第③話

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料理が出来上がり、大佐を呼びに行くと静かだった。


(どうりで静かなはずだよね…)


本を片手にソファで寝てしまっていた。


(事件や事故の処理が多かったし。
ちょっと起こすのは可哀想かな…)


綺麗な寝顔を見つめ、そっとタオルケットを掛ける。


「んん…っ」
(あ、起きちゃうかな…)


本を手から取ると栞を挟んだ。


パサリと前髪が揺れ、寝返りしただけで起きる気配がない。


セルシア…?」
『起きました?』
「あ、すまない。
寝てしまったようで…」
『気にしないでください。
夕食にします?』
「あ、あぁ…」
『その本、読みたいなら貸しますよ。
曖昧な研究ですけど、大佐の役に少しでも立つなら』
「いいのか…?
両親が研究していた大切なもので世にもそんなに出てない」


セルシアは微笑んで頷いた。


有名な研究者で何冊か研究書も出しているが、大量出版だけはしなかった。


『大佐だからです。
…大佐なら悪用しないと信じてますから。
悪用しようとしたり、お金目当ての人達が来ました。
両親の研究は私が死ぬまで守るつもりでした』
「だったら…」
『けれど、大佐になら‥‥その研究が役立つなら受け継いで構いません。
いつか役立つ時が来たなら、使っても構いません。
本当に曖昧な研究で、答えがあるのかも分かりません。
どれも正解であり、間違いでもある。
そういう研究なんです。
私には必要ない研究でも‥‥大佐にはいつか必要な時が来るかもしれない。
どうか、両親の意思を継いでください』
「…ありがとう。
外部に漏らしたりしないから」
『はい。
この本を持って帰りますか?
私のとこにあるより安心ですから』
「あぁ、君がそれを望むなら…」


セルシアはゆっくりと頷いた。


大佐はセルシアを抱き寄せた。


「信用してくれ、裏切ったりしない」
『…はい。
私は私が選んだ人を信じてますから』
「ありがとう」


セルシアの涙を拭うと大佐は目元にキスをした。


「…辛いか?」
『いえ、嬉しいんです。
両親はもう居ないけれど、残したものを受け継いでくれる人が現れたのが…
両親が大切にしていた研究は私では必要のないものでしたから。
解説するのも暗号なので難しいかとは思いますが、きっと大佐なら大丈夫なはずです』
「解説も含めて、君の希望に応えられるように努力しよう」


頬に触れられ、セルシアはふわりと微笑んだ。


「ずっと独りで抱えて辛かっただろう?
もう大丈夫だ、私が守るから。
君も研究も…」


大佐に抱きつき、セルシアはすがるように泣いた。


恥ずかしそうに頬を赤らめて俯く。


『すみません…
あ、あの…降ろしてください』
「もう少し、こうしていたいな」
『は、恥ずかしいです。
重くないですか?』
「いや、全然。
むしろ軽くて心配になるよ」


大佐の膝で抱っこされている状態だ。


「でも、夕食を食えないからな。
また今度にしよう」
(ま、また今度…?
また抱っこされるってこと!!?)
「さあ、夕食にしようか」
『‥‥はい』


子供扱いなのか、微妙なところで少し悩んでしまう。


「うまそうだな」
『はい、どうぞ』
「いただきます。
ん、うまいな」
『よかったです…』


安堵して息をつき、嬉しそうに微笑む。


『おかわりもありますよ』
「それでは、頂こうかな」
『はい』


美味しそうに食べてもらえるのは何よりも幸せ。



両親の意思を継いで欲しいと願う…。


誰よりも信じた憧れの人‥‥。


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