第43話
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離れる方が危険だと判断し、エドは武器を手にしながら走って近づく。
(意外と素早いな。
小さいだけあって)
懐に入られてロイは一瞬だけ目を見開き、エドを見つめた。
「もらったぁ!」
「悪くはない。
だが、まだ甘いな」
「うわぁっ!」
グイッと腕を引っ張られたと思ったら投げられて壁に激突。
「この…っ」
「君が望んだのだから。
少しは応えないといけないだろう」
(は、速い…っ)
足蹴りにヤバイとエドは必死に逃げるしかない。
「どうした、君の実力はこんなものなのか。
エドワード・エルリック。
それとも、降参するかね?」
「する訳ないだろう!
ふざけるなぁっ!」
「い…ッ」
砂が舞い上がってロイの視界が塞がり、切れる音がした。
(…流石に油断してたな)
ボタボタッとロイの右腕から血が大量に流れていた。
「マスタング中将!
悪い、こんなに深く…っ」
「は…っ、試合中だ、鋼の」
「でも!」
「ぐ…っ、ぅ…ッ」
舌打ちしてロイはハンカチで腕を縛ると爆発を起こした。
「そこまでだ」
「…閣下」
「出血が酷いだろう。
未成年だと油断していたな」
「…申し訳ありません」
「だが、鋼の錬金術師。
視界を遮って近くで攻撃すれば、どうなるか計算するべきだ」
「…はい」
思うとこがあるのか珍しく、エドは素直に返事して俯く。
「勝者は…」
「棄権する。
怪我させたからじゃない。
俺の対策不足と実力不足だった。
あのまま戦ってたら錬金術だけだとしても負けてたよ。
調子に乗ってた。
マスタング中将、悪かったよ」
「鋼の、待っ…!」
「動くな!
出血量がヤバイから!」
「救護班!
早く来いっ!」
「ロイ、力を抜け。
大丈夫だから」
「……っ…」
閣下とヒューズに身体を支えられ、力が抜けて倒れそうになる。
地面には大量の血があってザワつきが広がった。
「マスタング中将!」
「…大丈夫だ。
すまないな、中尉。
セルシアを頼む」
「承知、しました」
泣きそうになりながらも敬礼する中尉に微かに笑う。
「…ロイ。
目が覚めていたか」
「…父様」
「叱らんよ。
計算ミスもあったが、戦ってみないと分からないのもあるからな。
怪我の状態は?」
「輸血もしたし、縫ったから。
しばらくは安静にしてろ」
「…そうか。
君は私を驚かせてばかりだ」
「ごめんなさい」
「もう怒っておらんよ。
みんなも心配していたぞ」
閣下は抱きつかれて苦笑いし、ロイの頭を撫でた。
「…入っても大丈夫か?
会いたいと言ってるんだが。
体調悪いならまたあとで」
「少しなら構わない」
「マスタング中将。
あの、本当に…ごめんなさい」
「気にするな。
私が油断していたんだ」
「トーナメント戦で視界を奪うなんて卑怯だった」
「それも戦略だ」
肩を震わせて俯いているエドにそういうとこは子供だなと苦笑いする。
袖で涙を拭うエドにロイはため息をつき、ポンポンと頭を叩く。
「…っズ。
マスタング中将…っ」
「気にしていない。
これは私の不注意だ」
「で、でも…っ」
「以前よりも素早くなってた。
反射神経も悪くないな」
「えっ?」
「君も成長してるってことだ」
クスクスと笑ってロイはベットに腰掛けて軍服を着る。
「おい、ロイ。
何やってるんだ!
貧血を起こしたんだろ!?」
「たいしたことはない。
ほら、屋台で何が食べたい?
楽しみにしていたんだろ」
「…でも」
「二度は言わない。
気にしていない。
これは事故だ」
戸惑いながらもエドは涙を拭うとロイについて行く。
「格好つけやがって。
大丈夫か?」
「…気持ち悪い。
グラグラする」
ベットに沈んでいるロイにヒューズも軍医もため息をつく。
「自業自得だ。
まぁ、点滴はしてやるから。
腕を出せ」
「…ん」
「あんたは少しは太れ」
「太れるなら太ってるよ」
「点滴してやるから寝ろ」
「熱、出て来たか」
苦しそうに息をするロイに閣下は優しく頭を撫でる。
「あんたが甘いからなコイツをダメにしているんだ」
「そう言われても愛しくて甘やかしてしまうんだよ」
「んぅ…」
「眠って構わんよ」
閣下に頭を撫でられてロイは目を閉じ、軍医が呆れたようにため息をつき、ヒューズは苦笑いする。
「…起きたか。
さっきよりは顔色よくなったな」
「お世話になりました」
「まったく、世話したかった訳じゃないが」
軍医の嫌味にロイは苦笑いし、医務室から出た。
(この状態では第二戦は私も棄権した方が良さそうだな)
医務室の前には中尉が待っていて微かに笑みが浮かぶ。
「預かっていた銃をお返し致します」
「ありがとう」
「私からは何も言いません」
「えっ?」
「理解しているでしょうし、大総統とヒューズ中佐に言われたのでしょう?」
「治療されながら軍医に一番言われたが」
「それはお疲れ様です」
「セルシアのトーナメントはどうなった?」
「勝ち進みましたよ」
「そうなると…、次は私か」
「ですが、マスタング中将は」
「棄権するよ」
安堵した様子の中尉にロイは苦笑いし、ポンポンと肩を叩いた。
「心配掛けてすまなかった。
とりあえず、会場に行こうか」
「承知しました」
「…荒れているな」
「アームストロング少佐だったので」
「あぁ、なるほど」
会場は調整されていてロイは納得したように頷いた。
『ロイさん!
怪我は大丈夫なんですか?』
「もう大丈夫だ。
輸血もしてもらったし」
『無理はしないでくださいね』
「分かってるよ。
心配掛けてすまなかった」
ロイに頬を撫でられて甘えるようにセルシアは抱きつく。
(意外と素早いな。
小さいだけあって)
懐に入られてロイは一瞬だけ目を見開き、エドを見つめた。
「もらったぁ!」
「悪くはない。
だが、まだ甘いな」
「うわぁっ!」
グイッと腕を引っ張られたと思ったら投げられて壁に激突。
「この…っ」
「君が望んだのだから。
少しは応えないといけないだろう」
(は、速い…っ)
足蹴りにヤバイとエドは必死に逃げるしかない。
「どうした、君の実力はこんなものなのか。
エドワード・エルリック。
それとも、降参するかね?」
「する訳ないだろう!
ふざけるなぁっ!」
「い…ッ」
砂が舞い上がってロイの視界が塞がり、切れる音がした。
(…流石に油断してたな)
ボタボタッとロイの右腕から血が大量に流れていた。
「マスタング中将!
悪い、こんなに深く…っ」
「は…っ、試合中だ、鋼の」
「でも!」
「ぐ…っ、ぅ…ッ」
舌打ちしてロイはハンカチで腕を縛ると爆発を起こした。
「そこまでだ」
「…閣下」
「出血が酷いだろう。
未成年だと油断していたな」
「…申し訳ありません」
「だが、鋼の錬金術師。
視界を遮って近くで攻撃すれば、どうなるか計算するべきだ」
「…はい」
思うとこがあるのか珍しく、エドは素直に返事して俯く。
「勝者は…」
「棄権する。
怪我させたからじゃない。
俺の対策不足と実力不足だった。
あのまま戦ってたら錬金術だけだとしても負けてたよ。
調子に乗ってた。
マスタング中将、悪かったよ」
「鋼の、待っ…!」
「動くな!
出血量がヤバイから!」
「救護班!
早く来いっ!」
「ロイ、力を抜け。
大丈夫だから」
「……っ…」
閣下とヒューズに身体を支えられ、力が抜けて倒れそうになる。
地面には大量の血があってザワつきが広がった。
「マスタング中将!」
「…大丈夫だ。
すまないな、中尉。
セルシアを頼む」
「承知、しました」
泣きそうになりながらも敬礼する中尉に微かに笑う。
「…ロイ。
目が覚めていたか」
「…父様」
「叱らんよ。
計算ミスもあったが、戦ってみないと分からないのもあるからな。
怪我の状態は?」
「輸血もしたし、縫ったから。
しばらくは安静にしてろ」
「…そうか。
君は私を驚かせてばかりだ」
「ごめんなさい」
「もう怒っておらんよ。
みんなも心配していたぞ」
閣下は抱きつかれて苦笑いし、ロイの頭を撫でた。
「…入っても大丈夫か?
会いたいと言ってるんだが。
体調悪いならまたあとで」
「少しなら構わない」
「マスタング中将。
あの、本当に…ごめんなさい」
「気にするな。
私が油断していたんだ」
「トーナメント戦で視界を奪うなんて卑怯だった」
「それも戦略だ」
肩を震わせて俯いているエドにそういうとこは子供だなと苦笑いする。
袖で涙を拭うエドにロイはため息をつき、ポンポンと頭を叩く。
「…っズ。
マスタング中将…っ」
「気にしていない。
これは私の不注意だ」
「で、でも…っ」
「以前よりも素早くなってた。
反射神経も悪くないな」
「えっ?」
「君も成長してるってことだ」
クスクスと笑ってロイはベットに腰掛けて軍服を着る。
「おい、ロイ。
何やってるんだ!
貧血を起こしたんだろ!?」
「たいしたことはない。
ほら、屋台で何が食べたい?
楽しみにしていたんだろ」
「…でも」
「二度は言わない。
気にしていない。
これは事故だ」
戸惑いながらもエドは涙を拭うとロイについて行く。
「格好つけやがって。
大丈夫か?」
「…気持ち悪い。
グラグラする」
ベットに沈んでいるロイにヒューズも軍医もため息をつく。
「自業自得だ。
まぁ、点滴はしてやるから。
腕を出せ」
「…ん」
「あんたは少しは太れ」
「太れるなら太ってるよ」
「点滴してやるから寝ろ」
「熱、出て来たか」
苦しそうに息をするロイに閣下は優しく頭を撫でる。
「あんたが甘いからなコイツをダメにしているんだ」
「そう言われても愛しくて甘やかしてしまうんだよ」
「んぅ…」
「眠って構わんよ」
閣下に頭を撫でられてロイは目を閉じ、軍医が呆れたようにため息をつき、ヒューズは苦笑いする。
「…起きたか。
さっきよりは顔色よくなったな」
「お世話になりました」
「まったく、世話したかった訳じゃないが」
軍医の嫌味にロイは苦笑いし、医務室から出た。
(この状態では第二戦は私も棄権した方が良さそうだな)
医務室の前には中尉が待っていて微かに笑みが浮かぶ。
「預かっていた銃をお返し致します」
「ありがとう」
「私からは何も言いません」
「えっ?」
「理解しているでしょうし、大総統とヒューズ中佐に言われたのでしょう?」
「治療されながら軍医に一番言われたが」
「それはお疲れ様です」
「セルシアのトーナメントはどうなった?」
「勝ち進みましたよ」
「そうなると…、次は私か」
「ですが、マスタング中将は」
「棄権するよ」
安堵した様子の中尉にロイは苦笑いし、ポンポンと肩を叩いた。
「心配掛けてすまなかった。
とりあえず、会場に行こうか」
「承知しました」
「…荒れているな」
「アームストロング少佐だったので」
「あぁ、なるほど」
会場は調整されていてロイは納得したように頷いた。
『ロイさん!
怪我は大丈夫なんですか?』
「もう大丈夫だ。
輸血もしてもらったし」
『無理はしないでくださいね』
「分かってるよ。
心配掛けてすまなかった」
ロイに頬を撫でられて甘えるようにセルシアは抱きつく。