第55話
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数十年の大量の書類を数日掛けて調べ上げれるのはロイを始め、ヒューズとセルシアのお陰だろう。
将軍達は関わってなくて良かったと安堵している。
嫌がらせなどはしていても意外にもこういう不正はしていなかったようだ。
「マスタング大将。
大丈夫ですか?」
「少しお休みになってください」
軍服の上着を脱ぎ捨て、ロイは執務室のソファに倒れていた。
「お疲れ様。
ロイ、大丈夫か?」
「…寝不足です」
「夜勤5日目です。
先程、鼻血を出しました」
「無理し過ぎるなと。
止血はしたか。
このまま連れ帰る。
リーゼル大佐を頼む」
「承知しました」
大総統によって抱えられて行くロイに苦笑いしながら見送る。
もはや、慣れてしまって将軍達も驚いてはいない。
「…父様」
「降ろさんぞ」
「鼻血、また出た」
「おわっ!
下を向くな、下を。
先に医務室に行くぞ!」
軍医に手当てされながら大総統も含めて叱られたのは言うまでもない。
「マスタング大将。
身体が丈夫なのか、繊細なのか。
よく分からんな」
「頑丈な方かとは思いますが」
「風邪とか感染症は滅多には。
ストレスで鼻血や熱は出ますね」
((…余計に分からんな))
将軍達は呆れてため息をつきながら頼まれている仕事はしていた。
「いいから眠りなさい」
「父様、起きたらコテージパイを食べたい」
「…分かった。
作ってもらおうか」
ロイがこんな風に言うのは珍しいなと思いながらも大総統は屋敷の自室のベットに寝かせた。
「これは…?」
「君が言っていたコテージパイだろう?」
「貴方、もしかしてなくても。
寝ぼけてお父様に言ったのですか?」
「多分…?」
「珍しいとは思っていたが」
「ふふっ…良かったら食べてね。
スープもあるわ」
「あっ、はい。
頂きます」
キョトンとしながらもロイは大総統夫人の作ったコテージパイを食べる。
コテージパイは家庭料理としてもよく知られていて、牛ひき肉とマッシュポテトを使うパイ料理。
「…美味しい」
「それは良かったわ」
「思い出の味、なんですか?」
「えっ?」
「寝ぼけながら言うくらいだし。
貴方は普段はもっとオシャレな料理を食べている気がする」
「セリム!
ごめんなさい、失礼なことを」
「構いませんよ。
普段も別にオシャレな料理ばかりを食べているつもりはないですよ。
まぁ、私もセルシアも料理が好きだからそう見えるみたいですね。
普段もバケットサンドイッチとかポリッジ、ジャケットポテトも食べるし。
普通にカフェで朝に食べることだってある。
私は時間掛けて料理するのが好きなだけですね。
セルシアのように冷蔵庫の中身を確認してパパッと作れたら楽なんだけど。
計画的に時間掛けて作りたくなる。
まぁ、セルシアには不満そうに見られるけど」
「何故です?」
「自分よりも断然に美味しい!って言いながら満面の笑みで食べてる」
「…惚気ですか」
「ふはっ!
どうでしょうね」
ロイはクスクスと笑ってセリムを見つめていた。
人間はよく分からないと思いながらも理解しようと今のセリムは思っているかもしれない。
「…僕はそういうことが欠如していますから。
年相応でもないですし、友達も学校に通っても居ません」
「セリム」
「大総統の子息と友達になりたいと近づいて来るよりも怖がっているのだと思いますが?」
「えっ?」
「本当に友達が欲しいならドジすればいいんですよ」
「ど、ドジ…?」
「複数の同級生の前で思いっきり転んで泣いてみては?」
「それだけでいいのか?」
「貴方のような年齢の子はどちらの意味でも素直なんですよ。
素直だから近づかないようにしているように。
心配して駆け寄られたら涙を溜めて笑えばいい」
「はぁ?」
「この子も自分達と同じなんだと安心感を与えるだけ。
私の子供時代よりはマシですよ」
「貴方には友達が!」
「ヒューズとは士官学校で出会いました。
それまでは友達は居ませんでした。
笑うこともなかったし、そんなこと無意味だと。
義母は無理に学校に通わなくていいと言っていたくらいに。
同級生から“化け物”と言われて石を投げられたことがありますか?
同級生から“不気味”だと逃げられたことはありますか?
貴方は幸せなんですよ、セリム・ブラッドレイ。
血の繋がりをいつまでも気にする必要がない。
どうせ、馬鹿な同級生からそれを揶揄られたのでしょう。
口の達者な子は居ますからね」
「貴方も?」
「まぁ、私の時代は孤児も珍しくはなかったですが。
殴られたりはしてましたかね」
「…それはどうしたんですか?」
「殴り返しましたが?」
「ロイ、それは君しか出来んぞ。
大総統の子息がそれをしたら問題だろう」
「私の時も問題になりましたよ。
大人達がいる前で無表情でボロボロと泣いてやりましたが」
「貴方、怖ろしい子だったんですね」
「自分の魅力をよく分かってるんだろう?
コレを真似しろとは言ってないよ。
貴方も顔は悪くないんだし。
キッカケは作ってもいいと思う。
あとは性格の相性もあるからね」
「僕、貴方よりは子供らしいとは思います」
「ふはっ!
そうだろうなぁ。
私以上に子供らしくない不気味な子は居ないよ」
「自分で言います?」
「…自信ついたか?」
「はぁ?」
「血の繋がりもなく、子供らしくない自分は大総統の子息でいいのか。
次期大総統も決まってる。
自分は何をしたらいい?
何をすれば喜ばれる?
バカバカしいな。
子供らしさなんて何になる。
子供は両親に甘えて勉強してればいいんだよ」
「んなっ!
貴方、意外と口が悪いですね」
「お互い様です。
“俺”は性格が良くない」
セリム・ブラッドレイは不満顔を露にしながらも去って行く。
「…荒治療過ぎましたね」
「いや、助かったよ」
「私達が何を言っても。
大丈夫とか言わないのよ。
嫌な役をやらせてごめんなさいね」
「大丈夫ですよ」
「先程の話は…」
「半分は本当で半分は嘘です。
友達が居なかったのも笑顔が消えて不気味と言われたのも。
石を投げられたのも、本当です」
「…友達は欲しかったか?」
「マースだけで十分ですよ」
大総統に優しく頭を撫でられてロイは寂しそうに少し笑う。
将軍達は関わってなくて良かったと安堵している。
嫌がらせなどはしていても意外にもこういう不正はしていなかったようだ。
「マスタング大将。
大丈夫ですか?」
「少しお休みになってください」
軍服の上着を脱ぎ捨て、ロイは執務室のソファに倒れていた。
「お疲れ様。
ロイ、大丈夫か?」
「…寝不足です」
「夜勤5日目です。
先程、鼻血を出しました」
「無理し過ぎるなと。
止血はしたか。
このまま連れ帰る。
リーゼル大佐を頼む」
「承知しました」
大総統によって抱えられて行くロイに苦笑いしながら見送る。
もはや、慣れてしまって将軍達も驚いてはいない。
「…父様」
「降ろさんぞ」
「鼻血、また出た」
「おわっ!
下を向くな、下を。
先に医務室に行くぞ!」
軍医に手当てされながら大総統も含めて叱られたのは言うまでもない。
「マスタング大将。
身体が丈夫なのか、繊細なのか。
よく分からんな」
「頑丈な方かとは思いますが」
「風邪とか感染症は滅多には。
ストレスで鼻血や熱は出ますね」
((…余計に分からんな))
将軍達は呆れてため息をつきながら頼まれている仕事はしていた。
「いいから眠りなさい」
「父様、起きたらコテージパイを食べたい」
「…分かった。
作ってもらおうか」
ロイがこんな風に言うのは珍しいなと思いながらも大総統は屋敷の自室のベットに寝かせた。
「これは…?」
「君が言っていたコテージパイだろう?」
「貴方、もしかしてなくても。
寝ぼけてお父様に言ったのですか?」
「多分…?」
「珍しいとは思っていたが」
「ふふっ…良かったら食べてね。
スープもあるわ」
「あっ、はい。
頂きます」
キョトンとしながらもロイは大総統夫人の作ったコテージパイを食べる。
コテージパイは家庭料理としてもよく知られていて、牛ひき肉とマッシュポテトを使うパイ料理。
「…美味しい」
「それは良かったわ」
「思い出の味、なんですか?」
「えっ?」
「寝ぼけながら言うくらいだし。
貴方は普段はもっとオシャレな料理を食べている気がする」
「セリム!
ごめんなさい、失礼なことを」
「構いませんよ。
普段も別にオシャレな料理ばかりを食べているつもりはないですよ。
まぁ、私もセルシアも料理が好きだからそう見えるみたいですね。
普段もバケットサンドイッチとかポリッジ、ジャケットポテトも食べるし。
普通にカフェで朝に食べることだってある。
私は時間掛けて料理するのが好きなだけですね。
セルシアのように冷蔵庫の中身を確認してパパッと作れたら楽なんだけど。
計画的に時間掛けて作りたくなる。
まぁ、セルシアには不満そうに見られるけど」
「何故です?」
「自分よりも断然に美味しい!って言いながら満面の笑みで食べてる」
「…惚気ですか」
「ふはっ!
どうでしょうね」
ロイはクスクスと笑ってセリムを見つめていた。
人間はよく分からないと思いながらも理解しようと今のセリムは思っているかもしれない。
「…僕はそういうことが欠如していますから。
年相応でもないですし、友達も学校に通っても居ません」
「セリム」
「大総統の子息と友達になりたいと近づいて来るよりも怖がっているのだと思いますが?」
「えっ?」
「本当に友達が欲しいならドジすればいいんですよ」
「ど、ドジ…?」
「複数の同級生の前で思いっきり転んで泣いてみては?」
「それだけでいいのか?」
「貴方のような年齢の子はどちらの意味でも素直なんですよ。
素直だから近づかないようにしているように。
心配して駆け寄られたら涙を溜めて笑えばいい」
「はぁ?」
「この子も自分達と同じなんだと安心感を与えるだけ。
私の子供時代よりはマシですよ」
「貴方には友達が!」
「ヒューズとは士官学校で出会いました。
それまでは友達は居ませんでした。
笑うこともなかったし、そんなこと無意味だと。
義母は無理に学校に通わなくていいと言っていたくらいに。
同級生から“化け物”と言われて石を投げられたことがありますか?
同級生から“不気味”だと逃げられたことはありますか?
貴方は幸せなんですよ、セリム・ブラッドレイ。
血の繋がりをいつまでも気にする必要がない。
どうせ、馬鹿な同級生からそれを揶揄られたのでしょう。
口の達者な子は居ますからね」
「貴方も?」
「まぁ、私の時代は孤児も珍しくはなかったですが。
殴られたりはしてましたかね」
「…それはどうしたんですか?」
「殴り返しましたが?」
「ロイ、それは君しか出来んぞ。
大総統の子息がそれをしたら問題だろう」
「私の時も問題になりましたよ。
大人達がいる前で無表情でボロボロと泣いてやりましたが」
「貴方、怖ろしい子だったんですね」
「自分の魅力をよく分かってるんだろう?
コレを真似しろとは言ってないよ。
貴方も顔は悪くないんだし。
キッカケは作ってもいいと思う。
あとは性格の相性もあるからね」
「僕、貴方よりは子供らしいとは思います」
「ふはっ!
そうだろうなぁ。
私以上に子供らしくない不気味な子は居ないよ」
「自分で言います?」
「…自信ついたか?」
「はぁ?」
「血の繋がりもなく、子供らしくない自分は大総統の子息でいいのか。
次期大総統も決まってる。
自分は何をしたらいい?
何をすれば喜ばれる?
バカバカしいな。
子供らしさなんて何になる。
子供は両親に甘えて勉強してればいいんだよ」
「んなっ!
貴方、意外と口が悪いですね」
「お互い様です。
“俺”は性格が良くない」
セリム・ブラッドレイは不満顔を露にしながらも去って行く。
「…荒治療過ぎましたね」
「いや、助かったよ」
「私達が何を言っても。
大丈夫とか言わないのよ。
嫌な役をやらせてごめんなさいね」
「大丈夫ですよ」
「先程の話は…」
「半分は本当で半分は嘘です。
友達が居なかったのも笑顔が消えて不気味と言われたのも。
石を投げられたのも、本当です」
「…友達は欲しかったか?」
「マースだけで十分ですよ」
大総統に優しく頭を撫でられてロイは寂しそうに少し笑う。