果的にハボック達とエルリック兄弟は知る羽目になったな」
「意外と知られてるんだな」
「別にプライベートではそこまで隠してないからな。
盗聴とかの心配がない限りは」
「この屋敷に掛けられていたら?」
「調べたから問題ないし。
それくらいで評価が落ちる行動や発言はしてないんでね」
「いつの間に調べたんですか」
「初めて来た時に。
自室も作られた時に調べたし。
定期的に調べてる」
「…気づかなかった」
「素人に気づかれたら軍人としておしまいなんでね」
「貴方、素顔はわりとムカつく」
「光栄だね」
「どこまでが素顔なんですか。
どこまでが計算なんですか?」
「さあ…?
どうでしょうね」
ロイに翻弄されているセリムを見て大総統は微かに笑う。
「意外と成績はよくないんですね」
「何で話しているんですか!
今回はちょっと…」
「平均以下が5回も?」
「…勉強は好きじゃない。
貴方はどうだったんですか!」
「ロイは優秀だぞ」
「ずっとオール5でしたが?
テストは全教科満点で加点もありましたし、士官学校では特別クラスです」
「あんたの欠点は何なんだ!」
「探してみます?」
「それなら、ロイさんに教えてもらえばいいじゃない。
セリムも素顔を見せれるようだし」
「「うげっ!」」
(…君じゃないと出来ない提案だな)
当然ながら逃げ切れずに顔を引きつらせながら頷くしかなかった。
「彼女と結婚しないんですか?」
「…っぶ!
ゲホッ…ゲホッ…
な、何を…っ」
動揺して咳き込んだロイに大総統は隣に移動すると背を擦る。
「大丈夫、です。
ありがとうございます。
随分と急ですね」
「ほかの人は婚約してすぐに結婚してるイメージだったので。
結婚から逃げてるのかと」
「踏み込みますね。
逃げては…、ない…とも。
言えませんね。
セルシアは納得した上だけど」
「イシュヴァールの件は貴方のせいじゃないのに?
いつまで引きずってるんですか」
「君ねぇ…」
「それが嫌なら結婚すれば?」
「セリム、言い過ぎよ」
「踏み込むねぇ…」
ロイは困ったように笑っているが、実際には困ってはないのだろう。