第25話
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大きな事件でもないのに現場に来る将軍はロイだけだろう。
司令官でもある大佐でも実際に現場に行くことが異例だったのだが。
「では、私達は先に帰ろうとしようか」
「承知しました」
「看板の色を変えたのか」
「そうなんですよ。
またいらしてくださいね」
「あぁ、もちろん伺うよ。
看板の色が変わって明るい雰囲気になったな」
「ありがとうございます!」
市場の店の者達とのコミュニケーションはさすがだ。
これが何故か軍人相手だと生かせないとヒューズは愚痴っているが。
(そういう感情に敏感な人だから軍人相手だと出来ないのよね。
それに、軍人相手では些細な出来事も引っ張り合ってるから)
信頼していない軍人とはロイは雑談も相手から話しかけなければ、応じることは少ない。
閣下の場合は信頼とはまた別問題になるのだが。
こういう些細な気遣いが国民達の好感度や知名度を上げてる理由なのだろう。
「軽犯罪の事件で将軍の君が来るなんて大袈裟では?」
「今は軽犯罪で済んでいるかもしれませんが、放置して大きなことになる前に芽を摘むのも必要では?」
「そんなものは下の奴等にさせておけばいいんだ」
「私は自分の目で確認しないと気が済まないので。
それに、軽犯罪でも犯罪には変わりありません。
国民の方が困っているのなら我々が行くべきでは?」
「そうやって閣下に取り入っているのか」
「…そう思うならご自由に。
否定したところで信じてくれないのでしょうから」
「何を言っても君は何も変化しないんだな。
不気味な操り人形だ」
ハボックが反論しようとするのをロイは手で止める。
今更言われても傷ついて落ち込むことはないとロイは思い込む。
「相変わらず、短気な性格をしているみたいだな。
性格なんてそう簡単に直らんか」
「…大丈夫ですか?」
「今更だよ。
何度も言われてるし。
まぁ、不気味な操り人形というのは初めてだったが」
「そういうことを聞いているのではなくて。
いえ、聞かれたくないのなら」
『市場でなければ、吹き飛ばしたんですけどね』
「恐ろしいことを笑顔で仰らないでください」
「冷静に反論しながらも時間差で落ち込むんだよな」
「落ち込んでない」
「はいはい」
「ちょっ、なに引っ張ってんだ」
「おまえさんは少し人に頼るのも苦手だが、落ち込むことを抑える。
傷ついて落ち込んでもいいんだぞ、国家錬金術師でも将軍でも人間だ」
「…ヒューズ」
「何なら胸を貸すぞ?
いっでぇ! ちょっとしたジョークだろうが」
((それは叩かれて当然かと))
無言でロイにヒューズは思いっきり頭を叩かれた。
「…ヒューズ」
「ちょっ、待った待った!
悪かった!」
足蹴りされそうになってヒューズは慌てて謝る。
「次やったら本気でキレる。
今ものすご~く、機嫌が悪いのは分かってるよな?」
「…すいません」
にっこりと笑いながら脅すロイにヒューズは顔を引きつらせて再び謝る。
ロイの変化に市場は静まり返り、中尉達は苦笑い。
『ロイさん、素敵です!』
「…そう思えるのは大佐だけですよ」
「そうでもないんじゃない?」
「はっ?」
「好感度も支持率も下がらんな。
顔で得してるよ」
「男らしい一面を見たって」
「女々しいタイプではないけど、幼い顔立ちしてるからな」
「ヒューズ、燃やされたいか?」
「俺に八つ当たりしないでくれよ。
分かった、俺が悪い。
リーゼル大佐もピアスから手を離してくれよ」
相変わらず、ヒューズは一言多いのだった。
「…マスタング将軍。
続行致しますか?」
「このまま続けていても変わりそうにないな。
思い過ごしとは思えん。
少し場所を移動してもらえるか?」
「どちらに?」
「地下など拠点になっているかもしれん。
そこにも居なければ、一時的に中止しよう」
「承知しました」
ブレダは敬礼して執務室から出て行った。
「ん~…そろそろ何か見つけてもいいはずなんだけどな」
『それだけの何かをしようとしているんでしょうか』
「この街は意外と地下路も多いんだよな。
使われてないのもあるし」
「マスタング将軍、そろそろ時間ですから」
「分かった。
行って来るよ」
『お気をつけて』
「あぁ、耐えて来るよ」
セルシアの頭を撫でてロイは会議室に向かう。
何もなければ、それで構わないと思っていても何もなさすぎて隠しているのではないかと疑ってしまう。
(相変わらずの嫌味のオンパレードだな。
さすがに今日は長かった)
憂鬱な時間から解放されてロイは壁に寄りかかった。
「今日も相変わらずか。
マスタング将軍、大変そうだな」
「閣下!
失礼しました」
「構わんよ」
「君も年齢で苦労するな。
いや、それだけではないのだろうけど。
気をつけなさい。
あの将軍達は自分の利益の為なら何だってするんだろう」
「…補佐官。
口が過ぎます」
「事実だろう?」
「それは返答が出来んだろう。
マスタング将軍、私の執務室に一緒に来なさい」
「承知しました」
何か叱られるようなことはしていないが、それでも閣下の執務室に呼ばれるのは緊張する。
「前に提出してもらったものを目に通した。
予想以上に酷い上官だったな。
あんなことをしていると気づいてやれなかった。
性的なことは?」
「大丈夫です、されていません。
本人にも部下達にも確認しました。
子供に見えていたのかまったくなくて仕事を押し付けるだけの存在だったみたいです」
「…そうか。
もう少し時間をくれないか。
訂正するにしても本人の居場所も」
「こちらが現住所です。
数年前に傲慢な態度から離婚されたようですね」
「君、いつの間に…」
「言ったはずです。
その為には私は努力を惜しまないと」
「もし、何もしなければ」
「その者に生かして地獄を見せるまでですよ」
「まさかと思うが、離婚は…」
「私は何もしておりません。
女性が1人で生きて行ける環境を教えただけですよ」
にっこりと笑うロイにキレてるなと補佐官は顔を引きつかせる。
2017.3.8
司令官でもある大佐でも実際に現場に行くことが異例だったのだが。
「では、私達は先に帰ろうとしようか」
「承知しました」
「看板の色を変えたのか」
「そうなんですよ。
またいらしてくださいね」
「あぁ、もちろん伺うよ。
看板の色が変わって明るい雰囲気になったな」
「ありがとうございます!」
市場の店の者達とのコミュニケーションはさすがだ。
これが何故か軍人相手だと生かせないとヒューズは愚痴っているが。
(そういう感情に敏感な人だから軍人相手だと出来ないのよね。
それに、軍人相手では些細な出来事も引っ張り合ってるから)
信頼していない軍人とはロイは雑談も相手から話しかけなければ、応じることは少ない。
閣下の場合は信頼とはまた別問題になるのだが。
こういう些細な気遣いが国民達の好感度や知名度を上げてる理由なのだろう。
「軽犯罪の事件で将軍の君が来るなんて大袈裟では?」
「今は軽犯罪で済んでいるかもしれませんが、放置して大きなことになる前に芽を摘むのも必要では?」
「そんなものは下の奴等にさせておけばいいんだ」
「私は自分の目で確認しないと気が済まないので。
それに、軽犯罪でも犯罪には変わりありません。
国民の方が困っているのなら我々が行くべきでは?」
「そうやって閣下に取り入っているのか」
「…そう思うならご自由に。
否定したところで信じてくれないのでしょうから」
「何を言っても君は何も変化しないんだな。
不気味な操り人形だ」
ハボックが反論しようとするのをロイは手で止める。
今更言われても傷ついて落ち込むことはないとロイは思い込む。
「相変わらず、短気な性格をしているみたいだな。
性格なんてそう簡単に直らんか」
「…大丈夫ですか?」
「今更だよ。
何度も言われてるし。
まぁ、不気味な操り人形というのは初めてだったが」
「そういうことを聞いているのではなくて。
いえ、聞かれたくないのなら」
『市場でなければ、吹き飛ばしたんですけどね』
「恐ろしいことを笑顔で仰らないでください」
「冷静に反論しながらも時間差で落ち込むんだよな」
「落ち込んでない」
「はいはい」
「ちょっ、なに引っ張ってんだ」
「おまえさんは少し人に頼るのも苦手だが、落ち込むことを抑える。
傷ついて落ち込んでもいいんだぞ、国家錬金術師でも将軍でも人間だ」
「…ヒューズ」
「何なら胸を貸すぞ?
いっでぇ! ちょっとしたジョークだろうが」
((それは叩かれて当然かと))
無言でロイにヒューズは思いっきり頭を叩かれた。
「…ヒューズ」
「ちょっ、待った待った!
悪かった!」
足蹴りされそうになってヒューズは慌てて謝る。
「次やったら本気でキレる。
今ものすご~く、機嫌が悪いのは分かってるよな?」
「…すいません」
にっこりと笑いながら脅すロイにヒューズは顔を引きつらせて再び謝る。
ロイの変化に市場は静まり返り、中尉達は苦笑い。
『ロイさん、素敵です!』
「…そう思えるのは大佐だけですよ」
「そうでもないんじゃない?」
「はっ?」
「好感度も支持率も下がらんな。
顔で得してるよ」
「男らしい一面を見たって」
「女々しいタイプではないけど、幼い顔立ちしてるからな」
「ヒューズ、燃やされたいか?」
「俺に八つ当たりしないでくれよ。
分かった、俺が悪い。
リーゼル大佐もピアスから手を離してくれよ」
相変わらず、ヒューズは一言多いのだった。
「…マスタング将軍。
続行致しますか?」
「このまま続けていても変わりそうにないな。
思い過ごしとは思えん。
少し場所を移動してもらえるか?」
「どちらに?」
「地下など拠点になっているかもしれん。
そこにも居なければ、一時的に中止しよう」
「承知しました」
ブレダは敬礼して執務室から出て行った。
「ん~…そろそろ何か見つけてもいいはずなんだけどな」
『それだけの何かをしようとしているんでしょうか』
「この街は意外と地下路も多いんだよな。
使われてないのもあるし」
「マスタング将軍、そろそろ時間ですから」
「分かった。
行って来るよ」
『お気をつけて』
「あぁ、耐えて来るよ」
セルシアの頭を撫でてロイは会議室に向かう。
何もなければ、それで構わないと思っていても何もなさすぎて隠しているのではないかと疑ってしまう。
(相変わらずの嫌味のオンパレードだな。
さすがに今日は長かった)
憂鬱な時間から解放されてロイは壁に寄りかかった。
「今日も相変わらずか。
マスタング将軍、大変そうだな」
「閣下!
失礼しました」
「構わんよ」
「君も年齢で苦労するな。
いや、それだけではないのだろうけど。
気をつけなさい。
あの将軍達は自分の利益の為なら何だってするんだろう」
「…補佐官。
口が過ぎます」
「事実だろう?」
「それは返答が出来んだろう。
マスタング将軍、私の執務室に一緒に来なさい」
「承知しました」
何か叱られるようなことはしていないが、それでも閣下の執務室に呼ばれるのは緊張する。
「前に提出してもらったものを目に通した。
予想以上に酷い上官だったな。
あんなことをしていると気づいてやれなかった。
性的なことは?」
「大丈夫です、されていません。
本人にも部下達にも確認しました。
子供に見えていたのかまったくなくて仕事を押し付けるだけの存在だったみたいです」
「…そうか。
もう少し時間をくれないか。
訂正するにしても本人の居場所も」
「こちらが現住所です。
数年前に傲慢な態度から離婚されたようですね」
「君、いつの間に…」
「言ったはずです。
その為には私は努力を惜しまないと」
「もし、何もしなければ」
「その者に生かして地獄を見せるまでですよ」
「まさかと思うが、離婚は…」
「私は何もしておりません。
女性が1人で生きて行ける環境を教えただけですよ」
にっこりと笑うロイにキレてるなと補佐官は顔を引きつかせる。
2017.3.8