第31話
夢小説設定
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あの頭痛がなければ、マダムは話そうとしてくれたのだろうか。
「…ロイ」
「ヒューズ、どうした?」
「それはこっちの台詞だ。
大丈夫か?」
「さぁな。
予想外過ぎて。
どっから考えればいいやら」
屋上でロイはフェンスに寄りかかりながら珈琲を飲んでいた。
「今回は煙草じゃないのか」
「ぼんやりしてたら火傷しそうになるわ、咳き込むし。
ほとんど吸えずにやめた」
「ははっ…」
「どんな気持ちであれを両親は遺したのだろうな。
やっぱり、私は記憶ないから両親に思えない。
冷たいのだろうか」
「記憶がないんだ。
それをいきなり両親と言われても受け入れられんのは当然だ。
何も冷たい訳じゃないさ。
ゆっくり受け入れたらいい。
それでも無理ならそれでいいんだ」
「……っ…」
「おまえさんはちゃんと愛されていた。
あの両親の口調からそれは分かっただろう?」
泣きそうになって唇を噛み締めてロイは俯き、ヒューズがくしゃっと頭を撫でた。
「…あの人はどんな錬金術を使っていたんだろうな」
「閣下なら分かるんじゃないか?」
「そう、かもな」
「両親と認められないか?」
「まだ分からない。
父と呼ぶのは抵抗と言うか、照れがある」
「閣下になら?」
「なっ!
バカなことを言うな!」
頬を赤らめて珍しく叫ぶロイにヒューズは苦笑い。
ザワついてヒソヒソされるのも嫌な気持ちではあるが、仕方ないだろう。
「お帰りなさい。
気分転換は出来ましたか?」
「…あぁ。
心配掛けて悪かった」
「大丈夫です。
マスタング将軍、私達は変わりませんよ」
「えっ?」
「貴方がどんな家柄だろうと貴方は貴方です。
何か変わらないでしょう?」
「中尉…」
『希望なら礼儀作法を学んで挙式に貴族の方々を招待します?』
「度が過ぎる冗談だな。
そんな面倒な挙式は嫌だ」
『ふふっ、私も嫌です。
貴方の為なら我慢も出来ますけど』
微かに笑みを浮かべてロイはセルシアの頭を撫でた。
「私にピアノを教えていたのはそういうことだったんだな。
いや、教えてもらっていてよかったよ。
あの人達との繋がりだから」
「頭痛は?」
「不思議とないな。
予想外過ぎて色々と考え過ぎて頭痛はあるけど」
「何かあれば仰有ってください。
追加の書類はありますが、期限はまだ先ですから。
無理はなさらないでくださいね」
「ありがとう。
でも、大丈夫だから」
苦手な書類でも仕事していた方が無駄に考えないで済むから。
セルシアを始めとした中尉達やヒューズにアームストロング少佐、閣下と補佐官達以外は貴族の家柄と分かった途端に態度がガラリと変わってしまった。
元でも功績からの称号だろうと貴族の家柄には変わりない。
「すまないが、通してくれ。
そういうことは迷惑だ」
嫌味の方がどんなに楽だろうとロイはため息をつく。
(セルシアと婚約していてよかった。
別れさせたり、見合い話を持ち込まれた可能性が高かっただろうし。
まったく面倒だな。
セルシアは大丈夫だろうか)
婚約者だから無関係とは言えず、女性からの嫉妬もあるだろう。
「マスタング将軍は貴族の家柄なのよ」
『だから?』
「貴女のような庶民では似合わないのよ」
『私は確かに子供っぽくてロイさんには似合わないかもしれません』
「だったら…」
『でも、貴女と違ってロイさんから選ばれたの』
「なっ!?」
『人を貶める人は私以上にロイさんに合わない。
これ以上、付きまとうなら相手しますよ。
綺麗な顔に傷を付けたくはないでしょ?
それに、貴女と違って私はロイさんの盾になって守ることも出来るの。
軍内部の理解者としても錬金術の理解者としても隣に立つことが出来る』
呼び出されて絡まれても怯えず、むしろ相手にしている。
「挑発してやるなよ」
『貴族の守ってもらってばかりの小娘に何が出来るんですか?
あんな人は排除しなくては。
ロイさんに近づかれてはたまりません!』
(…そっちなのか)
遭遇したヒューズは相変わらずだと苦笑いする。
「セルシア?
どうかしたのか?
今のはどこの家か忘れたが、貴族の女性…っん」
走り去る姿でも見て欲しくなくて強引にロイの唇にキスする。
「…ロイ」
「ヒューズ、どうした?」
「それはこっちの台詞だ。
大丈夫か?」
「さぁな。
予想外過ぎて。
どっから考えればいいやら」
屋上でロイはフェンスに寄りかかりながら珈琲を飲んでいた。
「今回は煙草じゃないのか」
「ぼんやりしてたら火傷しそうになるわ、咳き込むし。
ほとんど吸えずにやめた」
「ははっ…」
「どんな気持ちであれを両親は遺したのだろうな。
やっぱり、私は記憶ないから両親に思えない。
冷たいのだろうか」
「記憶がないんだ。
それをいきなり両親と言われても受け入れられんのは当然だ。
何も冷たい訳じゃないさ。
ゆっくり受け入れたらいい。
それでも無理ならそれでいいんだ」
「……っ…」
「おまえさんはちゃんと愛されていた。
あの両親の口調からそれは分かっただろう?」
泣きそうになって唇を噛み締めてロイは俯き、ヒューズがくしゃっと頭を撫でた。
「…あの人はどんな錬金術を使っていたんだろうな」
「閣下なら分かるんじゃないか?」
「そう、かもな」
「両親と認められないか?」
「まだ分からない。
父と呼ぶのは抵抗と言うか、照れがある」
「閣下になら?」
「なっ!
バカなことを言うな!」
頬を赤らめて珍しく叫ぶロイにヒューズは苦笑い。
ザワついてヒソヒソされるのも嫌な気持ちではあるが、仕方ないだろう。
「お帰りなさい。
気分転換は出来ましたか?」
「…あぁ。
心配掛けて悪かった」
「大丈夫です。
マスタング将軍、私達は変わりませんよ」
「えっ?」
「貴方がどんな家柄だろうと貴方は貴方です。
何か変わらないでしょう?」
「中尉…」
『希望なら礼儀作法を学んで挙式に貴族の方々を招待します?』
「度が過ぎる冗談だな。
そんな面倒な挙式は嫌だ」
『ふふっ、私も嫌です。
貴方の為なら我慢も出来ますけど』
微かに笑みを浮かべてロイはセルシアの頭を撫でた。
「私にピアノを教えていたのはそういうことだったんだな。
いや、教えてもらっていてよかったよ。
あの人達との繋がりだから」
「頭痛は?」
「不思議とないな。
予想外過ぎて色々と考え過ぎて頭痛はあるけど」
「何かあれば仰有ってください。
追加の書類はありますが、期限はまだ先ですから。
無理はなさらないでくださいね」
「ありがとう。
でも、大丈夫だから」
苦手な書類でも仕事していた方が無駄に考えないで済むから。
セルシアを始めとした中尉達やヒューズにアームストロング少佐、閣下と補佐官達以外は貴族の家柄と分かった途端に態度がガラリと変わってしまった。
元でも功績からの称号だろうと貴族の家柄には変わりない。
「すまないが、通してくれ。
そういうことは迷惑だ」
嫌味の方がどんなに楽だろうとロイはため息をつく。
(セルシアと婚約していてよかった。
別れさせたり、見合い話を持ち込まれた可能性が高かっただろうし。
まったく面倒だな。
セルシアは大丈夫だろうか)
婚約者だから無関係とは言えず、女性からの嫉妬もあるだろう。
「マスタング将軍は貴族の家柄なのよ」
『だから?』
「貴女のような庶民では似合わないのよ」
『私は確かに子供っぽくてロイさんには似合わないかもしれません』
「だったら…」
『でも、貴女と違ってロイさんから選ばれたの』
「なっ!?」
『人を貶める人は私以上にロイさんに合わない。
これ以上、付きまとうなら相手しますよ。
綺麗な顔に傷を付けたくはないでしょ?
それに、貴女と違って私はロイさんの盾になって守ることも出来るの。
軍内部の理解者としても錬金術の理解者としても隣に立つことが出来る』
呼び出されて絡まれても怯えず、むしろ相手にしている。
「挑発してやるなよ」
『貴族の守ってもらってばかりの小娘に何が出来るんですか?
あんな人は排除しなくては。
ロイさんに近づかれてはたまりません!』
(…そっちなのか)
遭遇したヒューズは相変わらずだと苦笑いする。
「セルシア?
どうかしたのか?
今のはどこの家か忘れたが、貴族の女性…っん」
走り去る姿でも見て欲しくなくて強引にロイの唇にキスする。