第43話
夢小説設定
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閣下は苦笑いし、脅し過ぎたかとロイの手を握る。
「……っ…」
「怯えないでおくれ。
君が嫌がることはしない。
いつか、君にも“作戦”を含めて話す時が来るだろう。
話すことが出来ないままに消えた時はどうか君が、探ってくれ」
「…閣下」
閣下を見つめてロイは黙り込んで戸惑いながらも頷いた。
深いため息をつき、背もたれに寄り掛かった。
「息子を圧倒しないでくださいよ」
「じゃないと、君は危険だと知りながらも調べるだろう?」
黙ってロイは目を反らし、閣下が苦笑いした。
「それは違うと言って欲しいんだが。
左遷も悪事を暴いてだったんじゃないか?
君のやり方はストレート過ぎる面があるからな」
「ヒューズにも言われました」
「良い親友だな」
「…はい」
「実際の君は生真面目で熱くて涙脆いと知っているのは何人だろうな」
一瞬だけ目を見開いたロイは苦笑いしてしまう。
「私は君よりも長く生きている。
物事を見分ける力はあると思っているよ」
「貴方に見分ける力がなければ、軍は崩壊していますよ。
涙脆いと言うのはやめてください。
私は滅多に泣かないんですよ…、父様以外の前では」
「意外と照れ屋でもあるな。
そこがまた可愛らしい」
「そういう発言をするから誤解されるんですよ」
頬を撫でられて閣下の指が唇に触れ、ロイは不思議そうに見つめる。
「結婚している奴等でも性欲だけの為に若い綺麗な男を遊びで手を出すこともある。
疑わないのか?」
「個室が正解なのか、疑われるのかどちらでしょうね。
愛人らしくした方がよろしいのですか?」
「君、妙なところで乗るね」
微かに笑みを浮かべてロイは閣下の手にすり寄る。
「甘やかしてくれるのでしょう?」
「息子としてな。
それ以上の感情はないさ」
「私もですよ。
セルシアを悲しませるつもりはありませんし。
そういう性癖を差別するつもりはありませんが、私にそういう趣味はありませんから」
「キッカケは媚薬かもしれないが」
「…料理が不味くなる発言はしないでくださいよ」
吹き出しそうになって飲み込み、ロイは唇を拭う。
「そういうものを盛られたら私のとこに来なさい」
「はぁ?」
「ほかの奴等に愛しい君を汚されたくはないからね」
閣下に太股を撫でられて“同性でもセクハラです”と伝えて離れてもらった。
楽しそうに笑う閣下にわざとなんだろうなと苦笑いする。
閣下に食事を奢ってもらうことも慣れ、断ることはしなくなった。
「オーダーメイドですか?」
「何着か持っていた方がいい。
君は中将なのだから」
「そうですが」
結局は断りきれずにロイは店主にサイズを測ってもらう。
「思ったよりも細いな」
「細い割には筋肉もありますし、そういう体質の方なんですよ。
マスタング中将はまだ若いですし。
落ち着いた色よりはこちらの色も良いかと思いますが」
「いや、落ち着いた色でいいだろう。
若くても中将だからな」
「承知しました。
入れたい色はありますか?」
「そうだな。
ロイなら、ワインレッドくらいはいいだろう。
君はよく似合うからね」
微かに複雑そうなロイに気づいて閣下はソファに座らせる。
「ロイ、これは血の色じゃない。
焔の錬金術師の君にはよく似合う」
「それなら青色も入れなくてはなりませんね」
「それもいいな」
正装の布やボタンのデザイン、色などを決めてゆく。
「この容姿だからよく似合うだろう。
目立ってしまうくらいがいい」
(…目立ちたくはないんですが)
もう諦めてロイはボタンのデザインを眺めていた。
「そちらが気になりますか。
やはり、閣下が気に留めるだけはありますな。
それはビンテージのボタンですよ」
「古びたデザインと揶揄る馬鹿者もおるが」
「繊細なデザインだと思いますが。
とても細かいです」
「気に入ったのならば、それでも制作してもらうか」
「…何着造るつもりですか」
「君はウェストが細いからベルトも必要だろう」
「聞いてます?」
結局は閣下の望み通りにオーダーメイドの注文をされてしまう。
「君は何でも似合ってしまうから困るな。
これは私の贈り物だ」
「…父様」
ケースから取り出したカフスボタンはチェーンが付いていて上品だ。
特注品で前々から注文してくれていたのが伝わる。
カフスボタンは種類豊富で様々だが、派手過ぎずにロイ好みだった。
「やはり、よく似合う。
君をイメージして作らせた。
受け取ってくれるかい?」
「はい、父様」
「本当なら君の成人した年に贈りたかったな」
「その時にはまだ似合わなかったはずです。
今贈られて嬉しいですよ。
ありがとうございます。
大切にします」
満足そうに笑って閣下は頷き、ロイの頬を優しく撫でた。
オーダーメイドの注文予約してロイの手にはカフスボタンのケースがあった。
「……っ…」
「怯えないでおくれ。
君が嫌がることはしない。
いつか、君にも“作戦”を含めて話す時が来るだろう。
話すことが出来ないままに消えた時はどうか君が、探ってくれ」
「…閣下」
閣下を見つめてロイは黙り込んで戸惑いながらも頷いた。
深いため息をつき、背もたれに寄り掛かった。
「息子を圧倒しないでくださいよ」
「じゃないと、君は危険だと知りながらも調べるだろう?」
黙ってロイは目を反らし、閣下が苦笑いした。
「それは違うと言って欲しいんだが。
左遷も悪事を暴いてだったんじゃないか?
君のやり方はストレート過ぎる面があるからな」
「ヒューズにも言われました」
「良い親友だな」
「…はい」
「実際の君は生真面目で熱くて涙脆いと知っているのは何人だろうな」
一瞬だけ目を見開いたロイは苦笑いしてしまう。
「私は君よりも長く生きている。
物事を見分ける力はあると思っているよ」
「貴方に見分ける力がなければ、軍は崩壊していますよ。
涙脆いと言うのはやめてください。
私は滅多に泣かないんですよ…、父様以外の前では」
「意外と照れ屋でもあるな。
そこがまた可愛らしい」
「そういう発言をするから誤解されるんですよ」
頬を撫でられて閣下の指が唇に触れ、ロイは不思議そうに見つめる。
「結婚している奴等でも性欲だけの為に若い綺麗な男を遊びで手を出すこともある。
疑わないのか?」
「個室が正解なのか、疑われるのかどちらでしょうね。
愛人らしくした方がよろしいのですか?」
「君、妙なところで乗るね」
微かに笑みを浮かべてロイは閣下の手にすり寄る。
「甘やかしてくれるのでしょう?」
「息子としてな。
それ以上の感情はないさ」
「私もですよ。
セルシアを悲しませるつもりはありませんし。
そういう性癖を差別するつもりはありませんが、私にそういう趣味はありませんから」
「キッカケは媚薬かもしれないが」
「…料理が不味くなる発言はしないでくださいよ」
吹き出しそうになって飲み込み、ロイは唇を拭う。
「そういうものを盛られたら私のとこに来なさい」
「はぁ?」
「ほかの奴等に愛しい君を汚されたくはないからね」
閣下に太股を撫でられて“同性でもセクハラです”と伝えて離れてもらった。
楽しそうに笑う閣下にわざとなんだろうなと苦笑いする。
閣下に食事を奢ってもらうことも慣れ、断ることはしなくなった。
「オーダーメイドですか?」
「何着か持っていた方がいい。
君は中将なのだから」
「そうですが」
結局は断りきれずにロイは店主にサイズを測ってもらう。
「思ったよりも細いな」
「細い割には筋肉もありますし、そういう体質の方なんですよ。
マスタング中将はまだ若いですし。
落ち着いた色よりはこちらの色も良いかと思いますが」
「いや、落ち着いた色でいいだろう。
若くても中将だからな」
「承知しました。
入れたい色はありますか?」
「そうだな。
ロイなら、ワインレッドくらいはいいだろう。
君はよく似合うからね」
微かに複雑そうなロイに気づいて閣下はソファに座らせる。
「ロイ、これは血の色じゃない。
焔の錬金術師の君にはよく似合う」
「それなら青色も入れなくてはなりませんね」
「それもいいな」
正装の布やボタンのデザイン、色などを決めてゆく。
「この容姿だからよく似合うだろう。
目立ってしまうくらいがいい」
(…目立ちたくはないんですが)
もう諦めてロイはボタンのデザインを眺めていた。
「そちらが気になりますか。
やはり、閣下が気に留めるだけはありますな。
それはビンテージのボタンですよ」
「古びたデザインと揶揄る馬鹿者もおるが」
「繊細なデザインだと思いますが。
とても細かいです」
「気に入ったのならば、それでも制作してもらうか」
「…何着造るつもりですか」
「君はウェストが細いからベルトも必要だろう」
「聞いてます?」
結局は閣下の望み通りにオーダーメイドの注文をされてしまう。
「君は何でも似合ってしまうから困るな。
これは私の贈り物だ」
「…父様」
ケースから取り出したカフスボタンはチェーンが付いていて上品だ。
特注品で前々から注文してくれていたのが伝わる。
カフスボタンは種類豊富で様々だが、派手過ぎずにロイ好みだった。
「やはり、よく似合う。
君をイメージして作らせた。
受け取ってくれるかい?」
「はい、父様」
「本当なら君の成人した年に贈りたかったな」
「その時にはまだ似合わなかったはずです。
今贈られて嬉しいですよ。
ありがとうございます。
大切にします」
満足そうに笑って閣下は頷き、ロイの頬を優しく撫でた。
オーダーメイドの注文予約してロイの手にはカフスボタンのケースがあった。