第45話
夢小説設定
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食後もエリシアに引き止められ、結局は膝に抱えて遊んでいる。
「子供に好かれるのは知ってたが。
我が子まで奪われるとは」
「別に奪ってはいない」
「さっさと結婚しろよ。
その場合、パパは大総統か?」
「あのなぁ…」
「加害者だろうと軍の命令だった。
結婚してもいいんだよ、ロイ」
ヒューズに肩を抱かれてロイは黙り込んでいるだけだった。
「今は理解しなくてもいい。
おまえさんの考えもあるし、徐々に自分の中で解決すればいいさ。
でも、溜めるなよ。
辛かった、怖かったと言葉にするのは弱さじゃない」
「…分かっている」
(俺でさえも未だに夢に見るくらいだからな。
おまえは尚更なんだろう)
ポスンと肩に頭を預けるロイにヒューズは苦笑いし、ポンポンと背を叩く。
「本当におまえさんは甘え下手だ」
「…うっさい」
「まだ眠るのは怖いか?」
「いや、前よりは。
1人でどうやって眠っていたのか忘れてしまった」
「それでいい。
おまえさんの傍に誰か居てくれるなら、俺も安心だ。
賢いくせに馬鹿だな。
そうなる前に頼れと言ってるだろ」
「…ヒューズ」
ロイの流れる涙を指で拭い、ヒューズは苦笑いする。
グレイシアはロイがヒューズの肩に預けた時からエリシアを抱えて別室に移動しているので流石だ。
「また悪夢を見たか?」
「……っ…」
「嫌なら言わなくていい。
泣け泣け。
そして、忘れちまえ。
おまえさんは泣くのも下手だな。
中尉やリーゼル大佐に言えないのならいつでも来いと言ってるだろう?」
小さな嗚咽が響き、しがみつく震えるロイの手を感じながらヒューズは抱擁して背を優しく擦る。
「…ヒューズ」
「落ち着いたか?」
俯いて床に座り込んだまま、ロイは小さく頷いた。
「忘れてくれ」
「可愛かったと言えばいいか?」
「ヒューズ!」
「ふはっ!
元気になったじゃねぇか」
(…適わないな)
ため息をついてロイはヒューズの肩に頭を預ける。
「今日は甘えん坊か?」
「…頭痛い」
「泣き過ぎたか?」
「この…っ」
「ほれ、顔洗って来い。
見られたくないだろ」
ロイはため息をつき、洗面所を借りて顔を洗う。
眼鏡を掛けてロイはヒューズ宅から出ると迎えに来ていた中尉が待っていた。
気づいても中尉は何も言わずに表情にも出さないので安堵する。
「マスタング中将」
「ん…?」
「無理はなさらないでくださいね。
ゆっくりでいいんです」
「…中尉」
「その荷物は1人では重いでしょう?
私もリーゼル大佐もヒューズ中佐も持てる準備は出来てますよ」
「ありがとう」
中尉の言葉に微かに笑みが浮かんで少しだけ肩の力が抜けた。
ロイは家に帰ると暗く静かな光景に改めて実感する。
(…こんなに静かだったか。
いつもはセルシアが居たし、今まではウィンリィが居たからな)
電気を点けて静かな家が寂しくも感じてしまった。
『ロイさん、ただいま。
さっき中尉に会って。
数分の差でしたね。
どうしました?
そんなに驚かせましたか?』
「あっ、いや…考え事…していた」
驚いたように振り返り、自分が未だに玄関先にいたことを思い出す。
『熱はありませんね。
夢見、良くなかったんですか。
言いたくないなら聞きませんから。
少し寝ましょうか。
大丈夫です、傍に居ますよ』
「……っ…」
『魘されたら起こします。
ヒューズ中佐のとこで食べて来たのでしょう?』
「…うん」
セルシアに手を引かれて寝室に入り、軍服を脱がされて着替えた。
(少し熱が出てきたかな。
顔色も悪かったし)
ロイの手を握って大丈夫だとロイが眠るまで傍に居た。
「ゲホッ…ゴホン…っ」
『大丈夫ですよ。
吐いた方が楽になりますから』
「セルシア…っ」
放火の光景が自分が放ったイシュヴァールの戦火を思い出したのだろう。
フラッシュバックまではいかないが、それが結びついてしまった。
「…昨夜はすまなかった」
『まだ休んでも良いんですよ。
午後からの出勤でも』
「いや、大丈夫だ」
『無理はしないでください』
「放火の件、君に回していいか?
大丈夫かと思ったんだが」
『お任せください。
頼られて嬉しいですよ』
「情けないな」
『ふいに思い出すことがあります。
情けないとか格好悪いなんて思いませんよ。
過去も含めて、ロイさんの人生でしょう?』
微かに笑ってロイはセルシアを抱擁し、唇にキスをした。
「…大丈夫そうですね」
「問題なさそうか」
事情を理解している中尉とヒューズはロイの姿に安堵する。
「マスタング中将。
放火の件はリーゼル大佐に譲ったと聞いたが?」
「セルシアに経験させるのも良いかと思いまして。
私のように焔ではなくても知識はありますからね」
「それでも君は焔の二つ名だろう」
「本来は中将の仕事ではない」
「大総統!」
「ロイ、おはよう」
「…おはようございます」
閣下に頬にキスされ、ロイは苦笑いしながらも挨拶を交わす。
「君は先に執務室に行きなさい」
「承知しました」
「大総統!」
逃されて苦言という文句を言っている将軍を横目に執務室に向かった。
こうやって見逃されるのは何回目だろうかと苦笑いする。
「子供に好かれるのは知ってたが。
我が子まで奪われるとは」
「別に奪ってはいない」
「さっさと結婚しろよ。
その場合、パパは大総統か?」
「あのなぁ…」
「加害者だろうと軍の命令だった。
結婚してもいいんだよ、ロイ」
ヒューズに肩を抱かれてロイは黙り込んでいるだけだった。
「今は理解しなくてもいい。
おまえさんの考えもあるし、徐々に自分の中で解決すればいいさ。
でも、溜めるなよ。
辛かった、怖かったと言葉にするのは弱さじゃない」
「…分かっている」
(俺でさえも未だに夢に見るくらいだからな。
おまえは尚更なんだろう)
ポスンと肩に頭を預けるロイにヒューズは苦笑いし、ポンポンと背を叩く。
「本当におまえさんは甘え下手だ」
「…うっさい」
「まだ眠るのは怖いか?」
「いや、前よりは。
1人でどうやって眠っていたのか忘れてしまった」
「それでいい。
おまえさんの傍に誰か居てくれるなら、俺も安心だ。
賢いくせに馬鹿だな。
そうなる前に頼れと言ってるだろ」
「…ヒューズ」
ロイの流れる涙を指で拭い、ヒューズは苦笑いする。
グレイシアはロイがヒューズの肩に預けた時からエリシアを抱えて別室に移動しているので流石だ。
「また悪夢を見たか?」
「……っ…」
「嫌なら言わなくていい。
泣け泣け。
そして、忘れちまえ。
おまえさんは泣くのも下手だな。
中尉やリーゼル大佐に言えないのならいつでも来いと言ってるだろう?」
小さな嗚咽が響き、しがみつく震えるロイの手を感じながらヒューズは抱擁して背を優しく擦る。
「…ヒューズ」
「落ち着いたか?」
俯いて床に座り込んだまま、ロイは小さく頷いた。
「忘れてくれ」
「可愛かったと言えばいいか?」
「ヒューズ!」
「ふはっ!
元気になったじゃねぇか」
(…適わないな)
ため息をついてロイはヒューズの肩に頭を預ける。
「今日は甘えん坊か?」
「…頭痛い」
「泣き過ぎたか?」
「この…っ」
「ほれ、顔洗って来い。
見られたくないだろ」
ロイはため息をつき、洗面所を借りて顔を洗う。
眼鏡を掛けてロイはヒューズ宅から出ると迎えに来ていた中尉が待っていた。
気づいても中尉は何も言わずに表情にも出さないので安堵する。
「マスタング中将」
「ん…?」
「無理はなさらないでくださいね。
ゆっくりでいいんです」
「…中尉」
「その荷物は1人では重いでしょう?
私もリーゼル大佐もヒューズ中佐も持てる準備は出来てますよ」
「ありがとう」
中尉の言葉に微かに笑みが浮かんで少しだけ肩の力が抜けた。
ロイは家に帰ると暗く静かな光景に改めて実感する。
(…こんなに静かだったか。
いつもはセルシアが居たし、今まではウィンリィが居たからな)
電気を点けて静かな家が寂しくも感じてしまった。
『ロイさん、ただいま。
さっき中尉に会って。
数分の差でしたね。
どうしました?
そんなに驚かせましたか?』
「あっ、いや…考え事…していた」
驚いたように振り返り、自分が未だに玄関先にいたことを思い出す。
『熱はありませんね。
夢見、良くなかったんですか。
言いたくないなら聞きませんから。
少し寝ましょうか。
大丈夫です、傍に居ますよ』
「……っ…」
『魘されたら起こします。
ヒューズ中佐のとこで食べて来たのでしょう?』
「…うん」
セルシアに手を引かれて寝室に入り、軍服を脱がされて着替えた。
(少し熱が出てきたかな。
顔色も悪かったし)
ロイの手を握って大丈夫だとロイが眠るまで傍に居た。
「ゲホッ…ゴホン…っ」
『大丈夫ですよ。
吐いた方が楽になりますから』
「セルシア…っ」
放火の光景が自分が放ったイシュヴァールの戦火を思い出したのだろう。
フラッシュバックまではいかないが、それが結びついてしまった。
「…昨夜はすまなかった」
『まだ休んでも良いんですよ。
午後からの出勤でも』
「いや、大丈夫だ」
『無理はしないでください』
「放火の件、君に回していいか?
大丈夫かと思ったんだが」
『お任せください。
頼られて嬉しいですよ』
「情けないな」
『ふいに思い出すことがあります。
情けないとか格好悪いなんて思いませんよ。
過去も含めて、ロイさんの人生でしょう?』
微かに笑ってロイはセルシアを抱擁し、唇にキスをした。
「…大丈夫そうですね」
「問題なさそうか」
事情を理解している中尉とヒューズはロイの姿に安堵する。
「マスタング中将。
放火の件はリーゼル大佐に譲ったと聞いたが?」
「セルシアに経験させるのも良いかと思いまして。
私のように焔ではなくても知識はありますからね」
「それでも君は焔の二つ名だろう」
「本来は中将の仕事ではない」
「大総統!」
「ロイ、おはよう」
「…おはようございます」
閣下に頬にキスされ、ロイは苦笑いしながらも挨拶を交わす。
「君は先に執務室に行きなさい」
「承知しました」
「大総統!」
逃されて苦言という文句を言っている将軍を横目に執務室に向かった。
こうやって見逃されるのは何回目だろうかと苦笑いする。