第28話
夢小説設定
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事件もありながらも日常が戻り、ウィンリィはたまにヒューズ宅に遊びに行っていた。
『どうしたんですか?』
「相談して君には話すことにした。
それで私を嫌いになっても、幻滅して捨てられても私は受け入れる」
『そんなこと!』
「…それもありえるんだよ。
受け入れるのも辛いくらいに。
中尉には私以上に辛い想いをさせるだろう」
「大丈夫です」
「私達は上官と部下以上の関係だった。
君が思うような可愛らしい恋愛ならどんなに楽だったか。
中尉の父は私の師匠だった」
「歳の離れた兄が出来たみたいで私は嬉しかったの。
私は将軍に…、マスタングさんにいろんなことを教えてもらった。
当時の私にはマスタングさんがすべてだった。
料理もダンスも教えてくれて。
父は母が亡くなってから私には無頓着で…
マスタングさんが外の世界を教えてくれた。
マスタングさんが軍に入り、父が倒れて亡くなってからそれは崩壊したの」
セルシアは黙ってロイと中尉の話を聞いた。
寝室に中尉と移動して背中を見せられてセルシアは驚く。
『これは…、この錬成陣。
ロイさんの錬金術?』
「父に彫られたの。
マスタングに渡した。
けど、戦争で使われてしまった」
(実の娘の背中に?
ロイさんのあの視線は…
そういうことだったんだ。
中尉が露出しないのは出来なかったんだね。
ロイさんが中尉がドレスの時に気にしてた理由はそれなんだ)
セルシアは中尉に脱いだブラウスを肩に掛けて背中に抱きつく。
戦争で再会してしまった心情も背中の火傷の意味も理解してただ涙が零れ落ちた。
「…リーゼル大佐」
『遠回りのすれ違いだね。
中尉のお父さんも中尉もロイさんも不器用でバカだよ。
誰も周りを頼らずに』
「そう、ですね」
『中尉のお父さんがいたら殴ってたよ』
「それは…」
セルシアなら本当にしそうだと中尉は微かに笑う。
『やっと笑ってくれた。
でも、一番は私がいたら味方だって抱き締めたよ。
それがなかったら私はロイさんと出会わなかったかもしれない。
ただ言える。
私は変わらずにロイさんも中尉も大好き!』
「リーゼル大佐…
ありがとう、ございます。
将軍にも言ってあげてください。
私以上に…苦しんで後悔して。
今も自分を責めてるはずだから」
セルシアは泣きながら伝える中尉に頷いて寝室から出る。
『ロイさん』
「……っ…」
ぼんやりと遠くを見ていたロイの肩がビクッと震えた。
微かにロイの身体が震えていることに気づく。
『ロイさん、こっちを見て!』
「…すまない」
『バカっ!
嫌いになる訳ない!』
「えっ?」
『予想外のことで衝撃だし、驚愕ばかりでどこに驚いたらいいか分からないくらいだし!』
「あっ、はい…
その通りですね」
セルシアの勢いに圧倒されて何故かロイは敬語になる。
強引にロイの顔を上げさせて目を合わせた。
「んっ、ぅ…
セルシア…?」
突然の濃厚なキスにロイは驚いて瞬きする。
『愛してます、ロイさん。
仮にいつか貴方が沢山の人に嫌われて罵倒されようとも私だけは最後まで貴方の味方です。
最初で最後の最愛の人ですから。
過去にどんな酷いことが、辛く苦しいことがあろうとも私の愛する気持ちは揺るぎません。
心の底から理解するのは経験した人しか分からないと思います。
でも、その傷を分けてください。
苦しみも悲しみも。
憎しみもすべて』
「…私を受け入れてくれるのか?
嫌わないで幻滅しないで」
『何も変わりません。
いえ、貴方をもっと理解して上げることが出来ました』
ロイはセルシアの服を掴み、肩を震わせて胸に顔を埋めた。
「…っく、いつか離れて行くって。
真実を知ったら!
酷い男、だと。
愛しくなる度に辛くて苦しくて。
怖かった!
君が離れてしまうことが」
『それでも話してくれたんですね』
「君に嘘をついてるようで。
それでも私に権限はないから。
中尉に相談して決断してもらって。
話したくないと言われたら一生、黙ってるつもりだった」
『ありがとう。
もう大丈夫だから。
貴方から離れないよ』
「うっ、く…」
『いいんですよ、我慢しなくて』
ロイの静かな嗚咽がリビングに響き、ゆっくりとした時間が過ぎる。
『どうしたんですか?』
「相談して君には話すことにした。
それで私を嫌いになっても、幻滅して捨てられても私は受け入れる」
『そんなこと!』
「…それもありえるんだよ。
受け入れるのも辛いくらいに。
中尉には私以上に辛い想いをさせるだろう」
「大丈夫です」
「私達は上官と部下以上の関係だった。
君が思うような可愛らしい恋愛ならどんなに楽だったか。
中尉の父は私の師匠だった」
「歳の離れた兄が出来たみたいで私は嬉しかったの。
私は将軍に…、マスタングさんにいろんなことを教えてもらった。
当時の私にはマスタングさんがすべてだった。
料理もダンスも教えてくれて。
父は母が亡くなってから私には無頓着で…
マスタングさんが外の世界を教えてくれた。
マスタングさんが軍に入り、父が倒れて亡くなってからそれは崩壊したの」
セルシアは黙ってロイと中尉の話を聞いた。
寝室に中尉と移動して背中を見せられてセルシアは驚く。
『これは…、この錬成陣。
ロイさんの錬金術?』
「父に彫られたの。
マスタングに渡した。
けど、戦争で使われてしまった」
(実の娘の背中に?
ロイさんのあの視線は…
そういうことだったんだ。
中尉が露出しないのは出来なかったんだね。
ロイさんが中尉がドレスの時に気にしてた理由はそれなんだ)
セルシアは中尉に脱いだブラウスを肩に掛けて背中に抱きつく。
戦争で再会してしまった心情も背中の火傷の意味も理解してただ涙が零れ落ちた。
「…リーゼル大佐」
『遠回りのすれ違いだね。
中尉のお父さんも中尉もロイさんも不器用でバカだよ。
誰も周りを頼らずに』
「そう、ですね」
『中尉のお父さんがいたら殴ってたよ』
「それは…」
セルシアなら本当にしそうだと中尉は微かに笑う。
『やっと笑ってくれた。
でも、一番は私がいたら味方だって抱き締めたよ。
それがなかったら私はロイさんと出会わなかったかもしれない。
ただ言える。
私は変わらずにロイさんも中尉も大好き!』
「リーゼル大佐…
ありがとう、ございます。
将軍にも言ってあげてください。
私以上に…苦しんで後悔して。
今も自分を責めてるはずだから」
セルシアは泣きながら伝える中尉に頷いて寝室から出る。
『ロイさん』
「……っ…」
ぼんやりと遠くを見ていたロイの肩がビクッと震えた。
微かにロイの身体が震えていることに気づく。
『ロイさん、こっちを見て!』
「…すまない」
『バカっ!
嫌いになる訳ない!』
「えっ?」
『予想外のことで衝撃だし、驚愕ばかりでどこに驚いたらいいか分からないくらいだし!』
「あっ、はい…
その通りですね」
セルシアの勢いに圧倒されて何故かロイは敬語になる。
強引にロイの顔を上げさせて目を合わせた。
「んっ、ぅ…
セルシア…?」
突然の濃厚なキスにロイは驚いて瞬きする。
『愛してます、ロイさん。
仮にいつか貴方が沢山の人に嫌われて罵倒されようとも私だけは最後まで貴方の味方です。
最初で最後の最愛の人ですから。
過去にどんな酷いことが、辛く苦しいことがあろうとも私の愛する気持ちは揺るぎません。
心の底から理解するのは経験した人しか分からないと思います。
でも、その傷を分けてください。
苦しみも悲しみも。
憎しみもすべて』
「…私を受け入れてくれるのか?
嫌わないで幻滅しないで」
『何も変わりません。
いえ、貴方をもっと理解して上げることが出来ました』
ロイはセルシアの服を掴み、肩を震わせて胸に顔を埋めた。
「…っく、いつか離れて行くって。
真実を知ったら!
酷い男、だと。
愛しくなる度に辛くて苦しくて。
怖かった!
君が離れてしまうことが」
『それでも話してくれたんですね』
「君に嘘をついてるようで。
それでも私に権限はないから。
中尉に相談して決断してもらって。
話したくないと言われたら一生、黙ってるつもりだった」
『ありがとう。
もう大丈夫だから。
貴方から離れないよ』
「うっ、く…」
『いいんですよ、我慢しなくて』
ロイの静かな嗚咽がリビングに響き、ゆっくりとした時間が過ぎる。