第39話
夢小説設定
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出勤すると司令部のロビーで大声で呼ばれる。
「ロイっ!
これ、誕生日プレゼントな!」
「おわっ!
何でここで渡すんだ」
「朝一番にやろうかと思ってな」
「意味が分からん。
ありがとう」
「素敵な誕生日を」
「はいはい。
中尉、閣下に会いに行くから」
「行ってらっしゃいませ。
お預かり致します」
「ありがとう」
「マスタング将軍、誕生日おめでとうございます」
「…ありがとう」
微かに笑ってロイは中尉の頭を撫でて去って行く。
「おはよう」
「閣下、おはようございます」
「今日は誕生日だったな。
誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
「物は受け取らないと言っていたが、これなら受け取ってくれるかな」
「オルゴール?
随分と古いオルゴールですね」
閣下が箱形のオルゴールの蓋を開けると小物いれになっており、音楽が鳴ってロイは驚く。
「分かったか?
アイリス…君の母が作曲した曲だ。
そして、これはウィルが君の誕生日に贈ったものなんだよ。
確か2歳の誕生日だったかな。
何故か私の屋敷にあるのかは不明だが」
幼いロイに贈ったオルゴールで当時の手紙と写真も入っていた。
「……っ…」
「誕生日おめでとう、ロイ」
泣きそうになると閣下に抱き締められてロイは軍服を掴む。
閣下の合図で補佐官達は執務室から静かに退室する。
「こんなの、ずる…い」
「君を泣かせたかった訳ではないのだが」
「不意討ち…です。
ありがとう、ございます」
「受け取ってくれるかな?」
「…はい。
大切に、します」
閣下から受け取ってロイは微かに笑って頷いた。
「こっちにおいで」
「閣下?」
「まだ時間はあるな。
君が生まれた日、1月24日。
その日は都会でも珍しく大荒れで吹雪いていた。
難産で10時間以上も掛かって。
君は吹雪の中、生まれた。
平均より小さくて色白で可愛らしく綺麗な子だと言われたよ。
生んだ途端に吹雪も止んで静寂な朝方で太陽が上がって。
神様も祝福してるなんてウィルは言ってたな」
出生の話を閣下が教えてくれてロイは黙って聞いていた。
「ありがとうございます。
閣下…いえ、父様。
ちょっとだけ…このままで」
「構わないよ」
ロイに抱きつかれて閣下は微笑んで優しく頭を撫でる。
「こんなに涙脆くなんか、なかったのに…っ」
「君は両親と生き別れしてから無意識に傷を封じ込めて我慢していたんだろうな。
本当は泣きたくてたまらなかった時も甘えたい時も、寂しくて辛い時でさえも我慢して封じ込めて。
解放してあげていいんだ。
成人を過ぎていても私の年齢からすれば、君はまだ子供だ」
「子供って…」
「君は子供らしさのない子供時代を過ごして来たのだろう?」
ロイが顔を上げると閣下は指でロイの涙を拭う。
中尉も似たような環境だったが、違うのは実父が生きていて頼りになる兄のようなロイがいて甘やかしてくれていた。
ロイは甘えられる存在も我儘を言える環境もなかったのだろう。
マダムも必死で甘やかしてあげる余裕がなかった。
「貴方がそうやって甘やかすから!
何でっ…甘やかされなくても生きていけるはず、だったのに」
「1人では生きていけないよ。
頼って支えられて生きているんだ。
賢い君だ、本当は分かっているだろう?」
「うっ、く…」
「何も言わなくていいから。
誕生日を祝ってもらうのが苦手なのも甘えたくなるから、なんだろう?
これからも甘やかしてやるからな」
「…程々にしてください」
「それは難しいな。
セリムと同じくらいに甘やかして可愛くてたまらないから」
「か、可愛っ!?」
「息子を可愛いと思うのは当然だ」
「私は子供ではありません!」
「言っただろ。
私の年齢からは君だって子供だ」
「小さな子供と一緒にしないでください。
子供扱いを!」
「それは無理だな」
「むぅ…」
唇を尖らせるロイに楽しそうに閣下は笑う。
「よいしょ…、っと」
「うわっ!
ちょっ…何するんですか!?」
「やはり、まだ軽いな。
私に抱えられるくらいではまだ子供だぞ」
「分かりましたから降ろしてください!」
閣下に軽々と抱えられてロイはジタバタと暴れるが、効果がない。
「ロイっ!
これ、誕生日プレゼントな!」
「おわっ!
何でここで渡すんだ」
「朝一番にやろうかと思ってな」
「意味が分からん。
ありがとう」
「素敵な誕生日を」
「はいはい。
中尉、閣下に会いに行くから」
「行ってらっしゃいませ。
お預かり致します」
「ありがとう」
「マスタング将軍、誕生日おめでとうございます」
「…ありがとう」
微かに笑ってロイは中尉の頭を撫でて去って行く。
「おはよう」
「閣下、おはようございます」
「今日は誕生日だったな。
誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
「物は受け取らないと言っていたが、これなら受け取ってくれるかな」
「オルゴール?
随分と古いオルゴールですね」
閣下が箱形のオルゴールの蓋を開けると小物いれになっており、音楽が鳴ってロイは驚く。
「分かったか?
アイリス…君の母が作曲した曲だ。
そして、これはウィルが君の誕生日に贈ったものなんだよ。
確か2歳の誕生日だったかな。
何故か私の屋敷にあるのかは不明だが」
幼いロイに贈ったオルゴールで当時の手紙と写真も入っていた。
「……っ…」
「誕生日おめでとう、ロイ」
泣きそうになると閣下に抱き締められてロイは軍服を掴む。
閣下の合図で補佐官達は執務室から静かに退室する。
「こんなの、ずる…い」
「君を泣かせたかった訳ではないのだが」
「不意討ち…です。
ありがとう、ございます」
「受け取ってくれるかな?」
「…はい。
大切に、します」
閣下から受け取ってロイは微かに笑って頷いた。
「こっちにおいで」
「閣下?」
「まだ時間はあるな。
君が生まれた日、1月24日。
その日は都会でも珍しく大荒れで吹雪いていた。
難産で10時間以上も掛かって。
君は吹雪の中、生まれた。
平均より小さくて色白で可愛らしく綺麗な子だと言われたよ。
生んだ途端に吹雪も止んで静寂な朝方で太陽が上がって。
神様も祝福してるなんてウィルは言ってたな」
出生の話を閣下が教えてくれてロイは黙って聞いていた。
「ありがとうございます。
閣下…いえ、父様。
ちょっとだけ…このままで」
「構わないよ」
ロイに抱きつかれて閣下は微笑んで優しく頭を撫でる。
「こんなに涙脆くなんか、なかったのに…っ」
「君は両親と生き別れしてから無意識に傷を封じ込めて我慢していたんだろうな。
本当は泣きたくてたまらなかった時も甘えたい時も、寂しくて辛い時でさえも我慢して封じ込めて。
解放してあげていいんだ。
成人を過ぎていても私の年齢からすれば、君はまだ子供だ」
「子供って…」
「君は子供らしさのない子供時代を過ごして来たのだろう?」
ロイが顔を上げると閣下は指でロイの涙を拭う。
中尉も似たような環境だったが、違うのは実父が生きていて頼りになる兄のようなロイがいて甘やかしてくれていた。
ロイは甘えられる存在も我儘を言える環境もなかったのだろう。
マダムも必死で甘やかしてあげる余裕がなかった。
「貴方がそうやって甘やかすから!
何でっ…甘やかされなくても生きていけるはず、だったのに」
「1人では生きていけないよ。
頼って支えられて生きているんだ。
賢い君だ、本当は分かっているだろう?」
「うっ、く…」
「何も言わなくていいから。
誕生日を祝ってもらうのが苦手なのも甘えたくなるから、なんだろう?
これからも甘やかしてやるからな」
「…程々にしてください」
「それは難しいな。
セリムと同じくらいに甘やかして可愛くてたまらないから」
「か、可愛っ!?」
「息子を可愛いと思うのは当然だ」
「私は子供ではありません!」
「言っただろ。
私の年齢からは君だって子供だ」
「小さな子供と一緒にしないでください。
子供扱いを!」
「それは無理だな」
「むぅ…」
唇を尖らせるロイに楽しそうに閣下は笑う。
「よいしょ…、っと」
「うわっ!
ちょっ…何するんですか!?」
「やはり、まだ軽いな。
私に抱えられるくらいではまだ子供だぞ」
「分かりましたから降ろしてください!」
閣下に軽々と抱えられてロイはジタバタと暴れるが、効果がない。