第43話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ロイとセルシアも毎日お弁当ではなく、多忙になれば食堂を理由することもある。
それでも食堂の利用回数は数えるくらいだけれど。
「君達も昼休憩か」
「閣下!」
「あぁ、楽にして構わんよ」
「どうかなさいました?」
「今回に限っては本当に偶然だ」
「そうですか」
「ロイ、君は女性に生まれなくてよかったな」
「…童顔で女顔で悪かったですね」
「それもあるが。
君は綺麗な顔をしてるからな」
「本当ですよ。
努力せずにそんな色白で羨ましいですよね」
「レベッカ!
失礼しました、マスタング中将」
「構わんよ。
そう言われてもね。
仕事柄、外よりも室内で仕事も多いからな。
体質的に日焼けもしづらいんだよ」
「羨ましさ通り越して憎さ100倍になりそうですね」
「…100倍」
レベッカは中尉に頭を叩かれて引きずられて行き、ロイは苦笑いする。
「君もそう思うのか?」
『羨ましさよりも憎しみよりも愛しさが増しますが?』
「…っぶ!
ゴホッ…ゴホッ…」
『大丈夫ですか?』
((あんたのせいだよ))
予想外の返答だったようでロイは咳き込んで閣下に背をさすられていた。
「近々、軍部祭りが開催されるから。
君には国家錬金術師の部門に参加してもらうからそのつもりで」
「承知しています」
「鋼の錬金術師からご指名だ」
「…分かりました」
やれやれと呆れたようにロイはため息をつく。
「今日は君はこの時間から仕事だったな。
おはよう、ロイ」
「そうでしたね。
おはようござ…っ」
閣下に頬にキスされ、ロイは瞬きして凝視する。
「父様、おはようございます。
私もするべきですか?」
閣下の首に腕を回してロイは楽しそうに微笑んだ。
「そうだなぁ。
愛しい息子にはして欲しいかな」
「それが貴方のお望みならば」
ロイが閣下の頬にキスすると静まり返り、正面に座っていたヒューズは苦笑いするしかない。
閣下は満足そうに笑って食堂から居なくなった。
「ロイ、おまえなぁ…」
「別に減るもんじゃない」
「そういう問題か?
リーゼル大佐は妬かないんだな」
『唇ではないですし、舌を入れられた訳じゃないですから』
「…誰かさんの悪影響じゃないか?」
「私がそういうキスをするのは君だけだよ」
((他所でやってくれよ))
耳元で囁いてロイはセルシアの髪に触れ、腰を抱き寄せた。
定時終わりに図書館を理由していると気配に顔を上げた。
「軍事祭りの前にはパーティーがあるから行こうか。
仕事は終わったのだろう?」
「…終わりましたが。
閣下、どちらに?」
「リーゼル大佐は夜勤だろう?」
「私の隊のスケジュールまで把握しているんですか」
「君が大切にしている部下だからね」
(何かあれば、人質にされそうだな)
結局は連れて行かれてロイはため息をつきながらもついて行く。
「父様、時間掛かるんでしょう。
先に食事に行きません?
お腹空きました」
「では、そうしょうか。
何が食べたい?」
「…パスタ。
ビーフシチューがあると嬉しいです」
「行こうか」
遠慮しても言わされるのだから素直に言う方がいいと判断した。
いつか別れて悲しくはなるだろうが、思い出を作ろうと互いに思っているのかもしれない。
「…美味しい」
「それは良かった。
君は好みが意外とハッキリしているからね」
「外食はあまりしないので。
こういう店を知れてよかったです。
私が中央に居た頃とは店も変わっているので」
「そうか。
こういう流れは早いからな」
もっと食べなさいと勧められてロイは苦笑いする。
少食の時もあるが、周りがよく食べる者達だけで細身のわりにはロイも意外と食べる方だ。
波があるので少食のイメージがあるのかもしれない。
「君は作法はこちらが教えずとも、しっかりしているな。
特に上官に教わった訳ではないのだろう?」
「…義母がそういうことには厳しかったので。
前も話しませんでしたか?」
「いや、聞いていたが。
君はプライベートな話を滅多にしないから聞きたくなるんだ」
「それは…っ」
「立場上、警戒するのは仕方ないさ。
信頼していても当然だ。
自分も大切な人達も守る為に。
いつどうなるかわからないのだから」
「父様、私は…っ」
「泣かないでおくれ。
ほら、せっかくの料理が冷めてしまうよ」
「…はい」
閣下に目元の涙を拭われ、ロイは目を伏せた。
「君は目を閉じていても美しいな。
忘れないでおくれ。
私は君を悲しませたり、不幸にしたい訳ではない」
「はい、父様。
どんなに信頼していても。
警戒してないとは言えませんが。
私も今ならば、貴方の幸せを願っています」
「過去は違ったかい?」
「引きずり下ろすことが国民の幸せだと思っていた。
イシュヴァールのは…、戦争じゃなくて…アレは…っ」
「言わなくていい。
わかっておる。
口に出してはいけないよ、ロイ」
「…閣下」
「あの時は言えない“作戦”があった。
だが、今ならば…それは違う方法があったかもしれない」
「私に話して良かったのですか?」
「君だから話すんだ。
いいかい、探ってはいけないよ。
君を守る為にも。
分かったね?」
閣下の冷たい眼に微かに肩が震え、圧倒されて頷くのが精一杯だった。
それでも食堂の利用回数は数えるくらいだけれど。
「君達も昼休憩か」
「閣下!」
「あぁ、楽にして構わんよ」
「どうかなさいました?」
「今回に限っては本当に偶然だ」
「そうですか」
「ロイ、君は女性に生まれなくてよかったな」
「…童顔で女顔で悪かったですね」
「それもあるが。
君は綺麗な顔をしてるからな」
「本当ですよ。
努力せずにそんな色白で羨ましいですよね」
「レベッカ!
失礼しました、マスタング中将」
「構わんよ。
そう言われてもね。
仕事柄、外よりも室内で仕事も多いからな。
体質的に日焼けもしづらいんだよ」
「羨ましさ通り越して憎さ100倍になりそうですね」
「…100倍」
レベッカは中尉に頭を叩かれて引きずられて行き、ロイは苦笑いする。
「君もそう思うのか?」
『羨ましさよりも憎しみよりも愛しさが増しますが?』
「…っぶ!
ゴホッ…ゴホッ…」
『大丈夫ですか?』
((あんたのせいだよ))
予想外の返答だったようでロイは咳き込んで閣下に背をさすられていた。
「近々、軍部祭りが開催されるから。
君には国家錬金術師の部門に参加してもらうからそのつもりで」
「承知しています」
「鋼の錬金術師からご指名だ」
「…分かりました」
やれやれと呆れたようにロイはため息をつく。
「今日は君はこの時間から仕事だったな。
おはよう、ロイ」
「そうでしたね。
おはようござ…っ」
閣下に頬にキスされ、ロイは瞬きして凝視する。
「父様、おはようございます。
私もするべきですか?」
閣下の首に腕を回してロイは楽しそうに微笑んだ。
「そうだなぁ。
愛しい息子にはして欲しいかな」
「それが貴方のお望みならば」
ロイが閣下の頬にキスすると静まり返り、正面に座っていたヒューズは苦笑いするしかない。
閣下は満足そうに笑って食堂から居なくなった。
「ロイ、おまえなぁ…」
「別に減るもんじゃない」
「そういう問題か?
リーゼル大佐は妬かないんだな」
『唇ではないですし、舌を入れられた訳じゃないですから』
「…誰かさんの悪影響じゃないか?」
「私がそういうキスをするのは君だけだよ」
((他所でやってくれよ))
耳元で囁いてロイはセルシアの髪に触れ、腰を抱き寄せた。
定時終わりに図書館を理由していると気配に顔を上げた。
「軍事祭りの前にはパーティーがあるから行こうか。
仕事は終わったのだろう?」
「…終わりましたが。
閣下、どちらに?」
「リーゼル大佐は夜勤だろう?」
「私の隊のスケジュールまで把握しているんですか」
「君が大切にしている部下だからね」
(何かあれば、人質にされそうだな)
結局は連れて行かれてロイはため息をつきながらもついて行く。
「父様、時間掛かるんでしょう。
先に食事に行きません?
お腹空きました」
「では、そうしょうか。
何が食べたい?」
「…パスタ。
ビーフシチューがあると嬉しいです」
「行こうか」
遠慮しても言わされるのだから素直に言う方がいいと判断した。
いつか別れて悲しくはなるだろうが、思い出を作ろうと互いに思っているのかもしれない。
「…美味しい」
「それは良かった。
君は好みが意外とハッキリしているからね」
「外食はあまりしないので。
こういう店を知れてよかったです。
私が中央に居た頃とは店も変わっているので」
「そうか。
こういう流れは早いからな」
もっと食べなさいと勧められてロイは苦笑いする。
少食の時もあるが、周りがよく食べる者達だけで細身のわりにはロイも意外と食べる方だ。
波があるので少食のイメージがあるのかもしれない。
「君は作法はこちらが教えずとも、しっかりしているな。
特に上官に教わった訳ではないのだろう?」
「…義母がそういうことには厳しかったので。
前も話しませんでしたか?」
「いや、聞いていたが。
君はプライベートな話を滅多にしないから聞きたくなるんだ」
「それは…っ」
「立場上、警戒するのは仕方ないさ。
信頼していても当然だ。
自分も大切な人達も守る為に。
いつどうなるかわからないのだから」
「父様、私は…っ」
「泣かないでおくれ。
ほら、せっかくの料理が冷めてしまうよ」
「…はい」
閣下に目元の涙を拭われ、ロイは目を伏せた。
「君は目を閉じていても美しいな。
忘れないでおくれ。
私は君を悲しませたり、不幸にしたい訳ではない」
「はい、父様。
どんなに信頼していても。
警戒してないとは言えませんが。
私も今ならば、貴方の幸せを願っています」
「過去は違ったかい?」
「引きずり下ろすことが国民の幸せだと思っていた。
イシュヴァールのは…、戦争じゃなくて…アレは…っ」
「言わなくていい。
わかっておる。
口に出してはいけないよ、ロイ」
「…閣下」
「あの時は言えない“作戦”があった。
だが、今ならば…それは違う方法があったかもしれない」
「私に話して良かったのですか?」
「君だから話すんだ。
いいかい、探ってはいけないよ。
君を守る為にも。
分かったね?」
閣下の冷たい眼に微かに肩が震え、圧倒されて頷くのが精一杯だった。