第31話

夢小説設定

本棚全体の夢小説設定
名前

この小説の夢小説設定
名前
苗字

ロイにその気がないことを知らない将軍達は元でも貴族の権力に恐れていた。


「将軍!?
何をする…っ」


会議後に言葉巧みに呼び出され、罠だと気づいた時には複数の将軍や協力者が待ち伏せして逃げられない状態。


(頭が痛い…
ここは、どこだ?)


うっすらと目を覚ますと山小屋のような室内の造りに気づく。


「目を覚ましたかね」
「将軍!
何故、このようなことを」
「閣下が君を連れて行かずに視察に行った今がチャンスだからな」
「ぐっ…」
「君の銃も錬金術のものは奪ったし、縛られては何も出来ないだろ」
「閣下のお気に入りだけではなく、貴族など調子に乗りやがって」
「私は貴族などは…
かはっ!」


身動きが取れない状態で複数の将軍に暴言を吐かれながら蹴られ続け、意識が朦朧とする。


(セルシア…中尉…
ヒューズもハボック達も心配かけているよな。
セルシア、君の手料理が恋しい。
何日経っているんだろうか)


窓から見えるのは雪景色で薄暗く、時間の感覚さえ分からない。


蹴られて殴られて意識を失うまでそれは続いている日々。


「まだ料理を食わないつもりか。
ほら、縄を解いてやるから食え」
(その優しさが怪しいんだ。
何が入っているか分からない。
絶対にチャンスはある)


監禁されて暴力の日々でも心を折られずにロイはチャンスを伺っていた。


痛みが酷いからロイは動かずにほとんど喋らない。


ドサッと倒れたロイに見張りの軍人が近づく。


「お、おい…」
「まさか死んだのか?」


近づいて来た軍人を蹴りつけ、銃を奪った。


「くっそ…
さすがに体力が落ちたな」


コートもない中でどこか分からない雪道を歩くのは困難。


(頭がうまく回らない。
追手が来る前に…)


入口の鍵を銃で破壊してフラつきながら雪道を歩く。


(セルシアに会いたい…っ)


意識が朦朧としながら歩く度に痛みを感じ、ボロボロになった身体で司令部を目指す。


「マスタング将軍は仕事放棄をしておりますし、降格が妥当では?」
「それは…」
『いい加減なことを言わないでください!
会議後に居なくなったなんてありえません』
「何かあったんです。
そうでなければ、マスタング将軍が…」
「かなり参っていたみたいだし、事件の証拠はない」
『それは調査をさせてくれないから!』


内部犯行なのだから証拠もあるはずはなく、調査も将軍達に邪魔される。


将軍達に対する恐怖からほかの軍人達は目を背けている状態だ。


閣下も証拠がない以上は調査をさせることは出来ない。


意識朦朧として歩行感覚さえもなくなっていた。


「ロイ!?」
「…ヒューズ?
閣下は帰ってるか?」
「それよりもまずは軍医に」
「逃げられたら意味がないんだ」
「わ、分かった」


ヒューズだけではなくて周りの軍人達も驚愕してザワつく。


「お待ちください」
「ロイ!?」
「「マスタング将軍!?」」
「こんな格好で失礼します。
私は山小屋に監禁させられていました

「何を言っているんだ。
証拠など…」


ロイは録音機を取り出してカチッと押して再生した。


「何故、私を山小屋に監禁などするのですか」
「閣下のお気に入りだけではなく、貴族の権力まで使われるからな」
「ぐっ、は…!」


その後も将軍達の暴言とロイに対する暴力の音が響いて微かに唸るロイの声が物語っていた。


「もっと悲痛な声を上げろよ」
「助けてくださいって」
「…お断りします。
あ゛ぁッ!」
「どうだ、煙草の熱は」
「はっ…ぁっ!」


音声を聞いて閣下はロイの軍服を剥がすと腕に無数の痣や煙草の火傷の跡、手首には拘束されていた縄の跡が痛々しい。


「すまない、君を助けに行けずに。
将軍達を確保!
速急に調査を行う!」
「はっ!」
「くそっ…離せよ!」
「陰謀だ!」
「どうしてそんな身体で…」
「仲間が待っているから」
『ロイさん…っ』
「マスタング将軍。
貴方を守れずに」
「……っ…」
「ロイ!」


限界を過ぎていたロイは意識を失い、ヒューズに支えられる。
9/13ページ
スキ