第43話
夢小説設定
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ヒューズの咳払いに渋々ながらも離れて定位置に着く。
「ヒューズ中佐。
私は棄権を…、むぐっ!」
『私が棄権します』
「はっ?」
セルシアの手で口を抑えられたロイも驚いて見つめる。
「何で君が棄権するんだ!」
『ロイさんと当たれば、棄権するつもりでしたから』
「おかしいだろう。
私は怪我しているが、君は無傷だ!」
『おかしいと言われようとも決めていたことです。
貴方とは絶対に戦いません。
戦いたくありません!』
「…上官命令でも?」
『頑固拒否します!
それがロイさんの命令でも!』
ロイは深いため息をつき、頭を抱えてしまう。
「…言いそうだなとは思っていたが」
「本当に言いましたね」
見学に来ていたハボック達も苦笑いしながらも見守る。
「ロイ、どうする?」
「はあぁ〜っ…
妙なとこで頑固なんだよな。
リーゼル大佐の棄権で受理してくれ」
「了解した。
おまえさんは?」
「次の相手次第で考えるよ」
「まぁ、順調に行けば…」
「アームストロング少佐だろ。
分かっているよ」
ロイは満足そうなセルシアを連れて会場から出る。
「マスタング中将が棄権すると思ったんだけど」
「鋼の。
来ていたのか。
私もそう思ったよ」
「…だよな」
エドにまで呆れた視線を向けられてもセルシアは気にしない。
「中尉、マスタング中将は?」
「静かに。
痛み止めが効いて寝ているわ」
「すいません。
次の戦いに出るんですか?
怪我しているのに」
「本人次第よ。
まぁ、棄権されてしまったら。
そのまま棄権って訳にもいかないでしょう?」
「そうですよねぇ〜」
上官なので止める訳にもいかず、見守るしかない。
時間まで中尉は書類を確認しながらもソファでロイにブランケットを掛けて寝かせていた。
医務室や仮眠室のベットも勧めたが、大丈夫だと断られてしまった。
「…中尉」
「起きましたか。
まだ時間ありますよ」
「手を貸してくれ」
「痛みます?」
「じゃなくて…」
「感覚、ないんですか?」
「そうじゃない」
「嫌な夢、見ました?」
中尉の手を握ってロイは黙り込んだまま、目を閉じていた。
微かに震える手に気づきながらも中尉は表情に出さず、指摘もしない。
「…よし」
「大丈夫ですか?」
「未だに夢に見るんだから。
嫌になるよな」
「マスタング中将」
「大丈夫だ。
気にするな」
ロイは立ち上がって中尉の肩をポンポンと優しく叩いた。
「あまり無理はなさらないでくださいね。
応援しています」
「ありがとう、中尉」
中尉の言葉にロイは振り向いて、ふわりと微笑んだ。
軍医には馬鹿なんじゃないかと叱られながらも負傷した右腕に包帯を巻いてくれた。
「縫っていて包帯を巻いていても出血が酷かったんだ。
本来は安静にしておくべき状態なんだからな。
おまえさんは痩せてるし、貧血が起きるかもしれねぇぞ。
あまり激しく右腕は使うな。
傷口が広がるかもしれん」
「あぁ、分かってるよ」
「無茶はするなと言ってもおまえさんは無理だろうな」
「出来るだけ、気をつけます。
ありがとうございました」
軍医に呆れたような視線とため息にロイは苦笑いして医務室から出た。
(国家錬金術師は少ないのもあるが。
あの戦争やスカーで尚更、少なくなってしまったからな)
国家錬金術師の戦いは見応えあるよりもトラウマを植え付けてないだろうかと思ってしまう。
「マスタング中将、よろしくお願い致します!
貴方は上官ではありますが、全力でぶつかって参りますぞ!」
「…脱がんでいい。
その体型でぶつかられては私は更に負傷しそうだな」
アームストロングが上半身裸になり、いつものことながら苦笑いする。
「アームストロング少佐。
あまり破壊くれよ!」
「それは無理な相談ですな!」
(アームストロング少佐の錬金術だからな)
ヒューズの叫びにロイは思わず、小さく笑ってしまう。
「…っと。
流石にアームストロング少佐が相手では回避だけでは難しいな」
「一度、貴方と手を合わせて貰いたかった。
負傷している貴方には申し訳ないが、全力でいかせてもらう!」
「私が焔や氷を操るだけと思いか?
これで終わらせてもらう」
会場に巨大な波が打ち上げられ、アームストロング少佐も吹き飛ばされる。
「水!?」
ピキピキッと音と共に会場の地面が水と同時に凍ってゆく。
「アームストロング少佐ごと、凍ってるけど」
「空気と酸素は調整している」
「大総統。
この場合は?」
「動けないだろうから。
アームストロング少佐は戦闘不能という判断だろうな」
大きな波ごとを巨大な氷柱のようにし、アームストロング少佐ごと凍らせた。
「アームストロング少佐の戦闘不能により、焔の錬金術師の勝利!
よって国家錬金術師のトーナメントは焔の錬金術師の優勝!」
司会のヒューズの宣言と同時にロイはパチンッと指を鳴らし、巨大な水柱が溶けて水が勢いよく流れて来る。
「ロイ、おまえなぁ!」
「…セルシア」
『了解です』
「このデタラメ人間共が!」
セルシアの錬金術で水は蒸発し、呆れたようにヒューズは見つめる。
倒れたアームストロング少佐は複数の部下によって運ばれてゆき、凍傷にもなっていないのはロイの配慮だろうと軍医に判断された。
「ヒューズ中佐。
私は棄権を…、むぐっ!」
『私が棄権します』
「はっ?」
セルシアの手で口を抑えられたロイも驚いて見つめる。
「何で君が棄権するんだ!」
『ロイさんと当たれば、棄権するつもりでしたから』
「おかしいだろう。
私は怪我しているが、君は無傷だ!」
『おかしいと言われようとも決めていたことです。
貴方とは絶対に戦いません。
戦いたくありません!』
「…上官命令でも?」
『頑固拒否します!
それがロイさんの命令でも!』
ロイは深いため息をつき、頭を抱えてしまう。
「…言いそうだなとは思っていたが」
「本当に言いましたね」
見学に来ていたハボック達も苦笑いしながらも見守る。
「ロイ、どうする?」
「はあぁ〜っ…
妙なとこで頑固なんだよな。
リーゼル大佐の棄権で受理してくれ」
「了解した。
おまえさんは?」
「次の相手次第で考えるよ」
「まぁ、順調に行けば…」
「アームストロング少佐だろ。
分かっているよ」
ロイは満足そうなセルシアを連れて会場から出る。
「マスタング中将が棄権すると思ったんだけど」
「鋼の。
来ていたのか。
私もそう思ったよ」
「…だよな」
エドにまで呆れた視線を向けられてもセルシアは気にしない。
「中尉、マスタング中将は?」
「静かに。
痛み止めが効いて寝ているわ」
「すいません。
次の戦いに出るんですか?
怪我しているのに」
「本人次第よ。
まぁ、棄権されてしまったら。
そのまま棄権って訳にもいかないでしょう?」
「そうですよねぇ〜」
上官なので止める訳にもいかず、見守るしかない。
時間まで中尉は書類を確認しながらもソファでロイにブランケットを掛けて寝かせていた。
医務室や仮眠室のベットも勧めたが、大丈夫だと断られてしまった。
「…中尉」
「起きましたか。
まだ時間ありますよ」
「手を貸してくれ」
「痛みます?」
「じゃなくて…」
「感覚、ないんですか?」
「そうじゃない」
「嫌な夢、見ました?」
中尉の手を握ってロイは黙り込んだまま、目を閉じていた。
微かに震える手に気づきながらも中尉は表情に出さず、指摘もしない。
「…よし」
「大丈夫ですか?」
「未だに夢に見るんだから。
嫌になるよな」
「マスタング中将」
「大丈夫だ。
気にするな」
ロイは立ち上がって中尉の肩をポンポンと優しく叩いた。
「あまり無理はなさらないでくださいね。
応援しています」
「ありがとう、中尉」
中尉の言葉にロイは振り向いて、ふわりと微笑んだ。
軍医には馬鹿なんじゃないかと叱られながらも負傷した右腕に包帯を巻いてくれた。
「縫っていて包帯を巻いていても出血が酷かったんだ。
本来は安静にしておくべき状態なんだからな。
おまえさんは痩せてるし、貧血が起きるかもしれねぇぞ。
あまり激しく右腕は使うな。
傷口が広がるかもしれん」
「あぁ、分かってるよ」
「無茶はするなと言ってもおまえさんは無理だろうな」
「出来るだけ、気をつけます。
ありがとうございました」
軍医に呆れたような視線とため息にロイは苦笑いして医務室から出た。
(国家錬金術師は少ないのもあるが。
あの戦争やスカーで尚更、少なくなってしまったからな)
国家錬金術師の戦いは見応えあるよりもトラウマを植え付けてないだろうかと思ってしまう。
「マスタング中将、よろしくお願い致します!
貴方は上官ではありますが、全力でぶつかって参りますぞ!」
「…脱がんでいい。
その体型でぶつかられては私は更に負傷しそうだな」
アームストロングが上半身裸になり、いつものことながら苦笑いする。
「アームストロング少佐。
あまり破壊くれよ!」
「それは無理な相談ですな!」
(アームストロング少佐の錬金術だからな)
ヒューズの叫びにロイは思わず、小さく笑ってしまう。
「…っと。
流石にアームストロング少佐が相手では回避だけでは難しいな」
「一度、貴方と手を合わせて貰いたかった。
負傷している貴方には申し訳ないが、全力でいかせてもらう!」
「私が焔や氷を操るだけと思いか?
これで終わらせてもらう」
会場に巨大な波が打ち上げられ、アームストロング少佐も吹き飛ばされる。
「水!?」
ピキピキッと音と共に会場の地面が水と同時に凍ってゆく。
「アームストロング少佐ごと、凍ってるけど」
「空気と酸素は調整している」
「大総統。
この場合は?」
「動けないだろうから。
アームストロング少佐は戦闘不能という判断だろうな」
大きな波ごとを巨大な氷柱のようにし、アームストロング少佐ごと凍らせた。
「アームストロング少佐の戦闘不能により、焔の錬金術師の勝利!
よって国家錬金術師のトーナメントは焔の錬金術師の優勝!」
司会のヒューズの宣言と同時にロイはパチンッと指を鳴らし、巨大な水柱が溶けて水が勢いよく流れて来る。
「ロイ、おまえなぁ!」
「…セルシア」
『了解です』
「このデタラメ人間共が!」
セルシアの錬金術で水は蒸発し、呆れたようにヒューズは見つめる。
倒れたアームストロング少佐は複数の部下によって運ばれてゆき、凍傷にもなっていないのはロイの配慮だろうと軍医に判断された。