第37話
夢小説設定
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閣下が小さく笑うのでロイは首を傾げた。
「ロイを連れて来て正解だな」
「覚えられないのよ」
「ほかに覚えてるのは?」
「名前と顔は一致しております。
国名、家族構成」
「リストすべて覚えたのか?」
「一度見たら分かるかと」
「あぁ、なるほど。
記憶力がいいんだったな。
順番を任せてもいいか?
親しい者は分かるが」
「新たに就任している方もいますからね」
「ロイ、そういう意味ではないと思うのだけれど」
「はい?」
「君はそれで構わんよ」
「よくは分かりませんが、お役に立てるのなら光栄です」
「ロイ、また補佐官に…」
「その方が楽なんですよ。
父様、行かないのですか?」
「行こうか」
主導権をロイに握られていて奥様は微かに笑う。
「お久しぶりですな」
「あぁ、久しぶりです。
君にこんな大きなイケメンの息子がいるとは思わなかったぞ」
「自慢の息子だ」
「溺愛だな」
「否定はせんよ」
「…そこはこういう場では否定してください。
初めまして、ヴァイ大統領。
父様からよく話に聞いております」
「変な話ではないだろうな」
「ヴァイ大統領の国の話を聞いております。
この国にはない文化もあるそうで面白かったです」
「そうか、それなら大歓迎だ!」
(あの気難しい人を…
外交が初めてとは思えんな)
ロイが穏やかに微笑みながら挨拶と共に大統領と雑談している。
「君、私の娘とはどうだね?」
「もうお父様ったら」
「何を言っておるんだ。
ロイには婚約者がいるよ」
「これだけのイケメンならそうか。
でも、娘とダンスの相手ならいいだろう?」
「もちろん喜んで」
それは想定内なのでロイは特に断る理由もない。
一部の大統領の息子からは睨まれるが、嫉妬だろうとロイは想定内で気にしない。
(目立ち過ぎたかな。
殺意がある訳ではないし、好意を抱いていた相手を取られたってとこか)
まだ幼いなと思いながらロイは微かに笑う。
ダンスから逃れるように会場の隅で飲み物を口にする。
「ロイ、そんなに離れてるな。
こちらに来なさい」
「…はい」
「また食べてないだろう?
これなら濃い味ではないから食べなさい」
「あっ、いえ…」
「食べなさい」
「分かりました」
「好き嫌いが多いのか?」
「パーティー会場にある濃い味が苦手でな」
「はい、サラダもあるわよ」
「ありがとうございます」
閣下夫妻に取り皿に盛られてロイは苦笑い。
「ぶはっ!
かなりの溺愛で大変そうだな」
「人前でも世話焼くなんて随分と可愛がられてるのね」
「放っておくと食べないし。
先程から食べてなかったのだろ。
だから、痩せてるんだ」
「…痩せてはいません。
父様を基準にしないでください」
「基準にはしてないが。
ウエストが細すぎる」
「体質です。
ガリガリに痩せてはいません」
「いつものことだから気にしないで構いませんよ」
驚きながらも周りは嫌な気持ちにはなっていない。
「どちらとも似てないんだな」
「あぁ、血の繋がりはないからな。
養子でもない」
「そうなのか?
でも、息子と言っていたが」
「血の繋がりも養子でもなくてもロイは私達の息子だ」
「父様…」
閣下は笑っていつものようにロイの頭を優しく撫でた。
今までとは異なる閣下に大統領達は驚きながらも楽しそうだ。
「良い意味で変わったな」
「そういう形の親子もいいですね」
「ウィルと交流のあった国だ」
「…父と?」
「ロイはウィルの実子だ」
「「ウィル博士の!?」」
ウィルが異国と交流があったのは事実のようだ。
「最初は私も気づかなくてな」
「ウィル博士は残念な最期ではありましたけど、異国でも功績を残しているんですよ」
「そうなのですか」
「どんな両親だったのか想像がつかないな」
「…そうですね」
「「えっ!?」」
「ロイは幼少期の記憶がちょっと」
「ないのか?」
「少しだけしか。
両親の記憶はほとんどないです」
「すまない、嫌なことを」
「大丈夫です。
慣れてますから」
コツンと小石が窓に当たり、ロイはチラッと見る。
「ロイさんはお酒強いんですね」
「まぁ、そうかもしれません」
「確実に強いだろ。
強い酒を好んで飲んでも酔ったりしないからな」
「酔うこともありますけど。
ちょっと風に当たって来ます」
「珍しく酔ったか?」
「いえ、暑くなっただけですから。
ちょっと失礼します」
「護衛を…」
「必要ありません」
ロイは会場の扉から出ると外に出て確認しながらこっそりと向かう。
「お呼び出して申し訳ありません。
大丈夫でしたか?」
「心配ない。
そんなヘマはしないさ。
どうした?」
「怪しい者が入って行きました」
「はぁ?
私は執拗に検査されたぞ。
なのに、裏から手を回されてるのか?」
「…確証はありませんが。
私達は出席者のトップの顔しか知らないので」
「分かった。
気をつけておくよ」
「どうかお気をつけて」
小声で報告して中尉達は敬礼で見送った。
「ロイを連れて来て正解だな」
「覚えられないのよ」
「ほかに覚えてるのは?」
「名前と顔は一致しております。
国名、家族構成」
「リストすべて覚えたのか?」
「一度見たら分かるかと」
「あぁ、なるほど。
記憶力がいいんだったな。
順番を任せてもいいか?
親しい者は分かるが」
「新たに就任している方もいますからね」
「ロイ、そういう意味ではないと思うのだけれど」
「はい?」
「君はそれで構わんよ」
「よくは分かりませんが、お役に立てるのなら光栄です」
「ロイ、また補佐官に…」
「その方が楽なんですよ。
父様、行かないのですか?」
「行こうか」
主導権をロイに握られていて奥様は微かに笑う。
「お久しぶりですな」
「あぁ、久しぶりです。
君にこんな大きなイケメンの息子がいるとは思わなかったぞ」
「自慢の息子だ」
「溺愛だな」
「否定はせんよ」
「…そこはこういう場では否定してください。
初めまして、ヴァイ大統領。
父様からよく話に聞いております」
「変な話ではないだろうな」
「ヴァイ大統領の国の話を聞いております。
この国にはない文化もあるそうで面白かったです」
「そうか、それなら大歓迎だ!」
(あの気難しい人を…
外交が初めてとは思えんな)
ロイが穏やかに微笑みながら挨拶と共に大統領と雑談している。
「君、私の娘とはどうだね?」
「もうお父様ったら」
「何を言っておるんだ。
ロイには婚約者がいるよ」
「これだけのイケメンならそうか。
でも、娘とダンスの相手ならいいだろう?」
「もちろん喜んで」
それは想定内なのでロイは特に断る理由もない。
一部の大統領の息子からは睨まれるが、嫉妬だろうとロイは想定内で気にしない。
(目立ち過ぎたかな。
殺意がある訳ではないし、好意を抱いていた相手を取られたってとこか)
まだ幼いなと思いながらロイは微かに笑う。
ダンスから逃れるように会場の隅で飲み物を口にする。
「ロイ、そんなに離れてるな。
こちらに来なさい」
「…はい」
「また食べてないだろう?
これなら濃い味ではないから食べなさい」
「あっ、いえ…」
「食べなさい」
「分かりました」
「好き嫌いが多いのか?」
「パーティー会場にある濃い味が苦手でな」
「はい、サラダもあるわよ」
「ありがとうございます」
閣下夫妻に取り皿に盛られてロイは苦笑い。
「ぶはっ!
かなりの溺愛で大変そうだな」
「人前でも世話焼くなんて随分と可愛がられてるのね」
「放っておくと食べないし。
先程から食べてなかったのだろ。
だから、痩せてるんだ」
「…痩せてはいません。
父様を基準にしないでください」
「基準にはしてないが。
ウエストが細すぎる」
「体質です。
ガリガリに痩せてはいません」
「いつものことだから気にしないで構いませんよ」
驚きながらも周りは嫌な気持ちにはなっていない。
「どちらとも似てないんだな」
「あぁ、血の繋がりはないからな。
養子でもない」
「そうなのか?
でも、息子と言っていたが」
「血の繋がりも養子でもなくてもロイは私達の息子だ」
「父様…」
閣下は笑っていつものようにロイの頭を優しく撫でた。
今までとは異なる閣下に大統領達は驚きながらも楽しそうだ。
「良い意味で変わったな」
「そういう形の親子もいいですね」
「ウィルと交流のあった国だ」
「…父と?」
「ロイはウィルの実子だ」
「「ウィル博士の!?」」
ウィルが異国と交流があったのは事実のようだ。
「最初は私も気づかなくてな」
「ウィル博士は残念な最期ではありましたけど、異国でも功績を残しているんですよ」
「そうなのですか」
「どんな両親だったのか想像がつかないな」
「…そうですね」
「「えっ!?」」
「ロイは幼少期の記憶がちょっと」
「ないのか?」
「少しだけしか。
両親の記憶はほとんどないです」
「すまない、嫌なことを」
「大丈夫です。
慣れてますから」
コツンと小石が窓に当たり、ロイはチラッと見る。
「ロイさんはお酒強いんですね」
「まぁ、そうかもしれません」
「確実に強いだろ。
強い酒を好んで飲んでも酔ったりしないからな」
「酔うこともありますけど。
ちょっと風に当たって来ます」
「珍しく酔ったか?」
「いえ、暑くなっただけですから。
ちょっと失礼します」
「護衛を…」
「必要ありません」
ロイは会場の扉から出ると外に出て確認しながらこっそりと向かう。
「お呼び出して申し訳ありません。
大丈夫でしたか?」
「心配ない。
そんなヘマはしないさ。
どうした?」
「怪しい者が入って行きました」
「はぁ?
私は執拗に検査されたぞ。
なのに、裏から手を回されてるのか?」
「…確証はありませんが。
私達は出席者のトップの顔しか知らないので」
「分かった。
気をつけておくよ」
「どうかお気をつけて」
小声で報告して中尉達は敬礼で見送った。