第31話
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ロイも苦笑いしながらもゆっくりと飲んでいた。
「…不思議だな」
『当たり前ですよ。
軍の病院の雑な作り方と一緒にされては困ります。
ロイさんの好みで作ってますし、吐き気にならないように匂いがきつい野菜は使ってません。
栄養だけしか考えずに配慮が足らないんですよ』
「リーゼル大佐、怒ってます?」
『当たり前です!
あんなに雑に作ってロイさんに食べさせるなんて』
((…やっぱり))
相変わらずだなと思いながらもロイ本人もヒューズと中尉達も慣れてる。
「食べられたんですか!?
手料理のスープ、ですか?」
『病院のあの濁ってた手抜きのスープはどういうおつもりですか。
それも、身体が弱っている将軍に食べさせるものでしょうか。
料理担当の呼びなさい』
「それはちょっと」
『では、ロイさんの料理は私が担当します。
よろしいですね?
それとも、閣下に報告しますか?
ロイさんにこんな手抜きのスープを食べさせたなんて知らせたら貴方の立場も…』
「わ、分かりました。
分かりましたから!」
『ロイさんに病院の食事はいりません。
もし、出したなら私の全権力を使わせて頂きますからそのつもりで』
担当医も看護師も頷くのが精一杯でヒューズ曰く、セルシアから冷風が 吹き荒れていたらしい。
ロイは気にせずに涼しい顔をして我関せず。
「止めなくていいのか?」
「病院の不味い料理なんて食べたくないからな。
セルシアの手料理の方がいい」
「まったく…」
「監禁されてた時も食べたかった。
殴られて蹴られて感覚が狂ってなくなりそうでも不思議と思い出せるんだよな。
空腹感なんてなくなってたはずなのにさ」
「ロイ…」
それだけ大切になっていたんだなとヒューズは実感する。
液体の食事から栄養士の意見を聞きながらセルシアは少しずつ身体を慣らすように固形物を増やした。
『許可を貰いましたよ。
今日から通常の食事で大丈夫だと言われましたから』
「あぁ、点滴も外されたよ」
『傷も少しはよくなりましたね』
「…そうだな」
雑な作り方に栄養士や病院長は知らずに翌日には謝罪されたが。
「ロイ、頼まれたものを…
どうした?」
「包帯が緩くなって。
呼ぶほどじゃないし」
「ほら、貸してみろよ。
自分ではやりづらいだろ。
痛かったら言えよ」
「すまん、助かるよ」
ヒューズに新しい包帯を渡して巻いてもらう。
「どうした?」
「…司令部はどうなってる?
言葉を濁すから」
「そうだな、知る権利あるよな。
ロイの殺人未遂と監禁でかなりの人数が逮捕された。
既におまえさんも予想しているだろうが、報道されてる。
将軍のほとんどが逮捕されて軍を辞めさせられた。
調査には閣下が中心になって動いてるし、国民の動揺も閣下が静めた」
ロイが知らない情報をヒューズは伝えた。
予想以上の騒動だろうが、それは仕方ないだろう。
ロイが入院中にはほかの将軍達が書類を回されて文句も言えない。
「止められなくてもロイに警告するなり、ヒントでも与えれば賢いのだから気づけたはずだ。
私に密告でもよかった。
君達には心底絶望した」
閣下から冷たい眼と共に一喝されて周りの軍人達からも冷ややかな視線を浴びせられている。
セルシアに至っては“知っていたのか話せ!”とキレて吹き飛ばし、後ろでは中尉が銃を向けていた。
“マスタング将軍を狙うと閣下の報復だけではなく、マスタング隊が報復する”
司令部と街に噂が流れていてハボック達はため息をつく。
「俺達は何もしてないんだけどな」
「まぁ、しそうにはなったし。
似たようなもんか」
「女性は強いですな」
「いや、あの2人は特にマスタング将軍の影響を受けてるんだろ」
「「…確かに」」
暴走するとロイしか止められないのも事実だ。
「マスタング将軍、御無事で本当に良かったです。
すぐに見舞いに来たかったのですが、今はまだ来ないでやってくれとヒューズ中佐から言われてました。
気分はいかがですか?
これ、お見舞いの品です。
よかったら…」
「アームストロング少佐、ありがとう」
「ほかにお見舞いは?」
「断ってもらっているんだ」
「そうでしたか」
高級な果物の詰め合わせを持って来たアームストロング少佐に苦笑い。
怪我は骨折している訳ではないので長く入院している訳にはいかないと半ば強引に退院。
「御心配、騒動を起こして申し訳ありませんでした」
軍の病院から出ると数えきれないカメラが向けられた。
「マスタング将軍!」
「お怪我の調子は如何ですか?」
「今のお気持ちは!?」
「将軍、先に車に」
それ以上は応えずにロイは早足で軍車に乗り込んだ。
「中尉、報道の車は?」
「大丈夫です。
後ろに待機させてましたから」
「…そうか」
閣下命令でマスコミを阻止するように軍車が待機していた。
「とりあえず、事件解決まで安全の為に自宅治療だそうです」
「決定か?」
「まだ犯人が全員とは限らないと閣下が判断がしたので」
「…やれやれ。
何かあれば来てくれ」
「承知しました」
(とは言っても安全の為に来ないのだろうな)
自宅前に着くと中尉にドアを開けてもらって降りた。
外の空気も家の外観も懐かしくてロイは見上げる。
「では、またな」
「なるべく外出は控えてください。
スカーも捕まってませんから」
「…分かってる」
中尉に軽く挨拶を交わしてロイは家に入って行く。
『ロイさんっ!』
「セルシア…」
『お帰り、なさい。
本当によかったです』
「心配かけて悪かった。
ただいま」
セルシアは安堵から泣きながらロイに抱きつく。
-END-
2017.4.4
「…不思議だな」
『当たり前ですよ。
軍の病院の雑な作り方と一緒にされては困ります。
ロイさんの好みで作ってますし、吐き気にならないように匂いがきつい野菜は使ってません。
栄養だけしか考えずに配慮が足らないんですよ』
「リーゼル大佐、怒ってます?」
『当たり前です!
あんなに雑に作ってロイさんに食べさせるなんて』
((…やっぱり))
相変わらずだなと思いながらもロイ本人もヒューズと中尉達も慣れてる。
「食べられたんですか!?
手料理のスープ、ですか?」
『病院のあの濁ってた手抜きのスープはどういうおつもりですか。
それも、身体が弱っている将軍に食べさせるものでしょうか。
料理担当の呼びなさい』
「それはちょっと」
『では、ロイさんの料理は私が担当します。
よろしいですね?
それとも、閣下に報告しますか?
ロイさんにこんな手抜きのスープを食べさせたなんて知らせたら貴方の立場も…』
「わ、分かりました。
分かりましたから!」
『ロイさんに病院の食事はいりません。
もし、出したなら私の全権力を使わせて頂きますからそのつもりで』
担当医も看護師も頷くのが精一杯でヒューズ曰く、セルシアから冷風が 吹き荒れていたらしい。
ロイは気にせずに涼しい顔をして我関せず。
「止めなくていいのか?」
「病院の不味い料理なんて食べたくないからな。
セルシアの手料理の方がいい」
「まったく…」
「監禁されてた時も食べたかった。
殴られて蹴られて感覚が狂ってなくなりそうでも不思議と思い出せるんだよな。
空腹感なんてなくなってたはずなのにさ」
「ロイ…」
それだけ大切になっていたんだなとヒューズは実感する。
液体の食事から栄養士の意見を聞きながらセルシアは少しずつ身体を慣らすように固形物を増やした。
『許可を貰いましたよ。
今日から通常の食事で大丈夫だと言われましたから』
「あぁ、点滴も外されたよ」
『傷も少しはよくなりましたね』
「…そうだな」
雑な作り方に栄養士や病院長は知らずに翌日には謝罪されたが。
「ロイ、頼まれたものを…
どうした?」
「包帯が緩くなって。
呼ぶほどじゃないし」
「ほら、貸してみろよ。
自分ではやりづらいだろ。
痛かったら言えよ」
「すまん、助かるよ」
ヒューズに新しい包帯を渡して巻いてもらう。
「どうした?」
「…司令部はどうなってる?
言葉を濁すから」
「そうだな、知る権利あるよな。
ロイの殺人未遂と監禁でかなりの人数が逮捕された。
既におまえさんも予想しているだろうが、報道されてる。
将軍のほとんどが逮捕されて軍を辞めさせられた。
調査には閣下が中心になって動いてるし、国民の動揺も閣下が静めた」
ロイが知らない情報をヒューズは伝えた。
予想以上の騒動だろうが、それは仕方ないだろう。
ロイが入院中にはほかの将軍達が書類を回されて文句も言えない。
「止められなくてもロイに警告するなり、ヒントでも与えれば賢いのだから気づけたはずだ。
私に密告でもよかった。
君達には心底絶望した」
閣下から冷たい眼と共に一喝されて周りの軍人達からも冷ややかな視線を浴びせられている。
セルシアに至っては“知っていたのか話せ!”とキレて吹き飛ばし、後ろでは中尉が銃を向けていた。
“マスタング将軍を狙うと閣下の報復だけではなく、マスタング隊が報復する”
司令部と街に噂が流れていてハボック達はため息をつく。
「俺達は何もしてないんだけどな」
「まぁ、しそうにはなったし。
似たようなもんか」
「女性は強いですな」
「いや、あの2人は特にマスタング将軍の影響を受けてるんだろ」
「「…確かに」」
暴走するとロイしか止められないのも事実だ。
「マスタング将軍、御無事で本当に良かったです。
すぐに見舞いに来たかったのですが、今はまだ来ないでやってくれとヒューズ中佐から言われてました。
気分はいかがですか?
これ、お見舞いの品です。
よかったら…」
「アームストロング少佐、ありがとう」
「ほかにお見舞いは?」
「断ってもらっているんだ」
「そうでしたか」
高級な果物の詰め合わせを持って来たアームストロング少佐に苦笑い。
怪我は骨折している訳ではないので長く入院している訳にはいかないと半ば強引に退院。
「御心配、騒動を起こして申し訳ありませんでした」
軍の病院から出ると数えきれないカメラが向けられた。
「マスタング将軍!」
「お怪我の調子は如何ですか?」
「今のお気持ちは!?」
「将軍、先に車に」
それ以上は応えずにロイは早足で軍車に乗り込んだ。
「中尉、報道の車は?」
「大丈夫です。
後ろに待機させてましたから」
「…そうか」
閣下命令でマスコミを阻止するように軍車が待機していた。
「とりあえず、事件解決まで安全の為に自宅治療だそうです」
「決定か?」
「まだ犯人が全員とは限らないと閣下が判断がしたので」
「…やれやれ。
何かあれば来てくれ」
「承知しました」
(とは言っても安全の為に来ないのだろうな)
自宅前に着くと中尉にドアを開けてもらって降りた。
外の空気も家の外観も懐かしくてロイは見上げる。
「では、またな」
「なるべく外出は控えてください。
スカーも捕まってませんから」
「…分かってる」
中尉に軽く挨拶を交わしてロイは家に入って行く。
『ロイさんっ!』
「セルシア…」
『お帰り、なさい。
本当によかったです』
「心配かけて悪かった。
ただいま」
セルシアは安堵から泣きながらロイに抱きつく。
-END-
2017.4.4