第21話
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準備中のドアを開けれるなんてただ1人しか居ない。
「ロイ坊、まだ準備中だよ。
仕事はどうしたんだい?」
「分かってるよ。
倒れられたら困ると強制な休み。
セルシアは仕事だし、やることは終わったし。
まぁ、昼近くまで寝ちゃってたんだけど」
「大丈夫だったみたいだね。
食事はしたのかい?」
「作ってくれてたから」
カウンター席に座りながら暇そうなロイにマダムは苦笑い。
「たまにはこういう時間も必要なんだよ。
せっかくだし、食べて行くかい?」
「失敗作?」
「試作品だよ。
新メニュー開発中だ」
「…頂きます。
マダム、半端なく不味い!」
((マダムにストレートに言えるのはマスタングさんだけだよね))
彼女達は側で見ていたが、予想以上に酷くて何も言えなかったようだ。
「スパイス入れすぎたかね」
「そういう問題じゃない。
何を入れたらこの見た目も味もこうなるんだよ。
辛すぎだし、酸味も効きすぎ。
甘ったるくて食欲なくすよ。
まだ口の中が変になってる」
毎回ながら文句を言いながマダムの新作メニュー開発に付き合ってる。
時々、挑戦し過ぎてこんな風な失敗もあるのだが。
「相変わらずの的確だね」
「私を実験台にしないでくれよ」
「いいじゃないか」
「マスタングさん、水をどうぞ」
「ありがとう」
微かに顔を歪めるロイにマダムは楽しそうに笑い、ロイに睨まれた。
何品か食べて中にはまだ改善が必要でも美味しい品もあった。
「これはうまい。
ちょっと甘味が強いかな。
酒と一緒ならもう少し濃くてもいいかも」
「…そうか」
((結局は文句を言いながらアドバイスしてるんだよね))
マダムとロイは似ている部分もあるのだが、不思議な関係性。
「…マダム。
昇格して将軍クラスになった」
「前に聞いたよ。
はいはい、お祝いしてやるよ。
おまえが好きな酒も取り寄せてあるから」
「撫でるな!」
「くくっ、相変わらずだね」
マダムに頭を撫でられてロイが拒否しても楽しそうにマダムは笑う。
「…まったく何なんだよ。
マダム、どうやったら甘えられる?」
「はぁ?
熱はないようだね」
「正常だよ」
「おまえは昔から人に甘えなかったからね。
甘え方も不器用過ぎて。
袖を掴むだけで黙ってるし、それで理解するのは難しかったよ」
「…うるさい」
マダムの暴露にロイはカウンターに沈み、耳が微かに赤く染まる。
「おまえが聞いたんだろ」
「誰も子供の頃の話をしろとは」
「それで?」
「はっ?」
「誰かに言われたんだろう?」
「…ヒューズとセルシアにも。
もっと甘えて頼れって。
1人で抱えるなと怒鳴られた。
セルシアには無理強いはしないとは言われたけど。
セルシアにはある程度は」
「何でおまえは付き合いが長い友人の方に甘えられないんだろうね」
「…照れる」
「甘い言葉は照れずに言えるのにそっちなのかい」
ため息をついてマダムは半ば呆れたように苦笑い。
ロイはカウンターの中に入ってマダムの後ろから抱きつく。
「ロイ坊や、何がしたいんだ。
料理作ってるから邪魔だよ」
「マダムにこうして抱きつくことなかったかなと。
甘えて欲しかった?」
「そりゃ、まぁね。
事情もあるんだし、そういう子なのかと諦めてたよ。
私も忙しくて余裕がなかったし、構ってやれなかったからね。
おまえも心に余裕なかったんだろうから。
人との距離が分からなくてコミュニケーションも分からなくて大変だったんだろう?」
「…ん」
「ヒューズ中佐と出会えてよかったね。
ちゃんと理解してフォローしてくれたんだろう?
いつもはバカみたいなことしてるけど」
「バカとは酷いな、マダム」
「今日は営業外に客が多いね。
いや、客ではないか」
「いいじゃねぇか。
悪かったな、あまり気にするな。
そういうのは気にするタイプだって忘れてたわ」
苦笑いしてヒューズはロイの頭をくしゃっと撫でる。
「ヒューズ、髪が乱れるんだが」
「…ロイ坊や。
いつまで抱きついてるんだい」
「あぁ、忘れてた。
抱き心地は悪くない」
「どんな感想なんだ、それは」
『ロイさん、発見!
あっ、お邪魔します』
「今日は一体、何なんだ」
マダムは呆れてため息をつき、お店の彼女達がマダムの様子に苦笑い。
「セルシア、どうした?」
『ロイさんに司令部に貴族主催のパーティー招待状が届いたみたいで。
私は担当の仕事も終わってたので届けに来ました。
返事は早い方がいいですから』
「パーティーねぇ…」
パーティー招待状の数は多く、ロイは憂鬱そうに見つめる。
ロイは渋々ながら招待状を開いて1枚ずつ確認して分ける。
『では、こちらは不参加として丁寧にお断りさせて頂きますね』
「…何でロイ坊が断ると分かるんだい?」
「まだ何もロイは言ってねぇぞ?」
『ロイさんがこちら側に置く時は断る時ですから』
「ご名答」
「おまえさんの部下は全員が分かってるのかい?」
「まさか。
中尉とセルシアだけだよ。
私の癖や言葉に出さずとも理解するのは。
いつの間にかセルシアも理解していたな」
『ロイさんのことはよく見ていますから。
ヒューズ中佐、甘えて欲しいならこれくらいは理解しては?』
「…痛いとこを。
ロイを悩ますと厳しいな」
『また吹き飛んでみます?』
「すみませんでした」
セルシアに素直に謝ってヒューズは降参ポーズで両手を上げる。
「ロイ坊や、止めなくて大丈夫なのかかい?」
「大丈夫だよ。
そこまで本気じゃないから」
「そこまでって」
「セルシア、パーティーに付き合ってくれるか?」
『もちろんです。
パーティーも嫌味もお付き合い致しますよ』
「くくっ、それは最高だな」
ロイは笑ってセルシアの髪に触れてキスを交わす。
「ロイ坊、イチャつくんなら外でやってくれ」
「セルシアはこのあとは司令部に戻るのか?」
『招待状の処理がありますから』
「近くのカフェで待ってようか?」
『危ないですから』
「分かったよ、先に帰ってる。
司令部を出る前に連絡するように。
私から中尉に送るように頼むから」
『大袈裟なんですから』
マダムの言葉を無視してロイは相変わらずの溺愛だ。
-END-
2017.2.21
「ロイ坊、まだ準備中だよ。
仕事はどうしたんだい?」
「分かってるよ。
倒れられたら困ると強制な休み。
セルシアは仕事だし、やることは終わったし。
まぁ、昼近くまで寝ちゃってたんだけど」
「大丈夫だったみたいだね。
食事はしたのかい?」
「作ってくれてたから」
カウンター席に座りながら暇そうなロイにマダムは苦笑い。
「たまにはこういう時間も必要なんだよ。
せっかくだし、食べて行くかい?」
「失敗作?」
「試作品だよ。
新メニュー開発中だ」
「…頂きます。
マダム、半端なく不味い!」
((マダムにストレートに言えるのはマスタングさんだけだよね))
彼女達は側で見ていたが、予想以上に酷くて何も言えなかったようだ。
「スパイス入れすぎたかね」
「そういう問題じゃない。
何を入れたらこの見た目も味もこうなるんだよ。
辛すぎだし、酸味も効きすぎ。
甘ったるくて食欲なくすよ。
まだ口の中が変になってる」
毎回ながら文句を言いながマダムの新作メニュー開発に付き合ってる。
時々、挑戦し過ぎてこんな風な失敗もあるのだが。
「相変わらずの的確だね」
「私を実験台にしないでくれよ」
「いいじゃないか」
「マスタングさん、水をどうぞ」
「ありがとう」
微かに顔を歪めるロイにマダムは楽しそうに笑い、ロイに睨まれた。
何品か食べて中にはまだ改善が必要でも美味しい品もあった。
「これはうまい。
ちょっと甘味が強いかな。
酒と一緒ならもう少し濃くてもいいかも」
「…そうか」
((結局は文句を言いながらアドバイスしてるんだよね))
マダムとロイは似ている部分もあるのだが、不思議な関係性。
「…マダム。
昇格して将軍クラスになった」
「前に聞いたよ。
はいはい、お祝いしてやるよ。
おまえが好きな酒も取り寄せてあるから」
「撫でるな!」
「くくっ、相変わらずだね」
マダムに頭を撫でられてロイが拒否しても楽しそうにマダムは笑う。
「…まったく何なんだよ。
マダム、どうやったら甘えられる?」
「はぁ?
熱はないようだね」
「正常だよ」
「おまえは昔から人に甘えなかったからね。
甘え方も不器用過ぎて。
袖を掴むだけで黙ってるし、それで理解するのは難しかったよ」
「…うるさい」
マダムの暴露にロイはカウンターに沈み、耳が微かに赤く染まる。
「おまえが聞いたんだろ」
「誰も子供の頃の話をしろとは」
「それで?」
「はっ?」
「誰かに言われたんだろう?」
「…ヒューズとセルシアにも。
もっと甘えて頼れって。
1人で抱えるなと怒鳴られた。
セルシアには無理強いはしないとは言われたけど。
セルシアにはある程度は」
「何でおまえは付き合いが長い友人の方に甘えられないんだろうね」
「…照れる」
「甘い言葉は照れずに言えるのにそっちなのかい」
ため息をついてマダムは半ば呆れたように苦笑い。
ロイはカウンターの中に入ってマダムの後ろから抱きつく。
「ロイ坊や、何がしたいんだ。
料理作ってるから邪魔だよ」
「マダムにこうして抱きつくことなかったかなと。
甘えて欲しかった?」
「そりゃ、まぁね。
事情もあるんだし、そういう子なのかと諦めてたよ。
私も忙しくて余裕がなかったし、構ってやれなかったからね。
おまえも心に余裕なかったんだろうから。
人との距離が分からなくてコミュニケーションも分からなくて大変だったんだろう?」
「…ん」
「ヒューズ中佐と出会えてよかったね。
ちゃんと理解してフォローしてくれたんだろう?
いつもはバカみたいなことしてるけど」
「バカとは酷いな、マダム」
「今日は営業外に客が多いね。
いや、客ではないか」
「いいじゃねぇか。
悪かったな、あまり気にするな。
そういうのは気にするタイプだって忘れてたわ」
苦笑いしてヒューズはロイの頭をくしゃっと撫でる。
「ヒューズ、髪が乱れるんだが」
「…ロイ坊や。
いつまで抱きついてるんだい」
「あぁ、忘れてた。
抱き心地は悪くない」
「どんな感想なんだ、それは」
『ロイさん、発見!
あっ、お邪魔します』
「今日は一体、何なんだ」
マダムは呆れてため息をつき、お店の彼女達がマダムの様子に苦笑い。
「セルシア、どうした?」
『ロイさんに司令部に貴族主催のパーティー招待状が届いたみたいで。
私は担当の仕事も終わってたので届けに来ました。
返事は早い方がいいですから』
「パーティーねぇ…」
パーティー招待状の数は多く、ロイは憂鬱そうに見つめる。
ロイは渋々ながら招待状を開いて1枚ずつ確認して分ける。
『では、こちらは不参加として丁寧にお断りさせて頂きますね』
「…何でロイ坊が断ると分かるんだい?」
「まだ何もロイは言ってねぇぞ?」
『ロイさんがこちら側に置く時は断る時ですから』
「ご名答」
「おまえさんの部下は全員が分かってるのかい?」
「まさか。
中尉とセルシアだけだよ。
私の癖や言葉に出さずとも理解するのは。
いつの間にかセルシアも理解していたな」
『ロイさんのことはよく見ていますから。
ヒューズ中佐、甘えて欲しいならこれくらいは理解しては?』
「…痛いとこを。
ロイを悩ますと厳しいな」
『また吹き飛んでみます?』
「すみませんでした」
セルシアに素直に謝ってヒューズは降参ポーズで両手を上げる。
「ロイ坊や、止めなくて大丈夫なのかかい?」
「大丈夫だよ。
そこまで本気じゃないから」
「そこまでって」
「セルシア、パーティーに付き合ってくれるか?」
『もちろんです。
パーティーも嫌味もお付き合い致しますよ』
「くくっ、それは最高だな」
ロイは笑ってセルシアの髪に触れてキスを交わす。
「ロイ坊、イチャつくんなら外でやってくれ」
「セルシアはこのあとは司令部に戻るのか?」
『招待状の処理がありますから』
「近くのカフェで待ってようか?」
『危ないですから』
「分かったよ、先に帰ってる。
司令部を出る前に連絡するように。
私から中尉に送るように頼むから」
『大袈裟なんですから』
マダムの言葉を無視してロイは相変わらずの溺愛だ。
-END-
2017.2.21