第28話
夢小説設定
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また泣きそうになってロイは俯いて唇を噛み締めた。
「マスタング将軍、いいんですよ。
泣いたって。
我慢する必要ないです」
「あ…っ」
「お母さんもお父さんも居なくて。
ずっと我慢していたのでしょう?
頑張りましたね。
いいんです、今くらい甘えても」
「……っ…」
母のようなぬくもりに抱き締められてまた涙が零れた。
「落ち着いた?」
「す、すみません。
なんか今日は…」
「気にしなくていいわ。
さあ、食べないと治らないわよ」
「…はい」
「食べさせてあげようかしら」
「はっ?」
「やめなさい。
私がしてあげよう」
「しなくていいです!」
「あらあら。
それは残念だわ」
「また明日にしようか」
「明日もしなくていいです!
いつまでここに…」
「熱が下がるまでだな」
(何日世話にならなくてはならないんだ!)
さすがに閣下が相手では迎えに来てもらえる可能性は低いだろうとロイはため息をつく。
翌日にはかなり体調もよくなったが、熱は下がらずに閣下から休みを言い渡された。
(…ここはどこだ)
広い屋敷にロイは迷子になってしまって苦笑い。
「何しているんですか?」
「えっと…」
「迷子?
貴方の部屋は向こうだよ。
昨日はごめんなさい。
怒られました」
「いえ、事実ですから」
セリムに案内されて戻って来れてロイは安堵する。
閣下に貸してもらった本を読みながら部屋で過ごしていた。
部屋を覗く視線に気づき、ロイは微かに笑う。
「どうかしましたか?」
「…別に特に用事は」
「風邪、移りますよ」
「分かってるよ!」
「奥様は?」
「買い物あるって」
「こうして1人で留守番は多いんですか?」
「うん、わりとね。
別に寂しくなんかないし!」
「暇していたんです。
話し相手になってもらえますか?」
「…仕方ないな」
口調とは裏腹にセリムは嬉しそうでロイは微笑む。
中尉の少女時代を思い出して懐かしくなる。
「ただいま、セリム?
あら…どこに行ったのかしら。
マスタングさん、果物を…」
「お帰りなさい」
「ダメでしょ、セリム。
ごめんなさいね」
「いえ、暇していたので」
ロイの膝に乗って本を読んでもらっていたらしい。
「そうだ、こっちに来て!
お父様に買ってもらったんだ。
いいの見せてあげる!」
「まだ熱あるんだからあまり連れ回してはダメよ。
外には出ないようにね」
「分かってるよ!」
「ちょっと行って来ます」
セリムに懐かれて手を引っ張られてロイは苦笑いして行く。
珍しく子供らしくはしゃいでるセリムに微笑んで見送る。
「お父様、お帰りなさい!」
「お帰りなさい」
「ただいま」
「閣下、お帰りなさいませ」
「寝てなかったのか?
熱は…、まだ少し高いな」
閣下に額を触れられてロイは苦笑いする。
気恥ずかしいような複雑な表情を浮かべるロイに閣下は楽しそうに笑う。
「セリムと遊んでもらって悪かったな」
「いえ、暇してたので。
眠くならなかったですし」
「だからってあまり起きてるなよ」
「分かってます」
意外に世話焼きな閣下にロイは苦笑いする。
夕食を一緒に食べることになるとは不思議な感覚だ。
(…セルシアに会いたいな。
中尉達は大丈夫だろうか。
同じ街にいるのに高熱ってだけで離されるとは。
仮にそうなった時に耐えられそうにないな。
外にも家の中にも防犯システム装備されていて、防犯カメラもあるから落ち着かない。
逃亡も出来そうにない。
いや、するつもりもないけど)
何もさせてもらえないのも暇だなとため息をつく。
「閣下と奥様にはハーブティーを。
セリムお坊っちゃまには絞りたてのオレンジジュースを」
「ありがとう」
「これはいい香りね。
美味しいと言ってたのよ。
確かに美味しいわ」
「ありがとうございます」
「酸っぱくなくて美味しい!」
「よかったわね」
「マスタング将軍、君は何をしているんだ」
「食後のティータイムを。
いや、暇過ぎて」
「閣下もそろそろマスタング将軍をお帰しください。
風の錬金術師が苛立って暴走してますよ」
「そろそろ限界か」
「え~!
帰っちゃうの?
ここに住めばいいじゃない」
「ありがとうございます。
婚約者も部下達も待ってますから。
セリムお坊っちゃま、楽しい時間をありがとうございました。
閣下、奥様、お世話になりました」
「また来てね!」
「ありがとうございます」
絶対だとセリムに抱きつかれてロイは苦笑いして約束する。
-END-
2017.3.23
「マスタング将軍、いいんですよ。
泣いたって。
我慢する必要ないです」
「あ…っ」
「お母さんもお父さんも居なくて。
ずっと我慢していたのでしょう?
頑張りましたね。
いいんです、今くらい甘えても」
「……っ…」
母のようなぬくもりに抱き締められてまた涙が零れた。
「落ち着いた?」
「す、すみません。
なんか今日は…」
「気にしなくていいわ。
さあ、食べないと治らないわよ」
「…はい」
「食べさせてあげようかしら」
「はっ?」
「やめなさい。
私がしてあげよう」
「しなくていいです!」
「あらあら。
それは残念だわ」
「また明日にしようか」
「明日もしなくていいです!
いつまでここに…」
「熱が下がるまでだな」
(何日世話にならなくてはならないんだ!)
さすがに閣下が相手では迎えに来てもらえる可能性は低いだろうとロイはため息をつく。
翌日にはかなり体調もよくなったが、熱は下がらずに閣下から休みを言い渡された。
(…ここはどこだ)
広い屋敷にロイは迷子になってしまって苦笑い。
「何しているんですか?」
「えっと…」
「迷子?
貴方の部屋は向こうだよ。
昨日はごめんなさい。
怒られました」
「いえ、事実ですから」
セリムに案内されて戻って来れてロイは安堵する。
閣下に貸してもらった本を読みながら部屋で過ごしていた。
部屋を覗く視線に気づき、ロイは微かに笑う。
「どうかしましたか?」
「…別に特に用事は」
「風邪、移りますよ」
「分かってるよ!」
「奥様は?」
「買い物あるって」
「こうして1人で留守番は多いんですか?」
「うん、わりとね。
別に寂しくなんかないし!」
「暇していたんです。
話し相手になってもらえますか?」
「…仕方ないな」
口調とは裏腹にセリムは嬉しそうでロイは微笑む。
中尉の少女時代を思い出して懐かしくなる。
「ただいま、セリム?
あら…どこに行ったのかしら。
マスタングさん、果物を…」
「お帰りなさい」
「ダメでしょ、セリム。
ごめんなさいね」
「いえ、暇していたので」
ロイの膝に乗って本を読んでもらっていたらしい。
「そうだ、こっちに来て!
お父様に買ってもらったんだ。
いいの見せてあげる!」
「まだ熱あるんだからあまり連れ回してはダメよ。
外には出ないようにね」
「分かってるよ!」
「ちょっと行って来ます」
セリムに懐かれて手を引っ張られてロイは苦笑いして行く。
珍しく子供らしくはしゃいでるセリムに微笑んで見送る。
「お父様、お帰りなさい!」
「お帰りなさい」
「ただいま」
「閣下、お帰りなさいませ」
「寝てなかったのか?
熱は…、まだ少し高いな」
閣下に額を触れられてロイは苦笑いする。
気恥ずかしいような複雑な表情を浮かべるロイに閣下は楽しそうに笑う。
「セリムと遊んでもらって悪かったな」
「いえ、暇してたので。
眠くならなかったですし」
「だからってあまり起きてるなよ」
「分かってます」
意外に世話焼きな閣下にロイは苦笑いする。
夕食を一緒に食べることになるとは不思議な感覚だ。
(…セルシアに会いたいな。
中尉達は大丈夫だろうか。
同じ街にいるのに高熱ってだけで離されるとは。
仮にそうなった時に耐えられそうにないな。
外にも家の中にも防犯システム装備されていて、防犯カメラもあるから落ち着かない。
逃亡も出来そうにない。
いや、するつもりもないけど)
何もさせてもらえないのも暇だなとため息をつく。
「閣下と奥様にはハーブティーを。
セリムお坊っちゃまには絞りたてのオレンジジュースを」
「ありがとう」
「これはいい香りね。
美味しいと言ってたのよ。
確かに美味しいわ」
「ありがとうございます」
「酸っぱくなくて美味しい!」
「よかったわね」
「マスタング将軍、君は何をしているんだ」
「食後のティータイムを。
いや、暇過ぎて」
「閣下もそろそろマスタング将軍をお帰しください。
風の錬金術師が苛立って暴走してますよ」
「そろそろ限界か」
「え~!
帰っちゃうの?
ここに住めばいいじゃない」
「ありがとうございます。
婚約者も部下達も待ってますから。
セリムお坊っちゃま、楽しい時間をありがとうございました。
閣下、奥様、お世話になりました」
「また来てね!」
「ありがとうございます」
絶対だとセリムに抱きつかれてロイは苦笑いして約束する。
-END-
2017.3.23