第31話
夢小説設定
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閣下の執務室から出てロイはため息をつく。
(まぁ、確認にも行かないとな。
マダムにも会いに行こう。
どんな本なのだろうか。
研究者だし、錬金術や古文か?)
執務室に戻って一部の本をペラペラと捲る。
「ロイ、その本は?」
「あの人達の本。
閣下から渡され…、って。
ヒューズ、いつの間に来てたんだ」
「さっきから居たんだが。
おまえさんが無視したんだろうが」
「すまん、気づかなかった」
「集中してたから仕方ないか。
それだけか?」
「いや、これは一部らしい。
銀行の倉庫の鍵も渡されたんだが。
事故の賠償金、受け取らなかったらしい。
代理人を通して私が大人になったら渡して欲しいと。
バカだ、受け取れば苦労などしなかったのに」
「ロイ…
それがマダムの決意だったんだ。
受け取らずにおまえさんを育てることが」
机に顔を埋めているロイにヒューズが優しく頭を撫でる。
『本を見せてもらっても?』
「あぁ、構わんよ」
『錬金術と古代文。
その研究者だったんでしょうね。
ロイさん、これ』
「えっ?」
セルシアの手には幼いロイと若いロイの両親の1枚の家族写真。
“ロイ、誕生日おめでとう。
君の幸せを祈ってるよ”
写真の裏には両親の文字があり、幸せそうに微笑む両親と母親に抱えられて眠っているロイの写真だった。
大切に愛されていたと覚えてなくても実感する。
『きっと素敵な両親だったんでしょうね』
「…そうだな」
『大切にしないとダメですよ』
写真をロイに渡してセルシアは微笑んだ。
小さく頷いてロイは若い頃の両親を見つめる。
「今の将軍よりも少し若いくらいですね。
将軍はお父さん似なんですね。
でも、お母さんにもこの辺りは似てますよ」
「中尉…」
「覚えてなくても貴方の両親です。
それは偽りのない事実ですよ」
「あぁ、そうだな」
微かに笑みを浮かべて仲間や友人の気遣いと優しさに救われる。
数日後に調査が終えて宝箱や壊れた石盤は軍で保存することになったが、遺品は遺族に返還することが決定。
「君には酷なことを頼むことは承知している。
軍の一員として、遺族代表として同席して欲しい。
個人的な問題ではないから。
ウィルは有名な研究者だった」
「…はい。
承知しております」
「すまないな」
「いえ、大丈夫です」
国民はまだロイのことしか噂段階でしか知らない。
閣下の記者会見に形式は閣下の特別補佐官としてロイは同席する。
「本日はお集まり頂き、感謝致します。
マスタング将軍の噂も私も耳にしており、今までノーコメントを貫き通していました。
それには理由があります。
鉱山事故で閉鎖されていた鉱山に調査隊が行き、発見された石盤から錬金術を通して被害者が家族に宛てた手紙や遺品が発見されました。
安全の為とは言え、数年も経過してしまったことを謝罪します」
記者会見で新聞記者を始めとした報道が集まっていた。
閣下より数歩下がった場所でロイは待機している。
「研究者であり、錬金術師でもあるウィルと妻の科学者でもあるアイリスも鉱山事故に巻き込まれています。
ウィルは今でも本が出回っていて数々の功績から貴族の称号を受けた者です。
亡くなった今も説明が不要なくらい今でも有名でしょう。
本にはウィルとしか表記されていませんでした。
ウィルの本名は…、ウィル・マスタング。
皆さん察知の通りです。
ロイ・マスタング将軍の実父です。
家柄は貴族になりますが、一度返還されました。
マスタング将軍にも確認して貴族の称号は返還されたままでいいと」
ザワついてカメラがロイに向けられてもロイは平然としていて表情は崩れない。
「それでは、閣下がマスタング将軍を気に入っていたのは…」
「無関係です。
マスタング将軍がウィルの息子だと気づいたのは最近です。
私とウィルは友人でした。
ウィルと似た才能ある人材です。
知るキッカケに過ぎません。
たとえ友人の息子でも才能がないのなら私は側に置きませんから。
マスタング将軍、こちらに」
「…はい」
閣下に呼ばれてロイは閣下の隣に立った。
「調査の為に一旦預かっていた遺品をマスタング将軍に。
両親の手紙とウィルの腕時計、貴族の家紋入りの両親の結婚指輪」
「…はい。
ありがとうございます」
閣下から手渡されてロイは受け取って向き合い、敬礼する。
(まぁ、確認にも行かないとな。
マダムにも会いに行こう。
どんな本なのだろうか。
研究者だし、錬金術や古文か?)
執務室に戻って一部の本をペラペラと捲る。
「ロイ、その本は?」
「あの人達の本。
閣下から渡され…、って。
ヒューズ、いつの間に来てたんだ」
「さっきから居たんだが。
おまえさんが無視したんだろうが」
「すまん、気づかなかった」
「集中してたから仕方ないか。
それだけか?」
「いや、これは一部らしい。
銀行の倉庫の鍵も渡されたんだが。
事故の賠償金、受け取らなかったらしい。
代理人を通して私が大人になったら渡して欲しいと。
バカだ、受け取れば苦労などしなかったのに」
「ロイ…
それがマダムの決意だったんだ。
受け取らずにおまえさんを育てることが」
机に顔を埋めているロイにヒューズが優しく頭を撫でる。
『本を見せてもらっても?』
「あぁ、構わんよ」
『錬金術と古代文。
その研究者だったんでしょうね。
ロイさん、これ』
「えっ?」
セルシアの手には幼いロイと若いロイの両親の1枚の家族写真。
“ロイ、誕生日おめでとう。
君の幸せを祈ってるよ”
写真の裏には両親の文字があり、幸せそうに微笑む両親と母親に抱えられて眠っているロイの写真だった。
大切に愛されていたと覚えてなくても実感する。
『きっと素敵な両親だったんでしょうね』
「…そうだな」
『大切にしないとダメですよ』
写真をロイに渡してセルシアは微笑んだ。
小さく頷いてロイは若い頃の両親を見つめる。
「今の将軍よりも少し若いくらいですね。
将軍はお父さん似なんですね。
でも、お母さんにもこの辺りは似てますよ」
「中尉…」
「覚えてなくても貴方の両親です。
それは偽りのない事実ですよ」
「あぁ、そうだな」
微かに笑みを浮かべて仲間や友人の気遣いと優しさに救われる。
数日後に調査が終えて宝箱や壊れた石盤は軍で保存することになったが、遺品は遺族に返還することが決定。
「君には酷なことを頼むことは承知している。
軍の一員として、遺族代表として同席して欲しい。
個人的な問題ではないから。
ウィルは有名な研究者だった」
「…はい。
承知しております」
「すまないな」
「いえ、大丈夫です」
国民はまだロイのことしか噂段階でしか知らない。
閣下の記者会見に形式は閣下の特別補佐官としてロイは同席する。
「本日はお集まり頂き、感謝致します。
マスタング将軍の噂も私も耳にしており、今までノーコメントを貫き通していました。
それには理由があります。
鉱山事故で閉鎖されていた鉱山に調査隊が行き、発見された石盤から錬金術を通して被害者が家族に宛てた手紙や遺品が発見されました。
安全の為とは言え、数年も経過してしまったことを謝罪します」
記者会見で新聞記者を始めとした報道が集まっていた。
閣下より数歩下がった場所でロイは待機している。
「研究者であり、錬金術師でもあるウィルと妻の科学者でもあるアイリスも鉱山事故に巻き込まれています。
ウィルは今でも本が出回っていて数々の功績から貴族の称号を受けた者です。
亡くなった今も説明が不要なくらい今でも有名でしょう。
本にはウィルとしか表記されていませんでした。
ウィルの本名は…、ウィル・マスタング。
皆さん察知の通りです。
ロイ・マスタング将軍の実父です。
家柄は貴族になりますが、一度返還されました。
マスタング将軍にも確認して貴族の称号は返還されたままでいいと」
ザワついてカメラがロイに向けられてもロイは平然としていて表情は崩れない。
「それでは、閣下がマスタング将軍を気に入っていたのは…」
「無関係です。
マスタング将軍がウィルの息子だと気づいたのは最近です。
私とウィルは友人でした。
ウィルと似た才能ある人材です。
知るキッカケに過ぎません。
たとえ友人の息子でも才能がないのなら私は側に置きませんから。
マスタング将軍、こちらに」
「…はい」
閣下に呼ばれてロイは閣下の隣に立った。
「調査の為に一旦預かっていた遺品をマスタング将軍に。
両親の手紙とウィルの腕時計、貴族の家紋入りの両親の結婚指輪」
「…はい。
ありがとうございます」
閣下から手渡されてロイは受け取って向き合い、敬礼する。