第32話
夢小説設定
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閣下は楽しそうに笑いながらロイの頭を撫でる。
(思い付きで連れ回している訳ではない気もするな。
パトロールしているのも嘘ではないのだろう。
屋台や広場など騒動が起きる場所に来ているし。
相変わらず、行動が読めない。
本当に寒くて辛すぎる。
寒さがダメなのは否定しないけど)
何をしたいと考えがあるのかさえも分からない。
昔からロイは寒さに弱くて東方司令部でも風邪まではいかないが、よくクシャミをしていた。
それゆえに“繊細”と女性に言われることをヒューズやハボックにからかわれていたのだが。
「どうした?」
「はい?」
「急に喋らなくなるから」
「喋るのも疲れたんですよ。
説得にも応じてくれそうにありませんからどうしょうかなと」
「君、そういうとこは素直だな」
「嘘を言っても仕方ないですから」
「さてと、次は向こうに行こうか」
((…それでも帰ってはやらないんだな))
溺愛なのにそういうとこでは自分の意思を貫く閣下に苦笑い。
体力落ちたと言いながらも戦闘後に閣下に連れ回されてもロイは息が上がっていない。
「これが最後ですか?」
「どうだろうな。
君が階級以外の呼び方をしたら一緒に帰っても構わんよ」
「階級以外って」
「名前以外でな」
((…絶対無理と分かって言ってるんだろうな))
普段は溺愛でもこういう面では意地悪だなと困惑しているロイを国民達は見ていた。
あまり感情が表情に出ないロイを楽しんでいるのもあるのだろう。
「え~と…お父さん?」
「「そっち!?」」
「何か問題ありましたか?」
「ロイ、もう一回」
「嫌です。
はい、帰りましょう」
「仕方ないな」
満足そうなロイと嬉しそうな閣下の後ろ姿に国民達はザワつき、中尉は苦笑いしてついて行く。
「ロイ、閣下の養子になったのか?
噂になっているんだが…」
「噂…?」
「閣下を“お父さん”と呼んでたと」
「あぁ、階級以外と名前以外で呼んだら帰ると言われたからな。
この年齢で養子なんてありえないだろうが。
セリムお坊っちゃまもいるのに」
「呼んだのかよ!
おまえ、恐いもの知らずだな」
「寒かったからな」
「本当に寒いの苦手だな」
「…うっさい」
寒くて頭も回らずに自分でも何故、呼んだんだと思ってしまったが。
「ロイ、将軍達に仕事を押し付けられてないかい?」
「…大丈夫ですが」
「甘いもの以外は平気だろう?
頂いたお菓子があるから」
((閣下が自ら差し入れに?))
後ろで補佐官が呆れてロイに謝る仕草をしている様子から止められなかったようだ。
「あっ、いえ…」
「これで貸しにしないぞ」
「そうではなくて。
閣下に頂くのは」
「では、一緒にお茶をしようか」
((絶対に原因は“お父さん”呼びだよな))
上機嫌な閣下を止められる者は居らずにロイは巻き込まれていた。
結局は閣下が勧めるがままにロイはお菓子を食べていた。
「あっ、はい。
美味しいですが」
「それはよかった。
君は痩せすぎてるから」
((餌付け?))
また異なる溺愛っぷりに補佐官とヒューズは笑いを堪え、中尉はロイ同様に困惑している。
「何だったんだ」
「厳しくされるよりはいいじゃねぇか?」
「他人事だと思いやがって」
閣下が置いて行ったお菓子の箱にロイはため息をつく。
(どうにか定時に終わったが。
ここで待ってればいいのか?)
帰り支度をして言われた通りに司令部の建物から出た。
「ロイ、待たせたな。
乗りなさい」
「…はい」
やはり、そうなるかとロイは拒否もせずに閣下の送迎車に乗る。
「ただいま帰ったぞ」
「お帰りなさい」
「お父様、お帰りなさい!」
「今日は客人を連れて来たぞ」
「お客様?」
「一緒に過ごしてもらうから」
「お邪魔致します」
「主人の我儘でごめんなさいね」
「いえ、婚約者は夜勤ですから1人で過ごすとこでしたので。
御家族で過ごすのに申し訳ありません」
「いいのよ、一度断ったのに主人が無理を言ったのでしょう?」
「はっはっ!」
「もう仕方ない人なのだから」
「ロイっ!」
「…っと。
セリムお坊っちゃま、お久しぶりです」
「怪我は大丈夫だったの?」
「はい、もう大丈夫です」
「無事でよかったわ。
ああいう方々もいるのね」
セリムに嬉しそうに抱きつかれてロイは苦笑いしながら抱っこしていた。
(思い付きで連れ回している訳ではない気もするな。
パトロールしているのも嘘ではないのだろう。
屋台や広場など騒動が起きる場所に来ているし。
相変わらず、行動が読めない。
本当に寒くて辛すぎる。
寒さがダメなのは否定しないけど)
何をしたいと考えがあるのかさえも分からない。
昔からロイは寒さに弱くて東方司令部でも風邪まではいかないが、よくクシャミをしていた。
それゆえに“繊細”と女性に言われることをヒューズやハボックにからかわれていたのだが。
「どうした?」
「はい?」
「急に喋らなくなるから」
「喋るのも疲れたんですよ。
説得にも応じてくれそうにありませんからどうしょうかなと」
「君、そういうとこは素直だな」
「嘘を言っても仕方ないですから」
「さてと、次は向こうに行こうか」
((…それでも帰ってはやらないんだな))
溺愛なのにそういうとこでは自分の意思を貫く閣下に苦笑い。
体力落ちたと言いながらも戦闘後に閣下に連れ回されてもロイは息が上がっていない。
「これが最後ですか?」
「どうだろうな。
君が階級以外の呼び方をしたら一緒に帰っても構わんよ」
「階級以外って」
「名前以外でな」
((…絶対無理と分かって言ってるんだろうな))
普段は溺愛でもこういう面では意地悪だなと困惑しているロイを国民達は見ていた。
あまり感情が表情に出ないロイを楽しんでいるのもあるのだろう。
「え~と…お父さん?」
「「そっち!?」」
「何か問題ありましたか?」
「ロイ、もう一回」
「嫌です。
はい、帰りましょう」
「仕方ないな」
満足そうなロイと嬉しそうな閣下の後ろ姿に国民達はザワつき、中尉は苦笑いしてついて行く。
「ロイ、閣下の養子になったのか?
噂になっているんだが…」
「噂…?」
「閣下を“お父さん”と呼んでたと」
「あぁ、階級以外と名前以外で呼んだら帰ると言われたからな。
この年齢で養子なんてありえないだろうが。
セリムお坊っちゃまもいるのに」
「呼んだのかよ!
おまえ、恐いもの知らずだな」
「寒かったからな」
「本当に寒いの苦手だな」
「…うっさい」
寒くて頭も回らずに自分でも何故、呼んだんだと思ってしまったが。
「ロイ、将軍達に仕事を押し付けられてないかい?」
「…大丈夫ですが」
「甘いもの以外は平気だろう?
頂いたお菓子があるから」
((閣下が自ら差し入れに?))
後ろで補佐官が呆れてロイに謝る仕草をしている様子から止められなかったようだ。
「あっ、いえ…」
「これで貸しにしないぞ」
「そうではなくて。
閣下に頂くのは」
「では、一緒にお茶をしようか」
((絶対に原因は“お父さん”呼びだよな))
上機嫌な閣下を止められる者は居らずにロイは巻き込まれていた。
結局は閣下が勧めるがままにロイはお菓子を食べていた。
「あっ、はい。
美味しいですが」
「それはよかった。
君は痩せすぎてるから」
((餌付け?))
また異なる溺愛っぷりに補佐官とヒューズは笑いを堪え、中尉はロイ同様に困惑している。
「何だったんだ」
「厳しくされるよりはいいじゃねぇか?」
「他人事だと思いやがって」
閣下が置いて行ったお菓子の箱にロイはため息をつく。
(どうにか定時に終わったが。
ここで待ってればいいのか?)
帰り支度をして言われた通りに司令部の建物から出た。
「ロイ、待たせたな。
乗りなさい」
「…はい」
やはり、そうなるかとロイは拒否もせずに閣下の送迎車に乗る。
「ただいま帰ったぞ」
「お帰りなさい」
「お父様、お帰りなさい!」
「今日は客人を連れて来たぞ」
「お客様?」
「一緒に過ごしてもらうから」
「お邪魔致します」
「主人の我儘でごめんなさいね」
「いえ、婚約者は夜勤ですから1人で過ごすとこでしたので。
御家族で過ごすのに申し訳ありません」
「いいのよ、一度断ったのに主人が無理を言ったのでしょう?」
「はっはっ!」
「もう仕方ない人なのだから」
「ロイっ!」
「…っと。
セリムお坊っちゃま、お久しぶりです」
「怪我は大丈夫だったの?」
「はい、もう大丈夫です」
「無事でよかったわ。
ああいう方々もいるのね」
セリムに嬉しそうに抱きつかれてロイは苦笑いしながら抱っこしていた。