第23話
夢小説設定
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貴族主催のパーティーには貴族や金持ちの家柄だけではなく、将軍達の姿もある。
ほかにも芸能人や話題の人の姿も見えた。
(…私は軍人枠よりも“話題”の枠なんだろうな。
まぁ、こういう場で権力ある方々との交流も必要だし。
閣下にプレゼントされた正装なら浮くことはないだろう)
分析しながらも招待状を提示してロイはセルシアをエスコートしながら会場に入る。
「マスタングさん、ようこそいらしてくださいました」
「ご招待ありがとうございます」
「楽しんで行ってください。
皆さん、マスタングさんと話したいと思っていますから。
貴方が来ると皆さんが楽しみにしていたんですよ」
「ありがとうございます」
「こちらが婚約者ですかな」
「はい」
『ご招待ありがとうございます。
セルシア・リーゼルです』
「可愛らしいお嬢さんだ。
失礼、女性左官に言う言葉ではなかったかな」
『そんなことありませんよ』
「それでは、失礼」
貴族のわりに威張らずに気軽に話すのは心も財産も余裕がある証拠だ。
「将軍達がいるが、挨拶するべきだろうな」
『後々、煩いですから。
さっさと済ませましょうか』
「君も言うようになった」
『お陰様で』
ロイに耳元で囁かれて小声で話しながら微笑み合う。
「…将軍」
「君も招待されたのか。
プライベートでも君の顔を見ることになるとは。
気分が悪くなるから下がれ」
「失礼しました」
不機嫌を露にする将軍にも動じず、ロイはお辞儀をして去った。
「さすがに閣下のお気に入りは違うよな!
どんな手を使ったのか知りたいものだ!」
「…失礼します」
ピタリと足を止めたが、ロイは表情を変えずに早足で去る。
将軍の大声の嫌味に会場はザワつき、囁き声が聞こえる。
『…ロイさん』
「大丈夫だ」
『将軍達は変わりませんね。
大丈夫です、笑ってください』
「すまない」
『謝ることじゃないですよ』
ロイは苦笑いしてセルシアの頬を撫でる。
「このピアスも似合うよ」
『ドレスに合わせて変えました。
錬成陣は彫ってますからご安心を』
「ふはっ!
そんな心配してないが。
いや、君らしい。
私も持って来てるけど」
ロイは発火布を装着していないだけでポケットに忍ばせていた。
(料理も演奏も素晴らしいが、興味本意で近づいて来る者は何人いるのだろうか。
マスコミもいたけど)
渡された名刺の束にロイは慣れた様子で内ポケットに入れる。
「随分と頂いたようだな」
「…将軍」
「君はあのような演奏は分かるか?
そういう教育はされてないだろうからな」
「曲名は分かりますが。
どういう意味でしょうか」
「育ちが悪いと分からんと思ってな」
「良家ではありませんが、そんなことを言われる筋合いはありません」
「そうやって反論するのは育ちが悪い証拠かもな」
「……っ…」
マダムをバカにされたような気がしてロイは唇を噛み締めた。
「それなら育ちが悪くないと証明してみればいい」
「将軍…?」
「ついて来い」
怪しく思いながらもロイは将軍について行った。
貴族の家柄であるアームストロング少佐に頼んでヒューズはパーティーに参加していた。
「大丈夫みたいだな。
将軍達が参加してっからな」
「ヒューズ中佐は友人思いですな」
「こんなの、ロイにしかしねぇよ。
冷静に見えて無茶しやがるからな」
素直に認めないヒューズにアームストロングは笑う。
「ハボック少尉、キョロキョロしないの」
「すんません…」
パーティー会場の端に中尉とハボックは待機していて護衛役で同行していた。
「皆さん、ご注目を。
マスタング将軍がピアノ演奏をしてくださいます」
「はっ?
将軍、何を…っ」
「楽譜もないから簡単な曲で構わんぞ」
「なっ!」
反論する前に将軍に半ば強引にピアノの椅子に座らせられた。
(あのバカ、罠に掛かったな。
将軍様は知らないんだろうけど。
ロイに恥を…ってとこか)
ヒューズは呆れたように飲み物を口にしてため息をつく。
(こんな中で断る訳ない。
恥をかかせたいのだろうが、いいだろう。
そっちがその気なら…)
ブチッとキレてロイは座り直して目を閉じた。
「あらら…
ロイの奴、ブチギレだな。
当然だろうけど」
「大丈夫なのですか?」
「まぁ、見てれば分かるさ」
ヒューズは小さく呟いて微かに笑みを浮かべる。
ほかにも芸能人や話題の人の姿も見えた。
(…私は軍人枠よりも“話題”の枠なんだろうな。
まぁ、こういう場で権力ある方々との交流も必要だし。
閣下にプレゼントされた正装なら浮くことはないだろう)
分析しながらも招待状を提示してロイはセルシアをエスコートしながら会場に入る。
「マスタングさん、ようこそいらしてくださいました」
「ご招待ありがとうございます」
「楽しんで行ってください。
皆さん、マスタングさんと話したいと思っていますから。
貴方が来ると皆さんが楽しみにしていたんですよ」
「ありがとうございます」
「こちらが婚約者ですかな」
「はい」
『ご招待ありがとうございます。
セルシア・リーゼルです』
「可愛らしいお嬢さんだ。
失礼、女性左官に言う言葉ではなかったかな」
『そんなことありませんよ』
「それでは、失礼」
貴族のわりに威張らずに気軽に話すのは心も財産も余裕がある証拠だ。
「将軍達がいるが、挨拶するべきだろうな」
『後々、煩いですから。
さっさと済ませましょうか』
「君も言うようになった」
『お陰様で』
ロイに耳元で囁かれて小声で話しながら微笑み合う。
「…将軍」
「君も招待されたのか。
プライベートでも君の顔を見ることになるとは。
気分が悪くなるから下がれ」
「失礼しました」
不機嫌を露にする将軍にも動じず、ロイはお辞儀をして去った。
「さすがに閣下のお気に入りは違うよな!
どんな手を使ったのか知りたいものだ!」
「…失礼します」
ピタリと足を止めたが、ロイは表情を変えずに早足で去る。
将軍の大声の嫌味に会場はザワつき、囁き声が聞こえる。
『…ロイさん』
「大丈夫だ」
『将軍達は変わりませんね。
大丈夫です、笑ってください』
「すまない」
『謝ることじゃないですよ』
ロイは苦笑いしてセルシアの頬を撫でる。
「このピアスも似合うよ」
『ドレスに合わせて変えました。
錬成陣は彫ってますからご安心を』
「ふはっ!
そんな心配してないが。
いや、君らしい。
私も持って来てるけど」
ロイは発火布を装着していないだけでポケットに忍ばせていた。
(料理も演奏も素晴らしいが、興味本意で近づいて来る者は何人いるのだろうか。
マスコミもいたけど)
渡された名刺の束にロイは慣れた様子で内ポケットに入れる。
「随分と頂いたようだな」
「…将軍」
「君はあのような演奏は分かるか?
そういう教育はされてないだろうからな」
「曲名は分かりますが。
どういう意味でしょうか」
「育ちが悪いと分からんと思ってな」
「良家ではありませんが、そんなことを言われる筋合いはありません」
「そうやって反論するのは育ちが悪い証拠かもな」
「……っ…」
マダムをバカにされたような気がしてロイは唇を噛み締めた。
「それなら育ちが悪くないと証明してみればいい」
「将軍…?」
「ついて来い」
怪しく思いながらもロイは将軍について行った。
貴族の家柄であるアームストロング少佐に頼んでヒューズはパーティーに参加していた。
「大丈夫みたいだな。
将軍達が参加してっからな」
「ヒューズ中佐は友人思いですな」
「こんなの、ロイにしかしねぇよ。
冷静に見えて無茶しやがるからな」
素直に認めないヒューズにアームストロングは笑う。
「ハボック少尉、キョロキョロしないの」
「すんません…」
パーティー会場の端に中尉とハボックは待機していて護衛役で同行していた。
「皆さん、ご注目を。
マスタング将軍がピアノ演奏をしてくださいます」
「はっ?
将軍、何を…っ」
「楽譜もないから簡単な曲で構わんぞ」
「なっ!」
反論する前に将軍に半ば強引にピアノの椅子に座らせられた。
(あのバカ、罠に掛かったな。
将軍様は知らないんだろうけど。
ロイに恥を…ってとこか)
ヒューズは呆れたように飲み物を口にしてため息をつく。
(こんな中で断る訳ない。
恥をかかせたいのだろうが、いいだろう。
そっちがその気なら…)
ブチッとキレてロイは座り直して目を閉じた。
「あらら…
ロイの奴、ブチギレだな。
当然だろうけど」
「大丈夫なのですか?」
「まぁ、見てれば分かるさ」
ヒューズは小さく呟いて微かに笑みを浮かべる。