第31話
夢小説設定
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セルシアの言葉に一瞬止まったが、ロイは微かに口元を緩めてセルシアの腰を抱き寄せる。
「君以外を見てないよ。
家を理由に近づく女性など尚更だ。
やはり、既に噂か」
『…ロイさん』
今頃は新聞記者など軍の広報に事実確認しているのだろう。
「すまない、嫌な思いさせているだろう?」
『大丈夫です。
そんな気弱ではないですから』
「安心しろ、撃退してるぞ」
『失礼ですね』
「挑発までしてたぞ」
『ヒューズ中佐!
貴方はバカなんですか?』
「いででっ!
おまえら、揃って足癖が悪いな」
「…今のは自業自得だ」
セルシアに足を踏まれたヒューズにロイは苦笑い。
「マスタング将軍、リーゼル大佐が見つかったなら戻りましょう。
それから、街の真ん中でキスはお止めください」
相変わらずだなとヒューズは中尉を見ていた。
『探しに来てくれたんですか?』
「当たり前だろう?
ほら、司令部に帰るぞ。
ジロジロと見られるし」
『はい!』
嬉しそうに笑ってセルシアはロイの腕に抱きつく。
(両親のことを考えてない訳でもないけど、自分のことなのにどこか他人事みたいで。
知りたい気持ちと知りたくない気持ちがある)
執務室に戻って遠くを見つめるロイに誰もあえて話しかけない。
呼び出されてロイは閣下の執務室に行く。
「急に呼び出して悪かったね。
さあ、座りなさい」
「はっ!
失礼します」
「調査中だからまだ返却は出来ないが、今日は君の意見を聞いておこうと思ってな。
個人的なことだから」
「…分かりました」
護衛隊と補佐官達を執務室から退室させる。
閣下の執務室の扉は頑丈なので盗み聞きは困難だろう。
「君の両親の関係者で君を引き取った代理人が貴族の称号を返還した。
事故の賠償金も受け取らなかった」
「えっ…」
「いつか大人になった時に息子に渡してくれと伝言も預かって来たと代理人から伝えられた。
国で保管していたものを君に渡す必要がある」
「これは?」
「君の両親の本と権利書。
ほとんどがウィルの本だな。
これは一部で賠償金と共に保管されているよ。
これが銀行の倉庫の鍵だ」
「……っ…」
閣下から数冊の本と権利書、大量の本と多額の賠償金が入っている銀行の倉庫の鍵を手渡された。
「どう使うのか、それを含めて君の自由だよ」
「…はい」
「息子の君が望むなら貴族の称号を戻すことも可能だ」
「えっ!?」
「権力争いがある軍では貴族の称号も力になるはずだ。
それを使わないのもどちらでも。
もちろん、今すぐに答えは出せないだろうから」
「いえ…貴族の称号はいりません。
私が貰った訳でもないですし、私を守る為に返還したのでしょう。
貴族の変な争いに巻き込まれたくもありませんから。
貴族の称号は確かに権力にはなるかもしれませんが、妬みにもなりますからね」
両親の記憶もないから貴族の称号が魅力にも感じない。
閣下に頭を撫でられてロイは顔を上げた。
「…そうか。
すまなかった、言えなくて」
「私にはあの人達の記憶はなかったですし、いきなり言われても怪しむだけだったかと」
「聞きたいことがあれば、私の知っている範囲で話すからいつでも来なさい。
ウィルのことが中心にはなるが。
今はまだ混乱しているだろうし、知りたい気持ちと知りたくない気持ちが混同しているのだろう?
銀行の倉庫も今すぐに見なくてはいけないものではない」
戸惑いながらもロイは小さく頷き、渡されたものを見て重く感じた。
「ありがとうございました」
「ロイ、気をつけなさい。
将軍達は怪しい行動が目立つ。
まだ決定的なものは今はないが」
「はい」
「ウィルの息子だから気に入っている訳ではないよ。
似ている部分はあるが。
最初から息子だと分かっていた訳ではないし。
キッカケではあったけど」
「閣下…
はい、ありがとうございます」
どんな友人関係だったのか想像もつかないとロイは苦笑い。
「君を見ているとたまに思い出す。
まぁ、性格はかなり違うけど」
「そうなのですか?」
「集中すると一直線なのは似ているけどな」
「否定が出来ませんけど。
あの人の錬金術は何なのか分かりますか?」
「あぁ、水と氷だ」
「えっ…」
「君の錬金術を見て驚いたよ」
(あの錬成陣はあの人のだったのか。
幼い頃に見たのかもしれんな)
ロイは驚きながらもどこか妙に納得した。
「君以外を見てないよ。
家を理由に近づく女性など尚更だ。
やはり、既に噂か」
『…ロイさん』
今頃は新聞記者など軍の広報に事実確認しているのだろう。
「すまない、嫌な思いさせているだろう?」
『大丈夫です。
そんな気弱ではないですから』
「安心しろ、撃退してるぞ」
『失礼ですね』
「挑発までしてたぞ」
『ヒューズ中佐!
貴方はバカなんですか?』
「いででっ!
おまえら、揃って足癖が悪いな」
「…今のは自業自得だ」
セルシアに足を踏まれたヒューズにロイは苦笑い。
「マスタング将軍、リーゼル大佐が見つかったなら戻りましょう。
それから、街の真ん中でキスはお止めください」
相変わらずだなとヒューズは中尉を見ていた。
『探しに来てくれたんですか?』
「当たり前だろう?
ほら、司令部に帰るぞ。
ジロジロと見られるし」
『はい!』
嬉しそうに笑ってセルシアはロイの腕に抱きつく。
(両親のことを考えてない訳でもないけど、自分のことなのにどこか他人事みたいで。
知りたい気持ちと知りたくない気持ちがある)
執務室に戻って遠くを見つめるロイに誰もあえて話しかけない。
呼び出されてロイは閣下の執務室に行く。
「急に呼び出して悪かったね。
さあ、座りなさい」
「はっ!
失礼します」
「調査中だからまだ返却は出来ないが、今日は君の意見を聞いておこうと思ってな。
個人的なことだから」
「…分かりました」
護衛隊と補佐官達を執務室から退室させる。
閣下の執務室の扉は頑丈なので盗み聞きは困難だろう。
「君の両親の関係者で君を引き取った代理人が貴族の称号を返還した。
事故の賠償金も受け取らなかった」
「えっ…」
「いつか大人になった時に息子に渡してくれと伝言も預かって来たと代理人から伝えられた。
国で保管していたものを君に渡す必要がある」
「これは?」
「君の両親の本と権利書。
ほとんどがウィルの本だな。
これは一部で賠償金と共に保管されているよ。
これが銀行の倉庫の鍵だ」
「……っ…」
閣下から数冊の本と権利書、大量の本と多額の賠償金が入っている銀行の倉庫の鍵を手渡された。
「どう使うのか、それを含めて君の自由だよ」
「…はい」
「息子の君が望むなら貴族の称号を戻すことも可能だ」
「えっ!?」
「権力争いがある軍では貴族の称号も力になるはずだ。
それを使わないのもどちらでも。
もちろん、今すぐに答えは出せないだろうから」
「いえ…貴族の称号はいりません。
私が貰った訳でもないですし、私を守る為に返還したのでしょう。
貴族の変な争いに巻き込まれたくもありませんから。
貴族の称号は確かに権力にはなるかもしれませんが、妬みにもなりますからね」
両親の記憶もないから貴族の称号が魅力にも感じない。
閣下に頭を撫でられてロイは顔を上げた。
「…そうか。
すまなかった、言えなくて」
「私にはあの人達の記憶はなかったですし、いきなり言われても怪しむだけだったかと」
「聞きたいことがあれば、私の知っている範囲で話すからいつでも来なさい。
ウィルのことが中心にはなるが。
今はまだ混乱しているだろうし、知りたい気持ちと知りたくない気持ちが混同しているのだろう?
銀行の倉庫も今すぐに見なくてはいけないものではない」
戸惑いながらもロイは小さく頷き、渡されたものを見て重く感じた。
「ありがとうございました」
「ロイ、気をつけなさい。
将軍達は怪しい行動が目立つ。
まだ決定的なものは今はないが」
「はい」
「ウィルの息子だから気に入っている訳ではないよ。
似ている部分はあるが。
最初から息子だと分かっていた訳ではないし。
キッカケではあったけど」
「閣下…
はい、ありがとうございます」
どんな友人関係だったのか想像もつかないとロイは苦笑い。
「君を見ているとたまに思い出す。
まぁ、性格はかなり違うけど」
「そうなのですか?」
「集中すると一直線なのは似ているけどな」
「否定が出来ませんけど。
あの人の錬金術は何なのか分かりますか?」
「あぁ、水と氷だ」
「えっ…」
「君の錬金術を見て驚いたよ」
(あの錬成陣はあの人のだったのか。
幼い頃に見たのかもしれんな)
ロイは驚きながらもどこか妙に納得した。