第45話
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執務室に顔を出すとハボック達にも安堵され、心配掛けていたんだなと実感してしまう。
「大総統。
おはようございます」
「おはよう。
今日は顔色が良いようだな」
「…はい。
ご心配お掛けしました」
「美容室に行ったのか?」
「いえ、セルシアにされただけですが」
「そうか」
セルシアが言ったようにロイはいつも以上に髪の艶もあって磨きが掛かっているようだ。
「いい香りがするな。
香水とは違うようだが」
「香りが強いですか?」
「いや、そうではない。
いつもの香水と違うから」
「…昨夜の香りかと。
セルシアにボディークリームを塗られまして」
「くくっ、なるほどな」
ロイは自分の腕を嗅いで絡まれるかなと苦笑いする。
「君も婚約者には弱いんだな。
わりと好きにさせていると言った方が正しいか?」
「嫌ではないですからね」
「深い夜を過ごしたのかと」
「首元を見ないでください。
セルシアは夜勤でしたし、そこまでハードなことは滅多にしませんよ」
「滅多に、ねぇ…。
気分が乗ればするのか」
「そういう意味ではありません」
「あまり意地悪してやるな」
補佐官に揶揄られ、苦笑いした閣下に止められた。
「少し外の空気を吸って来ます」
「一緒に行くか?」
「大丈夫ですよ」
「絡まれないようにな」
「…気をつけます」
1人で移動しないように言われているが、ロイはたまにこうして執務室から出ることがある。
「大丈夫そうだな。
でも、無理はするなよ」
「分かってるよ」
くしゃっとヒューズに頭を撫でられ、ロイは不満顔で見つめる。
「随分と綺麗にされたな」
「んぁ?」
「リーゼル大佐だろ」
「…それ以外に居ないだろう。
何しに来たんだよ」
「コレを持って行くように上官に言われてな」
顔を歪めながら書類を見たロイは深いため息をつく。
「…ヒューズ中佐」
「俺は関わってないぞ。
“上官”に持って行くように言われただけだ。
内容は聞いていいのか?」
「適当な理由をつけて、私に面倒な仕事を押し付けているだけだよ。
どっちが上なのか分からんな」
壁に寄り掛かりながらロイは小声でヒューズと話している。
「今度は何だ?」
「…春の講習」
「あぁ〜、そんな時期か。
別に苦手ではないだろう?」
「面倒ではあるが。
知名度や人気だからと理由にされて。
私は別に自ら、そうした訳でも目立ちたい訳でもないのに」
「まぁまぁ。
これくらいならいいじゃねぇか」
「成功したら成功したで、グチグチと言いたいだけだろう?
分かるか、この気持ちが」
怒りを抑えながら小声で話すロイにヒューズは宥めながら肩をポンポンと叩く。
結局は自分が上になってもこういう手抜きはしないんだろうなとヒューズはロイの後ろ姿を見送る。
「マスタング中将!
どこに何をしに行っていたのですか!?」
「…中尉」
「敷地内だろうと貴方は…っ」
過去に敷地内で将軍達の罠に掛かり、拉致されたので中尉の反応も理解が出来る。
「分かっているよ。
ヒューズと会って少し話していただけだ」
不満そうに険しい顔になる中尉にロイは苦笑いする。
「そう、でしたか。
必要な書類は机の上に置いておきましたのでご確認を。
何度も言っていますが、お1人で出歩かないように!」
「出来るだけ気をつけるよ」
「マスタング中将!
貴方はご自分の立場を分かっていますか!?」
「分かっているさ、嫌になるくらいにね」
「…失礼しました」
「ちょっとした息抜きだよ。
中尉、必要な資料が抜けてる。
この字はハボックだな」
「申し訳ありません」
「特にハボックのは確認が必要なようだな」
確認しながら中尉に書類を返し、中尉がそれを見て頷いた。
「何度も言っているんだがなぁ〜。
事件や事故の報告書も多いから仕方ないか」
「こちらでも注意と確認を徹底しておきます」
「あぁ、よろしく頼むよ。
あまり厳しくするなよ」
「多少の厳しさも必要では?」
ロイは肩を竦めて苦笑いし、執務室で叱られるだろうハボックが浮かんだ。
「それでは、失礼します。
何かあれば呼んでください」
「分かったよ」
「マスタング中将。
ちょっと失礼します」
「ん…?」
「ピアス、少し緩くなってますよ」
中尉がロイの耳に触れて錬金陣の彫られているピアスを付け直す。
「あぁ、すまないね。
ありがとう」
「はい。
失礼しました」
敬礼をして中尉が大総統の執務室から出て行った。
普通なら失礼になる行為だが、中尉とロイだからなと補佐官達もあまり気にしなくなっている。
「失礼します。
あの、マスタング中将。
居ますか?」
「…アルフォンス?
どうやってここまで。
鋼のは一緒じゃないのか?」
「失礼承知ですみません!
預かってください!
あの、失礼しますっ!」
「ちょっ…説明…っ」
ヒューズの部下に連れて来られたアルはロイに渡して逃げて行く。
「ロイ、戻っていたのか」
「大総統」
「…君は家出の少年か?
猫を抱えて何をしているんだ」
(私のせいじゃない。
アルフォンス、また拾って来て喧嘩になったんだな)
困り顔でロイは苦笑いするしかなくて腕にいる猫を見つめた。
「ぶははっ!」
「笑い事じゃない、ヒューズ」
「すまん。
アルフォンスも考えたなぁ〜」
「お陰で私は叱られた」
「大総統にも?」
「…それは叱られなかったけど」
今度は中尉を連れてヒューズの執務室に来たのだった。
流石に大総統府では預かれないのでロイは困った末にヒューズの部下に預かってもらった。
「失礼しま〜す。
ここにマスタング中将、いる?」
「…鋼の」
「マスタング中将。
ご、ごめんなさい」
「今回に限っては本当に悪いと思ってるよ。
まさか、マスタング中将のとこに行くとは」
「だ、だって…」
「拾っても世話出来ねぇだろ!」
「分かってる」
「おまえは分かってねぇから拾って来るんだろ!」
今回に限ってはエドが正しいかもしれないなと兄弟喧嘩を見て思う。
ロイの咳払いにハッとした兄弟は改めて謝った。
「鋼の、君も兄なんだな。
私は兄弟が居ないから分からないが」
「…兄貴みたいな奴はいるだろ」
エドにヒューズを見られてロイは顔を歪める。
「そんな嫌な顔するなよ、ロイ」
「友人であって兄ではない。
コイツが世話焼き過ぎるんだ」
「おまえさんが心配掛けすぎるのもあるけどなぁ〜」
不満顔のロイに苦笑いしてヒューズは肩を抱いて宥めた。
「今回だけは中央にいるなら里親を探せば良いんじゃないか?
アルフォンス、君の可哀想と思う気持ちも分かるが。
君達の目的は旅で見つけること。
そこには危険も伴う。
守りながら戦える程、甘くはない」
「…はい」
ロイは苦笑いしてアルの鎧をコツンと叩いた。
「自分の身を守る為に君も強くならないといけないよ。
それは錬金術や体術だけではない。
たとえ、君が国家錬金術師ではなくても一緒に同行していれば。
それが兄弟でも“仲間”になる。
仲間の足を引っ張るような行動は控えなさい」
「僕、そんなつもりじゃ…っ」
「アルフォンス。
昔と現在では環境が変わっている。
君の戸惑いも十分に理解してるよ。
頼られたのも嫌ではないが。
こういう頼り以外はいつでも歓迎だ。
君達は理解してくれるだろうと話し合いが足らないのではないか?
調べることも大事だが、いざという時に仲間割れになっては意味がない。
たった2人きりの兄弟だろう?」
子供扱いされたのも師匠以外に叱られたのも久々でアルは黙り込んだ。
「マスタング中将。
ありがとうございます!」
「ぐは…っ」
「アルっ!
ちょっ、今のおまえの体重で!」
「マスタング中将!」
「ロイっ!
無事か!?」
アルに勢いよく抱きつかれたロイにエドも中尉も慌てて駆けつける。
「…本当に何度もごめんなさい」
結果的にロイを押し倒してしまったアルは床に正座をして深々と頭を下げる。
「大総統。
おはようございます」
「おはよう。
今日は顔色が良いようだな」
「…はい。
ご心配お掛けしました」
「美容室に行ったのか?」
「いえ、セルシアにされただけですが」
「そうか」
セルシアが言ったようにロイはいつも以上に髪の艶もあって磨きが掛かっているようだ。
「いい香りがするな。
香水とは違うようだが」
「香りが強いですか?」
「いや、そうではない。
いつもの香水と違うから」
「…昨夜の香りかと。
セルシアにボディークリームを塗られまして」
「くくっ、なるほどな」
ロイは自分の腕を嗅いで絡まれるかなと苦笑いする。
「君も婚約者には弱いんだな。
わりと好きにさせていると言った方が正しいか?」
「嫌ではないですからね」
「深い夜を過ごしたのかと」
「首元を見ないでください。
セルシアは夜勤でしたし、そこまでハードなことは滅多にしませんよ」
「滅多に、ねぇ…。
気分が乗ればするのか」
「そういう意味ではありません」
「あまり意地悪してやるな」
補佐官に揶揄られ、苦笑いした閣下に止められた。
「少し外の空気を吸って来ます」
「一緒に行くか?」
「大丈夫ですよ」
「絡まれないようにな」
「…気をつけます」
1人で移動しないように言われているが、ロイはたまにこうして執務室から出ることがある。
「大丈夫そうだな。
でも、無理はするなよ」
「分かってるよ」
くしゃっとヒューズに頭を撫でられ、ロイは不満顔で見つめる。
「随分と綺麗にされたな」
「んぁ?」
「リーゼル大佐だろ」
「…それ以外に居ないだろう。
何しに来たんだよ」
「コレを持って行くように上官に言われてな」
顔を歪めながら書類を見たロイは深いため息をつく。
「…ヒューズ中佐」
「俺は関わってないぞ。
“上官”に持って行くように言われただけだ。
内容は聞いていいのか?」
「適当な理由をつけて、私に面倒な仕事を押し付けているだけだよ。
どっちが上なのか分からんな」
壁に寄り掛かりながらロイは小声でヒューズと話している。
「今度は何だ?」
「…春の講習」
「あぁ〜、そんな時期か。
別に苦手ではないだろう?」
「面倒ではあるが。
知名度や人気だからと理由にされて。
私は別に自ら、そうした訳でも目立ちたい訳でもないのに」
「まぁまぁ。
これくらいならいいじゃねぇか」
「成功したら成功したで、グチグチと言いたいだけだろう?
分かるか、この気持ちが」
怒りを抑えながら小声で話すロイにヒューズは宥めながら肩をポンポンと叩く。
結局は自分が上になってもこういう手抜きはしないんだろうなとヒューズはロイの後ろ姿を見送る。
「マスタング中将!
どこに何をしに行っていたのですか!?」
「…中尉」
「敷地内だろうと貴方は…っ」
過去に敷地内で将軍達の罠に掛かり、拉致されたので中尉の反応も理解が出来る。
「分かっているよ。
ヒューズと会って少し話していただけだ」
不満そうに険しい顔になる中尉にロイは苦笑いする。
「そう、でしたか。
必要な書類は机の上に置いておきましたのでご確認を。
何度も言っていますが、お1人で出歩かないように!」
「出来るだけ気をつけるよ」
「マスタング中将!
貴方はご自分の立場を分かっていますか!?」
「分かっているさ、嫌になるくらいにね」
「…失礼しました」
「ちょっとした息抜きだよ。
中尉、必要な資料が抜けてる。
この字はハボックだな」
「申し訳ありません」
「特にハボックのは確認が必要なようだな」
確認しながら中尉に書類を返し、中尉がそれを見て頷いた。
「何度も言っているんだがなぁ〜。
事件や事故の報告書も多いから仕方ないか」
「こちらでも注意と確認を徹底しておきます」
「あぁ、よろしく頼むよ。
あまり厳しくするなよ」
「多少の厳しさも必要では?」
ロイは肩を竦めて苦笑いし、執務室で叱られるだろうハボックが浮かんだ。
「それでは、失礼します。
何かあれば呼んでください」
「分かったよ」
「マスタング中将。
ちょっと失礼します」
「ん…?」
「ピアス、少し緩くなってますよ」
中尉がロイの耳に触れて錬金陣の彫られているピアスを付け直す。
「あぁ、すまないね。
ありがとう」
「はい。
失礼しました」
敬礼をして中尉が大総統の執務室から出て行った。
普通なら失礼になる行為だが、中尉とロイだからなと補佐官達もあまり気にしなくなっている。
「失礼します。
あの、マスタング中将。
居ますか?」
「…アルフォンス?
どうやってここまで。
鋼のは一緒じゃないのか?」
「失礼承知ですみません!
預かってください!
あの、失礼しますっ!」
「ちょっ…説明…っ」
ヒューズの部下に連れて来られたアルはロイに渡して逃げて行く。
「ロイ、戻っていたのか」
「大総統」
「…君は家出の少年か?
猫を抱えて何をしているんだ」
(私のせいじゃない。
アルフォンス、また拾って来て喧嘩になったんだな)
困り顔でロイは苦笑いするしかなくて腕にいる猫を見つめた。
「ぶははっ!」
「笑い事じゃない、ヒューズ」
「すまん。
アルフォンスも考えたなぁ〜」
「お陰で私は叱られた」
「大総統にも?」
「…それは叱られなかったけど」
今度は中尉を連れてヒューズの執務室に来たのだった。
流石に大総統府では預かれないのでロイは困った末にヒューズの部下に預かってもらった。
「失礼しま〜す。
ここにマスタング中将、いる?」
「…鋼の」
「マスタング中将。
ご、ごめんなさい」
「今回に限っては本当に悪いと思ってるよ。
まさか、マスタング中将のとこに行くとは」
「だ、だって…」
「拾っても世話出来ねぇだろ!」
「分かってる」
「おまえは分かってねぇから拾って来るんだろ!」
今回に限ってはエドが正しいかもしれないなと兄弟喧嘩を見て思う。
ロイの咳払いにハッとした兄弟は改めて謝った。
「鋼の、君も兄なんだな。
私は兄弟が居ないから分からないが」
「…兄貴みたいな奴はいるだろ」
エドにヒューズを見られてロイは顔を歪める。
「そんな嫌な顔するなよ、ロイ」
「友人であって兄ではない。
コイツが世話焼き過ぎるんだ」
「おまえさんが心配掛けすぎるのもあるけどなぁ〜」
不満顔のロイに苦笑いしてヒューズは肩を抱いて宥めた。
「今回だけは中央にいるなら里親を探せば良いんじゃないか?
アルフォンス、君の可哀想と思う気持ちも分かるが。
君達の目的は旅で見つけること。
そこには危険も伴う。
守りながら戦える程、甘くはない」
「…はい」
ロイは苦笑いしてアルの鎧をコツンと叩いた。
「自分の身を守る為に君も強くならないといけないよ。
それは錬金術や体術だけではない。
たとえ、君が国家錬金術師ではなくても一緒に同行していれば。
それが兄弟でも“仲間”になる。
仲間の足を引っ張るような行動は控えなさい」
「僕、そんなつもりじゃ…っ」
「アルフォンス。
昔と現在では環境が変わっている。
君の戸惑いも十分に理解してるよ。
頼られたのも嫌ではないが。
こういう頼り以外はいつでも歓迎だ。
君達は理解してくれるだろうと話し合いが足らないのではないか?
調べることも大事だが、いざという時に仲間割れになっては意味がない。
たった2人きりの兄弟だろう?」
子供扱いされたのも師匠以外に叱られたのも久々でアルは黙り込んだ。
「マスタング中将。
ありがとうございます!」
「ぐは…っ」
「アルっ!
ちょっ、今のおまえの体重で!」
「マスタング中将!」
「ロイっ!
無事か!?」
アルに勢いよく抱きつかれたロイにエドも中尉も慌てて駆けつける。
「…本当に何度もごめんなさい」
結果的にロイを押し倒してしまったアルは床に正座をして深々と頭を下げる。