第42話
夢小説設定
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閣下の執務室に入るとロイは思わず、凝視してしまう。
「…閣下」
「何か問題あるかね?
将軍達にも溺愛と言われたのでそれを素直に表現したのだよ」
「ぶはっ、失礼…しました。
そう…ですか」
肩を震わせて笑っているロイと疲れ切った補佐官は両極端だ。
「とりあえず、何か飲みます?」
「…それは将軍の仕事なのか?」
「私の趣味ですから。
補佐官にも淹れて来ますよ」
「そういうことではないのだが」
閣下が好きにさせているので補佐官は諦めたようにため息をつく。
ロイの為に当初よりも閣下の自腹で水場の整備が整った
茶葉に湿気だけではなく、毒混入を防ぐ為にロイは錬金術で封をしている。
「私の荷物はこちらの本棚を利用してよろしいのですか?」
「あぁ、それで足らなかったらすぐに言いなさい」
「大丈夫です」
「錬金術の本もあるだろう?」
「それに関わっている者しか分かりませんし、読まれても問題ないものしか置いてませんよ」
ロイの専用の机だけではなくて本棚も設置されていた。
『ロイさん、お帰りなさい。
荷物が多いですね』
「…ただいま。
置いておけないものは持って来た。
主に錬金術関連だけれど」
『はい?』
セルシアに2階級昇進の証と共に大総統府に異動になったことを伝えた。
『閣下の溺愛もここまで来ましたか』
「驚かないのか?」
『ロイさんを守る為なら大歓迎です。
傷つける為ならば、今すぐにでも乗り込みますが』
(…本気でするから恐ろしいんだよな)
『皆さんでお祝いしないといけませんね。
決定事項ですからね。
ロイさん、予備の軍服も持って帰って来ましたか?
夕食後に縫っちゃいますね』
「すまない、頼むよ」
『嬉しいです』
階級の証を任せてもらえるのは幸せなことだ。
「定時で帰れるとこんなにものんびりと出来るんだな」
『そうですね。
事件も仕事も押し付けられてましたし、残業続いてますから』
こんな風に定時で帰れるのは滅多にないだろう。
階級が上がっても嫌味や陰口が減る訳ではないので将軍に会いたくないのが本音だ。
「もう帰ったぞ。
将軍達が来る度に隠れてどうするんだ?」
「分かっていますが。
条件反射で」
閣下の執務室の給水所の奥に隠れているロイに閣下は苦笑いしてしまう。
「そんなに嫌か?」
「…嫌です」
屈んでいるロイの目の前に屈むと閣下
は楽しそうに笑い、ロイの頭を豪快に撫でた。
子供扱いも含め、閣下に遊ばれているような感覚にもなる。
30歳も離れているので閣下から見れば子供なのだろう。
(それがわざとなのか、無意識なのか分からないが。
ほかの軍人達や国民の前でも頭を撫でるのはやめて欲しい)
言ったところで面白がってやめてはくれないけれど。
昇格しても実力でないというのが将軍達の意見で嫌味も嫌がらせも減りはしたが、ゼロではない。
「……っ…」
ロイは閣下が居ない執務室で机に顔を埋めてキリキリと痛む胃に小さく唸る。
閣下が居なくても執務室で1人きりになることはなく、それは将軍達からの疑いを掛けられないようにする為の対策で結果的にロイの為でもある。
(胃薬、貰いに行くか?
それも面倒だな)
こういう時はいつも中尉かセルシアが胃薬を用意してくれていた。
(中尉が来る前はどうやって過ごしていたんだっけ。
誰かついていた気もするけれど)
目を閉じて当時を思い出そうとするが、記憶に残っていない。
「大丈夫か?
熱はないようだが」
「…閣下。
いえ、大丈夫です」
「顔色が悪いか?」
「少し胃痛がするだけですから」
「居ない間に将軍達が来たようだな」
「閣下が居ないのなら、私が対応するしかないので」
「すまなかったな」
閣下に頭を撫でられてロイは苦笑いしながら座り直した。
「君、そんなに胃痛してたか?」
「…中尉とセルシアが胃薬を充備してくれてました」
「毎日のように飲んでたのか?」
「まさか。
そこまでじゃないですよ」
「そのわりには…」
「誰が2階級昇進されると思いますか!」
「まぁ、そうだな」
「大総統府に異動だなんて想定してなかったんですよ」
「不満なのか?」
「貴方は急過ぎるんですよ」
環境の変化に将軍達からの嫌味に加えて軍人達からの好奇な視線。
流石のロイでもストレスが溜まらない訳がなかった。
「不満とは言わないんだな」
「…私を守る為なのは分かってます。
それが空回りしていても」
閣下に胃薬を手渡されてロイハ瞬きして見つめる。
「毒ではない。
疑うなら私も飲むが?」
「…閣下も胃痛するんですか?」
「こんな環境で胃痛もしないのは貴方だけだと妻に言われてね」
「そうですか。
疑ったりしませんよ。
今は守ってくれるのでしょう?」
クスクスと笑ってロイは閣下から貰った胃薬を飲み干す。
「何ですか?」
「私の前でも笑うようになったなと。
愛想笑いではなくて。
そういう笑顔の方がいいな。
ヒューズ中佐やホークアイ中尉には見せるのに寂しかったぞ」
「…っぶ!
ゴホッ…ゴホッ…」
冗談か本気か分からない閣下の発言にロイは吹き出しそうになって咳き込み、閣下の補佐官に苦笑いしてせをさすられた。
「…閣下」
「何か問題あるかね?
将軍達にも溺愛と言われたのでそれを素直に表現したのだよ」
「ぶはっ、失礼…しました。
そう…ですか」
肩を震わせて笑っているロイと疲れ切った補佐官は両極端だ。
「とりあえず、何か飲みます?」
「…それは将軍の仕事なのか?」
「私の趣味ですから。
補佐官にも淹れて来ますよ」
「そういうことではないのだが」
閣下が好きにさせているので補佐官は諦めたようにため息をつく。
ロイの為に当初よりも閣下の自腹で水場の整備が整った
茶葉に湿気だけではなく、毒混入を防ぐ為にロイは錬金術で封をしている。
「私の荷物はこちらの本棚を利用してよろしいのですか?」
「あぁ、それで足らなかったらすぐに言いなさい」
「大丈夫です」
「錬金術の本もあるだろう?」
「それに関わっている者しか分かりませんし、読まれても問題ないものしか置いてませんよ」
ロイの専用の机だけではなくて本棚も設置されていた。
『ロイさん、お帰りなさい。
荷物が多いですね』
「…ただいま。
置いておけないものは持って来た。
主に錬金術関連だけれど」
『はい?』
セルシアに2階級昇進の証と共に大総統府に異動になったことを伝えた。
『閣下の溺愛もここまで来ましたか』
「驚かないのか?」
『ロイさんを守る為なら大歓迎です。
傷つける為ならば、今すぐにでも乗り込みますが』
(…本気でするから恐ろしいんだよな)
『皆さんでお祝いしないといけませんね。
決定事項ですからね。
ロイさん、予備の軍服も持って帰って来ましたか?
夕食後に縫っちゃいますね』
「すまない、頼むよ」
『嬉しいです』
階級の証を任せてもらえるのは幸せなことだ。
「定時で帰れるとこんなにものんびりと出来るんだな」
『そうですね。
事件も仕事も押し付けられてましたし、残業続いてますから』
こんな風に定時で帰れるのは滅多にないだろう。
階級が上がっても嫌味や陰口が減る訳ではないので将軍に会いたくないのが本音だ。
「もう帰ったぞ。
将軍達が来る度に隠れてどうするんだ?」
「分かっていますが。
条件反射で」
閣下の執務室の給水所の奥に隠れているロイに閣下は苦笑いしてしまう。
「そんなに嫌か?」
「…嫌です」
屈んでいるロイの目の前に屈むと閣下
は楽しそうに笑い、ロイの頭を豪快に撫でた。
子供扱いも含め、閣下に遊ばれているような感覚にもなる。
30歳も離れているので閣下から見れば子供なのだろう。
(それがわざとなのか、無意識なのか分からないが。
ほかの軍人達や国民の前でも頭を撫でるのはやめて欲しい)
言ったところで面白がってやめてはくれないけれど。
昇格しても実力でないというのが将軍達の意見で嫌味も嫌がらせも減りはしたが、ゼロではない。
「……っ…」
ロイは閣下が居ない執務室で机に顔を埋めてキリキリと痛む胃に小さく唸る。
閣下が居なくても執務室で1人きりになることはなく、それは将軍達からの疑いを掛けられないようにする為の対策で結果的にロイの為でもある。
(胃薬、貰いに行くか?
それも面倒だな)
こういう時はいつも中尉かセルシアが胃薬を用意してくれていた。
(中尉が来る前はどうやって過ごしていたんだっけ。
誰かついていた気もするけれど)
目を閉じて当時を思い出そうとするが、記憶に残っていない。
「大丈夫か?
熱はないようだが」
「…閣下。
いえ、大丈夫です」
「顔色が悪いか?」
「少し胃痛がするだけですから」
「居ない間に将軍達が来たようだな」
「閣下が居ないのなら、私が対応するしかないので」
「すまなかったな」
閣下に頭を撫でられてロイは苦笑いしながら座り直した。
「君、そんなに胃痛してたか?」
「…中尉とセルシアが胃薬を充備してくれてました」
「毎日のように飲んでたのか?」
「まさか。
そこまでじゃないですよ」
「そのわりには…」
「誰が2階級昇進されると思いますか!」
「まぁ、そうだな」
「大総統府に異動だなんて想定してなかったんですよ」
「不満なのか?」
「貴方は急過ぎるんですよ」
環境の変化に将軍達からの嫌味に加えて軍人達からの好奇な視線。
流石のロイでもストレスが溜まらない訳がなかった。
「不満とは言わないんだな」
「…私を守る為なのは分かってます。
それが空回りしていても」
閣下に胃薬を手渡されてロイハ瞬きして見つめる。
「毒ではない。
疑うなら私も飲むが?」
「…閣下も胃痛するんですか?」
「こんな環境で胃痛もしないのは貴方だけだと妻に言われてね」
「そうですか。
疑ったりしませんよ。
今は守ってくれるのでしょう?」
クスクスと笑ってロイは閣下から貰った胃薬を飲み干す。
「何ですか?」
「私の前でも笑うようになったなと。
愛想笑いではなくて。
そういう笑顔の方がいいな。
ヒューズ中佐やホークアイ中尉には見せるのに寂しかったぞ」
「…っぶ!
ゴホッ…ゴホッ…」
冗談か本気か分からない閣下の発言にロイは吹き出しそうになって咳き込み、閣下の補佐官に苦笑いしてせをさすられた。