第53話
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ロイはそれが中尉であっても部下達が絡まれているだけでは助けに行くことはない。
セルシアになると関係性があるので助けに行けるけれど。
それが暴力やセクハラになれば、助けに入るが、自分が毎回助けることが出来ないので成長も込めて見守っている。
(私の隊に居れば、目立って絡まれることも少ない。
そういう面ではハボックとブレダは交流がうまいからな。
ビュリーとファルマンは難しいかもしれん。
中尉も苦手な方だが、あの鋭い眼には敵わないらしいな。
私達以外には笑顔も滅多に見せないから誤解を招いているが。
そのイメージのお陰もあるか。
イシュヴァールの功績で怖がられているのもあるのだろうな。
私達すれば、それが功績なのか疑問は残るけれど)
ロイは壁に寄り掛かりながら気配を消している。
自分が助けに行った方が早くて、何よりも部下が傷ついている姿は見たいとも思わない。
「取り消してくださいっ!
僕が弱いのは事実ですが、マスタング大将はそれでも、大佐の頃から向き合ってくれている僕の上官です!」
(君、そんな声を出せたんだな。
自分のことで怒らずに。
私のことで怒ってくれるのか)
体格差も階級も異なる上官に歯向かうのは勇気がいるだろう。
「たとえ、殴られようとも僕は取り消しません。
ロイ・マスタング大将は卑怯なことはしません!」
上官に胸ぐらを掴まれてもフュリーは屈しなかった。
「ケイン・フュリー。
流石は私の部下だ」
「ま、マスタング大将!」
「どうも。
私の部下が何か?」
「あっ、いや…」
「私が部下に見ているのは戦闘能力だけではない。
個々の能力だ。
その手を離しなさい。
命じた方がいいか?」
「し、失礼しました!」
勢いよく軍服を離されてヒュリーは尻もちをついて転んだ。
「…マスタング大将」
「大丈夫か?
よくやったじゃないか」
「でも、僕は…っ」
「悔しいか?
そう思うならば、強くなれ。
強くなるしかないんだよ」
座り込んでいるフュリーにくしゃっと頭を撫でた。
実感があるからなのかロイの言葉には重みがある気がした。
情けないやら恥ずかしさで泣きそうになってヒュリーは俯いて唇を噛み締めていた。
「ほら、立ちなさい。
どうした?」
「…腰抜けました」
「ふはっ!
くくっ、すまない」
「うわぁっ!?」
「大人しくしてなさい」
「は、恥ずかしすぎる。
マスタング大将…面白がってません?」
「さあ…どうだろうね」
ロイにお姫様抱っこで運ばれているヒュリーは真っ赤になって両手で顔を覆っていた。
小柄なフュリーでも男としてのプライドがあるようだ。
それを分かったゆえでロイはお姫様抱っこしているのだが。
「「フュリー!」」
「…お姫様抱っこ」
「そこは突っ込まないでやれよ、ハボック」
「いや、思わず」
「マスタング大将。
フュリー准尉は怪我したのですか?」
((コレを見て平然としているのは中尉くらいだよな))
ロイに執務室のソファに降ろされて赤い顔でヒュリーはお礼を言う。
「佐官に絡まれてた。
フュリーは華奢で小柄な方だし、絡まれやすいからな。
気をつけてやるように」
「そうでしたか。
ありがとうございます」
「自分なりの対策を考えるしかないよ、フュリー。
強くなれ、ケイン・フュリー」
「…はい」
「戦闘能力だけが強さじゃない。
君はいろんなことを吸収が出来るんだよ」
くしゃっとロイは頭を撫で、考え込むヒュリーに苦笑いする。
「ほぅわ!?」
「おや、いい反応だ」
「マスタング大将。
あまり遊ばないであげてください」
「きっ、キス…っ」
「唇が良かったかね?」
「マスタング大将。
流石に可哀想っスよ」
ロイに額にキスされ、真っ赤になってフュリーが叫んだ。
苦笑いしながら中尉やハボックが止めに入る。
年齢差もあるが、純粋で可愛くて意地悪したくなる気持ちも分かる。
「冗談はここまでにして。
例の廃墟に調査に行くことになった」
「ま、まさか。
例の廃棄って」
「幽霊が出ると噂がある。
すまんな、君は留守にしてやりたかったんだが。
通信機器も必要でな」
声にならない叫びを上げるフュリーにロイ達は苦笑いする。
「ほ、本当に…出ませんよね?」
「フュリー。
上官の腕にしがみつく奴がいるか?」
「マスタング大将の隣が一番安全じゃないですか!」
「まぁ、そりゃ、そうだわな」
「マスタング大将。
諦めも肝心っスよ」
「意外とリーゼル大佐は平気なんですね」
『幽霊の存在を信じている国家錬金術師はほとんど居ないわよ』
「雷と停電さえ、なければ。
セルシアは問題ないぞ」
「だっ…て。
市民の皆さんが見たって」
「深夜でそれらしいのが見えたんだろうよ。
市民の全員が見た訳じゃないんだし」
フュリー以外は不気味だとは思うが、幽霊の存在は信じてない。
かと言って幽霊を信じ込んでいるフュリーを馬鹿にはしていない。
「ほわぁっ!」
「ちょっ、引っ張るな!
強風だから。
軍服が伸びるって」
((…上官を引っ張って行った))
テンパっているだけだが、ある意味で最強だとブレダとハボックは思う。
「幽霊の正体は君かね?」
「えっ?
幽霊じゃ…っ」
「「まだ信じてたのかよ!?」」
子供騙しの数々にフュリー以外は気づいていた。
セルシアになると関係性があるので助けに行けるけれど。
それが暴力やセクハラになれば、助けに入るが、自分が毎回助けることが出来ないので成長も込めて見守っている。
(私の隊に居れば、目立って絡まれることも少ない。
そういう面ではハボックとブレダは交流がうまいからな。
ビュリーとファルマンは難しいかもしれん。
中尉も苦手な方だが、あの鋭い眼には敵わないらしいな。
私達以外には笑顔も滅多に見せないから誤解を招いているが。
そのイメージのお陰もあるか。
イシュヴァールの功績で怖がられているのもあるのだろうな。
私達すれば、それが功績なのか疑問は残るけれど)
ロイは壁に寄り掛かりながら気配を消している。
自分が助けに行った方が早くて、何よりも部下が傷ついている姿は見たいとも思わない。
「取り消してくださいっ!
僕が弱いのは事実ですが、マスタング大将はそれでも、大佐の頃から向き合ってくれている僕の上官です!」
(君、そんな声を出せたんだな。
自分のことで怒らずに。
私のことで怒ってくれるのか)
体格差も階級も異なる上官に歯向かうのは勇気がいるだろう。
「たとえ、殴られようとも僕は取り消しません。
ロイ・マスタング大将は卑怯なことはしません!」
上官に胸ぐらを掴まれてもフュリーは屈しなかった。
「ケイン・フュリー。
流石は私の部下だ」
「ま、マスタング大将!」
「どうも。
私の部下が何か?」
「あっ、いや…」
「私が部下に見ているのは戦闘能力だけではない。
個々の能力だ。
その手を離しなさい。
命じた方がいいか?」
「し、失礼しました!」
勢いよく軍服を離されてヒュリーは尻もちをついて転んだ。
「…マスタング大将」
「大丈夫か?
よくやったじゃないか」
「でも、僕は…っ」
「悔しいか?
そう思うならば、強くなれ。
強くなるしかないんだよ」
座り込んでいるフュリーにくしゃっと頭を撫でた。
実感があるからなのかロイの言葉には重みがある気がした。
情けないやら恥ずかしさで泣きそうになってヒュリーは俯いて唇を噛み締めていた。
「ほら、立ちなさい。
どうした?」
「…腰抜けました」
「ふはっ!
くくっ、すまない」
「うわぁっ!?」
「大人しくしてなさい」
「は、恥ずかしすぎる。
マスタング大将…面白がってません?」
「さあ…どうだろうね」
ロイにお姫様抱っこで運ばれているヒュリーは真っ赤になって両手で顔を覆っていた。
小柄なフュリーでも男としてのプライドがあるようだ。
それを分かったゆえでロイはお姫様抱っこしているのだが。
「「フュリー!」」
「…お姫様抱っこ」
「そこは突っ込まないでやれよ、ハボック」
「いや、思わず」
「マスタング大将。
フュリー准尉は怪我したのですか?」
((コレを見て平然としているのは中尉くらいだよな))
ロイに執務室のソファに降ろされて赤い顔でヒュリーはお礼を言う。
「佐官に絡まれてた。
フュリーは華奢で小柄な方だし、絡まれやすいからな。
気をつけてやるように」
「そうでしたか。
ありがとうございます」
「自分なりの対策を考えるしかないよ、フュリー。
強くなれ、ケイン・フュリー」
「…はい」
「戦闘能力だけが強さじゃない。
君はいろんなことを吸収が出来るんだよ」
くしゃっとロイは頭を撫で、考え込むヒュリーに苦笑いする。
「ほぅわ!?」
「おや、いい反応だ」
「マスタング大将。
あまり遊ばないであげてください」
「きっ、キス…っ」
「唇が良かったかね?」
「マスタング大将。
流石に可哀想っスよ」
ロイに額にキスされ、真っ赤になってフュリーが叫んだ。
苦笑いしながら中尉やハボックが止めに入る。
年齢差もあるが、純粋で可愛くて意地悪したくなる気持ちも分かる。
「冗談はここまでにして。
例の廃墟に調査に行くことになった」
「ま、まさか。
例の廃棄って」
「幽霊が出ると噂がある。
すまんな、君は留守にしてやりたかったんだが。
通信機器も必要でな」
声にならない叫びを上げるフュリーにロイ達は苦笑いする。
「ほ、本当に…出ませんよね?」
「フュリー。
上官の腕にしがみつく奴がいるか?」
「マスタング大将の隣が一番安全じゃないですか!」
「まぁ、そりゃ、そうだわな」
「マスタング大将。
諦めも肝心っスよ」
「意外とリーゼル大佐は平気なんですね」
『幽霊の存在を信じている国家錬金術師はほとんど居ないわよ』
「雷と停電さえ、なければ。
セルシアは問題ないぞ」
「だっ…て。
市民の皆さんが見たって」
「深夜でそれらしいのが見えたんだろうよ。
市民の全員が見た訳じゃないんだし」
フュリー以外は不気味だとは思うが、幽霊の存在は信じてない。
かと言って幽霊を信じ込んでいるフュリーを馬鹿にはしていない。
「ほわぁっ!」
「ちょっ、引っ張るな!
強風だから。
軍服が伸びるって」
((…上官を引っ張って行った))
テンパっているだけだが、ある意味で最強だとブレダとハボックは思う。
「幽霊の正体は君かね?」
「えっ?
幽霊じゃ…っ」
「「まだ信じてたのかよ!?」」
子供騙しの数々にフュリー以外は気づいていた。