第34話
夢小説設定
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定時に帰れて途中で花を買ってロイの両親の墓参り。
「父さん、母さん。
来るのが遅くなってごめん。
閣下に渡された銀行の鍵で賠償金と本を見たよ。
予想を超えていたけど。
閣下が父さんのことを少しずつ話してくれて。
まるで父みたいな時もあるんだ。
父さんは妬くのかな。
記憶なくしてごめん。
愛してくれていたのに。
ありがとう。
絶対に死んだりしない。
どんなことがあっても生きるし、ちゃんと幸せになるから」
答えはなくても語りかけて寂しそうにロイは笑い、屈んだままで立つことが出来ない。
「…ロイ。
私もいいかな」
「閣下!?」
「いいよ、そのままで。
花をあげても?」
「ありがとうございます。
場所を知っていたのですか」
「代理人を通して。
毎年来ていたんだよ。
掃除もされていた気配なくて」
「閣下が?」
「勝手にすまないな」
「いえ、ありがとうございます」
「…助けてやれなかった。
これくらいしか出来ないが」
小さく首を振るロイに苦笑いして閣下は優しく頭を撫でた。
「ありがとうございます。
父のことを知って、大切にしてくれていた人がいてよかったです」
「私の方が何度もウィルに救われていたんだ。
あまり長居して風邪引くなよ」
「…はい」
閣下が去って行き、ロイは墓の前で屈んで見つめていた。
話し声が聞こえてロイは何だろうと向かう。
「ウィルが残して行った子だし、知らない訳ではないから同情だよ」
「だそうだよ、マスタング将軍」
「ロイ!
いつの間に…」
「前後は聞いていません。
失礼しました」
「待て、ロイ!」
閣下の焦る表情にそれが真実だと言われているような気がして掴まれた腕を振り払う。
(同情だと最初から分かってた。
将軍が私を傷つける為に言わせたのも。
分かってたはず、なのに)
屋上の柵を思いっきり叩き、ロイは俯いて微かに笑う。
「ははっ、傷ついてんのかよ。
本当に笑ってしまうな」
特別補佐官のバッチを荒々しく外して地面に投げ捨てた。
「…ロイ」
「何か御用ですか。
傷つけられて満足ですか。
ははっ、分かってたはずなのに」
「違う!
最初は同情だったが!」
「貴方を信じすぎてました。
こんなもの、いらない!
何が守るんですか。
左遷でも何でもすればいい!」
閣下に特別補佐官のバッチを強引に渡してロイは走り去る。
(父といつの間にか重ねて見てた。
私は馬鹿だ…っ)
傷ついている自分も嫌になってロイは人が滅多に来ない資料室の奥で座り込んだ。
「…ロイ?
おまっ、どうした?」
「ヒューズ…っ」
「何かあったのか?」
近づいて屈むヒューズの軍服を掴んで肩を震わせる。
「ふ…っ、くっ…
信じるべきじゃなかったのに!
私は…、馬鹿だ」
「ロイ…」
何があったか分からなかったが、落ち着くまでロイの背中をポンポンとヒューズは軽く叩いた。
ヒューズはロイが落ち着くと仮眠室に連れて行き、中尉に事情は聞かずに仕事の調整を頼んだ。
「閣下、ここに来た理由は分かりますよね?
中佐としてではなく、ロイの友人として貴方と会っています。
ロイは傷ついても口を割らなかったです。
事情を知りませんが、傷つけるくらいなら中途半端に優しくしないでください。
アイツは甘いくらい優しいから。
…仮眠室にいます。
次は許しません。
失礼します」
ヒューズが去って数秒後に閣下は1人で仮眠室に行く。
「ん…っ」
「起こしたか?」
「閣下、何故ここに…」
「すまなかった。
言い訳にしか聞こえないだろうが、聞いてくれないか?
最初はウィルの子と気づいて確かに同情だった。
国家錬金術師の実技の時も戦争時も気づいてなかった。
考える時の仕草や所々がウィルと似ていてまさかと思ったが。
もう同情なんかではないよ。
同情なら家族に会わせたりしない。
私は勝手に君を息子と思ってる」
「えっ…」
いつものお茶目な閣下ではなくて真面目な声色で驚いて硬直するロイの目元を拭う。
「すまない、傷つけて泣かせて。
将軍の罠で君を傷つけて。
信じなくても構わない。
受け取ってもらえなくても特別補佐官は君以外にするつもりはない」
「なん、で?」
「私が勝手に息子と思って接しているだけだ」
「信じてもまた裏切られるだけなのに…」
「裏切らないよ。
それを証明するのは難しいのだが」
「どうしてそこまでしてくださるのですか?」
「君が大切だから。
それでは理由にならんか?」
真実なのか嘘なのか分からないのにロイは迷いが出る。
「父さん、母さん。
来るのが遅くなってごめん。
閣下に渡された銀行の鍵で賠償金と本を見たよ。
予想を超えていたけど。
閣下が父さんのことを少しずつ話してくれて。
まるで父みたいな時もあるんだ。
父さんは妬くのかな。
記憶なくしてごめん。
愛してくれていたのに。
ありがとう。
絶対に死んだりしない。
どんなことがあっても生きるし、ちゃんと幸せになるから」
答えはなくても語りかけて寂しそうにロイは笑い、屈んだままで立つことが出来ない。
「…ロイ。
私もいいかな」
「閣下!?」
「いいよ、そのままで。
花をあげても?」
「ありがとうございます。
場所を知っていたのですか」
「代理人を通して。
毎年来ていたんだよ。
掃除もされていた気配なくて」
「閣下が?」
「勝手にすまないな」
「いえ、ありがとうございます」
「…助けてやれなかった。
これくらいしか出来ないが」
小さく首を振るロイに苦笑いして閣下は優しく頭を撫でた。
「ありがとうございます。
父のことを知って、大切にしてくれていた人がいてよかったです」
「私の方が何度もウィルに救われていたんだ。
あまり長居して風邪引くなよ」
「…はい」
閣下が去って行き、ロイは墓の前で屈んで見つめていた。
話し声が聞こえてロイは何だろうと向かう。
「ウィルが残して行った子だし、知らない訳ではないから同情だよ」
「だそうだよ、マスタング将軍」
「ロイ!
いつの間に…」
「前後は聞いていません。
失礼しました」
「待て、ロイ!」
閣下の焦る表情にそれが真実だと言われているような気がして掴まれた腕を振り払う。
(同情だと最初から分かってた。
将軍が私を傷つける為に言わせたのも。
分かってたはず、なのに)
屋上の柵を思いっきり叩き、ロイは俯いて微かに笑う。
「ははっ、傷ついてんのかよ。
本当に笑ってしまうな」
特別補佐官のバッチを荒々しく外して地面に投げ捨てた。
「…ロイ」
「何か御用ですか。
傷つけられて満足ですか。
ははっ、分かってたはずなのに」
「違う!
最初は同情だったが!」
「貴方を信じすぎてました。
こんなもの、いらない!
何が守るんですか。
左遷でも何でもすればいい!」
閣下に特別補佐官のバッチを強引に渡してロイは走り去る。
(父といつの間にか重ねて見てた。
私は馬鹿だ…っ)
傷ついている自分も嫌になってロイは人が滅多に来ない資料室の奥で座り込んだ。
「…ロイ?
おまっ、どうした?」
「ヒューズ…っ」
「何かあったのか?」
近づいて屈むヒューズの軍服を掴んで肩を震わせる。
「ふ…っ、くっ…
信じるべきじゃなかったのに!
私は…、馬鹿だ」
「ロイ…」
何があったか分からなかったが、落ち着くまでロイの背中をポンポンとヒューズは軽く叩いた。
ヒューズはロイが落ち着くと仮眠室に連れて行き、中尉に事情は聞かずに仕事の調整を頼んだ。
「閣下、ここに来た理由は分かりますよね?
中佐としてではなく、ロイの友人として貴方と会っています。
ロイは傷ついても口を割らなかったです。
事情を知りませんが、傷つけるくらいなら中途半端に優しくしないでください。
アイツは甘いくらい優しいから。
…仮眠室にいます。
次は許しません。
失礼します」
ヒューズが去って数秒後に閣下は1人で仮眠室に行く。
「ん…っ」
「起こしたか?」
「閣下、何故ここに…」
「すまなかった。
言い訳にしか聞こえないだろうが、聞いてくれないか?
最初はウィルの子と気づいて確かに同情だった。
国家錬金術師の実技の時も戦争時も気づいてなかった。
考える時の仕草や所々がウィルと似ていてまさかと思ったが。
もう同情なんかではないよ。
同情なら家族に会わせたりしない。
私は勝手に君を息子と思ってる」
「えっ…」
いつものお茶目な閣下ではなくて真面目な声色で驚いて硬直するロイの目元を拭う。
「すまない、傷つけて泣かせて。
将軍の罠で君を傷つけて。
信じなくても構わない。
受け取ってもらえなくても特別補佐官は君以外にするつもりはない」
「なん、で?」
「私が勝手に息子と思って接しているだけだ」
「信じてもまた裏切られるだけなのに…」
「裏切らないよ。
それを証明するのは難しいのだが」
「どうしてそこまでしてくださるのですか?」
「君が大切だから。
それでは理由にならんか?」
真実なのか嘘なのか分からないのにロイは迷いが出る。