第24話
夢小説設定
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店主と常連客が青ざめて見ていたのは言うまでもない。
「マスタング将軍、ありがとうございました。
うちのバカ亭主とバカな客が悪かったね」
「いや、こちらも店で騒いでしまって」
「構わないよ。
私が駆けつける前に将軍が締め上げていたからね。
軍で問題視されんなら私が証言してやるよ」
「ははっ、ありがとう」
「…あんたは何をやったんだよ」
「ちょっと締め上げただけだ」
「こんな筋肉の塊を?」
見た目は親方風のアームストロング少佐と同類だ。
「コツがあるんだよ。
そもそも軍と素人では違う。
筋肉あっても素早く動ける奴なんて少ないからな。
隙もあるんだよ」
「隙なんてあるように見えない」
「訓練を受けてない奴にはそう見えないさ」
「まぁ、一緒だと困るよな。
高っ!
何なんだよ、この値段は!?」
工具の高額にエドは思わず、叫んでしまう。
「機械鎧技師の工具だからな。
高度な技術も知識も必要だし、まだ少ないからどうしても高額になる。
材料も鉱山から採るし、今はこの値段が妥当だろうな」
「…ウィンリィ」
「だ、だって!
ずっと欲しかったんだもん。
高いのは分かってたけど!」
余程欲しかったのか、ロイに買ってもらった工具の入った袋をウィンリィは抱えてる。
エドはウィンリィの行動に苦笑いしてしまう。
「そんなに抱えなくても奪ったりしねぇよ」
「鋼のならしそうだな」
「…うっさい」
自分でも自覚しているようで強く否定は出来ない。
「マスタングさんが一生懸命に働いたお金だって分かってます」
「それならそれで沢山の人を助け、失われた生活を戻してあげなさい。
私の願いはそれだけだ」
「…失われた生活」
「足や腕を失い、今までのような生活が出来ずに絶望の中にいる人もいるだろう。
その人達の光になれるんだよ。
君なら出来る、ウィンリィ」
「はい!」
大きく頷くウィンリィにロイは優しく頭を撫でた。
「だが、覚悟もしておきなさい」
「覚悟?」
「医者もそうだが、感謝する人だけではない。
そういう者は心が病んでる人も多いんだよ。
そのままでよかった、以前のように動けないと理不尽な要求もある」
「それは…」
「負けるな、ウィンリィ。
そういう人達も君なら救えるかもしれない。
だが、間違ってもすべてを受け入れるな」
「ダメなんですか?」
「他人を直す前に君が壊れる。
時には断ることも必要だと学びなさい。
もちろん、いい人もいる。
女や少女だと差別もされたりもするだろう。
そんな時はピナコ殿だけではなく、周りの大人を頼りなさい」
「…はい」
ピナコとは異なる教えでそれはロイが将来を見据えてウィンリィの一人立ちの準備段階なのだと理解してエドは黙っていた。
常に傍に居れず、ウィンリィが田舎に帰ってからピナコがいなくなっても生きていけるようにロイは見据えているのだとエドは気づき、ロイの親心にも似た優しさと厳しさに切なくなる。
(あんたは本当にウィンリィの…)
エドは複雑な心境と自分は何も出来ないことに唇を噛み締めた。
「ウィンリィ、よかったね。
プレッシャーにならなくていいんだよ。
今すぐやれなんてマスタング将軍も言ってないんだから」
「…アル。
うん、ありがとう。
頑張るね!」
「応援してるよ」
アルのフォローにロイは安堵し、アルが小さく頷いた。
「ところであんた、仕事中か?」
「そんな訳ないだろ。
今日は早番じゃないんだ。
セルシアにはどこに行くか話してあるし、何かあれば来るだろう」
「護衛は大丈夫なのかよ」
「…見えないとこに待機してる。
仕事中ではないし、大丈夫だと言ったんだが。
軍服ではあるからな」
(全然分からなかった。
まぁ、殺気がある訳ではないからな)
スカーも捕まっていないので中尉が心配したのだろうとエドは納得。
『マスタング将軍!』
「何かあったのか?」
『書類も片付いたので早めに休憩を頂きました!』
嬉しそうに笑ってセルシアはロイに駆け寄る。
「マスタング将軍、ありがとうございました。
うちのバカ亭主とバカな客が悪かったね」
「いや、こちらも店で騒いでしまって」
「構わないよ。
私が駆けつける前に将軍が締め上げていたからね。
軍で問題視されんなら私が証言してやるよ」
「ははっ、ありがとう」
「…あんたは何をやったんだよ」
「ちょっと締め上げただけだ」
「こんな筋肉の塊を?」
見た目は親方風のアームストロング少佐と同類だ。
「コツがあるんだよ。
そもそも軍と素人では違う。
筋肉あっても素早く動ける奴なんて少ないからな。
隙もあるんだよ」
「隙なんてあるように見えない」
「訓練を受けてない奴にはそう見えないさ」
「まぁ、一緒だと困るよな。
高っ!
何なんだよ、この値段は!?」
工具の高額にエドは思わず、叫んでしまう。
「機械鎧技師の工具だからな。
高度な技術も知識も必要だし、まだ少ないからどうしても高額になる。
材料も鉱山から採るし、今はこの値段が妥当だろうな」
「…ウィンリィ」
「だ、だって!
ずっと欲しかったんだもん。
高いのは分かってたけど!」
余程欲しかったのか、ロイに買ってもらった工具の入った袋をウィンリィは抱えてる。
エドはウィンリィの行動に苦笑いしてしまう。
「そんなに抱えなくても奪ったりしねぇよ」
「鋼のならしそうだな」
「…うっさい」
自分でも自覚しているようで強く否定は出来ない。
「マスタングさんが一生懸命に働いたお金だって分かってます」
「それならそれで沢山の人を助け、失われた生活を戻してあげなさい。
私の願いはそれだけだ」
「…失われた生活」
「足や腕を失い、今までのような生活が出来ずに絶望の中にいる人もいるだろう。
その人達の光になれるんだよ。
君なら出来る、ウィンリィ」
「はい!」
大きく頷くウィンリィにロイは優しく頭を撫でた。
「だが、覚悟もしておきなさい」
「覚悟?」
「医者もそうだが、感謝する人だけではない。
そういう者は心が病んでる人も多いんだよ。
そのままでよかった、以前のように動けないと理不尽な要求もある」
「それは…」
「負けるな、ウィンリィ。
そういう人達も君なら救えるかもしれない。
だが、間違ってもすべてを受け入れるな」
「ダメなんですか?」
「他人を直す前に君が壊れる。
時には断ることも必要だと学びなさい。
もちろん、いい人もいる。
女や少女だと差別もされたりもするだろう。
そんな時はピナコ殿だけではなく、周りの大人を頼りなさい」
「…はい」
ピナコとは異なる教えでそれはロイが将来を見据えてウィンリィの一人立ちの準備段階なのだと理解してエドは黙っていた。
常に傍に居れず、ウィンリィが田舎に帰ってからピナコがいなくなっても生きていけるようにロイは見据えているのだとエドは気づき、ロイの親心にも似た優しさと厳しさに切なくなる。
(あんたは本当にウィンリィの…)
エドは複雑な心境と自分は何も出来ないことに唇を噛み締めた。
「ウィンリィ、よかったね。
プレッシャーにならなくていいんだよ。
今すぐやれなんてマスタング将軍も言ってないんだから」
「…アル。
うん、ありがとう。
頑張るね!」
「応援してるよ」
アルのフォローにロイは安堵し、アルが小さく頷いた。
「ところであんた、仕事中か?」
「そんな訳ないだろ。
今日は早番じゃないんだ。
セルシアにはどこに行くか話してあるし、何かあれば来るだろう」
「護衛は大丈夫なのかよ」
「…見えないとこに待機してる。
仕事中ではないし、大丈夫だと言ったんだが。
軍服ではあるからな」
(全然分からなかった。
まぁ、殺気がある訳ではないからな)
スカーも捕まっていないので中尉が心配したのだろうとエドは納得。
『マスタング将軍!』
「何かあったのか?」
『書類も片付いたので早めに休憩を頂きました!』
嬉しそうに笑ってセルシアはロイに駆け寄る。