第46話
夢小説設定
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所々が染みて以外に怪我しているんだなとロイは実感する。
(倒された時にだろうな。
砂だらけだ。
砂漠に行った訳じゃないんだが)
ため息をついてロイはタオルで身体を拭くとシャツを手にする。
「髪、濡れたままで着るなよ」
「どうせ乾くだろ」
「濡れて風邪引くぞ」
ヒューズに呆れながらも髪を拭かれてロイは苦笑いした。
「おまえさん、自分では拭かねぇのか?」
「…拭かれる方が多いな。
おまえにまで拭かれるとは思わなかったけど」
「別に初めてじゃないだろ」
「…ん」
「リーゼル大佐や大総統か?」
「あとは中尉だな」
「あまり世話掛けるなよ」
「分かってるよ」
(本当に自覚してんのか怪しいな。
身を任せて無防備だし。
信頼してくれるんだろうが、こういうとこは一人っ子だな)
当人達は色々と言っていてもマダムにこういうとこは甘やかされていたのかもしれないなとヒューズは思う。
「ほれ、出来たぞ」
「ありがとう」
「髪のセットは自分でやれよ」
「分かっているよ」
髪を整えると心配なのでロイは執務室に向かう。
「中尉、どうだった?」
「数週間で直るだろうと。
出血は酷かったですが、傷口はそこまで深くないようです」
「…そうか。
無理はするなよ。
違和感はないか?」
「多少の違和感はありますが」
「言いづらいとかは?」
「特にありません」
「それならいいが。
何かあれば言えよ」
「ありがとうございます」
中尉に対しては特に過保護だなと思いながらも言葉にしない。
「マスタング中将。
器用ですね」
「整えるくらいなら。
でも、プロではないからな。
美容室には行けよ」
『大丈夫ですよ』
セルシアの髪がギザギザになっているのでロイが整えていた。
「オリヴィエ少将。
これは?」
「不動産の物件だ」
「それは見れば分かりますよ」
「持ち家しかないだろう」
「別にどこも行きませんし、必要ないですよ」
「そうはいかないだろう」
「…将軍達の仕業ですか」
「面倒事を押し付けやがって。
切りつけてやりたかった」
「そうしなかったのは珍しいですね」
「貴様は私を何だと思っているんだ。
冗談はともかく、おまえは私よりも地位が高い。
貴族ではなくとも別荘なり、持つのは必要なんだよ」
「必要ないんですけどね」
「隠れ屋と思えば良い」
「…なるほど」
「嫌味はあるだろうが。
考え方次第だ。
何かあった時の為にな」
「貴方からアドバイスを頂けるとは思いませんでしたよ」
「必要だと思ったからな。
あんなんでも弟だ。
世話になっているようだ」
「世話という程ではありませんよ」
「あいつは…、本来は軍にいるべきではない。
気弱すぎるんだ」
「…心配ですか?」
「まさか。
そんな生半可に鍛えてないさ」
オリヴィエの笑みに信じているんだろうなと見つめた。
オリヴィエを使ってまで来るとは思わなくてロイは苦笑いする。
「今は必要ないと思っていますが。
考えときますよ」
「おまえも強情だな」
「私達には錬金術がありますから」
『建てようと思えば、出来ますよ。
得意分野ではないですけど』
「…便利なのかわからないな。
破壊してる姿しか見てない」
「アームストロング少佐が例外過ぎるんですよ」
「やはり、そうか」
実姉にも納得されているアームストロングに苦笑いしてしまう。
少しは認めてくれたのだろうなと思いながらもそれを言葉にはしない。
「アームストロング少佐を信じているんですね」
「誰があんな弟を!」
「オリヴィエ少将が一番上でしたね」
「さっきから何なんだ」
「私には兄弟が居ないもので。
どんなものかと」
「私も一人っ子ですよ」
『はい、同じく』
「…一人っ子率が高くないか?」
「この3人だけですよ」
「両親を亡くして一人っ子だからなぁ〜」
「笑えませんよ、マスタング中将」
「私は別に平気ですけど」
『もう今更ですよね』
ハボック達は顔を引きつられていてオリヴィエがため息をつく。
「そんなに良いものでない。
あの暑苦しい弟が常に家にいることを想像してみろ」
「確かに。
じゃなくて、実姉が暑苦しいって」
「暑苦しいものは暑苦しいだろう」
微かに笑ってオリヴィエはロイの淹れた珈琲を飲む。
「こんなことをずっとしているのか。
物好きだな」
「趣味みたいなものだ」
「…平和だな」
「まぁ、そうですね。
北方や東方に比べたら」
「比較するとこが極端だろう」
「いつまで滞在を?」
「父母に来いとも言われてるし、妹にも会いたいからな」
「たまにはのんびりして来ては如何ですか。
信頼の出来る部下に託して来たのでしょう?」
「…君はのんびり過ぎでは?」
「焦っても良いことは起きません。
じっくりと待っていますよ」
どこまで本気なんだかとオリヴィエはため息をついて冷ややかな眼でロイを見つめる。
『綺麗な星は魅力的ですね』
「それなら、ウィンリィの田舎に行けばいいだろう」
『ふふっ…そうですね。
平和になったら別荘を買って楽しむのも悪くないかと。
中尉やヒューズ中佐も呼んで』
「何人呼ぶつもりだ。
だが、悪くないな」
後ろからセルシアに抱き締められてロイは手を握り、ふわりと微笑んだ。
『絶対に平和になりますよ。
貴方がいるんですから』
「ふは…っ」
思わず、ロイは吹き出してセルシアに頭を預けた。
所構わず甘い雰囲気を垂れ流している様子にオリヴィエは何度目か、ため息をついた。
(倒された時にだろうな。
砂だらけだ。
砂漠に行った訳じゃないんだが)
ため息をついてロイはタオルで身体を拭くとシャツを手にする。
「髪、濡れたままで着るなよ」
「どうせ乾くだろ」
「濡れて風邪引くぞ」
ヒューズに呆れながらも髪を拭かれてロイは苦笑いした。
「おまえさん、自分では拭かねぇのか?」
「…拭かれる方が多いな。
おまえにまで拭かれるとは思わなかったけど」
「別に初めてじゃないだろ」
「…ん」
「リーゼル大佐や大総統か?」
「あとは中尉だな」
「あまり世話掛けるなよ」
「分かってるよ」
(本当に自覚してんのか怪しいな。
身を任せて無防備だし。
信頼してくれるんだろうが、こういうとこは一人っ子だな)
当人達は色々と言っていてもマダムにこういうとこは甘やかされていたのかもしれないなとヒューズは思う。
「ほれ、出来たぞ」
「ありがとう」
「髪のセットは自分でやれよ」
「分かっているよ」
髪を整えると心配なのでロイは執務室に向かう。
「中尉、どうだった?」
「数週間で直るだろうと。
出血は酷かったですが、傷口はそこまで深くないようです」
「…そうか。
無理はするなよ。
違和感はないか?」
「多少の違和感はありますが」
「言いづらいとかは?」
「特にありません」
「それならいいが。
何かあれば言えよ」
「ありがとうございます」
中尉に対しては特に過保護だなと思いながらも言葉にしない。
「マスタング中将。
器用ですね」
「整えるくらいなら。
でも、プロではないからな。
美容室には行けよ」
『大丈夫ですよ』
セルシアの髪がギザギザになっているのでロイが整えていた。
「オリヴィエ少将。
これは?」
「不動産の物件だ」
「それは見れば分かりますよ」
「持ち家しかないだろう」
「別にどこも行きませんし、必要ないですよ」
「そうはいかないだろう」
「…将軍達の仕業ですか」
「面倒事を押し付けやがって。
切りつけてやりたかった」
「そうしなかったのは珍しいですね」
「貴様は私を何だと思っているんだ。
冗談はともかく、おまえは私よりも地位が高い。
貴族ではなくとも別荘なり、持つのは必要なんだよ」
「必要ないんですけどね」
「隠れ屋と思えば良い」
「…なるほど」
「嫌味はあるだろうが。
考え方次第だ。
何かあった時の為にな」
「貴方からアドバイスを頂けるとは思いませんでしたよ」
「必要だと思ったからな。
あんなんでも弟だ。
世話になっているようだ」
「世話という程ではありませんよ」
「あいつは…、本来は軍にいるべきではない。
気弱すぎるんだ」
「…心配ですか?」
「まさか。
そんな生半可に鍛えてないさ」
オリヴィエの笑みに信じているんだろうなと見つめた。
オリヴィエを使ってまで来るとは思わなくてロイは苦笑いする。
「今は必要ないと思っていますが。
考えときますよ」
「おまえも強情だな」
「私達には錬金術がありますから」
『建てようと思えば、出来ますよ。
得意分野ではないですけど』
「…便利なのかわからないな。
破壊してる姿しか見てない」
「アームストロング少佐が例外過ぎるんですよ」
「やはり、そうか」
実姉にも納得されているアームストロングに苦笑いしてしまう。
少しは認めてくれたのだろうなと思いながらもそれを言葉にはしない。
「アームストロング少佐を信じているんですね」
「誰があんな弟を!」
「オリヴィエ少将が一番上でしたね」
「さっきから何なんだ」
「私には兄弟が居ないもので。
どんなものかと」
「私も一人っ子ですよ」
『はい、同じく』
「…一人っ子率が高くないか?」
「この3人だけですよ」
「両親を亡くして一人っ子だからなぁ〜」
「笑えませんよ、マスタング中将」
「私は別に平気ですけど」
『もう今更ですよね』
ハボック達は顔を引きつられていてオリヴィエがため息をつく。
「そんなに良いものでない。
あの暑苦しい弟が常に家にいることを想像してみろ」
「確かに。
じゃなくて、実姉が暑苦しいって」
「暑苦しいものは暑苦しいだろう」
微かに笑ってオリヴィエはロイの淹れた珈琲を飲む。
「こんなことをずっとしているのか。
物好きだな」
「趣味みたいなものだ」
「…平和だな」
「まぁ、そうですね。
北方や東方に比べたら」
「比較するとこが極端だろう」
「いつまで滞在を?」
「父母に来いとも言われてるし、妹にも会いたいからな」
「たまにはのんびりして来ては如何ですか。
信頼の出来る部下に託して来たのでしょう?」
「…君はのんびり過ぎでは?」
「焦っても良いことは起きません。
じっくりと待っていますよ」
どこまで本気なんだかとオリヴィエはため息をついて冷ややかな眼でロイを見つめる。
『綺麗な星は魅力的ですね』
「それなら、ウィンリィの田舎に行けばいいだろう」
『ふふっ…そうですね。
平和になったら別荘を買って楽しむのも悪くないかと。
中尉やヒューズ中佐も呼んで』
「何人呼ぶつもりだ。
だが、悪くないな」
後ろからセルシアに抱き締められてロイは手を握り、ふわりと微笑んだ。
『絶対に平和になりますよ。
貴方がいるんですから』
「ふは…っ」
思わず、ロイは吹き出してセルシアに頭を預けた。
所構わず甘い雰囲気を垂れ流している様子にオリヴィエは何度目か、ため息をついた。