第52話
夢小説設定
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騙されたと思いながらも厳しい訓練にマリア・ロスは叫びそうになる。
「リーゼル大佐。
まだ未熟な面もあってご迷惑をお掛けすることもあるかと思いますが。
マリア・ロス少尉を宜しく頼みます」
『アームストロング少佐。
ありがとうございます』
「マリア・ロス少尉です!
誠心誠意、支えさせて頂きます」
『改めて宜しく頼みます』
「はっ!」
マリア・ロス少尉がセルシアの副官になった。
(やっと私達も嫌味から開放される。
また違うネタを見つけ出すんだろうけどな)
律儀にロイにも挨拶するロス少尉に苦笑いしながらも昔の中尉を思い出して懐かしくなった。
「慣れないうちは中尉に仕事内容を聞いてくれて構わないから」
「はっ!」
「君の上官は私ではないが」
「私の上官の憧れの方ですから」
「…セルシア」
『間違いではないでしょう?』
ため息をついて頭を抱えるロイに中尉達は苦笑いする。
(砂漠の臭い。
毎日のように嗅いでたはずなのに。
記憶に霧が掛かったような、そんな感覚がする)
大総統の後ろでイシュヴァールの地に踏み入れ、ロイは黙っていた。
イシュヴァールでもまだ安全地ではあるけれど。
「…ロイ。
大丈夫だ。
ゆっくり息を吐きなさい」
「は…ッ、父様…っ」
「大丈夫だから」
過去を思い出してフラッシュバックが起きてもおかしくはない。
「ゲホッ…ゲホッ…」
「大丈夫だ。
何も見なくて良い」
「はっ、あ…ッ」
大総統の軍服を弱々しく掴んで意識が遠のいてゆく。
(…ここは。
私はどうして…っ)
「マスタング大将。
気がつきましたかな」
「イシュヴァールの…っ」
「そう警戒なさらずとも。
何も致しません。
ブラッドレイ大総統。
気がついたようですよ」
「ロイ、目が覚めたか。
先程より顔色が良くなったな」
大総統に頭を撫でられ、少しだけ肩の力が抜けて先程のことを思い出す。
「思い出したか?」
「大変、失礼致しました」
「気にするな。
君の過去を配慮していなかった」
「いえ、私は…っ」
「大丈夫だ。
少し休みなさい。
熱帯夜にもやられたのだろう」
イシュヴァール側からの条件として対面は許可するが、安全面の配慮で大総統とロイ以外の軍人の待機。
中尉達は反発したが、最終的にロイに宥められて渋々ながら引き下がった。
ロイは錬金術に関するものは外されて大総統も軍刀を待機してる補佐官に預けた。
(ほとんど丸腰じゃねぇか。
補佐官としてロイは銃の所持は許可されたが)
ヒューズは不安そうに待機しながら時間が過ぎるのを感じていた。
体調は万全とはいかなかったが、対面には成功した。
「マスタング大将。
貴方を責めないとは言えません」
「…承知しております」
「結婚はしていますか?」
「いえ…、婚約は…しています」
「貴方のような人はどのくらい居るのでしょうね」
「えっ?」
「過去の出来事だと、イシュヴァールのことを忘れて。
我々の時間は奪われたままだ」
「……っ…」
「その責任は私にあります」
「貴方はどのくらいのイシュヴァールの人々を殺しましたか?
覚えていないでしょうね」
淡々とした口調ではあるが、執拗に責められても謝ることも出来ない。
謝罪しても奪われた命が蘇ることはないのだから。
「ロイ、大丈夫だ。
今日のとこは帰ろうか」
「…大総統」
「大丈夫だ。
また後日、対面させて頂きます。
互いに今は冷静ではない。
私も、貴方も」
イシュヴァールの長は何も発せず、大総統にロイは手を引かれて砂漠を歩く。
とても長い距離に感じてロイは何も言えなかった。
「大総統!
ご無事で何より、です」
「ロイ!」
「……っ…」
ヒューズの軍服を掴んでロイは声にならずに泣き崩れた。
「…ロイ。
大丈夫、大丈夫だ。
まだ始まってねぇよ。
ほら、ちゃんと息しろ。な?」
抱擁してヒューズはポンポンとロイの背を叩く。
「…ヒューズ。
何も言うな、忘れろ!」
「俺の胸に飛び込んで号泣したことか?」
「ヒューズ中佐。
あんた、鬼か」
真っ赤になって叫ぶロイに苦笑いしながら中尉達が宥めていた。
「…ロイ」
「何だよ!?」
「元気になったか。
錯乱したって泣いたっていい。
その為に俺等がいるんだよ」
「ヒューズ。
とりあえず、殴らせろ」
「何でそうなるんだよ!」
((自業自得だ))
本当に殴って床にヒューズを倒したロイに中尉達は苦笑い。
「…申し訳ありませんでした」
「構わないさ。
そう簡単な問題ではない。
対面も一歩だよ。
体調は大丈夫か?」
「良くはないですが」
「帰ったら休みなさい。
あまり考えすぎないように」
「はい、大総統」
大総統に1人にさせないようにと小声で言われて中尉は頷く。
この対面もアルに何度も足を運んでもらっての対面だった。
「また対面してもらえるでしょうか。
私のせいで…っ」
「対面するさ。
失ったものが多すぎる。
当たるものが君だったんだ」
「…っズ」
「私を責めると思っていたんだ。
すまなかった」
大総統に抱擁され、優しく頭を撫でられてロイは鼻を啜って頭を振ってしがみつくしか出来なかった。
(…戻って来たんだな。
この街並みを見て安心するとは思わなかったな)
軍車から街並みを黙って眺め、セルシアの手を握っていた。
「アルに頑張ってもらったのにな」
「まだこれからですよ。
少し休んでください」
イシュヴァール戦を知らないセルシアやハボック達は心配性ながらも何も言えずに見守っていた。
「リーゼル大佐。
まだ未熟な面もあってご迷惑をお掛けすることもあるかと思いますが。
マリア・ロス少尉を宜しく頼みます」
『アームストロング少佐。
ありがとうございます』
「マリア・ロス少尉です!
誠心誠意、支えさせて頂きます」
『改めて宜しく頼みます』
「はっ!」
マリア・ロス少尉がセルシアの副官になった。
(やっと私達も嫌味から開放される。
また違うネタを見つけ出すんだろうけどな)
律儀にロイにも挨拶するロス少尉に苦笑いしながらも昔の中尉を思い出して懐かしくなった。
「慣れないうちは中尉に仕事内容を聞いてくれて構わないから」
「はっ!」
「君の上官は私ではないが」
「私の上官の憧れの方ですから」
「…セルシア」
『間違いではないでしょう?』
ため息をついて頭を抱えるロイに中尉達は苦笑いする。
(砂漠の臭い。
毎日のように嗅いでたはずなのに。
記憶に霧が掛かったような、そんな感覚がする)
大総統の後ろでイシュヴァールの地に踏み入れ、ロイは黙っていた。
イシュヴァールでもまだ安全地ではあるけれど。
「…ロイ。
大丈夫だ。
ゆっくり息を吐きなさい」
「は…ッ、父様…っ」
「大丈夫だから」
過去を思い出してフラッシュバックが起きてもおかしくはない。
「ゲホッ…ゲホッ…」
「大丈夫だ。
何も見なくて良い」
「はっ、あ…ッ」
大総統の軍服を弱々しく掴んで意識が遠のいてゆく。
(…ここは。
私はどうして…っ)
「マスタング大将。
気がつきましたかな」
「イシュヴァールの…っ」
「そう警戒なさらずとも。
何も致しません。
ブラッドレイ大総統。
気がついたようですよ」
「ロイ、目が覚めたか。
先程より顔色が良くなったな」
大総統に頭を撫でられ、少しだけ肩の力が抜けて先程のことを思い出す。
「思い出したか?」
「大変、失礼致しました」
「気にするな。
君の過去を配慮していなかった」
「いえ、私は…っ」
「大丈夫だ。
少し休みなさい。
熱帯夜にもやられたのだろう」
イシュヴァール側からの条件として対面は許可するが、安全面の配慮で大総統とロイ以外の軍人の待機。
中尉達は反発したが、最終的にロイに宥められて渋々ながら引き下がった。
ロイは錬金術に関するものは外されて大総統も軍刀を待機してる補佐官に預けた。
(ほとんど丸腰じゃねぇか。
補佐官としてロイは銃の所持は許可されたが)
ヒューズは不安そうに待機しながら時間が過ぎるのを感じていた。
体調は万全とはいかなかったが、対面には成功した。
「マスタング大将。
貴方を責めないとは言えません」
「…承知しております」
「結婚はしていますか?」
「いえ…、婚約は…しています」
「貴方のような人はどのくらい居るのでしょうね」
「えっ?」
「過去の出来事だと、イシュヴァールのことを忘れて。
我々の時間は奪われたままだ」
「……っ…」
「その責任は私にあります」
「貴方はどのくらいのイシュヴァールの人々を殺しましたか?
覚えていないでしょうね」
淡々とした口調ではあるが、執拗に責められても謝ることも出来ない。
謝罪しても奪われた命が蘇ることはないのだから。
「ロイ、大丈夫だ。
今日のとこは帰ろうか」
「…大総統」
「大丈夫だ。
また後日、対面させて頂きます。
互いに今は冷静ではない。
私も、貴方も」
イシュヴァールの長は何も発せず、大総統にロイは手を引かれて砂漠を歩く。
とても長い距離に感じてロイは何も言えなかった。
「大総統!
ご無事で何より、です」
「ロイ!」
「……っ…」
ヒューズの軍服を掴んでロイは声にならずに泣き崩れた。
「…ロイ。
大丈夫、大丈夫だ。
まだ始まってねぇよ。
ほら、ちゃんと息しろ。な?」
抱擁してヒューズはポンポンとロイの背を叩く。
「…ヒューズ。
何も言うな、忘れろ!」
「俺の胸に飛び込んで号泣したことか?」
「ヒューズ中佐。
あんた、鬼か」
真っ赤になって叫ぶロイに苦笑いしながら中尉達が宥めていた。
「…ロイ」
「何だよ!?」
「元気になったか。
錯乱したって泣いたっていい。
その為に俺等がいるんだよ」
「ヒューズ。
とりあえず、殴らせろ」
「何でそうなるんだよ!」
((自業自得だ))
本当に殴って床にヒューズを倒したロイに中尉達は苦笑い。
「…申し訳ありませんでした」
「構わないさ。
そう簡単な問題ではない。
対面も一歩だよ。
体調は大丈夫か?」
「良くはないですが」
「帰ったら休みなさい。
あまり考えすぎないように」
「はい、大総統」
大総統に1人にさせないようにと小声で言われて中尉は頷く。
この対面もアルに何度も足を運んでもらっての対面だった。
「また対面してもらえるでしょうか。
私のせいで…っ」
「対面するさ。
失ったものが多すぎる。
当たるものが君だったんだ」
「…っズ」
「私を責めると思っていたんだ。
すまなかった」
大総統に抱擁され、優しく頭を撫でられてロイは鼻を啜って頭を振ってしがみつくしか出来なかった。
(…戻って来たんだな。
この街並みを見て安心するとは思わなかったな)
軍車から街並みを黙って眺め、セルシアの手を握っていた。
「アルに頑張ってもらったのにな」
「まだこれからですよ。
少し休んでください」
イシュヴァール戦を知らないセルシアやハボック達は心配性ながらも何も言えずに見守っていた。