第28話
夢小説設定
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閣下が去るとロイは壁を叩き、耐えるように顔を歪める。
『…将軍。
いえ、ロイさん。
大丈夫ですか?』
「想定内ではあるけど。
分かってる。
理解も出来る」
「ロイ、意味が分からないぞ」
「分からなくていいんだよ」
ため息をついてロイはセルシアを抱き締めた。
『ロイさん?』
「…君の為にもその方がいいのだろうな。
考えないようにするのが最善か。
見せつけてやるか」
『何があったか分かりませんが、無理し過ぎないでくださいね』
「分かってるよ。
さてと、戻ろうか」
『はい!』
ロイがセルシアの手を引いて執務室に戻って行く。
(さすがに正式な発表にはならないだろうな。
それでも構わない。
功績を取り戻せるなら。
もう少しだ)
微かな音にロイはゆっくりと目を開けて見つめた。
『どうぞ。
身体も心も暖まりますよ』
「セルシア、ありがとう。
これは…?
甘い香りがする。
ビターチョコ?」
『ホットチョコです。
ロイさんにはビターチョコにしました』
「甘すぎなくていいな」
『疲れた時はいいかと思って』
「ん…、うまいな」
『よかったです』
ロイの微笑みにセルシアは安堵して笑顔になる。
翌日の記者会見にロイは閣下から特別補佐官として同行するように命じられた。
「お集まり頂き、ありがとうございます。
まずは謝罪を。
マスタング将軍、こちらへ」
「えっ?
私…ですか?」
「君にきちんと説明をせずに連れて来た。
ご存知の方も多いでしょうが、マスタング将軍は風の錬金術師のリーゼル大佐の婚約者です。
直に2人は夫婦になります。
ですから、マスタング将軍も当事者となるでしょう。
マスタング将軍が独自調査して私に提出してくれた。
リーゼル大佐が元上官に奪われていた功績を調査し、正当な功績を取り戻して元上官の功績を剥奪。
並びに退任した者ではあるが、降格することを発表します」
マスコミ達はザワついてロイは驚いて閣下を見つめる。
「マスタング将軍は閣下のお気に入りというのは有名です。
マスタング将軍の公私混同では?」
「閣下はお気に入りだからと特別扱いされているのではないですか?」
「特別補佐官も新しい役職ですし、どうなんでしょうか?」
「お気に入りに関しては否定は致しません」
「閣下!?」
「ですが、私は有能ではない者は側に置きません。
それは貴方達も実感しているのでは?」
「それとこれは無関係では?」
「まずは元上官がどんなことをしたのか話したいと思います。
そのあとできちんと質問にお答えしま
す」
閣下がセルシアの元上官の仕業の数々を説明する間、ロイは顔を歪めて辛そうに唇を噛み締める。
ロイのポーカーフェイスが崩れた瞬間が初めてマスコミのカメラに撮られた。
「公私混同と言っていましたが、これを見てもそう言えますか?
マスタング将軍が提出した原文がこちらです。
日付も時間も事細かく記されていて公私混同でここまですることが出来ますか?」
文字や数字が書類の一面に並び、それが大量にあった。
ロイが想像を越えた時間を費やしたのか理解が出来るだろう。
「「………。」」
「公私混同ではない。
お気に入りとかではなく、私は1人の軍人としてそう判断した。
私はそれを見逃してマスタング将軍に伝えてもらわなければ気づけなかった。
気づかせてくれたこと、許せずとも手を染めなかったことに感謝する」
「最後にひとつだけ。
マスタング将軍に質問を。
何故、そこまで?」
「彼女の実力を私が一番知っています。
本来の正当な功績を取り戻してあげたかった。
出会った時に私は異変を感じながらも気づいてあげれませんでした。
それが今の私に出来る彼女に対する想いです。
公私混同と言われようとも、降格も覚悟しておりました。
彼女の苦しみを見逃せなかった。
正義感などではなくて公私混同と言われても否定は出来ません」
閣下に肩を叩かれてロイはハッとして顔を上げた。
ロイは閣下に向き合って敬礼をして見つめる。
「ありがとうございます。
閣下に感謝と忠誠を。
私の部下で婚約者でもある彼女は有能な人材だと理解しており、彼女は左官で終わる人材ではないと確信をしております。
新たな決意を胸にこれからも誠心誠意、務めさせて頂きます!」
将軍達に対するロイの決意と挑戦状とも捉えられると理解した上での発言なのだろう。
「君達には期待しておるよ。
マスタング将軍には特別補佐官としてもな。
さて、戻ろうかね」
「はっ!」
ロイは閣下と共に司令部の建物に入って行く。
閣下が記者会見で偽りなく語ったことは逆に好感度が上がった。
“風の錬金術師の正当な功績を婚約者のマスタング将軍が健闘して取り戻した!”
“閣下は責められることを覚悟で謝罪と過去の出来事を伝える”
“マスタング将軍の悔しそうな表情が印象的だった”
ロイはまだ結婚していないのに“愛妻家”として報道されてた。
『ロイさん…
ありがとうございます』
「これは元々、君の努力の証だ」
『将軍達から嫌なことをされてしまうのでは?』
「今更だよ」
セルシアは泣きながらロイに抱きつく。
「まったく、泣き虫だな」
「おめでとうございます!」
「よかったですね」
中尉達は苦笑いしながらも功績を祝福してくれた。
『…将軍。
いえ、ロイさん。
大丈夫ですか?』
「想定内ではあるけど。
分かってる。
理解も出来る」
「ロイ、意味が分からないぞ」
「分からなくていいんだよ」
ため息をついてロイはセルシアを抱き締めた。
『ロイさん?』
「…君の為にもその方がいいのだろうな。
考えないようにするのが最善か。
見せつけてやるか」
『何があったか分かりませんが、無理し過ぎないでくださいね』
「分かってるよ。
さてと、戻ろうか」
『はい!』
ロイがセルシアの手を引いて執務室に戻って行く。
(さすがに正式な発表にはならないだろうな。
それでも構わない。
功績を取り戻せるなら。
もう少しだ)
微かな音にロイはゆっくりと目を開けて見つめた。
『どうぞ。
身体も心も暖まりますよ』
「セルシア、ありがとう。
これは…?
甘い香りがする。
ビターチョコ?」
『ホットチョコです。
ロイさんにはビターチョコにしました』
「甘すぎなくていいな」
『疲れた時はいいかと思って』
「ん…、うまいな」
『よかったです』
ロイの微笑みにセルシアは安堵して笑顔になる。
翌日の記者会見にロイは閣下から特別補佐官として同行するように命じられた。
「お集まり頂き、ありがとうございます。
まずは謝罪を。
マスタング将軍、こちらへ」
「えっ?
私…ですか?」
「君にきちんと説明をせずに連れて来た。
ご存知の方も多いでしょうが、マスタング将軍は風の錬金術師のリーゼル大佐の婚約者です。
直に2人は夫婦になります。
ですから、マスタング将軍も当事者となるでしょう。
マスタング将軍が独自調査して私に提出してくれた。
リーゼル大佐が元上官に奪われていた功績を調査し、正当な功績を取り戻して元上官の功績を剥奪。
並びに退任した者ではあるが、降格することを発表します」
マスコミ達はザワついてロイは驚いて閣下を見つめる。
「マスタング将軍は閣下のお気に入りというのは有名です。
マスタング将軍の公私混同では?」
「閣下はお気に入りだからと特別扱いされているのではないですか?」
「特別補佐官も新しい役職ですし、どうなんでしょうか?」
「お気に入りに関しては否定は致しません」
「閣下!?」
「ですが、私は有能ではない者は側に置きません。
それは貴方達も実感しているのでは?」
「それとこれは無関係では?」
「まずは元上官がどんなことをしたのか話したいと思います。
そのあとできちんと質問にお答えしま
す」
閣下がセルシアの元上官の仕業の数々を説明する間、ロイは顔を歪めて辛そうに唇を噛み締める。
ロイのポーカーフェイスが崩れた瞬間が初めてマスコミのカメラに撮られた。
「公私混同と言っていましたが、これを見てもそう言えますか?
マスタング将軍が提出した原文がこちらです。
日付も時間も事細かく記されていて公私混同でここまですることが出来ますか?」
文字や数字が書類の一面に並び、それが大量にあった。
ロイが想像を越えた時間を費やしたのか理解が出来るだろう。
「「………。」」
「公私混同ではない。
お気に入りとかではなく、私は1人の軍人としてそう判断した。
私はそれを見逃してマスタング将軍に伝えてもらわなければ気づけなかった。
気づかせてくれたこと、許せずとも手を染めなかったことに感謝する」
「最後にひとつだけ。
マスタング将軍に質問を。
何故、そこまで?」
「彼女の実力を私が一番知っています。
本来の正当な功績を取り戻してあげたかった。
出会った時に私は異変を感じながらも気づいてあげれませんでした。
それが今の私に出来る彼女に対する想いです。
公私混同と言われようとも、降格も覚悟しておりました。
彼女の苦しみを見逃せなかった。
正義感などではなくて公私混同と言われても否定は出来ません」
閣下に肩を叩かれてロイはハッとして顔を上げた。
ロイは閣下に向き合って敬礼をして見つめる。
「ありがとうございます。
閣下に感謝と忠誠を。
私の部下で婚約者でもある彼女は有能な人材だと理解しており、彼女は左官で終わる人材ではないと確信をしております。
新たな決意を胸にこれからも誠心誠意、務めさせて頂きます!」
将軍達に対するロイの決意と挑戦状とも捉えられると理解した上での発言なのだろう。
「君達には期待しておるよ。
マスタング将軍には特別補佐官としてもな。
さて、戻ろうかね」
「はっ!」
ロイは閣下と共に司令部の建物に入って行く。
閣下が記者会見で偽りなく語ったことは逆に好感度が上がった。
“風の錬金術師の正当な功績を婚約者のマスタング将軍が健闘して取り戻した!”
“閣下は責められることを覚悟で謝罪と過去の出来事を伝える”
“マスタング将軍の悔しそうな表情が印象的だった”
ロイはまだ結婚していないのに“愛妻家”として報道されてた。
『ロイさん…
ありがとうございます』
「これは元々、君の努力の証だ」
『将軍達から嫌なことをされてしまうのでは?』
「今更だよ」
セルシアは泣きながらロイに抱きつく。
「まったく、泣き虫だな」
「おめでとうございます!」
「よかったですね」
中尉達は苦笑いしながらも功績を祝福してくれた。