第32話
夢小説設定
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ロイは崩れた瓦礫を見つめて中尉からチョークを受け取って書き込む。
「では、瓦礫はハボックの隊に任せるから」
「…やっぱりですか。
了解しました」
「何をしていたんだ?」
「マスタング将軍が瓦礫の崩れないように取り除く順番を数字で書き込んでいるんですよ。
崩れなければ、軍に負傷者も出ませんから。
下敷きになってる人が居る可能性もゼロではありませんし。
その人に負担を掛けない為にも必要だと仰有ってました。
時間が掛かるので仕事が遅いと勘違いされた上官もいますが」
「そういうことだったのか」
過去のロイの報告書に負傷者が少なく、救出者の怪我の軽さに補佐官は納得したように頷く。
ほかの者の報告書には後々に救出者を発見して結果的に大怪我で病気に運ばれている。
(さすがに事件解決も早いな。
あの将軍にやらせていたら半日かかったのやら)
駆けつけて数分後にはロイは難事件でもなかったので解決していた。
ちなみに将軍達が“難事件”と言い張っていた事件はセルシアが報告書を読んで解決していたが。
「…やれやれ。
また酔っ払いでしたよ」
「この時期も多いからな」
「でも、将軍が戻って来てくれてよかったです」
「威張り散らすくせに事件の解決も出来なかったからな」
「そう言ってやるな。
現場を何年も離れていたんだ」
ロイは部下達からの愚痴に苦笑いしながら書類確認。
年明けもあと数日後で国民は浮き足で酔っ払い騒ぎも多い。
中尉から報告とスケジュールを聞いていると将軍が執務室に入って来た。
「閣下から無理を言って仕事復帰してもらうのだからと書類は減らされているので」
「分かった」
「とは言っても人材不足なので」
上幹部の重要書類などは数少なくなった将軍で回さなくてはならない。
「マスタング将軍、復帰したのならこれもあるのでな」
「わざわざ持って来たのだから感謝してもらいたいものだな」
(何なんだ、この量の書類は。
これなんて明日が提出日なんだが)
わざと溜めていたとしか思えない書類の量にロイは黙り混んでしまう。
「失礼ですが、閣下からお伝えされたはずです。
マスタング将軍だけではなく、将軍の方々にも…」
「していたではないか。
そもそも将軍達が居なくなった原因は誰にあるのだろうな」
「……っ…」
「なっ!?」
「中尉、構わんよ」
「ですが!」
「申し訳ありません。
今は仕事復帰をしてやることが多いのでお引き取りください」
「分かった」
「それでは、またな」
去って行く将軍達に中尉達は不満に思う。
「マスタング将軍!
何も引き受けなくても。
また押し付けられるだけではないですか」
「中尉、私は引き受けるとは一言も言っておらんよ」
「えっ?」
「仕事を増やしてすまないが。
中尉、この落とし物を届けに行かなくてはならないな。
一緒に運んでもらえるかい?」
「ど、どちらに?」
にっこりと笑うロイに中尉は“怒ってる”と確信した。
事件現場で苦労していたから書類が出来ないなんて言い訳は通用しない。
「閣下、失礼します」
「…失礼致します」
「どうした?
副官まで連れて。
その書類は?」
「将軍達の忘れ物です。
明日提出日の書類もあります」
「はっ?」
「それは押し付けられたのか?」
「いいえ、忘れ物です。
わざわざ執務室に来てくださって忘れて行かれたので大変だと届けに来ました。
私は好かれていないので行ったら不快な思いをさせてはいけませんし。
私は一言も引き受けるなどと言っておりませんから。
まさか、事件解決も出来てないのに書類を押し付けるなんて小者っぷりな行動は将軍の地位がある方々がしていたら笑い者ではないですか」
「マスタング将軍…
もうそのくらいで」
耐えられなくなった中尉がロイを止める。
「君、かなり怒ってるだろう?」
「まさか。
全然怒っていませんよ。
私の部下をいいように使ってたなんて」
「マスタング将軍、本当にもういいですから」
「わ、分かった。
忘れ物は届けるから。
すまなかった」
「それでは、失礼します。
中尉、行こうか」
「…はい。
失礼します」
敬礼してロイは閣下の執務室から出て中尉も続く。
「やれやれ。
明日提出の書類まで」
「予想通りの行動だな」
「マスタング将軍の行動は予想外でしたが」
閣下は笑っていて補佐官は苦笑いするしかない。
「では、瓦礫はハボックの隊に任せるから」
「…やっぱりですか。
了解しました」
「何をしていたんだ?」
「マスタング将軍が瓦礫の崩れないように取り除く順番を数字で書き込んでいるんですよ。
崩れなければ、軍に負傷者も出ませんから。
下敷きになってる人が居る可能性もゼロではありませんし。
その人に負担を掛けない為にも必要だと仰有ってました。
時間が掛かるので仕事が遅いと勘違いされた上官もいますが」
「そういうことだったのか」
過去のロイの報告書に負傷者が少なく、救出者の怪我の軽さに補佐官は納得したように頷く。
ほかの者の報告書には後々に救出者を発見して結果的に大怪我で病気に運ばれている。
(さすがに事件解決も早いな。
あの将軍にやらせていたら半日かかったのやら)
駆けつけて数分後にはロイは難事件でもなかったので解決していた。
ちなみに将軍達が“難事件”と言い張っていた事件はセルシアが報告書を読んで解決していたが。
「…やれやれ。
また酔っ払いでしたよ」
「この時期も多いからな」
「でも、将軍が戻って来てくれてよかったです」
「威張り散らすくせに事件の解決も出来なかったからな」
「そう言ってやるな。
現場を何年も離れていたんだ」
ロイは部下達からの愚痴に苦笑いしながら書類確認。
年明けもあと数日後で国民は浮き足で酔っ払い騒ぎも多い。
中尉から報告とスケジュールを聞いていると将軍が執務室に入って来た。
「閣下から無理を言って仕事復帰してもらうのだからと書類は減らされているので」
「分かった」
「とは言っても人材不足なので」
上幹部の重要書類などは数少なくなった将軍で回さなくてはならない。
「マスタング将軍、復帰したのならこれもあるのでな」
「わざわざ持って来たのだから感謝してもらいたいものだな」
(何なんだ、この量の書類は。
これなんて明日が提出日なんだが)
わざと溜めていたとしか思えない書類の量にロイは黙り混んでしまう。
「失礼ですが、閣下からお伝えされたはずです。
マスタング将軍だけではなく、将軍の方々にも…」
「していたではないか。
そもそも将軍達が居なくなった原因は誰にあるのだろうな」
「……っ…」
「なっ!?」
「中尉、構わんよ」
「ですが!」
「申し訳ありません。
今は仕事復帰をしてやることが多いのでお引き取りください」
「分かった」
「それでは、またな」
去って行く将軍達に中尉達は不満に思う。
「マスタング将軍!
何も引き受けなくても。
また押し付けられるだけではないですか」
「中尉、私は引き受けるとは一言も言っておらんよ」
「えっ?」
「仕事を増やしてすまないが。
中尉、この落とし物を届けに行かなくてはならないな。
一緒に運んでもらえるかい?」
「ど、どちらに?」
にっこりと笑うロイに中尉は“怒ってる”と確信した。
事件現場で苦労していたから書類が出来ないなんて言い訳は通用しない。
「閣下、失礼します」
「…失礼致します」
「どうした?
副官まで連れて。
その書類は?」
「将軍達の忘れ物です。
明日提出日の書類もあります」
「はっ?」
「それは押し付けられたのか?」
「いいえ、忘れ物です。
わざわざ執務室に来てくださって忘れて行かれたので大変だと届けに来ました。
私は好かれていないので行ったら不快な思いをさせてはいけませんし。
私は一言も引き受けるなどと言っておりませんから。
まさか、事件解決も出来てないのに書類を押し付けるなんて小者っぷりな行動は将軍の地位がある方々がしていたら笑い者ではないですか」
「マスタング将軍…
もうそのくらいで」
耐えられなくなった中尉がロイを止める。
「君、かなり怒ってるだろう?」
「まさか。
全然怒っていませんよ。
私の部下をいいように使ってたなんて」
「マスタング将軍、本当にもういいですから」
「わ、分かった。
忘れ物は届けるから。
すまなかった」
「それでは、失礼します。
中尉、行こうか」
「…はい。
失礼します」
敬礼してロイは閣下の執務室から出て中尉も続く。
「やれやれ。
明日提出の書類まで」
「予想通りの行動だな」
「マスタング将軍の行動は予想外でしたが」
閣下は笑っていて補佐官は苦笑いするしかない。