第⑳話
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結局は勝負には勝てずにロイは手で肩を揉みながら執務室に帰って来る。
「将軍、お帰りなさい」
「その顔は全滅ですか?」
「…うるさい」
珍しく不満を露にするロイに中尉も微かに笑う。
「将軍、お疲れ様です」
『肩凝りました?』
「やれやれ。
閣下の執務室に行くだけで緊張するのに補佐官に囲まれてその上、書類を持って来た将軍に見られるし。
絶対に嫌味を言われるな」
「…それは言われますね」
『大丈夫です、やっつけますから』
「リーゼル大佐、やっつけないでください」
セルシアは会話しながらもロイの肩を揉んでいた。
「失礼しま~す。
おっさんかよ、将軍」
「鋼の…
今アームストロングが訓練中だったな」
「すみませんでしたぁ!」
最近はこれを言うとエドは逃げ腰になるのでロイにからかわれる。
「失礼します」
「あら、ウィンリィちゃんも一緒だったのね」
「…はい。
マスタングさん、試作品が出来ました」
「おや、これは…」
『綺麗ですね』
「細工だなんて必要ないとはエドには言われましたけど。
デザイン的にいいかなと」
ロイが依頼していた試作品が完成して見せに来た。
小型通信機械が綺麗に入り、揺らしても目立った音もしない。
「こっちが私のかな」
「はい、焔をイメージして。
こちらは風を…」
『可愛いね』
「こういう繊細なのは女の子だな。
ウィンリィ、このまま完成させてもらえるかな」
「いいんですか?」
「合格。
よく頑張りました。
あともう少しだな」
「ありがとうございます!」
「いや、君の努力だよ」
嬉しそうに笑ってウィンリィは深々とロイに頭を下げる。
「マスタングさんがいっぱい協力してくれたから。
アイディアやヒントをくれて。
本の解説もしてくれて。
技術だけでも知識だけでもダメなんだと学びました」
「知識は無駄にならんよ。
いつか君の役に立つだろう」
「はい!」
にっこりと笑ってウィンリィは頷いた。
「期待してるよ」
「待っていてくださいね」
「あぁ、急がなくていいよ」
(…お兄さんみたいな血の繋がってない家族みたい。
でも、お兄さんよりはお父さんに近いかな)
じっと見つめるウィンリィにロイは気づいた。
「出会いは最悪だけど。
私、マスタングさんと出会えてよかったです」
「えっ…」
「また来ます。
貴方の役に立てるならよかった。
また来ます、お義父さん」
ウィンリィは抱きついて照れ笑いして執務室から去る。
ロイが驚いて目を見開き、瞬きしていた。
苦笑いしてロイは頭を掻いて微かに頬を赤らめる。
「私はまだ結婚してないんだが」
「嬉しそうですよ?」
「まぁ、悪くはないな」
「あんたがウィンリィの親父なんて許さないからな!」
「本当の父親になる訳ではないだろう?」
怒鳴って去るエドにロイは笑って周りと苦笑い。
ウィンリィから義父と呼ばれるのは初めてではないが、照れ臭くも嬉しさがある。
「マスタング将軍、町で事件発生です!
過激派の1人がナイフを手に少女を人質に軍に要求が来ました」
「少女…?
その少女の容姿は分かるか?」
「金髪のポニーテールだそうです」
「まさか…」
全員の脳裏にウィンリィが浮かび、準備をして駆けつける。
「ウィンリィ!」
「鋼の、やめないか。
挑発するな」
「俺が側に居たのに」
「ウィンリィ…」
「ここからは私の専門だ。
エリルック兄弟、下がりなさい」
「でもっ!」
「君達がいても何も出来ない。
命令だ、下がれ」
『ブレダ少尉』
「分かりました」
ブレダにエドとアルは諭されて下がって行く。
「いった…離しなさいよ!」
「暴れるんじゃねぇよ!
痛い目に合いたいのか!?」
「ひっ…」
首に腕が回って逃れられず、ジタバタと暴れていたウィンリィは首にナイフを当てられて小さな悲鳴と共に静かになる。
年齢のわりにしっかり者で芯が強くてもまだ未成年の少女だ。
「そこまでだ。
君の目的を聞こう」
「ふん、将軍自らか。
俺の仲間を返せ」
「仲間とは?」
「とぼけるな。
俺の仲間を捕まえただろうが!」
「逮捕された者の解放が目的か?」
「しないと言うなら」
「や…っ」
「少女は無関係だ」
「今人気なマスタングさんが落ちるのはいい絵だな。
あんたのせいで少女が刺されるなんて」
(私のせいでマスタングさんが。
そんなの嫌だ。
でも、動けないし。
怖い…っ)
泣きそうになってウィンリィは目を瞑って耐える。
「将軍、撃ちますか?」
「ダメだ。
そんなことをしたら。
国民の支持率も下がるが、そんなことよりもウィンリィが…」
ウィンリィを怖がらせないように救出したい。
「…お義父さん」
声が震えて弱々しいウィンリィの声にロイは唇を噛み締める。
「ウィンリィを離しやがれ!」
「バカ、鋼の!」
「きゃっ…」
「くっそ!」
ロイは走り出して思いっきり突き飛ばされたウィンリィを庇うように滑り込み、抱き締めて地面に激突。
「ぐっ…」
「お義父さん!」
「大丈夫だ、怪我してないか?」
「はい…大丈夫です。
ごめんなさい」
ウィンリィの“おとうさん”発言に野次馬もマスコミもザワつく。
「将軍、お帰りなさい」
「その顔は全滅ですか?」
「…うるさい」
珍しく不満を露にするロイに中尉も微かに笑う。
「将軍、お疲れ様です」
『肩凝りました?』
「やれやれ。
閣下の執務室に行くだけで緊張するのに補佐官に囲まれてその上、書類を持って来た将軍に見られるし。
絶対に嫌味を言われるな」
「…それは言われますね」
『大丈夫です、やっつけますから』
「リーゼル大佐、やっつけないでください」
セルシアは会話しながらもロイの肩を揉んでいた。
「失礼しま~す。
おっさんかよ、将軍」
「鋼の…
今アームストロングが訓練中だったな」
「すみませんでしたぁ!」
最近はこれを言うとエドは逃げ腰になるのでロイにからかわれる。
「失礼します」
「あら、ウィンリィちゃんも一緒だったのね」
「…はい。
マスタングさん、試作品が出来ました」
「おや、これは…」
『綺麗ですね』
「細工だなんて必要ないとはエドには言われましたけど。
デザイン的にいいかなと」
ロイが依頼していた試作品が完成して見せに来た。
小型通信機械が綺麗に入り、揺らしても目立った音もしない。
「こっちが私のかな」
「はい、焔をイメージして。
こちらは風を…」
『可愛いね』
「こういう繊細なのは女の子だな。
ウィンリィ、このまま完成させてもらえるかな」
「いいんですか?」
「合格。
よく頑張りました。
あともう少しだな」
「ありがとうございます!」
「いや、君の努力だよ」
嬉しそうに笑ってウィンリィは深々とロイに頭を下げる。
「マスタングさんがいっぱい協力してくれたから。
アイディアやヒントをくれて。
本の解説もしてくれて。
技術だけでも知識だけでもダメなんだと学びました」
「知識は無駄にならんよ。
いつか君の役に立つだろう」
「はい!」
にっこりと笑ってウィンリィは頷いた。
「期待してるよ」
「待っていてくださいね」
「あぁ、急がなくていいよ」
(…お兄さんみたいな血の繋がってない家族みたい。
でも、お兄さんよりはお父さんに近いかな)
じっと見つめるウィンリィにロイは気づいた。
「出会いは最悪だけど。
私、マスタングさんと出会えてよかったです」
「えっ…」
「また来ます。
貴方の役に立てるならよかった。
また来ます、お義父さん」
ウィンリィは抱きついて照れ笑いして執務室から去る。
ロイが驚いて目を見開き、瞬きしていた。
苦笑いしてロイは頭を掻いて微かに頬を赤らめる。
「私はまだ結婚してないんだが」
「嬉しそうですよ?」
「まぁ、悪くはないな」
「あんたがウィンリィの親父なんて許さないからな!」
「本当の父親になる訳ではないだろう?」
怒鳴って去るエドにロイは笑って周りと苦笑い。
ウィンリィから義父と呼ばれるのは初めてではないが、照れ臭くも嬉しさがある。
「マスタング将軍、町で事件発生です!
過激派の1人がナイフを手に少女を人質に軍に要求が来ました」
「少女…?
その少女の容姿は分かるか?」
「金髪のポニーテールだそうです」
「まさか…」
全員の脳裏にウィンリィが浮かび、準備をして駆けつける。
「ウィンリィ!」
「鋼の、やめないか。
挑発するな」
「俺が側に居たのに」
「ウィンリィ…」
「ここからは私の専門だ。
エリルック兄弟、下がりなさい」
「でもっ!」
「君達がいても何も出来ない。
命令だ、下がれ」
『ブレダ少尉』
「分かりました」
ブレダにエドとアルは諭されて下がって行く。
「いった…離しなさいよ!」
「暴れるんじゃねぇよ!
痛い目に合いたいのか!?」
「ひっ…」
首に腕が回って逃れられず、ジタバタと暴れていたウィンリィは首にナイフを当てられて小さな悲鳴と共に静かになる。
年齢のわりにしっかり者で芯が強くてもまだ未成年の少女だ。
「そこまでだ。
君の目的を聞こう」
「ふん、将軍自らか。
俺の仲間を返せ」
「仲間とは?」
「とぼけるな。
俺の仲間を捕まえただろうが!」
「逮捕された者の解放が目的か?」
「しないと言うなら」
「や…っ」
「少女は無関係だ」
「今人気なマスタングさんが落ちるのはいい絵だな。
あんたのせいで少女が刺されるなんて」
(私のせいでマスタングさんが。
そんなの嫌だ。
でも、動けないし。
怖い…っ)
泣きそうになってウィンリィは目を瞑って耐える。
「将軍、撃ちますか?」
「ダメだ。
そんなことをしたら。
国民の支持率も下がるが、そんなことよりもウィンリィが…」
ウィンリィを怖がらせないように救出したい。
「…お義父さん」
声が震えて弱々しいウィンリィの声にロイは唇を噛み締める。
「ウィンリィを離しやがれ!」
「バカ、鋼の!」
「きゃっ…」
「くっそ!」
ロイは走り出して思いっきり突き飛ばされたウィンリィを庇うように滑り込み、抱き締めて地面に激突。
「ぐっ…」
「お義父さん!」
「大丈夫だ、怪我してないか?」
「はい…大丈夫です。
ごめんなさい」
ウィンリィの“おとうさん”発言に野次馬もマスコミもザワつく。