第45話
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呆れたようにロイはため息をつき、立ち上がってキッチンに向かう。
「そろそろ食べ頃だろう。
おまえ達の為に作った訳じゃないんだがな」
「パウンドケーキだ!」
「うまそう」
「ゆっくり食べろよ。
切り分けてやってくれ」
『分かりました』
「薄く切るなよ。
パウンドケーキなら厚く切って食べた方がうまいだろう」
『ロイさんは?』
「私は結構だ」
「おまえさん、甘いの苦手なくせに作るよな」
「作る方が好きなんだ」
「大総統に持って行かなくて良かったのか?」
「そのつもりはない。
マフィンはついでに作っただけ」
((…ついでに作るようなものじゃないと思うんだけど))
長年の経験値もあるが、料理のセンスもあるのだろう。
「紅茶で良かったか?」
「体調悪いのに!」
「もう大丈夫だ。
夢見が悪すぎたんだよ。
動けない訳じゃない」
((中尉にしがみついて動けなくなってましたが!?))
心配しながらもセルシアと中尉が傍に居るなら大丈夫だろうと甘えることにした。
「ヒューズも食うだろ?
おまえが好きなドライフルーツも入ってるぞ」
「勿論だ。
おまえさんのを食べない選択肢はない!」
「エリシアが大きくなったら手土産に持っていってやるさ。
まだ幼子が食べるには早いからな」
「それは楽しみだ。
グレイシアもおまえのは本当に気に入ってるからな」
「昔は悔しがってたな。
同じレシピなのにと」
「おまえさんのもグレイシアのも、どちらもうまいけどな」
「ふぅ〜ん?」
「いやいや、おまえさんのが一番だ」
「グレイシアに報告してやるか」
「それたけは勘弁してくれよ」
クスクスとロイは楽しそうに笑ってヒューズの肩を叩いた。
「…まったく」
「グレイシアさんもマスタング中将に教わったんですか?」
「全部ではないけど。
アップルパイとかケーキとかはロイに教えてもらっていたな。
リザちゃんも?」
「そうですね。
料理は昔にマスタング中将に」
「その頃はまだ軍人じゃなかったな」
「見かねて教えてくれた感じです」
「そりゃ、味付けもしない焼いたジャガイモが並んでいたら」
「あれは…、知識がなかったんです」
珍しく頬を赤らめる中尉にロイは苦笑いしている。
中尉の予想外の過去に驚きながらも可愛いなと思っていた。
「うっま!」
「マジで美味すぎる」
「お店出せるレベル。
今まで食べたやつは何だったんだろ」
「どこを食べてもうまい!」
「大絶賛でよかったな、ロイ」
「おまえは?」
「めっちゃ、うまい!」
ヒューズの言葉にロイは微かに笑い、自分用の紅茶を口にする。
「変わらない味で美味しいです」
「それは良かった。
パウンドケーキは久々に作ったが、忘れないものだな」
『…美味しい』
「また作ろうか」
「料理は2人で作らないんですか?」
「そういう時もあるが、基本的に個人で作っているな」
『私とロイさんでは作るジャンルが違うのよ』
「お菓子作りますよね?」
『私はクッキーとか焼き菓子がメインなんだよね。
手軽に作れるやつ』
「手軽とは思わないけどな。
オーブンの温度調整とか型どるのも、私は面倒で作らん」
『ケーキの方が温度調整とかすると思いますけど』
「最初だけだろう」
((…本人達にしかわからないジャンルの違いだ))
どこが違うのか分からないなと会話を聞きながら苦笑いする。
視線に気づいてロイは不思議そうに見つめる。
「なんだ?」
「マスタング中将、仕事も忙しいはずなのに。
いつ作るんですか?」
「時間ある時にしか作らないよ」
『眠れない夜とか早めに目が覚めた時に作ってますよね』
「…まぁな」
『そういう時には起こしてくださいって言ってるのに』
「気持ち良さそうに寝てるし。
そういう静かな時間に作りたくなるんだよな」
『甘い香りで目覚めるのは最高ですけどね』
ロイは満足そうに微笑んでセルシアの頬にキスする。
「雑音で起こされて、うるさいってならないんですか?」
『私はロイさんとは逆で眠りは深いからね。
起こされても起きないことは…、ないはずだけど。
実は起こしてたりします?』
「いや、起こせばすぐに起きる。
起こす前に気づくよな。
私に関してなのか分からんが」
「それは絶対にマスタング中将に関わるからですよ」
『むぅ…』
からかうようなハボックの口調にセルシアはロイの腕に抱きついて不満顔。
「あんたら、わざとなんっスか。
自然体でイチャついて!」
「また振られたのか?」
「まぁ、ハボック少尉ですから」
「中尉まで納得しないでくださいよ」
「ごめんなさいね、思わずね」
いつものことなので中尉にまで納得されてしまう。
『ロイさん。
レモンのゼリー、食べます?』
「作っていたのか。
それなら、食べようかな」
『すぐに用意しますね』
「マスタング中将の好みを理解してますよね」
「…そうだな」
「リザちゃん、寂しい?」
「何なんですか。
寂しいよりも嬉しいですよ。
貴方の理解者が増えて。
私には言えないこともあるでしょう?
いえ、責めているのではなくて。
私だからこそ、言えないこともあるでしょうから」
「全部言える訳じゃない。
逆もあるさ。
君にだから話せることも」
「…子供扱いしてません?」
「そんなことないさ」
中尉はロイに髪を触れられて不満顔で見つめる。
「マスタング中将でなければ、セクハラですよね」
「「えっ?」」
「こいつら、無自覚だからな」
ロイと中尉は顔を見合わせて瞬きしてしまう。
「別に嫌じゃないですよ、貴方なら」
「…そうか」
微かにロイは笑って中尉から手を離して座り直す。
『お待たせしました』
「ありがとう」
『甘さ控えめに作ってますから。
考え事してました?
眉間にシワ寄ってますよ。
綺麗な顔が勿体ないですから』
「ぶはっ!
リーゼル大佐はブレねぇな」
「それがリーゼル大佐だからな」
ロイは苦笑いしてレモンのゼリーを食べていた。
「ロイ、こういう“平和”もいいだろう?」
「…ヒューズ」
「おまえさんのことだ。
自分が幸せになっていいのか、見えるだけの平和を信じて良いのか。
考えすぎたんだろう?
思考を止めないことは結構だが。
見えるものを信じないでどうする。
幸せでなければ、救えるものも救えない」
「…おまえはいつも私を現実に引き戻してくれるな」
ロイは苦笑いし、セルシアの膝に寝転んだ。
「そろそろ食べ頃だろう。
おまえ達の為に作った訳じゃないんだがな」
「パウンドケーキだ!」
「うまそう」
「ゆっくり食べろよ。
切り分けてやってくれ」
『分かりました』
「薄く切るなよ。
パウンドケーキなら厚く切って食べた方がうまいだろう」
『ロイさんは?』
「私は結構だ」
「おまえさん、甘いの苦手なくせに作るよな」
「作る方が好きなんだ」
「大総統に持って行かなくて良かったのか?」
「そのつもりはない。
マフィンはついでに作っただけ」
((…ついでに作るようなものじゃないと思うんだけど))
長年の経験値もあるが、料理のセンスもあるのだろう。
「紅茶で良かったか?」
「体調悪いのに!」
「もう大丈夫だ。
夢見が悪すぎたんだよ。
動けない訳じゃない」
((中尉にしがみついて動けなくなってましたが!?))
心配しながらもセルシアと中尉が傍に居るなら大丈夫だろうと甘えることにした。
「ヒューズも食うだろ?
おまえが好きなドライフルーツも入ってるぞ」
「勿論だ。
おまえさんのを食べない選択肢はない!」
「エリシアが大きくなったら手土産に持っていってやるさ。
まだ幼子が食べるには早いからな」
「それは楽しみだ。
グレイシアもおまえのは本当に気に入ってるからな」
「昔は悔しがってたな。
同じレシピなのにと」
「おまえさんのもグレイシアのも、どちらもうまいけどな」
「ふぅ〜ん?」
「いやいや、おまえさんのが一番だ」
「グレイシアに報告してやるか」
「それたけは勘弁してくれよ」
クスクスとロイは楽しそうに笑ってヒューズの肩を叩いた。
「…まったく」
「グレイシアさんもマスタング中将に教わったんですか?」
「全部ではないけど。
アップルパイとかケーキとかはロイに教えてもらっていたな。
リザちゃんも?」
「そうですね。
料理は昔にマスタング中将に」
「その頃はまだ軍人じゃなかったな」
「見かねて教えてくれた感じです」
「そりゃ、味付けもしない焼いたジャガイモが並んでいたら」
「あれは…、知識がなかったんです」
珍しく頬を赤らめる中尉にロイは苦笑いしている。
中尉の予想外の過去に驚きながらも可愛いなと思っていた。
「うっま!」
「マジで美味すぎる」
「お店出せるレベル。
今まで食べたやつは何だったんだろ」
「どこを食べてもうまい!」
「大絶賛でよかったな、ロイ」
「おまえは?」
「めっちゃ、うまい!」
ヒューズの言葉にロイは微かに笑い、自分用の紅茶を口にする。
「変わらない味で美味しいです」
「それは良かった。
パウンドケーキは久々に作ったが、忘れないものだな」
『…美味しい』
「また作ろうか」
「料理は2人で作らないんですか?」
「そういう時もあるが、基本的に個人で作っているな」
『私とロイさんでは作るジャンルが違うのよ』
「お菓子作りますよね?」
『私はクッキーとか焼き菓子がメインなんだよね。
手軽に作れるやつ』
「手軽とは思わないけどな。
オーブンの温度調整とか型どるのも、私は面倒で作らん」
『ケーキの方が温度調整とかすると思いますけど』
「最初だけだろう」
((…本人達にしかわからないジャンルの違いだ))
どこが違うのか分からないなと会話を聞きながら苦笑いする。
視線に気づいてロイは不思議そうに見つめる。
「なんだ?」
「マスタング中将、仕事も忙しいはずなのに。
いつ作るんですか?」
「時間ある時にしか作らないよ」
『眠れない夜とか早めに目が覚めた時に作ってますよね』
「…まぁな」
『そういう時には起こしてくださいって言ってるのに』
「気持ち良さそうに寝てるし。
そういう静かな時間に作りたくなるんだよな」
『甘い香りで目覚めるのは最高ですけどね』
ロイは満足そうに微笑んでセルシアの頬にキスする。
「雑音で起こされて、うるさいってならないんですか?」
『私はロイさんとは逆で眠りは深いからね。
起こされても起きないことは…、ないはずだけど。
実は起こしてたりします?』
「いや、起こせばすぐに起きる。
起こす前に気づくよな。
私に関してなのか分からんが」
「それは絶対にマスタング中将に関わるからですよ」
『むぅ…』
からかうようなハボックの口調にセルシアはロイの腕に抱きついて不満顔。
「あんたら、わざとなんっスか。
自然体でイチャついて!」
「また振られたのか?」
「まぁ、ハボック少尉ですから」
「中尉まで納得しないでくださいよ」
「ごめんなさいね、思わずね」
いつものことなので中尉にまで納得されてしまう。
『ロイさん。
レモンのゼリー、食べます?』
「作っていたのか。
それなら、食べようかな」
『すぐに用意しますね』
「マスタング中将の好みを理解してますよね」
「…そうだな」
「リザちゃん、寂しい?」
「何なんですか。
寂しいよりも嬉しいですよ。
貴方の理解者が増えて。
私には言えないこともあるでしょう?
いえ、責めているのではなくて。
私だからこそ、言えないこともあるでしょうから」
「全部言える訳じゃない。
逆もあるさ。
君にだから話せることも」
「…子供扱いしてません?」
「そんなことないさ」
中尉はロイに髪を触れられて不満顔で見つめる。
「マスタング中将でなければ、セクハラですよね」
「「えっ?」」
「こいつら、無自覚だからな」
ロイと中尉は顔を見合わせて瞬きしてしまう。
「別に嫌じゃないですよ、貴方なら」
「…そうか」
微かにロイは笑って中尉から手を離して座り直す。
『お待たせしました』
「ありがとう」
『甘さ控えめに作ってますから。
考え事してました?
眉間にシワ寄ってますよ。
綺麗な顔が勿体ないですから』
「ぶはっ!
リーゼル大佐はブレねぇな」
「それがリーゼル大佐だからな」
ロイは苦笑いしてレモンのゼリーを食べていた。
「ロイ、こういう“平和”もいいだろう?」
「…ヒューズ」
「おまえさんのことだ。
自分が幸せになっていいのか、見えるだけの平和を信じて良いのか。
考えすぎたんだろう?
思考を止めないことは結構だが。
見えるものを信じないでどうする。
幸せでなければ、救えるものも救えない」
「…おまえはいつも私を現実に引き戻してくれるな」
ロイは苦笑いし、セルシアの膝に寝転んだ。