第34話
夢小説設定
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正月休み明け早々に数少ない将軍に自慢話をされてロイは憂鬱に思いながら表情には出さない。
「君はどこかに出掛けたのかね?」
「旅行とまではいきませんが、少し離れた町に出掛けましたね。
あとは本を読んでました」
「随分と地味な…」
「ロイ様!
やっと見つけましたわ」
「何故、ここに?」
「屋敷にピアスを忘れて行きましたでしょう?
錬成陣のようなものが彫られていたのですぐに届けなくてはと!」
「ありがとう。
外していたのを忘れてた」
「失礼します」
メイドが少し背伸びしてロイの耳にピアスを装着する。
「ちょっと、貴女!
なに勝手に歩き回っているの!?
許可書はどうしたのですか」
「すまない、許可書は私が発行するから。
次からちゃんと確認してから出入りするように」
「承知しました」
「今回は大目に見てもらえないか?
屋敷の者で外にあまり出ないから疎いみたいでな」
「マスタング将軍がそこまで仰有るなら。
次からは気をつけてくださいね!」
「ロイ様、申し訳ありません。
ご迷惑を…」
「構わないよ」
「マスタング将軍、発行してもらいましたから」
「中尉、ありがとう。
私が一筆を書くからこれで大丈夫だろう。
なくさないように」
「承知しました。
では、失礼します。
また屋敷で帰りをお待ちしております」
「ありがとう」
ロイ以外には見向きもせずにメイドは去って行く。
自慢していた将軍達が唖然としていて周りの軍人達もザワつく。
「今の彼女は何なんだ?」
「屋敷と言っていたが」
「父が残していた屋敷ですよ。
父は別荘として使っていたみたいですが」
「あぁ、閣下に案内されて行った屋敷か。
新聞にもわざわざ載ってたな。
私共はこれで失礼する」
荒々しく去って行く将軍達にロイは不思議そうに見つめる。
「中尉、私は何かいけないことを言ったのだろうか」
「いえ…特には。
何か用事を思い出したのでは?」
「そのわりには苛立っていたような気もするが」
((まさかの無自覚!?))
マイペースなロイと天然の中尉では気づかない。
「ぶはっ!
そりゃ、嫉妬だろうよ」
「ヒューズ!」
「…嫉妬?
それは何に対して?」
「ロイにだろ。
旅行の自慢してたのにメイドが来て屋敷を持ってるんだから。
大勢の使用人がいる大きな屋敷。
自慢話が得意な将軍クラスの奴等が欲しがるものだろうよ」
「あぁ、そういうことか」
「将軍の全員が屋敷を持っている訳ではないのですね」
「住んでる家が豪邸だし、使用人も雇ってるだろうからな」
「自宅の豪邸以外に屋敷があるのは一部の将軍だよ。
まぁ、私も結果的にそうなったが」
「今いる将軍は誰も持ってないからな」
自分達よりもあとから将軍になったロイが屋敷を持っているなんて嫉妬したのだろう。
挨拶を交わして執務室に中尉と入って行く。
「おはよう。
改めて今年もよろしく頼む」
「マスタング将軍、おはようございます。
はい、今年もよろしくお願い致します」
「おはようございます。
今年も頑張ります!」
「…おはようございます」
「ハボックはどうしたんだ?」
「部屋が汚いのがバレて案の定、正月休み返上で母親に説教されながら片付けることになったらしいですよ」
「だから、普段から片付けるように言ってるのに。
休み前に掃除したのに何故、ハボックの机だけ汚れて荷物が多いんだ?」
「すいません。
寮から持って来て。
置場所がなかったので」
ロイに無言で頭を叩かれ、ハボックは慌てて片付ける。
「おまえは何度言われたら自分で片付けるようになるんだ」
「すみません。
私からも言っているのですが」
「中尉は悪くない」
「そうですよ。
まぁ、性格なんでしょうね」
『もう!
私の机にまで汚さないでよ。
ちゃんとタオルを絞って水を飛ばさないで!』
「す、すいません!」
「…やれやれ」
「リーゼル大佐、大丈夫ですか?
書類が濡れました?」
『何枚か濡れた。
乾かせば大丈夫だけど』
「申し訳ありません」
『中尉のせいじゃないよ』
セルシアは風の錬金術で書類を渇かした。
ハボックの片付けが終わって落ち着くと改めて中尉が本日のスケジュールの報告。
「会議までは時間がありますのでお休み中の報告書がありますから。
そちらの確認をお願いします。
まぁ、今年は休み中にそこまで大きな事件や事故などはなかったので」
「とは言っても量は多いな」
「数日分がありますから」
憂鬱そうなロイに中尉は万年筆を手渡した。
「…やれやれ」
「今のうちに終わらせておかないと大変になるのは将軍ですよ。
事件や事故で追加されますし」
「分かってるよ。
あ~、もう。
休み明けは嫌だな」
「それなら来年から将軍だけ大晦日から休みなしで働きますか?」
「…何で私だけなんだ。
君も付き合うのだろう?」
「嫌ですよ。
私は休みたいですから」
「酷いなぁ~」
((相変わらずの言葉遊びだな))
冗談を交えながら言葉のキャッチボールが続く。
「どうかしましたか?」
「いや、いつもの鋼のからの書類が届いてないから」
「そういえば…
必要なんですよね?」
「まぁな。
私は困らないが」
「エドワードくんからの荷物、届いてない?」
「今日の荷物はこれだけなので。
先程、確認して来ましたから」
「アルフォンスがいるから忘れていることはないだろうし」
微かに顔を歪めてロイはため息をついた。
2017.4.15
「君はどこかに出掛けたのかね?」
「旅行とまではいきませんが、少し離れた町に出掛けましたね。
あとは本を読んでました」
「随分と地味な…」
「ロイ様!
やっと見つけましたわ」
「何故、ここに?」
「屋敷にピアスを忘れて行きましたでしょう?
錬成陣のようなものが彫られていたのですぐに届けなくてはと!」
「ありがとう。
外していたのを忘れてた」
「失礼します」
メイドが少し背伸びしてロイの耳にピアスを装着する。
「ちょっと、貴女!
なに勝手に歩き回っているの!?
許可書はどうしたのですか」
「すまない、許可書は私が発行するから。
次からちゃんと確認してから出入りするように」
「承知しました」
「今回は大目に見てもらえないか?
屋敷の者で外にあまり出ないから疎いみたいでな」
「マスタング将軍がそこまで仰有るなら。
次からは気をつけてくださいね!」
「ロイ様、申し訳ありません。
ご迷惑を…」
「構わないよ」
「マスタング将軍、発行してもらいましたから」
「中尉、ありがとう。
私が一筆を書くからこれで大丈夫だろう。
なくさないように」
「承知しました。
では、失礼します。
また屋敷で帰りをお待ちしております」
「ありがとう」
ロイ以外には見向きもせずにメイドは去って行く。
自慢していた将軍達が唖然としていて周りの軍人達もザワつく。
「今の彼女は何なんだ?」
「屋敷と言っていたが」
「父が残していた屋敷ですよ。
父は別荘として使っていたみたいですが」
「あぁ、閣下に案内されて行った屋敷か。
新聞にもわざわざ載ってたな。
私共はこれで失礼する」
荒々しく去って行く将軍達にロイは不思議そうに見つめる。
「中尉、私は何かいけないことを言ったのだろうか」
「いえ…特には。
何か用事を思い出したのでは?」
「そのわりには苛立っていたような気もするが」
((まさかの無自覚!?))
マイペースなロイと天然の中尉では気づかない。
「ぶはっ!
そりゃ、嫉妬だろうよ」
「ヒューズ!」
「…嫉妬?
それは何に対して?」
「ロイにだろ。
旅行の自慢してたのにメイドが来て屋敷を持ってるんだから。
大勢の使用人がいる大きな屋敷。
自慢話が得意な将軍クラスの奴等が欲しがるものだろうよ」
「あぁ、そういうことか」
「将軍の全員が屋敷を持っている訳ではないのですね」
「住んでる家が豪邸だし、使用人も雇ってるだろうからな」
「自宅の豪邸以外に屋敷があるのは一部の将軍だよ。
まぁ、私も結果的にそうなったが」
「今いる将軍は誰も持ってないからな」
自分達よりもあとから将軍になったロイが屋敷を持っているなんて嫉妬したのだろう。
挨拶を交わして執務室に中尉と入って行く。
「おはよう。
改めて今年もよろしく頼む」
「マスタング将軍、おはようございます。
はい、今年もよろしくお願い致します」
「おはようございます。
今年も頑張ります!」
「…おはようございます」
「ハボックはどうしたんだ?」
「部屋が汚いのがバレて案の定、正月休み返上で母親に説教されながら片付けることになったらしいですよ」
「だから、普段から片付けるように言ってるのに。
休み前に掃除したのに何故、ハボックの机だけ汚れて荷物が多いんだ?」
「すいません。
寮から持って来て。
置場所がなかったので」
ロイに無言で頭を叩かれ、ハボックは慌てて片付ける。
「おまえは何度言われたら自分で片付けるようになるんだ」
「すみません。
私からも言っているのですが」
「中尉は悪くない」
「そうですよ。
まぁ、性格なんでしょうね」
『もう!
私の机にまで汚さないでよ。
ちゃんとタオルを絞って水を飛ばさないで!』
「す、すいません!」
「…やれやれ」
「リーゼル大佐、大丈夫ですか?
書類が濡れました?」
『何枚か濡れた。
乾かせば大丈夫だけど』
「申し訳ありません」
『中尉のせいじゃないよ』
セルシアは風の錬金術で書類を渇かした。
ハボックの片付けが終わって落ち着くと改めて中尉が本日のスケジュールの報告。
「会議までは時間がありますのでお休み中の報告書がありますから。
そちらの確認をお願いします。
まぁ、今年は休み中にそこまで大きな事件や事故などはなかったので」
「とは言っても量は多いな」
「数日分がありますから」
憂鬱そうなロイに中尉は万年筆を手渡した。
「…やれやれ」
「今のうちに終わらせておかないと大変になるのは将軍ですよ。
事件や事故で追加されますし」
「分かってるよ。
あ~、もう。
休み明けは嫌だな」
「それなら来年から将軍だけ大晦日から休みなしで働きますか?」
「…何で私だけなんだ。
君も付き合うのだろう?」
「嫌ですよ。
私は休みたいですから」
「酷いなぁ~」
((相変わらずの言葉遊びだな))
冗談を交えながら言葉のキャッチボールが続く。
「どうかしましたか?」
「いや、いつもの鋼のからの書類が届いてないから」
「そういえば…
必要なんですよね?」
「まぁな。
私は困らないが」
「エドワードくんからの荷物、届いてない?」
「今日の荷物はこれだけなので。
先程、確認して来ましたから」
「アルフォンスがいるから忘れていることはないだろうし」
微かに顔を歪めてロイはため息をついた。
2017.4.15