第53話
夢小説設定
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これ以上はロイに聞いても無駄だと必要なことをヒューズが応えた。
「ジョギング10周の罰則の奴か?」
「おまっ、覚えてんのかよ!
変な覚え方してんなよ」
「罰則だけは」
「全部記憶してんの?」
「あぁ、おまえが騒いで教官に反省部屋に連れて行かれたのも」
「…忘れろ。
変なとこで暴露するなよ!」
「私の世話役の名目で出してやったんだからいいだろう?」
「もっと早く来て欲しかったが」
「私に友人はいなかった。
目撃してなかったし、把握が出来ただけでも感謝して欲しかった」
「それは…、うん。
悪かったよ」
「どんな奴か覚えてない。
顔は何となくは覚えてるけど」
「俺もそこまで親しくはなかったからな。
思い込みは激しかったが」
「ふぅ〜ん…」
「興味ないなら言うなよ」
ヒューズと雑談しながらロイは必要なことを書き込んでいた。
「…何だよ」
「目元、怪我したのか?」
「犯人が手榴弾を持ってた」
「士官学校卒なら仕組みも分かるだろうからな」
「製作してる痕はあったが。
流出の形成はなかった。
まぁ、消した可能性もゼロじゃない」
「おまえが珍しいな」
「空気の濃度が高かった。
私やセルシアの錬金術が結果的に封じられた。
自分達だけなら防御も出来るが、爆破したら大変だし」
「それって…」
「私の錬金術を封じようとしたんだろうな。
多少の知識はあったらしい」
「それ、言って良いのか?」
「完全にそれだけで封じられるものじゃない。
長期戦なら対策もあるし。
さっさと終わらせた方がいいかと」
「封じ込まれたように見せたのか?」
「まぁ、そんなもんだ」
「ほかの錬金術は?
使えたんだろ?」
「私達のは空気を操るし、市街だったから配慮したまで」
「また最前線で戦ってたのかよ」
「悪いか?」
「上官が、大将の地位ある奴が最前線に出るなよ!
おまえの戦闘技術なら後ろでも戦えるだろ」
「私が一番戦闘能力ある」
「それは分かってるが。
あ〜っ、もう…おまえに言うだけ無駄だな」
中尉に止められても結局は最前線に出てしまうのだろう。
「それでは失礼します」
「あぁ、助かったよ」
ヒューズは大総統に敬礼して会議室から出て行く。
「ロイ。
手榴弾を投げられたとは報告を受けてないが?」
「それは…っ」
「怪我したなら言いなさい」
「たいしたことないので」
「軽傷でも言いなさい」
「…はい」
「まずは報告が先だ。
話は軍議後に」
(だから、言わなかったのに。
失敗したな)
軽くため息をついてロイは大総統に淡々と報告する。
「それで?」
「はい?」
「君はどんな状況で怪我を?」
「手榴弾で床に落ちてたガラス破片で切りました。
数日すれば治ると」
医務室に連れ去られる羽目になるので最近のロイは自ら行くようになった。
負傷を自己申告しないので毎回ながら大総統に叱られている。
相変わらずだと将軍達は呆れながらも自分達は不要なので退室する。
大総統に優しく頬を撫でられ、ロイは見つめた。
「いつも言っているが、もっと自分を大切にしなさい。
君が思っている以上に君は大切にされているんだよ。
自覚がない訳ではないだろう?」
「…はい」
この話はおしまいだと大総統はロイの肩をポンポンと叩く。
大総統以外にロイを叱れるのはヒューズと中尉、マダムくらいだろう。
(叱られるうちが華、か。
グラマン中将が言ってた意味が今なら少し分かるかもしれない)
東方時代にはわりと自由にさせてもらっていたが、放任に見えながらもグラマン中将の穏やかな口調でロイは苦言も言われていたりもしていた。
(…今日は冷えるな。
珈琲とかよりも、確か材料があったはずだよな)
大総統の執務室の奥にある給水所でロイがゴソゴソしていても何かしているなと思うだけで誰も気にしない。
(…甘すぎなくていいな。
後でセルシアと中尉にも淹れてあげようか。
飲んだら仕事しよう)
自分の席に戻って資料は読みながらもわりとのんびり過ごせるようになった。
「…ロイ。
その飲み物は?」
「寒いのでアップルジンジャーティーを淹れました。
父様も飲みますか?」
「頂こうか」
((それで、ゴソゴソしてたのか))
茶葉以外も置かれているが、大総統に許可を貰っているので誰も注意しない。
大総統が自由に置いていいとロイに言っているのだ。
「あぁ、懐かしいな」
「飲んだことあります?」
「かなり昔だが、冬のマーケットの屋台で飲んだよ」
「クリスマスシーズンに?」
「多分、そうだろうな」
「ホットワインは?」
「飲んだことないな。
君は?」
「屋台のはありませんが。
自宅で作りますよ」
「ホットワインって、ワインを温めるだけじゃないんですか?」
「スパイスを入れるんだよ。
赤ワインとオレンジの皮やスパイスを入れて鍋で温めるんだ。
好みで蜂蜜とか入れてな」
「温まりそうですね」
「飲んだことないのか?」
「ワインの味、苦手なんですよ」
「あぁ、なるほど。
酒は飲まないんだっけ?」
「いえ…お酒はウィスキー派なんで。
好んで飲まないだけで嫌いではないんですよ」
「そういうことか」
「マスタング大将はワイン派で?」
「よく飲むのがワインだが。
バーや自宅で飲むならウィスキーだし、異国のお酒も飲むかな」
「君、余裕で10本を1人で開けて飲んでな。
それでも酔っ払うことないし」
「10本なら余裕ですね」
大総統は屋敷でロイに自由に飲ませていることも多い。
年代物のワインなど感想を言いながらロイは空にしていて、大総統はそれを楽しそうに眺めている。
以前は互いに丁寧な口調だったが、補佐官を始めとしてロイも少し砕けた口調になっている。
「ジョギング10周の罰則の奴か?」
「おまっ、覚えてんのかよ!
変な覚え方してんなよ」
「罰則だけは」
「全部記憶してんの?」
「あぁ、おまえが騒いで教官に反省部屋に連れて行かれたのも」
「…忘れろ。
変なとこで暴露するなよ!」
「私の世話役の名目で出してやったんだからいいだろう?」
「もっと早く来て欲しかったが」
「私に友人はいなかった。
目撃してなかったし、把握が出来ただけでも感謝して欲しかった」
「それは…、うん。
悪かったよ」
「どんな奴か覚えてない。
顔は何となくは覚えてるけど」
「俺もそこまで親しくはなかったからな。
思い込みは激しかったが」
「ふぅ〜ん…」
「興味ないなら言うなよ」
ヒューズと雑談しながらロイは必要なことを書き込んでいた。
「…何だよ」
「目元、怪我したのか?」
「犯人が手榴弾を持ってた」
「士官学校卒なら仕組みも分かるだろうからな」
「製作してる痕はあったが。
流出の形成はなかった。
まぁ、消した可能性もゼロじゃない」
「おまえが珍しいな」
「空気の濃度が高かった。
私やセルシアの錬金術が結果的に封じられた。
自分達だけなら防御も出来るが、爆破したら大変だし」
「それって…」
「私の錬金術を封じようとしたんだろうな。
多少の知識はあったらしい」
「それ、言って良いのか?」
「完全にそれだけで封じられるものじゃない。
長期戦なら対策もあるし。
さっさと終わらせた方がいいかと」
「封じ込まれたように見せたのか?」
「まぁ、そんなもんだ」
「ほかの錬金術は?
使えたんだろ?」
「私達のは空気を操るし、市街だったから配慮したまで」
「また最前線で戦ってたのかよ」
「悪いか?」
「上官が、大将の地位ある奴が最前線に出るなよ!
おまえの戦闘技術なら後ろでも戦えるだろ」
「私が一番戦闘能力ある」
「それは分かってるが。
あ〜っ、もう…おまえに言うだけ無駄だな」
中尉に止められても結局は最前線に出てしまうのだろう。
「それでは失礼します」
「あぁ、助かったよ」
ヒューズは大総統に敬礼して会議室から出て行く。
「ロイ。
手榴弾を投げられたとは報告を受けてないが?」
「それは…っ」
「怪我したなら言いなさい」
「たいしたことないので」
「軽傷でも言いなさい」
「…はい」
「まずは報告が先だ。
話は軍議後に」
(だから、言わなかったのに。
失敗したな)
軽くため息をついてロイは大総統に淡々と報告する。
「それで?」
「はい?」
「君はどんな状況で怪我を?」
「手榴弾で床に落ちてたガラス破片で切りました。
数日すれば治ると」
医務室に連れ去られる羽目になるので最近のロイは自ら行くようになった。
負傷を自己申告しないので毎回ながら大総統に叱られている。
相変わらずだと将軍達は呆れながらも自分達は不要なので退室する。
大総統に優しく頬を撫でられ、ロイは見つめた。
「いつも言っているが、もっと自分を大切にしなさい。
君が思っている以上に君は大切にされているんだよ。
自覚がない訳ではないだろう?」
「…はい」
この話はおしまいだと大総統はロイの肩をポンポンと叩く。
大総統以外にロイを叱れるのはヒューズと中尉、マダムくらいだろう。
(叱られるうちが華、か。
グラマン中将が言ってた意味が今なら少し分かるかもしれない)
東方時代にはわりと自由にさせてもらっていたが、放任に見えながらもグラマン中将の穏やかな口調でロイは苦言も言われていたりもしていた。
(…今日は冷えるな。
珈琲とかよりも、確か材料があったはずだよな)
大総統の執務室の奥にある給水所でロイがゴソゴソしていても何かしているなと思うだけで誰も気にしない。
(…甘すぎなくていいな。
後でセルシアと中尉にも淹れてあげようか。
飲んだら仕事しよう)
自分の席に戻って資料は読みながらもわりとのんびり過ごせるようになった。
「…ロイ。
その飲み物は?」
「寒いのでアップルジンジャーティーを淹れました。
父様も飲みますか?」
「頂こうか」
((それで、ゴソゴソしてたのか))
茶葉以外も置かれているが、大総統に許可を貰っているので誰も注意しない。
大総統が自由に置いていいとロイに言っているのだ。
「あぁ、懐かしいな」
「飲んだことあります?」
「かなり昔だが、冬のマーケットの屋台で飲んだよ」
「クリスマスシーズンに?」
「多分、そうだろうな」
「ホットワインは?」
「飲んだことないな。
君は?」
「屋台のはありませんが。
自宅で作りますよ」
「ホットワインって、ワインを温めるだけじゃないんですか?」
「スパイスを入れるんだよ。
赤ワインとオレンジの皮やスパイスを入れて鍋で温めるんだ。
好みで蜂蜜とか入れてな」
「温まりそうですね」
「飲んだことないのか?」
「ワインの味、苦手なんですよ」
「あぁ、なるほど。
酒は飲まないんだっけ?」
「いえ…お酒はウィスキー派なんで。
好んで飲まないだけで嫌いではないんですよ」
「そういうことか」
「マスタング大将はワイン派で?」
「よく飲むのがワインだが。
バーや自宅で飲むならウィスキーだし、異国のお酒も飲むかな」
「君、余裕で10本を1人で開けて飲んでな。
それでも酔っ払うことないし」
「10本なら余裕ですね」
大総統は屋敷でロイに自由に飲ませていることも多い。
年代物のワインなど感想を言いながらロイは空にしていて、大総統はそれを楽しそうに眺めている。
以前は互いに丁寧な口調だったが、補佐官を始めとしてロイも少し砕けた口調になっている。