第53話
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練習場に呼び出されてロイは何度もエドに挑まれて戦ったなと思い出す。
「オリヴィエ中将。
まだ帰ってなかったんですか」
「まだやり残したことがあってな」
「中尉はやれませんが」
「それは仕方なく諦めた」
「はぁ、そうですか」
「マスタング大将。
勝負を挑む!」
「はっ?
いつから国家錬金術師になったんですか?」
「国家錬金術師でなければ、挑んではいけないとは決まりはない」
「…それは国家錬金術師に挑む人が居ないからだと思いますが」
エドとは違う意味で厄介だなとロイはため息をつく。
「1対1で勝負はしたことがなかったからな」
「当たり前かと。
司令官2人が戦うなど。
貴方と戦う意味は私にありません」
「私が勝ったら貴様に忠誠を誓ってやろう」
「それが何の意味があるんですか。
私には不要です」
「私は“戦力”になるぞ。
女だからと手加減は不要だ」
「それは手加減などしませんが。
何の為に貴女は戦うんですか」
「上の者は私よりも強くないと気に食わないからな」
(一応は認めてくれてるんだよな。
いや、分からんな)
オリヴィエ中将に軍刀を向けられてロイは無表情で見つめる。
「アームストロング家はロイ・マスタングを支持をする」
「はっ?」
「貴族の者達が色々と煩いのだろう?
全員は騙させられないが、そういう戦力も必要ではないか?
長女である私だからこそ、動かせるものもある」
「…練習場の使用許可は?」
「既に大総統に許可されている」
(父様、面白がってるでしょう。
怪しいと思ったんだよ。
私だけに言わないで内密に進めていたのか)
ロイにバレるだろうと当日まで大総統はマスタング隊とヒューズ達には知らせなかったらしい。
「…父様。
どちらの味方なんですか。
面白がってるでしょう!」
「私はいつだって君の味方だよ。
だが、全力で君が戦えるなんてアームストロング中将くらいだろう?
鋼の錬金術師にでさえも、未成年というのもあって手加減していた。
君が発火布を破られたり、水を掛けられたりする訳がないだろうからね。
それに気づいてたのは君の副官とヒューズ中佐くらいだろう」
ザワつきにロイは不満を隠さず、大総統は微笑んで優しく頬を撫でた。
「鋼の錬金術師の負けず嫌いを利用して鍛えていたのだろうね。
お陰で彼は強くなったよ」
「それも無謀なせいで無駄になりましたよ」
「無駄ではない。
後悔はしてないだろう?」
「そう、ですね。
少なくとも私の手加減と演技は完璧だったと実感しました。
貴方にまで見抜かれているとは思いませんでしたよ」
「私は君の父だからね」
「そうですか」
ロイはふわりと微笑んで大総統に背を向けた。
「ルールは?」
「武器の使用は自由。
大怪我を負わせない。
軍服以外の服装も可能だ」
「錬金術は封じられるということですか?」
「そうでなければ、流石に君には有利過ぎるからな」
「承知しました」
「君は知らなかったし、準備して来るように。
10分で構わないか?」
「武器倉庫にも行くので」
「15分で準備するように」
「承知しました」
ロイは微かに笑みを浮かべて司令部の建物内に戻っていく。
ロイは軍服から着替えると武器倉庫に行って銃を手にして銃弾を詰めて装着する。
「お待たせしました」
「軍服を脱いだのか」
「身軽さ重視で」
ロイは黒のタートルネックと下は細身の黒のズボン、軍靴て腰には2丁の銃を装着していた。
「ライフルは持って来なかったのか」
「使い慣れた武器がいいので」
「あまり傷を作って来ないように」
「…気をつけます」
約束しないのがロイらしいなと大総統は苦笑いする。
発火布を始め、ドックタグ以外のピアスやアクセサリー類を大総統の前で外すと専用のケースに保管して鍵を掛けられた。
錬金術のものを持っていないかボディーチェックも兼ねて大総統の補佐官が行う。
オリヴィエ中将は錬金術を使用しないが、危険な武器を持っていないか女性軍人がボディーチェックをする。
「互いに問題なし。
マスタング大将、オリヴィエ中将。
位置に着いてください。
始めっ!」
ヒューズの掛け声と共にオリヴィエは速いスピードで走り、軍刀で振りかざして来る。
(速いな。
流石はブリッグズの北壁)
ロイは距離感を保ちながらオリヴィエ中将を見据える。
「この…っ、逃げ回るだけか!
貴様は小動物か!」
「オリヴィエ中将が相手なら誰もが小動物でしょうね」
「随分と余裕なようだな!」
「そう熱くならないでくださいよ」
「なっ!?」
肩に手を置かれ、飛び越えられて背に移動されたオリヴィエ中将は目を見開いた。
「面白い!
そうこないとな!」
「流石に普通にしては貴女には不利なようだ」
「2丁…?」
「楽しませてくださいよ。
弾いてくださいね、オリヴィエ中将」
ロイは着地して向き合うと両手に銃を手にし、連続で撃つ。
(速い!
銃弾が切れるのを待っていたが、替えるのも速いのか。
錬金術だけじゃないとは。
やはり、君は面白い)
オリヴィエ中将は軍刀で銃弾を弾きながら距離感を掴む。
(しまった!
発煙弾か)
発煙弾は手榴弾および砲弾として用いられる発煙装備で点火装置が組み込まれて投擲や発射後に点火して発煙する。
「ゴホッ…ゴホッ…
どこだ…っ」
「チェックメイト」
煙が消えるとオリヴィエ中将の首にクナイが当てられていて、動けないようにクナイで軍服にも刺さっていた。
(音も気配もしなかった。
これがイシュヴァールの英雄か)
オリヴィエ中将はため息をつき、微かに笑いながら軍刀を放った。
「私の負けだ、マスタング大将。
無傷とは参ったな。
クナイ、どこに仕込んでた?」
「ベルトホルダーと軍靴」
「何本仕込んでたんだ」
「…オリヴィエ中将。
セクハラです。
捲らないでください。
10本しか仕込んでませんよ」
((…10本も仕込んでたら十分だよ))
「マスタング大将。
私よりもウェスト細くないか?」
オリヴィエ中将にタートルネックをベルトが見える程まで捲られた。
更には何故か腰を掴まれ、ロイは瞬時に離れた。
「すまん、思わず」
((猫…?))
「オリヴィエ中将。
人の息子にセクハラはしないでくれないか」
大総統の背に隠れてしがみつくロイに苦笑いしながらも大総統はオリヴィエ中将に注意する。
自分の行動に恥ずかしくなったのか、ロイはしがみついたままで大総統の背に顔を埋めていた。
-END-
2024.2.15
「オリヴィエ中将。
まだ帰ってなかったんですか」
「まだやり残したことがあってな」
「中尉はやれませんが」
「それは仕方なく諦めた」
「はぁ、そうですか」
「マスタング大将。
勝負を挑む!」
「はっ?
いつから国家錬金術師になったんですか?」
「国家錬金術師でなければ、挑んではいけないとは決まりはない」
「…それは国家錬金術師に挑む人が居ないからだと思いますが」
エドとは違う意味で厄介だなとロイはため息をつく。
「1対1で勝負はしたことがなかったからな」
「当たり前かと。
司令官2人が戦うなど。
貴方と戦う意味は私にありません」
「私が勝ったら貴様に忠誠を誓ってやろう」
「それが何の意味があるんですか。
私には不要です」
「私は“戦力”になるぞ。
女だからと手加減は不要だ」
「それは手加減などしませんが。
何の為に貴女は戦うんですか」
「上の者は私よりも強くないと気に食わないからな」
(一応は認めてくれてるんだよな。
いや、分からんな)
オリヴィエ中将に軍刀を向けられてロイは無表情で見つめる。
「アームストロング家はロイ・マスタングを支持をする」
「はっ?」
「貴族の者達が色々と煩いのだろう?
全員は騙させられないが、そういう戦力も必要ではないか?
長女である私だからこそ、動かせるものもある」
「…練習場の使用許可は?」
「既に大総統に許可されている」
(父様、面白がってるでしょう。
怪しいと思ったんだよ。
私だけに言わないで内密に進めていたのか)
ロイにバレるだろうと当日まで大総統はマスタング隊とヒューズ達には知らせなかったらしい。
「…父様。
どちらの味方なんですか。
面白がってるでしょう!」
「私はいつだって君の味方だよ。
だが、全力で君が戦えるなんてアームストロング中将くらいだろう?
鋼の錬金術師にでさえも、未成年というのもあって手加減していた。
君が発火布を破られたり、水を掛けられたりする訳がないだろうからね。
それに気づいてたのは君の副官とヒューズ中佐くらいだろう」
ザワつきにロイは不満を隠さず、大総統は微笑んで優しく頬を撫でた。
「鋼の錬金術師の負けず嫌いを利用して鍛えていたのだろうね。
お陰で彼は強くなったよ」
「それも無謀なせいで無駄になりましたよ」
「無駄ではない。
後悔はしてないだろう?」
「そう、ですね。
少なくとも私の手加減と演技は完璧だったと実感しました。
貴方にまで見抜かれているとは思いませんでしたよ」
「私は君の父だからね」
「そうですか」
ロイはふわりと微笑んで大総統に背を向けた。
「ルールは?」
「武器の使用は自由。
大怪我を負わせない。
軍服以外の服装も可能だ」
「錬金術は封じられるということですか?」
「そうでなければ、流石に君には有利過ぎるからな」
「承知しました」
「君は知らなかったし、準備して来るように。
10分で構わないか?」
「武器倉庫にも行くので」
「15分で準備するように」
「承知しました」
ロイは微かに笑みを浮かべて司令部の建物内に戻っていく。
ロイは軍服から着替えると武器倉庫に行って銃を手にして銃弾を詰めて装着する。
「お待たせしました」
「軍服を脱いだのか」
「身軽さ重視で」
ロイは黒のタートルネックと下は細身の黒のズボン、軍靴て腰には2丁の銃を装着していた。
「ライフルは持って来なかったのか」
「使い慣れた武器がいいので」
「あまり傷を作って来ないように」
「…気をつけます」
約束しないのがロイらしいなと大総統は苦笑いする。
発火布を始め、ドックタグ以外のピアスやアクセサリー類を大総統の前で外すと専用のケースに保管して鍵を掛けられた。
錬金術のものを持っていないかボディーチェックも兼ねて大総統の補佐官が行う。
オリヴィエ中将は錬金術を使用しないが、危険な武器を持っていないか女性軍人がボディーチェックをする。
「互いに問題なし。
マスタング大将、オリヴィエ中将。
位置に着いてください。
始めっ!」
ヒューズの掛け声と共にオリヴィエは速いスピードで走り、軍刀で振りかざして来る。
(速いな。
流石はブリッグズの北壁)
ロイは距離感を保ちながらオリヴィエ中将を見据える。
「この…っ、逃げ回るだけか!
貴様は小動物か!」
「オリヴィエ中将が相手なら誰もが小動物でしょうね」
「随分と余裕なようだな!」
「そう熱くならないでくださいよ」
「なっ!?」
肩に手を置かれ、飛び越えられて背に移動されたオリヴィエ中将は目を見開いた。
「面白い!
そうこないとな!」
「流石に普通にしては貴女には不利なようだ」
「2丁…?」
「楽しませてくださいよ。
弾いてくださいね、オリヴィエ中将」
ロイは着地して向き合うと両手に銃を手にし、連続で撃つ。
(速い!
銃弾が切れるのを待っていたが、替えるのも速いのか。
錬金術だけじゃないとは。
やはり、君は面白い)
オリヴィエ中将は軍刀で銃弾を弾きながら距離感を掴む。
(しまった!
発煙弾か)
発煙弾は手榴弾および砲弾として用いられる発煙装備で点火装置が組み込まれて投擲や発射後に点火して発煙する。
「ゴホッ…ゴホッ…
どこだ…っ」
「チェックメイト」
煙が消えるとオリヴィエ中将の首にクナイが当てられていて、動けないようにクナイで軍服にも刺さっていた。
(音も気配もしなかった。
これがイシュヴァールの英雄か)
オリヴィエ中将はため息をつき、微かに笑いながら軍刀を放った。
「私の負けだ、マスタング大将。
無傷とは参ったな。
クナイ、どこに仕込んでた?」
「ベルトホルダーと軍靴」
「何本仕込んでたんだ」
「…オリヴィエ中将。
セクハラです。
捲らないでください。
10本しか仕込んでませんよ」
((…10本も仕込んでたら十分だよ))
「マスタング大将。
私よりもウェスト細くないか?」
オリヴィエ中将にタートルネックをベルトが見える程まで捲られた。
更には何故か腰を掴まれ、ロイは瞬時に離れた。
「すまん、思わず」
((猫…?))
「オリヴィエ中将。
人の息子にセクハラはしないでくれないか」
大総統の背に隠れてしがみつくロイに苦笑いしながらも大総統はオリヴィエ中将に注意する。
自分の行動に恥ずかしくなったのか、ロイはしがみついたままで大総統の背に顔を埋めていた。
-END-
2024.2.15