第52話
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結局は大総統が荷物を持っていて、ロイは振り回されている。
「もういい加減に帰りますよ」
「まだいいだろう?」
「視察は十分です」
「そうかね?」
「父様、疲れました。
帰りましょう」
「カフェに寄るか」
「違う、そうじゃない」
((…大変そうだな))
ロイはため息をついて、どうするべきかと頭を掻いた。
「むぅ…」
((この人、本当に30代か?))
(綺麗な顔の人は得だよな)
「僕と一緒に帰りましょう。
パパ、司令部に帰ろう?」
「…ロイ」
「はい?」
「ほかの奴にはするなよ」
「ふふっ、効果抜群ですね?」
「君…負けず嫌いだな」
ロイに腕を抱きつかれて顔を覗かれ、大総統は微かに頬を赤らめた。
満足そうに笑うロイに大総統は苦笑いしながらも司令部に帰って行く。
「マスタング大将。
自分の魅力を分かってますね」
「まぁ、溺愛する大総統にしか効果ないだろうけどな」
「また溺愛が加速するな」
「もう今更でしょう」
ロイに対する大総統のイメージは国民も軍も同じ認識の“溺愛”だ。
「また色々と貰ったな」
「結果的に」
「林檎、いい香りですね」
「食べ頃だろうな」
「…そうみたいだな」
「おまえさん、果物をそのままで食べるの少ないからな」
「どうやって食べてるんです?」
「林檎ならアップルパイやアップルタルトが多いが、丸いままで芯だけくり抜いて焼き林檎にもするかな。
バターたっぷりでシロップと。
あとは私ならブランデーだな。
作らんからな!
離せ、ヒューズ!」
「そう言うなって。
食いたくなるじゃんかよ」
「腰にしがみつくな!」
結局はロイは根負けして後日、ヒューズ達を招いてご馳走する羽目になるのだった。
「…どうぞ」
「アップルパイ?」
「林檎が余ったので。
一応は心配を掛けましたし。
お詫びも兼ねて」
「ありがとう」
無愛想な反応から照れているのだろうと大総統は微笑む。
「ほかの果物は何か作ったのかい?」
「…余った分はセルシアにジャムを作ってもらいました」
「君は手先が器用だね。
それはアイリスに似たのかもな」
「母も…、上手…でしたか?」
「料理が上手だったよ。
オムレツやアップルパイをよく作っていた」
ロイの得意料理でもあり、忘れていても記憶から完全には消えてないのかもしれない。
「無理しなくて良い。
望まないのならば、思い出さなくても良いんだよ」
「…はい」
複雑そうなロイの表情に大総統は優しく頭を撫でた。
『ロイさん…?』
先に帰っているはずなのに居ないなと思いながら部屋に入る。
(今日は天気が良いですからね。
気持ちよさそう)
日差しを浴びてロイがソファで眠っていて、セルシアはブランケットを掛けて隣に座った。
微かな重みを感じると足にセルシアの頭があった。
(…びっくりした。
いつの間にか寝ていたようだ)
ロイにブランケットが掛けられていて待っている最中に自分も寝てしまったのだろう。
(君といると、本当に飽きないよ)
愛しそうに見つめてロイは優しく頬を撫でた。
『ロイ、さん…』
「おはよう」
『私まで寝ちゃった』
「私も膝枕して欲しいな」
『ふぇ?』
自分が膝枕されていることに気づいて頬を赤らめた。
「…冗談だったんだけど」
『うん、知ってます。
お疲れ様です』
膝枕されて頭を撫でられ、ロイは苦笑いしながらもセルシアの髪に触れる。
寝転んだまま、クイッと引き寄せると唇にキスを交わす。
『…これだけ?』
「物足りないか?」
『寂しかった』
「ふふっ、おいで」
ぎゅうっと抱きつかれてロイはクスクスと笑う。
『…しないの?』
「君はしたいのかい?」
『そういう訳じゃないけど』
「たまにはいいかなと。
君、疲れてるだろう?」
『そうですけど』
「今日は沢山、君と話をしたいんだけれど」
『喜んで!』
分かりやすい反応にロイは笑って、セルシアの肩を抱いた。
(まぁ、こうなるだろうなと思っていたが。
期待を裏切らないな)
ベットに入って5分もしないうちに寝落ちしたセルシアに小さく笑う。
(怪しい部分もあるが。
まぁ、大人しく仕事しているのならば。
それでいいか)
軍議中に将軍達をチラッと見たが、書類に視線を移した。
半信半疑になるのは将軍達の過去の発言や行動から信頼しろと言うのが無理な話だろう。
(将軍等も葛藤しているのだろうな。
有能とは分かっていたが、それゆえに危機感と妬みを向けていた。
自分達が思っていた以上の優秀に、一回り以上年下に自分達が気づかないようにフォローしていたのだから。
さあ、君達はどう動くのだろうな。
また我が子を傷つけるようならば、切り捨てれば良いだけだ)
ロイは相手から何かしない限りは仲間以外には必要最低限で無関心だ。
(少しは手助けしてやるか。
将軍達ではなく、我が子の為に)
将軍達に視線を向けて大総統は微かに笑みを浮かべた。
「ロイ、君の意見は?」
「えっ?」
「もう君を邪魔する者はいない。
それならば、意見も構わないだろう。
当たり障りのない意見ではなくてね」
「…父様」
「賢い君のことだ。
プランもあるんじゃないのかね」
「プランとまではいきませんが。
とりあえず、予算が高過ぎますね。
国民はこういうことに敏感ですよ」
「削れないだろう」
「いいえ、まだ削れますよ?」
何を言っているんだとロイは不思議そうに見つめる。
「君と一緒にするな。
一般の軍はそこまで計算が得意ではないぞ。
次回の軍議まで予算は再計算するとして」
「次回で良かったのですか?」
「もう計算、していたのか」
妙なところでマイペースでズレている様子に大総統までも苦笑いする。
-END-
2024.2.11
「もういい加減に帰りますよ」
「まだいいだろう?」
「視察は十分です」
「そうかね?」
「父様、疲れました。
帰りましょう」
「カフェに寄るか」
「違う、そうじゃない」
((…大変そうだな))
ロイはため息をついて、どうするべきかと頭を掻いた。
「むぅ…」
((この人、本当に30代か?))
(綺麗な顔の人は得だよな)
「僕と一緒に帰りましょう。
パパ、司令部に帰ろう?」
「…ロイ」
「はい?」
「ほかの奴にはするなよ」
「ふふっ、効果抜群ですね?」
「君…負けず嫌いだな」
ロイに腕を抱きつかれて顔を覗かれ、大総統は微かに頬を赤らめた。
満足そうに笑うロイに大総統は苦笑いしながらも司令部に帰って行く。
「マスタング大将。
自分の魅力を分かってますね」
「まぁ、溺愛する大総統にしか効果ないだろうけどな」
「また溺愛が加速するな」
「もう今更でしょう」
ロイに対する大総統のイメージは国民も軍も同じ認識の“溺愛”だ。
「また色々と貰ったな」
「結果的に」
「林檎、いい香りですね」
「食べ頃だろうな」
「…そうみたいだな」
「おまえさん、果物をそのままで食べるの少ないからな」
「どうやって食べてるんです?」
「林檎ならアップルパイやアップルタルトが多いが、丸いままで芯だけくり抜いて焼き林檎にもするかな。
バターたっぷりでシロップと。
あとは私ならブランデーだな。
作らんからな!
離せ、ヒューズ!」
「そう言うなって。
食いたくなるじゃんかよ」
「腰にしがみつくな!」
結局はロイは根負けして後日、ヒューズ達を招いてご馳走する羽目になるのだった。
「…どうぞ」
「アップルパイ?」
「林檎が余ったので。
一応は心配を掛けましたし。
お詫びも兼ねて」
「ありがとう」
無愛想な反応から照れているのだろうと大総統は微笑む。
「ほかの果物は何か作ったのかい?」
「…余った分はセルシアにジャムを作ってもらいました」
「君は手先が器用だね。
それはアイリスに似たのかもな」
「母も…、上手…でしたか?」
「料理が上手だったよ。
オムレツやアップルパイをよく作っていた」
ロイの得意料理でもあり、忘れていても記憶から完全には消えてないのかもしれない。
「無理しなくて良い。
望まないのならば、思い出さなくても良いんだよ」
「…はい」
複雑そうなロイの表情に大総統は優しく頭を撫でた。
『ロイさん…?』
先に帰っているはずなのに居ないなと思いながら部屋に入る。
(今日は天気が良いですからね。
気持ちよさそう)
日差しを浴びてロイがソファで眠っていて、セルシアはブランケットを掛けて隣に座った。
微かな重みを感じると足にセルシアの頭があった。
(…びっくりした。
いつの間にか寝ていたようだ)
ロイにブランケットが掛けられていて待っている最中に自分も寝てしまったのだろう。
(君といると、本当に飽きないよ)
愛しそうに見つめてロイは優しく頬を撫でた。
『ロイ、さん…』
「おはよう」
『私まで寝ちゃった』
「私も膝枕して欲しいな」
『ふぇ?』
自分が膝枕されていることに気づいて頬を赤らめた。
「…冗談だったんだけど」
『うん、知ってます。
お疲れ様です』
膝枕されて頭を撫でられ、ロイは苦笑いしながらもセルシアの髪に触れる。
寝転んだまま、クイッと引き寄せると唇にキスを交わす。
『…これだけ?』
「物足りないか?」
『寂しかった』
「ふふっ、おいで」
ぎゅうっと抱きつかれてロイはクスクスと笑う。
『…しないの?』
「君はしたいのかい?」
『そういう訳じゃないけど』
「たまにはいいかなと。
君、疲れてるだろう?」
『そうですけど』
「今日は沢山、君と話をしたいんだけれど」
『喜んで!』
分かりやすい反応にロイは笑って、セルシアの肩を抱いた。
(まぁ、こうなるだろうなと思っていたが。
期待を裏切らないな)
ベットに入って5分もしないうちに寝落ちしたセルシアに小さく笑う。
(怪しい部分もあるが。
まぁ、大人しく仕事しているのならば。
それでいいか)
軍議中に将軍達をチラッと見たが、書類に視線を移した。
半信半疑になるのは将軍達の過去の発言や行動から信頼しろと言うのが無理な話だろう。
(将軍等も葛藤しているのだろうな。
有能とは分かっていたが、それゆえに危機感と妬みを向けていた。
自分達が思っていた以上の優秀に、一回り以上年下に自分達が気づかないようにフォローしていたのだから。
さあ、君達はどう動くのだろうな。
また我が子を傷つけるようならば、切り捨てれば良いだけだ)
ロイは相手から何かしない限りは仲間以外には必要最低限で無関心だ。
(少しは手助けしてやるか。
将軍達ではなく、我が子の為に)
将軍達に視線を向けて大総統は微かに笑みを浮かべた。
「ロイ、君の意見は?」
「えっ?」
「もう君を邪魔する者はいない。
それならば、意見も構わないだろう。
当たり障りのない意見ではなくてね」
「…父様」
「賢い君のことだ。
プランもあるんじゃないのかね」
「プランとまではいきませんが。
とりあえず、予算が高過ぎますね。
国民はこういうことに敏感ですよ」
「削れないだろう」
「いいえ、まだ削れますよ?」
何を言っているんだとロイは不思議そうに見つめる。
「君と一緒にするな。
一般の軍はそこまで計算が得意ではないぞ。
次回の軍議まで予算は再計算するとして」
「次回で良かったのですか?」
「もう計算、していたのか」
妙なところでマイペースでズレている様子に大総統までも苦笑いする。
-END-
2024.2.11