第48話
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軍が大変なことは安易に想像がついたが、ロイは大総統のことは聞かなかった。
「…大総統」
「じっくりと私と話そうか。
それでは、借りて行くよ」
「お気をつけて」
「大総統、約束は守ってください。
大丈夫だ。
行って来い、ロイ」
戸惑いながらもロイはヒューズに背を押されて小さく頷くと大総統の元に向かう。
それが分かっていたから聞いても中尉もヒューズも詳しくは教えてくれなかったのかと納得した。
「あんな風に格好つけて別れたのに格好悪いな」
「ぶはっ!」
「やっと笑ってくれたな。
そういう表情をさせてしまっているのは私だけれど。
信頼させたのに裏切って傷つけてしまったのは本当にすまなかった。
家内にも叱られたよ」
「奥様…?」
「自分はそういう覚悟もあるけれど、君は違うと。
勝手に近づいて信頼させたくせに傷つけるものではないとビンタされたよ」
「大総統にそんなことが出来るのは奥様だけですね」
「君も叩くかね?」
「はぁ?」
「君にはその資格があるよ」
「それなら、思いっきり、ぶん殴りますが?」
「…それは許してくれ。
君、細身のわりに力あるからね」
ロイは肩の力を抜き、微かに笑みを浮かべた。
「約束とは?」
「君に暴言でも拒絶されても受け入れることを提案された。
それくらいのことをしたんだと。
ホークアイ中尉には“マスタング中将が仮に許しても私は貴方を許しません”と睨まれて宣言されたよ。
良い補佐官だ」
「あげませんよ」
「ははっ、分かっているよ。
私にも優秀な補佐官がいるからね」
軽口を叩けるくらいに少しは安堵してくれたようだ。
「正直、分かりません。
貴方を恨んではいませんが。
今までのように信頼が出来るのかと言われると…」
「分かっている。
本当にすまないことをしたと思っているよ」
大総統に頭を下げて謝られてロイは見つめ、目を反らした。
それに答えてしまえば、許してしまうことは分かっていたから。
「貴方は勝手だ。
甘やかすだけ、甘やかして。
傍に居て欲しい時だけ…、居ないのだから!
戦力なんてどうだっていい!
あちら側に…、貴方に立っていて欲しくなんてなかった!」
「…すまない」
「どんな思いで…、私が貴方を見ていたと!
貴方の言葉の数々が表情が思い出されて辛かった!
その言葉さえも偽物なのかと。
貴方の仲間を撃ち殺した私を恨みますか?
それとも、切りますか?」
「そんなことしないよ。
否、出来る訳が無いだろう。
恨んだりせんよ」
「…貴方に名を呼んで欲しかった。
本当に別れたんだと。
自覚する現実が、酷く冷たく感じた」
ロイは肩を震わせながら大総統に抱き締められ、その軍服を掴んだ。
ロイの嗚咽が溢れ、大総統は背をポンポンと叩く。
「父様…っ」
「あぁ、傍に居るよ」
「もう裏切りませんか?」
「君のことは裏切らんよ」
「ふはっ!
誰のことを裏切るつもりですか」
大総統に涙を指で拭われ、ロイは微かに頬を赤らめた。
「軍はどうなっているんですか。
彼等は私を信じてついて来てくれただけです。
どうか、処分なら私を」
「君達は発言異なっても、似ているかもしれんな。
アームストロング少将も言ってた」
「…そうですか」
「クーデターで国民を傷つけていた訳では無い」
「だとしても…っ」
「私は大総統として復帰する。
クーデターに関しては処分しない訳にはいかない。
後日、処分を言い渡す」
「…はい。
覚悟しております」
「私に関しては大総統として指揮を取るわけでもなく、事情があったとして、それは理由にはならない。
疑いはあっても仲間だった証拠もないから不問になった」
疑うようなロイの視線に大総統は苦笑いしてしまう。
「5年間の減給。
大総統だからと言って何もしない訳にはいかない」
「…オリヴィエ少将は?」
「司令部で大暴れしていたからね。
怪我人も少なくはない」
オリヴィエ少将は司令官としての責任として北の司令部の自宅で1ヶ月の謹慎と罪人の更生。
「罪人の更生…?」
「勿論、罪は償ってもらうが。
彼の環境を配慮して、身元引受をオリヴィエ少将に一任することにした」
「まさか…っ」
「反対意見もあるだろう。
君も協力してくれるか?」
「…スカー。
彼は加害者ではありますが、軍に翻弄された被害者ですから」
「あぁ、そうだな」
「以前に話していた“作戦”は人柱も含めてイシュヴァールも?」
「…それが私に与えられた任務だった」
「そんな作戦のせいで!
どれだけの命が!
そんな、くだらないことで!」
「そう思える君は幸せな環境で育ったのだろう。
私も人造人間だとしたら?」
「父様が…、人造人間?」
鞘から抜いたのも見えない速さで首元に当てられた軍刀にロイは息を飲む。
ロイは大総統を見つめ、そっと静かに目を閉じた。
「私の命にその価値があるのならば。
命乞いなど、私はしない。
イシュヴァールの民の未来を奪った私に、そのような資格はない。
それでも私は憤りよりも、父様の秘密を知れて嬉しかったです」
「君は本当に…っ」
軍刀を首から離されてロイは不思議そうに見つめた。
「君を傷つけないと約束したからね。
君には適わないよ」
「どうか最期まで、その秘密は胸に仕舞い込んでください」
「あぁ、分かっているよ」
ふわりと微笑んで立ち上がるロイに大総統は苦笑いする。
「「マスタング中将!」」
「怪我はしていませんか?」
「…大丈夫だ」
「私は信頼されてないようだな」
「あんな裏切り方していれば、当然では?」
怪我の確認された上でお風呂に入るように言われているロイにヒューズは苦笑いしながら見守っていた。
「…大総統」
「じっくりと私と話そうか。
それでは、借りて行くよ」
「お気をつけて」
「大総統、約束は守ってください。
大丈夫だ。
行って来い、ロイ」
戸惑いながらもロイはヒューズに背を押されて小さく頷くと大総統の元に向かう。
それが分かっていたから聞いても中尉もヒューズも詳しくは教えてくれなかったのかと納得した。
「あんな風に格好つけて別れたのに格好悪いな」
「ぶはっ!」
「やっと笑ってくれたな。
そういう表情をさせてしまっているのは私だけれど。
信頼させたのに裏切って傷つけてしまったのは本当にすまなかった。
家内にも叱られたよ」
「奥様…?」
「自分はそういう覚悟もあるけれど、君は違うと。
勝手に近づいて信頼させたくせに傷つけるものではないとビンタされたよ」
「大総統にそんなことが出来るのは奥様だけですね」
「君も叩くかね?」
「はぁ?」
「君にはその資格があるよ」
「それなら、思いっきり、ぶん殴りますが?」
「…それは許してくれ。
君、細身のわりに力あるからね」
ロイは肩の力を抜き、微かに笑みを浮かべた。
「約束とは?」
「君に暴言でも拒絶されても受け入れることを提案された。
それくらいのことをしたんだと。
ホークアイ中尉には“マスタング中将が仮に許しても私は貴方を許しません”と睨まれて宣言されたよ。
良い補佐官だ」
「あげませんよ」
「ははっ、分かっているよ。
私にも優秀な補佐官がいるからね」
軽口を叩けるくらいに少しは安堵してくれたようだ。
「正直、分かりません。
貴方を恨んではいませんが。
今までのように信頼が出来るのかと言われると…」
「分かっている。
本当にすまないことをしたと思っているよ」
大総統に頭を下げて謝られてロイは見つめ、目を反らした。
それに答えてしまえば、許してしまうことは分かっていたから。
「貴方は勝手だ。
甘やかすだけ、甘やかして。
傍に居て欲しい時だけ…、居ないのだから!
戦力なんてどうだっていい!
あちら側に…、貴方に立っていて欲しくなんてなかった!」
「…すまない」
「どんな思いで…、私が貴方を見ていたと!
貴方の言葉の数々が表情が思い出されて辛かった!
その言葉さえも偽物なのかと。
貴方の仲間を撃ち殺した私を恨みますか?
それとも、切りますか?」
「そんなことしないよ。
否、出来る訳が無いだろう。
恨んだりせんよ」
「…貴方に名を呼んで欲しかった。
本当に別れたんだと。
自覚する現実が、酷く冷たく感じた」
ロイは肩を震わせながら大総統に抱き締められ、その軍服を掴んだ。
ロイの嗚咽が溢れ、大総統は背をポンポンと叩く。
「父様…っ」
「あぁ、傍に居るよ」
「もう裏切りませんか?」
「君のことは裏切らんよ」
「ふはっ!
誰のことを裏切るつもりですか」
大総統に涙を指で拭われ、ロイは微かに頬を赤らめた。
「軍はどうなっているんですか。
彼等は私を信じてついて来てくれただけです。
どうか、処分なら私を」
「君達は発言異なっても、似ているかもしれんな。
アームストロング少将も言ってた」
「…そうですか」
「クーデターで国民を傷つけていた訳では無い」
「だとしても…っ」
「私は大総統として復帰する。
クーデターに関しては処分しない訳にはいかない。
後日、処分を言い渡す」
「…はい。
覚悟しております」
「私に関しては大総統として指揮を取るわけでもなく、事情があったとして、それは理由にはならない。
疑いはあっても仲間だった証拠もないから不問になった」
疑うようなロイの視線に大総統は苦笑いしてしまう。
「5年間の減給。
大総統だからと言って何もしない訳にはいかない」
「…オリヴィエ少将は?」
「司令部で大暴れしていたからね。
怪我人も少なくはない」
オリヴィエ少将は司令官としての責任として北の司令部の自宅で1ヶ月の謹慎と罪人の更生。
「罪人の更生…?」
「勿論、罪は償ってもらうが。
彼の環境を配慮して、身元引受をオリヴィエ少将に一任することにした」
「まさか…っ」
「反対意見もあるだろう。
君も協力してくれるか?」
「…スカー。
彼は加害者ではありますが、軍に翻弄された被害者ですから」
「あぁ、そうだな」
「以前に話していた“作戦”は人柱も含めてイシュヴァールも?」
「…それが私に与えられた任務だった」
「そんな作戦のせいで!
どれだけの命が!
そんな、くだらないことで!」
「そう思える君は幸せな環境で育ったのだろう。
私も人造人間だとしたら?」
「父様が…、人造人間?」
鞘から抜いたのも見えない速さで首元に当てられた軍刀にロイは息を飲む。
ロイは大総統を見つめ、そっと静かに目を閉じた。
「私の命にその価値があるのならば。
命乞いなど、私はしない。
イシュヴァールの民の未来を奪った私に、そのような資格はない。
それでも私は憤りよりも、父様の秘密を知れて嬉しかったです」
「君は本当に…っ」
軍刀を首から離されてロイは不思議そうに見つめた。
「君を傷つけないと約束したからね。
君には適わないよ」
「どうか最期まで、その秘密は胸に仕舞い込んでください」
「あぁ、分かっているよ」
ふわりと微笑んで立ち上がるロイに大総統は苦笑いする。
「「マスタング中将!」」
「怪我はしていませんか?」
「…大丈夫だ」
「私は信頼されてないようだな」
「あんな裏切り方していれば、当然では?」
怪我の確認された上でお風呂に入るように言われているロイにヒューズは苦笑いしながら見守っていた。