第30話
夢小説設定
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司令部に戻ってからもロイは手が止まり、ため息が出てしまう。
「…マスタング将軍。
大丈夫ですか?
少し休憩しましょう」
「えっ?
あぁ、すまないな」
ぼんやりして考え込んでしまい、ロイは苦笑い。
(しっかりしなくては。
まだ仕事も残っているんだし。
ウィンリィがどちらを選ぶか分からないのに。
自分の中で答えが出ているようなものではあるのだが。
私は戦争の加害者だ。
軍政権ではなくなれば、私は罪に問われるだろう。
そうなれば…)
未来ある少女を巻き込んでしまうのが怖かった。
「マスタング将軍、話が聞こえてしまって。
悩むのは当然かと思います。
戦争のことでも…」
「そう、だな。
どんな言い訳もしない。
私は加害者だし、また行く可能性だってある。
未来のことは分からないし、受け入れるのかさえも分からないが。
それでも未来ある少女を巻き込むのではないかと」
「将軍…」
「すまない、こんな話を」
「構いませんよ。
話せば楽になることもあります。
リーゼル大佐にはきちんと話してくださいね。
悩んでることも含めて」
「…そうだな」
中尉の言葉にロイは頷いて微かに笑みを浮かべた。
仕事を終えてセルシアの待っている家に帰った。
『ロイさん、お帰りなさい。
お疲れ様です。
どうかしましたか?』
「えっ?」
『書類の仕事、多かった?
疲れた顔してる』
「…そうか?
そんなに酷いか?」
『眉間に皺寄ってるし。
ほら、とりあえずはお風呂に入って来て。
温まって来て。
その間に食事の準備しておくから』
半ば強引に脱衣所に押し込められてロイは苦笑い。
セルシアの優しさなのだろうと軍服を脱ぎ始める。
「はぁ~っ…」
ピナコの気持ちもウィンリィの気持ちも分かるから余計に辛い。
『ちゃんと温まって来ました?』
「こういうとこは君は母親のようだな」
『すみません、思わず』
「悪くはないよ」
『髪を乾かしたら食事にしましょうか』
「ん…、ありがとう」
いつものようにセルシアが髪を乾かしてくれて、その手は心地良い。
『食事が済んだら話は聞きます』
「気づいてたのか?」
『あれだけ考え込んでたら』
「ははっ、そうだよな」
『話したくないなら聞きませんよ』
「…聞いて欲しい」
『分かりました』
ちゃんと必要な距離感は保ってくれていて心地良い。
「いい香りだな」
『今日は寒いですし、ロイさんが好きなビーフシチューですよ。
フランスパンも買って来ました。
新鮮な野菜のサラダもありますよ。
アップルパイも焼きました』
「うまそうだ。
では、頂くとしようか」
『はい!』
食事中はたいしたことない話をしながら過ごす。
食後にアップルパイと温かい飲み物を手に話そうとするが、言葉に出来ずに時間が過ぎてゆく。
「すまない。
考えがまとまらなくて。
答えもすぐには出ないんだ」
『いいんですよ、それも含めて話してください』
「今日、ピナコ殿がウィンリィを連れて来たんだ。
話があると言われて中尉を連れて喫茶店で待ち合わせをして…」
静かな声でロイはセルシアにピナコに言われたこと、悩んでいることを包み隠さずに話した。
『大丈夫ですよ』
「なん、で…」
『我慢しなくていいんです』
「戦争の加害者ではなければ、迷わずに手を伸ばせたんだ。
戦争がまたウィンリィを悩ませてしまうかもしれない。
私はこの手で沢山の人を…!」
『その事実は変わりません。
でも、あくまでも可能性です。
それで悩んだ時には一緒に悩んで上げればいいじゃないですか』
「セルシア…」
『私はウィンリィちゃんやロイさんがどんな答えを出してもそれを受け入れます。
だって、それは沢山悩んで出した答えだから』
「受け入れても?」
『反対しないですし、一緒に暮らすのも大歓迎ですよ』
ロイの涙を指で拭うとセルシアは唇にキスした。
「んっ、ぁ…」
『綺麗ですよ、ロイさん』
「それは男として複雑なんだが」
寝室に移動してセルシアにベットに寝かされて濃厚なキスを交わす。
眠っているロイを見つめて微笑み、頭を撫でた。
「んぅ…寝てた?」
『大丈夫ですから眠ってください』
「いつから私は…、弱くなったのだろうな」
『ずっと強くある必要ないんです。
その弱さも強さも、ロイさんなんですから』
「…うん」
セルシアを抱き締めてロイは眠りにつく。
いろんな問題があってそう簡単に答えは出ずにウィンリィはヒューズの家に泊めてもらった。
ピナコもロイも当事者でウィンリィは答えが出るまでは一緒に居たくなくて、理由を聞かずにヒューズは笑顔で泊めてくれた。
「どういうつもりだよ!」
「ちょっ、エドワードくん!?」
「鋼の…何なんだ」
「ばっちゃんから電話あって聞いたんだよ!」
「落ち着いてよ、兄さん!」
(ピナコ殿に聞かされたか。
まだ決めてないのだが)
執務室に勢いよく現れたエドにロイは胸ぐらを掴まれる。
「鋼の錬金術師、離しなさい。
何があったのか知らないが、仮にも上官に対しての行動ではない」
「だけど、コイツが!」
「…私の特別補佐官に手出しをして許されると?」
「閣下!」
「分かってる。
今手を離すなら理由も聞かずにロイに免じて許してやろう」
「兄さん!」
アルがエドの頭をぶん殴ってロイから引き剥がす。
((そんな止め方!?))
ハボック達はアルの予想外の行動に驚いていた。
-END-
2017.3.29
「…マスタング将軍。
大丈夫ですか?
少し休憩しましょう」
「えっ?
あぁ、すまないな」
ぼんやりして考え込んでしまい、ロイは苦笑い。
(しっかりしなくては。
まだ仕事も残っているんだし。
ウィンリィがどちらを選ぶか分からないのに。
自分の中で答えが出ているようなものではあるのだが。
私は戦争の加害者だ。
軍政権ではなくなれば、私は罪に問われるだろう。
そうなれば…)
未来ある少女を巻き込んでしまうのが怖かった。
「マスタング将軍、話が聞こえてしまって。
悩むのは当然かと思います。
戦争のことでも…」
「そう、だな。
どんな言い訳もしない。
私は加害者だし、また行く可能性だってある。
未来のことは分からないし、受け入れるのかさえも分からないが。
それでも未来ある少女を巻き込むのではないかと」
「将軍…」
「すまない、こんな話を」
「構いませんよ。
話せば楽になることもあります。
リーゼル大佐にはきちんと話してくださいね。
悩んでることも含めて」
「…そうだな」
中尉の言葉にロイは頷いて微かに笑みを浮かべた。
仕事を終えてセルシアの待っている家に帰った。
『ロイさん、お帰りなさい。
お疲れ様です。
どうかしましたか?』
「えっ?」
『書類の仕事、多かった?
疲れた顔してる』
「…そうか?
そんなに酷いか?」
『眉間に皺寄ってるし。
ほら、とりあえずはお風呂に入って来て。
温まって来て。
その間に食事の準備しておくから』
半ば強引に脱衣所に押し込められてロイは苦笑い。
セルシアの優しさなのだろうと軍服を脱ぎ始める。
「はぁ~っ…」
ピナコの気持ちもウィンリィの気持ちも分かるから余計に辛い。
『ちゃんと温まって来ました?』
「こういうとこは君は母親のようだな」
『すみません、思わず』
「悪くはないよ」
『髪を乾かしたら食事にしましょうか』
「ん…、ありがとう」
いつものようにセルシアが髪を乾かしてくれて、その手は心地良い。
『食事が済んだら話は聞きます』
「気づいてたのか?」
『あれだけ考え込んでたら』
「ははっ、そうだよな」
『話したくないなら聞きませんよ』
「…聞いて欲しい」
『分かりました』
ちゃんと必要な距離感は保ってくれていて心地良い。
「いい香りだな」
『今日は寒いですし、ロイさんが好きなビーフシチューですよ。
フランスパンも買って来ました。
新鮮な野菜のサラダもありますよ。
アップルパイも焼きました』
「うまそうだ。
では、頂くとしようか」
『はい!』
食事中はたいしたことない話をしながら過ごす。
食後にアップルパイと温かい飲み物を手に話そうとするが、言葉に出来ずに時間が過ぎてゆく。
「すまない。
考えがまとまらなくて。
答えもすぐには出ないんだ」
『いいんですよ、それも含めて話してください』
「今日、ピナコ殿がウィンリィを連れて来たんだ。
話があると言われて中尉を連れて喫茶店で待ち合わせをして…」
静かな声でロイはセルシアにピナコに言われたこと、悩んでいることを包み隠さずに話した。
『大丈夫ですよ』
「なん、で…」
『我慢しなくていいんです』
「戦争の加害者ではなければ、迷わずに手を伸ばせたんだ。
戦争がまたウィンリィを悩ませてしまうかもしれない。
私はこの手で沢山の人を…!」
『その事実は変わりません。
でも、あくまでも可能性です。
それで悩んだ時には一緒に悩んで上げればいいじゃないですか』
「セルシア…」
『私はウィンリィちゃんやロイさんがどんな答えを出してもそれを受け入れます。
だって、それは沢山悩んで出した答えだから』
「受け入れても?」
『反対しないですし、一緒に暮らすのも大歓迎ですよ』
ロイの涙を指で拭うとセルシアは唇にキスした。
「んっ、ぁ…」
『綺麗ですよ、ロイさん』
「それは男として複雑なんだが」
寝室に移動してセルシアにベットに寝かされて濃厚なキスを交わす。
眠っているロイを見つめて微笑み、頭を撫でた。
「んぅ…寝てた?」
『大丈夫ですから眠ってください』
「いつから私は…、弱くなったのだろうな」
『ずっと強くある必要ないんです。
その弱さも強さも、ロイさんなんですから』
「…うん」
セルシアを抱き締めてロイは眠りにつく。
いろんな問題があってそう簡単に答えは出ずにウィンリィはヒューズの家に泊めてもらった。
ピナコもロイも当事者でウィンリィは答えが出るまでは一緒に居たくなくて、理由を聞かずにヒューズは笑顔で泊めてくれた。
「どういうつもりだよ!」
「ちょっ、エドワードくん!?」
「鋼の…何なんだ」
「ばっちゃんから電話あって聞いたんだよ!」
「落ち着いてよ、兄さん!」
(ピナコ殿に聞かされたか。
まだ決めてないのだが)
執務室に勢いよく現れたエドにロイは胸ぐらを掴まれる。
「鋼の錬金術師、離しなさい。
何があったのか知らないが、仮にも上官に対しての行動ではない」
「だけど、コイツが!」
「…私の特別補佐官に手出しをして許されると?」
「閣下!」
「分かってる。
今手を離すなら理由も聞かずにロイに免じて許してやろう」
「兄さん!」
アルがエドの頭をぶん殴ってロイから引き剥がす。
((そんな止め方!?))
ハボック達はアルの予想外の行動に驚いていた。
-END-
2017.3.29