第32話
夢小説設定
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セリムを降ろすとロイは手土産を渡した。
「こちらをどうぞ」
「ありがとう。
ふふっ、マスタング将軍はきちんとしていますね」
「はい?」
「気にしなくていい。
ほかの将軍達は招待は当たり前と思っていてな」
「…そうですか。
閣下にはこちらを。
お口に合えばいいのですが」
「頂くとするよ」
奥様とセリムには有名店のスィーツ、閣下にはマダムに頼んだ高級酒を手土産に持って来た。
「着替えて来てください」
「君も着替えた方がいいな。
落ち着かないだろう?」
「そうですが、着替えが…」
「用意してあるから来なさい」
「あっ、はい」
断るだけ無駄だとロイは閣下について行く。
「好きな洋服を着て来なさい。
ゲストの衣装部屋だし、サイズも種類も幅広く揃えてあるから気にせずに着なさい。
私も隣で着替えて来るから」
「ありがとうございます」
ドアを閉めて広々としたクローゼット内には確かにサイズも種類も幅広くある。
(随分と派手なものもある。
黒は…、地味過ぎるからやめるべきだろう)
爽やかなイメージのあるストライプ入りの紺色のシャツと同色のジャケット、黒の細身のパンツを選んだ。
「若いのだからもっと明るい色を選んでもよかったのだが」
「…こういう色の方が落ち着くので」
「まぁ、いいか」
閣下は派手な色を好んでいたなとロイは苦笑い。
大晦日のディナーを閣下の家族と過ごしたのは間違いなく、ロイだけだろう
。
「お口に合いましたか?」
「はい、美味しかったです。
ありがとうございます」
「デザート、美味しかったよ!」
「気に入って頂けてよかったです」
「ロイも付き合ってくれるだろ?」
「はい、喜んで」
「セリムは遅いから寝ましょう」
「やだ! まだ起きてる!
眠くないから大丈夫!」
「大晦日くらい夜更かしをしてもいいだろう。
セリムはロイが好きだな。
何ならお兄さんになってもらうか?」
「何を言っているんですか。
閣下、冗談が過ぎます」
「もう“お父さん”とは呼んでくれないのかい?」
「おやめください」
セリムに膝に乗られながらもロイは気にしない。
「セリム、起きててもいいから膝に乗るのは…」
「どうして?」
「貴方はマスタング将軍には…
ごめんなさいね」
「構いませんよ。
セリムお坊っちゃま、酒臭くなると思いますが?」
「お父様もいつも飲んでるから慣れてるよ。
ロイは変な匂いしないからいいね」
「変な匂い…、ですか?」
「煙草とか女性の強い香水が苦手なのよ」
「いい匂いする」
「香水かと思いますが」
「爽やかな匂いだね」
「ははっ、婚約者もよく言います。
セルシアの場合は首元の匂いを嗅いで来ますが」
「あの子はロイが好きだからな」
閣下は笑いながらお酒を開けてグラスに注ぐ。
コレクションするくらいお酒が好きな閣下なのでロイはあえて手を出さない。
「では、乾杯」
「ありがとうございます。
頂きます」
「香りがいいな。
舌触りも悪くない」
「コレクションを見せてもらった時にこの年代の赤ワインが多くあったのでお好きなのかと。
閣下のコレクションには劣りますが、詳しい知り合いに選んでもらったので」
「君はワインが好きなのか?」
「ワインも飲みますが、ウィスキーですね」
「では、出してあげよう」
「そんなつもりでは…」
「構わんよ。
ロック? 水割りか?」
「ロックでお願いします」
「ロイは顔に似合わずに酒強いからな」
「ヒューズにも言われました。
何度か酔い潰れさせてしまって二日酔いをどうしてくれるんだ、と怒られましたね」
「前に上官達を酔い潰れさせていなかったか?」
「あ~…絡まれて飲まされていて。
勧められるがままに飲んでたら周りが酔い潰れてましたね」
困ったようにロイはウィスキーを飲みながら遠くを見つめる。
「自業自得だし、過去のことを言うつもりはないさ」
「ありがとうございます。
このウィスキー、飲みやすいです」
「それはよかった。
本当に酒が強いんだな」
「だからと言って飲ませ過ぎないでくださいね」
「分かってるよ」
「おや…?
閣下、セリムお坊っちゃまが眠ってしまわれたみたいで」
「だろうな。
すまないが、運んでくれるかい?」
「構いませんよ」
眠っている全然を起こさないようにロイが抱えてセリムの部屋に運ぶ。
-END-
2017.4.8
「こちらをどうぞ」
「ありがとう。
ふふっ、マスタング将軍はきちんとしていますね」
「はい?」
「気にしなくていい。
ほかの将軍達は招待は当たり前と思っていてな」
「…そうですか。
閣下にはこちらを。
お口に合えばいいのですが」
「頂くとするよ」
奥様とセリムには有名店のスィーツ、閣下にはマダムに頼んだ高級酒を手土産に持って来た。
「着替えて来てください」
「君も着替えた方がいいな。
落ち着かないだろう?」
「そうですが、着替えが…」
「用意してあるから来なさい」
「あっ、はい」
断るだけ無駄だとロイは閣下について行く。
「好きな洋服を着て来なさい。
ゲストの衣装部屋だし、サイズも種類も幅広く揃えてあるから気にせずに着なさい。
私も隣で着替えて来るから」
「ありがとうございます」
ドアを閉めて広々としたクローゼット内には確かにサイズも種類も幅広くある。
(随分と派手なものもある。
黒は…、地味過ぎるからやめるべきだろう)
爽やかなイメージのあるストライプ入りの紺色のシャツと同色のジャケット、黒の細身のパンツを選んだ。
「若いのだからもっと明るい色を選んでもよかったのだが」
「…こういう色の方が落ち着くので」
「まぁ、いいか」
閣下は派手な色を好んでいたなとロイは苦笑い。
大晦日のディナーを閣下の家族と過ごしたのは間違いなく、ロイだけだろう
。
「お口に合いましたか?」
「はい、美味しかったです。
ありがとうございます」
「デザート、美味しかったよ!」
「気に入って頂けてよかったです」
「ロイも付き合ってくれるだろ?」
「はい、喜んで」
「セリムは遅いから寝ましょう」
「やだ! まだ起きてる!
眠くないから大丈夫!」
「大晦日くらい夜更かしをしてもいいだろう。
セリムはロイが好きだな。
何ならお兄さんになってもらうか?」
「何を言っているんですか。
閣下、冗談が過ぎます」
「もう“お父さん”とは呼んでくれないのかい?」
「おやめください」
セリムに膝に乗られながらもロイは気にしない。
「セリム、起きててもいいから膝に乗るのは…」
「どうして?」
「貴方はマスタング将軍には…
ごめんなさいね」
「構いませんよ。
セリムお坊っちゃま、酒臭くなると思いますが?」
「お父様もいつも飲んでるから慣れてるよ。
ロイは変な匂いしないからいいね」
「変な匂い…、ですか?」
「煙草とか女性の強い香水が苦手なのよ」
「いい匂いする」
「香水かと思いますが」
「爽やかな匂いだね」
「ははっ、婚約者もよく言います。
セルシアの場合は首元の匂いを嗅いで来ますが」
「あの子はロイが好きだからな」
閣下は笑いながらお酒を開けてグラスに注ぐ。
コレクションするくらいお酒が好きな閣下なのでロイはあえて手を出さない。
「では、乾杯」
「ありがとうございます。
頂きます」
「香りがいいな。
舌触りも悪くない」
「コレクションを見せてもらった時にこの年代の赤ワインが多くあったのでお好きなのかと。
閣下のコレクションには劣りますが、詳しい知り合いに選んでもらったので」
「君はワインが好きなのか?」
「ワインも飲みますが、ウィスキーですね」
「では、出してあげよう」
「そんなつもりでは…」
「構わんよ。
ロック? 水割りか?」
「ロックでお願いします」
「ロイは顔に似合わずに酒強いからな」
「ヒューズにも言われました。
何度か酔い潰れさせてしまって二日酔いをどうしてくれるんだ、と怒られましたね」
「前に上官達を酔い潰れさせていなかったか?」
「あ~…絡まれて飲まされていて。
勧められるがままに飲んでたら周りが酔い潰れてましたね」
困ったようにロイはウィスキーを飲みながら遠くを見つめる。
「自業自得だし、過去のことを言うつもりはないさ」
「ありがとうございます。
このウィスキー、飲みやすいです」
「それはよかった。
本当に酒が強いんだな」
「だからと言って飲ませ過ぎないでくださいね」
「分かってるよ」
「おや…?
閣下、セリムお坊っちゃまが眠ってしまわれたみたいで」
「だろうな。
すまないが、運んでくれるかい?」
「構いませんよ」
眠っている全然を起こさないようにロイが抱えてセリムの部屋に運ぶ。
-END-
2017.4.8